2019年度最初の新入部員!

今日は昼前から、京都の北文化会館にて紫明荘組の稽古でした。

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ひと月半ぶりの人、2ヶ月ぶりの人、また半年ぶりの人がたまたま揃って、沢山の話題で盛り上がっておられました。

私はひたすら稽古で会話に入れずいたのですが、この先の紫明荘組はまた一層賑やかになりそうで、嬉しく思って聞いておりました。

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そして夕方に終えて次は京大宝生会へ。

能楽部BOXに入ると、宝生会のホワイトボードの「新入生」の欄に1人の名前が。

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そうです。先週金曜日についに2019年度最初の新入部員が入部してくれたのです!

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これは正に「雨にも負けず 風にも負けず」に時計台前で新入生に声掛けを続けたり、様々な新歓イベントを重ねて来た、新歓委員を始めとする現役部員の努力の賜物です。

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18時半頃にその新入部員がBOXに入って来た時には、他にも3人の新入生見学者が来てくれていました。

見学者を含めて4人で基本的な型を稽古して、その後仕舞「紅葉狩」の前半も稽古しました。

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毎年のことながら、新入部員に「紅葉狩」を教える時は「また新しいシーズンが始まったのだなあ」と感慨深い気持ちになります。

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次に入部した人は「熊野クセ」を、更に次の入部者は「船弁慶クセ」を稽古することになります。

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新歓ももうかなり長い期間になり、現役達は今頃が一番疲れてくる時期だと思います。

なんとかこの努力が報われて、「熊野」と「船弁慶」の人が入ってくれることを切に祈っています。

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現役さん達、もうひと息どうか頑張りましょう。

色々重なった五雲会

今日は水道橋宝生能楽堂にて開催された「五雲会」に出演いたしました。

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能「巴」の地謡という役目に加えて、今日は朝から色々と用事が重なりました。

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能楽師を目指す若者の「楽屋入り」という重要な節目への立ち会い。

そして5月6月に連続する「関西宝連」と「全宝連京都大会」へ向けての様々な準備作業など。

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上に掲載したのは、先ずは5月の「関西宝連」のチラシです。

関西宝連は「京都宝生流学生連盟」と「阪神宝生流学生連盟」の合同の組織ですが、このうち「京都宝生流学生連盟」は今回で第120回の大きな節目を迎えます。

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それを記念して同志社大学、京都女子大学、京都大学が三校合同で能「高砂」を演ずるのです。

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これに加えてまた「全宝連京都大会」のチラシなども改めて掲載したいと思います。

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今日は短いですがこれにて失礼いたします。

京大宝生会新歓ワークショップ2019

今日は京大宝生会の新歓ワークショップが開催されました。

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私は、

①型の体験。(構え、運び、序破急の動き、シオリ、足拍子、面切りなど)

②装束体験(唐織着流し)

③仕舞船弁慶キリ

をいたしました。

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これに加えて現役達が、

①仕舞「竹生島(2回生)」、「杜若キリ(3回生)」、「春日龍神(4回生)」。それぞれのシテによる仕舞の解説付き

②囃子体験(笛、小鼓、大鼓、太鼓)それぞれの演奏者による楽器の説明、掛け声、打ち方の種類の説明など

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という盛り沢山の内容で、18時半から始めて20時15分頃に全部のプログラムを終えました。

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しかし驚いたことに今年の新入生達はそこで帰ろうとせずに、積極的に面や楽器の周りに行って次々に体験を希望していたのです。

しかも順番待ちで並んで、自分の番が来ると実に楽しそうに打ったり吹いたりしていました。

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結局20時45分頃になってもまだまだ色々盛り上がっている状態でした。

これは今までで一番熱心な新入生だと感心いたしました。

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私はそこまで見届けて、装束と面をまとめて東京への帰途へつきました。

しかし現役達はそこから更に新入生達を晩御飯に連れて行って、能の話、京大宝生会の話、大学生活や授業の話など親身になって話して、何とか宝生会に入部してもらえるように頑張っているはずなのです。

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今日来てくれた10人ほどの新入生の中には、宝生会への見学ももう2〜3回目になる人もいました。

今日の皆の努力が報われて、入部者が出るように祈りながら、私は装束の大荷物を持って東京行きの新幹線に乗り込んだのでした。

「ゲストハウス月と」にて稽古後のお茶会

昨日は京都の「ゲストハウス月と」にて紫明荘組稽古でした。

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能「羽衣」の稽古を始め、”男舞”、”中之舞”、”楽”など舞囃子に向けた稽古もたくさんあり、なかなか充実した稽古になりました。

“男舞”の稽古を見ていた新しい会員さんが「”男前”って何ですか…?」

という笑い話などもありました。。

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また土曜日だったので、働いている京大宝生会若手OBOG達も来やすかったらしく、合計で8人の若手OBOGが来てくれました。

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2階の和室で最後の人の稽古を終えて階下のサロンに降りると、先に稽古を終えた若手達がお茶を飲んで楽しそうに話しています。

亭主さん「先生もお茶でも如何ですか?」

私「あ、では珈琲をいただきます」

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昨日はその後の稽古などは無かったので、少し時間に余裕があったのです。

珈琲を飲みながら、何人かの若手達とのんびり話をしました。

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思えば彼らとは、夜にお酒を飲むことは多々ありますが”お茶会”のような雰囲気は初めてでした。

何か微妙に気恥ずかしいような、しかし悪くない感覚でした。

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京大能楽部中心の若手稽古会「琥珀の会」の今年の日程や開催場所の相談なども出来て、新たな目標に向けての良い区切りの日になりました。

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昨日はまた、ブログの読者でもある知人が「月と」に遊びに来てくれたりもして、最後まで賑やかな稽古日になりました。

他の方も、京都にいらした時に私の稽古とタイミングが合えば是非「月と」にいらしてくださいませ。

もちろん私がいない時にもお薦めいたします。

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ゲストハウス&カフェ 京都月とhttps://tsukito.jp

2019京大宝生会新歓スタート

昨日は夕方から京大宝生会に稽古に行きました。

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京大BOXに行くのは先月末の「仕舞100番舞う会」以来です。

つまり、新年度になって初めての稽古になります。

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BOXに入ると、いつものように学生達が一斉に正座して挨拶してくれました。

…しかし、よくよく見ると微妙に知らない顔が何人か混ざっています。

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私「もしかして…見学の新入生ですか?」

現役「はい!今2人見学に来てくれています!」

そうです。

毎年恒例の「新歓活動」が始まっていたのです。

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現役達は、授業が終わる時間になると能楽部の旗とチラシを持って、京大本部の時計台下に向かいます。

花冷えで肌寒い中、通りかかる新入生達に頑張って声掛けを続けて、昨日は合計5人の新入生が見学に来てくれました。

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これで全員入部してくれるかというと、残念ながらそうではありません。

京大の傾向として、いくつかの部を見てから、熟考した末に入る部を決める新入生が多いのです。

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なので新歓委員を中心にして、「能楽部四会合同仕舞会」、「能楽鑑賞会」、「宝生会新歓ワークショップ」、「新歓パフェ会」などなど盛りだくさんのイベントを準備して、能楽の、宝生会の魅力を全力でPRするのです。

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昨日見学に来てくれた新入生達は、いずれも筋が良さそうで、しかも能楽に興味があるとのことでした。

また、私が最初新入生と気づかなかった程、宝生会の雰囲気に見事に溶け込んでいました。

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粘り強く新歓活動を続けていけば、彼らのような人達がきっと宝生会に入ってきてくれることでしょう。

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毎年のことですが、焦りと期待に満ちた新歓シーズンが本番を迎えています。

私はとりあえず来週にある「宝生会新歓ワークショップ」を全力で頑張りたいと思います。

行く人、来る人

昨日の「京大宝生会 仕舞100番舞う会」でのこと。

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途中で台湾からの留学生Hくんが、大きなダンボール箱を持ってやってきました。

中から結構な量の食材、調味料、タッパーなどを取り出して、「これ全部いらないです!誰かほしい人いたらもらってください!」

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彼はもうすぐ台湾に帰っていく予定なのです。

仕舞「敦盛キリ」を一番だけ舞って、

「それでは先生、お世話になりました!」

と別れを告げてBOXから出ていきました。

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しかししみじみとした気持ちになりかけたところで、Hくんから「部屋の冷蔵庫の食べ物、明日まで預かってほしい!」と部員Oくんに電話があり、Hくんはすぐに別のダンボール箱を持って再びBOXに戻ってきたのでした。。

そして今度こそは、とお別れをして去っていくと、またしても「忘れ物した!」と言って戻ってきます。

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「なんだかんだ言って、名残惜しいのかもしれないなぁ」と、そこでしみじみとした気持ちになりました。

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昨日は他にも、別の大学に進学する人、就職する人などが何人もいて、その意味でも色々感慨深い1日でした。

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一方今日は朝から大山崎稽古でした。

宝寺のいつもの稽古部屋に入ると…

私「おお!Iさんおはようございます!今日からよろしくお願いします!」

今年の大山崎新年会に見学に来てくださった方が、今日から本格的に稽古を始めることになったのです。

初めて触れる”謡”に戸惑いながらも、熱心に1時間稽古してくださいました。

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春はお別れの季節であると同時に、新しい環境に飛び込んでいく季節でもあります。

昨日のHくん達も、この先の新たな場所できっとたくさんの出会いや、新鮮な出来事が待っていることでしょう。

おそれずに希望を持って、新しい道に進んで行ってほしいと願っております。

京大宝生会 仕舞100番舞う会2019

今日は2年ぶりの開催となる「京大宝生会 仕舞100番舞う会」を決行いたしました。

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早朝に東京を出て、9時過ぎに京大能楽部BOXに到着すると、ちょうど最初の仕舞「高砂」が始まるところに間に合いました。

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実は「第1回仕舞100番舞う会」がいつ開催されたのか残念ながら覚えていないのですが、おそらく10年ほど前かと思われます。

なので回数も推定ですが、第5回目くらいになるはずです。

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前回のことは一昨年のブログに書いた記憶がありますが、その前回から参加者ほぼ全員が紋付袴に着替えるようになりました。

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そして私が舞う仕舞の数もぐっと少なくなり、前回も今回も10番程度でした。

あとの90番は現役と若手OBOGが舞ったのです。

(途中で澤風会紫明荘組のお2人が応援にきてくださり、岩船と羽衣クセを舞ってくださいました)

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休憩は殆どとらず、100番目が終了したのは19時45分。

10時間以上舞通し、謡通しだった訳です。

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最初元気一杯だった現役達も、流石に50番を超えた14時半頃から疲れた表情になって来ました。

しかし、朝からほぼ全曲の地謡を謡っている強者OBOG達はもっと疲れているはずなのに、無本でガシガシと謡っていきます。

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遂に最後の曲「葵上」をOBが舞終えて、BOXにいる全員で附祝言「五雲」を謡うと、みんな会心の笑顔で拍手をして「仕舞100番舞う会」を無事に終えることができました。

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下の写真は、現役の「扇係」の部員のノートです。

左ページから順に、朝から晩までの仕舞の番組と、使った扇、舞い手の頭文字が書いてあります。

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おそらく今日という1日に、最も沢山の仕舞を舞った宝生流の集団である我々京大宝生会の苦闘の跡が集約された2ページです。

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大原から加古川へ

今日は朝に大原の京大宝生会合宿所を出て、加古川能に向かいました。

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霧のような細かい雨に煙る大原の里は、それはそれで風情があるなあと思いながら、京都バスで国際会館駅へ。

そこから地下鉄で京都駅に出て、更に姫路行きのJR新快速に乗り換えました。

あとは加古川まで1時間半弱、謡を覚える時間です。

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神戸を過ぎると、普段はあまり通ることのない地域に入っていきます。

私は新快速の進行方向右側の山手の席に座っていました。

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謡本からふと目を上げて右手の車窓を見ると、松の木が立ち並ぶ公園の景色が目に入りました。

そして何故かその景色には見覚えがありました。

ずっと昔に来たような…

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思い出しました。

あれは京大宝生会で能「箙」が出た時のことです。もう10数年前になります。

「箙ツアー」を企画して、何人かの部員で”一ノ谷”を訪れたことがありました。

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確かその時に「須磨浦公園」という所にも行って、それがこの車窓の景色だと思われ…

と、そこでハッと気づいて私は左側の車窓を振り返りました。

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窓の外には、須磨の浦がゆったりと広がっていたのです。

海は東海道新幹線で熱海の辺りを通る度に見ている筈なのに、何故かとても久しぶりに海というものを見る心地がして、静かに感動しました。

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更に新快速は進んでいきます。

今度は前方に巨大な橋が見えて来ました。

「明石海峡大橋」のようです。

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能「草紙洗」で紀貫之が詠み上げる和歌

「ほのぼのと 明石の浦の 朝霧に 島隠れゆく 舟をしぞ思ふ」

が頭に浮かんできました。

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しかし車窓には圧倒的な迫力の明石海峡大橋が、淡路島に向けて「ドドーン」という感じで伸びています。

和歌に詠まれた明石の浦の風情は、とうの昔に無くなってしまったようでした。

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仕事とは言え、今日の大原から加古川への移動は何か”旅情”のようなものを感じてとても心地よいものでした。

海の良い写真が撮れたらもっと良かったのですが、天気もあって中々難しかったです。

本当はもっと青く、のたりのたりとした「春の海」でした。

京大春合宿2019・その2

昨日は京大宝生会の春合宿初日でした。

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私は21時頃に仕舞の稽古を終えてから風呂に入りました。

風呂から出て「ヤヲハの間」で布団を敷いたり荷物の整理をしていると、まだ合宿所のそこら中から鸚鵡返しの声が聞こえてきます。

「まだ初日だから、皆元気だなぁ」と思いながら聴いていましたが、昨日は何と23時頃になっても全く同じ状況で皆稽古を続けていました。

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そして23時過ぎ頃にようやく稽古が一段落すると、今度は新3、4回生が集まって話し合いを始めました。

どうやら春以降の舞台の地割を決める会議のようで、これが日が変わる頃まで続きました。

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その間に新2回生数名は、パソコンを開いて何やら作業をしています。

聞くと新歓に使うポスターを作るために、観世会金剛会狂言会と宝生会のそれぞれの舞台の写真をPCソフトを駆使して合成して、そこに「能楽部」などの文字を書き込んでいく作業だそうで、こちらも深夜まで続いていました。

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そして今朝にはまた合宿所に鸚鵡返しの大きな声が昨夜と同じように響いていたのでした。

毎度のことながら、現役達は稽古と宝生会運営などの仕事を両方とも本当に一生懸命にやっていて頭が下がります。

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今は合宿2日目の22時前です。

昨日と全く同じようにそこら中から稽古の声が聞こえております。

今の努力はきっと新学期に実を結んで、京大宝生会はまだ見ぬ新入生を加えて一層元気に京宝連や全宝連の舞台に突入していくのでしょう。

京大春合宿2019

今日は京大宝生会の春合宿でいつもの京都大原の民宿にやって参りました。

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4回生はもうOB枠なので、人数的にはちょっと少ないかと思っておりました。

しかし蓋を開けてみると今回は舞囃子が「船弁慶」「春日龍神」「雲雀山」の3番と、更に半能「高砂」もあって、中々密度の濃い稽古になりました。

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因みに舞の稽古は民宿離れの大広間でやっておりますが、この大広間が真ん中で仕切られており、その”鴨居”がちょっと低いのです。

身長172cmの私でも、背伸びすると頭がつくくらいの高さです。

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そして、舞囃子「春日龍神」のシテY君は、身長が190cm以上あります。

スピーディな展開の「春日龍神」を稽古していると、Y君は鴨居の下を通過する度にヒョイヒョイと頭を器用に下げて鴨居をかわして行きます。

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しかし、キリの「明恵上人、さて入唐は…」

でワキ座から後ろ向きに素早く下がって常座で飛び返りする所では、さすがに思わず「危ない!」と言いそうになりました。

ところがY君は、後ろに目があるかのように鴨居を避けて下がっていったのです。

彼曰く「稽古の時は集中しているからか、これまで一度も頭をぶつけたことはありません」

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おお、それはすごいと思ったところで、

「でも、夜に宴会している時はよくぶつけますね…」

成る程。酔って春日龍神を舞わないようにしないといけないですね。。

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という感じで、今回も色々面白いエピソードを重ねつつ春合宿は進んで行きます。

続きはまた明日。