緑の木曽路

土日の薪能が終わって、今日からしばらくは通常の澤風会稽古が続きます。

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今日は早朝に京都に移動して大山崎稽古、その後午後に松本に移動しての稽古でした。

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大山崎から普通電車で京都へ。そして新幹線で名古屋に行き、最後に特急しなのに乗り換えて松本に向かいます。

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雨が近づいて空には雲がかかっていますが、その天気の中でも車窓から見える新緑が実に綺麗でした。

瑞々しい新芽の薄緑、常緑樹の濃い緑、杉や檜の深緑…

毎年5月頃の山の景色を見ると、同じ”緑色”にこれほどまでたくさんの種類があるという事を思い出します。

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走っている特急からは、やはり上手く撮れませんでした。。

しかし実際にはこの百倍も鮮やかな初夏の彩りだったのです。

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慌ただしかった週末を終えて、木曽路の緑にちょっと癒された月曜日の電車移動でした。

充実した誕生日

今日は午後から江古田稽古、その後に田町に移動して18時半から稽古という日程でした。

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江古田で余裕を持って17時過ぎに稽古を終えて、順調に池袋まで出て山手線ホームに上がりました。

あとは山手線に乗れば田町まで一本で行ける、と思ったところで、品川で人身事故があったとかで山手線が止まってしまいました。。

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仕方なく地下鉄丸の内線に乗り換えて、大手町でぐるぐると結構な距離を歩いて地下鉄三田線に乗り、何とか18時半ギリギリに田町に到着出来ました。

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田町では、久々に稽古に来てくれた元気な韓国人留学生さんや、芸大1年生男子なども加えて賑やかな稽古になりました。

最後の芸大生の稽古を終えて、地拍子の質問に答えていると、なんと稽古場の勤労福祉会館が21時半で終了するというアナウンスが流れて来ました。

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田町でもこれまで長く稽古して来ましたが、終了アナウンスまでみっちり稽古したのはおそらく初めてです。

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という訳で、今日も昼から夜まで密度の濃い稽古をした1日でした。

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実は誕生日だったのですが、バリバリと稽古をする誕生日というのも充実して良いものだと思いました。

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また新たな気持ちで頑張って参りますので、皆様どうかこの1年もよろしくお願いいたします。

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復活への第一歩

私の母親は2年半ほど前から、母校の日本女子大学構内にある和室を借りて、「日本女子大学宝生会」の復活に向けての新歓活動をコツコツとしておりました。

チラシを作成したり、先ずは職員など大人の稽古を始めて、学生に見学を呼びかけたり。

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何度か学生も見に来てくれたそうなのですが、卒業間近の4年生だったりしてなかなか定着まではしてくれませんでした。

20数年間も途絶えていたクラブの復活は、やはり相当に難しいと思われました。

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それが今春、大きな動きがあったのです。

京大宝生会の大先輩のお孫さんが、この春にめでたく日本女子大学に入学されたのです。

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4月の終わりには母親から、そのお孫さんが友達を連れて、合計3人で稽古見学に来てくれたと聞きました。

復活に向けて、大きな第一歩だと嬉しく思っておりました。

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そして昨日。

私は澤風会江古田稽古日で、普段通りに昼から江古田舞台で稽古をしておりました。

母親は例によって日本女子大に新歓活動に行っています。

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夕方になって、いつも元気なボーカリストの方の稽古をしていると、母親が帰って来ました。

横目で見ると、母親はなにやら非常にそわそわしている様子です。

するとなんと母親の後ろから、緊張した面持ちの3人の女学生さんが稽古場に入って来るではありませんか!

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母「見学に来てもらったの!」

聞くと3人の女学生さん達は、今日既に日本女子大で「羽衣キリ」の仕舞と謡を稽古して来たとのこと。

稽古の後に、「都営バス一本ですぐ江古田に行けるから!」と母親が強引に連れて来たようです。

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折良く稽古場には、日本女子大宝生会のOGの澤風会会員さんもいらして、大学の建物や授業の話などで盛り上がっていました。

3人は足袋も扇も持っていて、「稽古を続けるつもりです!」と言ってくれました。

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母親が新歓活動を始めて3年目、ついに「日本女子大学宝生会」が復活することになりそうです。

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とは言え、まだクラブとして安定するまでには時間がかかるでしょう。

復活組の先輩である神戸大学宝生会の歩みなどを参考にさせていただき、なんとか人数を増やして継続していけるように、私も出来る限り手伝って参りたいと思います。

皆さまもどこかで「日本女子大学宝生会」の姿を見かけたら、どうか応援をよろしくお願いいたします。

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連休明けの松本稽古

今日は昼から松本稽古でした。

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世の中よりも1日早い”連休明け”です。

久々の澤風会稽古だったので、私自身の調子が狂っていないか少々心配でした。

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しかし始めてみるとそれほど違和感なくスムーズに稽古出来た気がします。

10人程来られた会員の皆さんも、よくお浚いをしてから来てくださいました。

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仕舞「鶴亀」を今日でひと通り最後まで稽古出来た方。

仕舞「雲雀山」が今回で完成して、次から新しい仕舞に移行することになった方。

「女郎花」の稽古を昨年クセの仕舞から始めて、”翔”の舞を経て今日ようやくキリの最後まで稽古し終えた方。

難しい「笹之段」の仕舞を2ヶ月でほぼマスターされた方。

などなど…

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連休中も仕事や家の用事をしていた、という方が結構多く、連休の影響は意外に少ないように感じました。

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そして先日書いた「善知鳥峠」に関する興味深い話もいくつか出て、また資料もたくさん頂きました。

楽しみに読ませていただき、頭の中で整理してから続報を書いてみたいと思います。

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そんな訳で、長い連休は明けましたが、色々充実した松本稽古が出来てひと安心いたしました。

“五月病”になることもなく、すんなりと通常運転に入っていけそうです。

松本の皆様今日もありがとうございました。

令和最初の新入部員は…?

昨日は亀岡の「大本みろく能」の後に京大宝生会稽古に向かいました。

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連休中なので帰省している部員もいるだろうと思いました。

しかし来週には「関西宝連」の舞囃子「船弁慶」と「春日龍神」の申合もあるので、何とかいる部員だけでも稽古したいと思ったのです。

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蓋を開けてみると、なんとほぼ全員参加でした。

半数は「大本みろく能」に新入生を誘って観に来てくれて、終わってすぐに京大に戻って来た部員達です。

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稽古を始めたところで、今度はゲストの方々がやって来られました。

松本稽古場で今年から稽古を始めたばかりのご夫婦です。

かねてより「京大宝生会の稽古を是非見学したい」と仰られており、今回はご夫婦での京都旅行の1日を、やはり「大本みろく能」の鑑能と「京大稽古見学」に充ててくださったのです。

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にこやかにご覧になっておられるご夫婦の前で稽古を再開しました。

するとまた驚きの事態が。

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「今日は授業は無いけれど、一応新歓に行って来ます」と言って時計台の方に向かった部員が、新入生見学者を連れて戻って来たのです。

京大は連休など全く関係無いようでした。

その後さらに自分からBOXを探して来てくれた新入生見学者も1人加えて、むしろ普段より賑やかな稽古になったのでした。

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今年は京大能楽部全体的に新入生の入りが少ない状態です。

宝生会も5月にも様々な新歓イベントを用意して、新入生の入部を待っているのです。

自分の稽古や勉強などもある中で、現役達は本当に頑張っています。

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昨日は見学者2人に「熊野」と「船弁慶」の仕舞を少し稽古して、稽古後には2人も連れて部員達と晩御飯に行きました。

料理を注文して、「僕は来週も稽古に来るので是非また稽古の続きをしましょう!」と話したところで最終新幹線のリミットが来てしまいました。

あとは部員達に任せて、車に飛び乗って京都駅に向かったのです。

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次に入部する人は「令和最初の新入部員」ということになります。

来週の稽古でその記念すべき部員が誕生することを、心から祈っています。

「歌占クセ」の巻き物

今日は江古田稽古でした。

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ジパング倶楽部のメンバー中心の団体謡稽古は、今「歌占」を稽古しております。

この「歌占」のクセは非常に難しく、宝生流では「山姥クセ」「花筐クセ」と共に「三難クセ」などと呼ばれています。

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そしてこの「歌占クセ」は、節使いの難しさもさることながら、その内容の凄絶さ、難解さが殆ど異様なほど際立っています。

人間の生命の儚さと、地獄巡りの苦しみを”これでもか!これでもか!”というほど微に入り細にわたって延々と描写しているのです。

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昔の人は何故こんな物凄い内容のクセを作ったのか、何か特別な由来があるのかと思って少し調べてみたのですが、残念ながらまだ手掛かりは掴めておりません。

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「歌占クセ」で思い出すエピソードがひとつあります。

京大宝生会に入って少し経った大学一回生の頃、渡辺三郎先生のあるお弟子さんから”巻き物”を頂戴しました。

広げてみると、半紙を繋げた細長い紙に、達筆で何やら沢山の文字が書いてあります。

よくよく読んでみると…

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なんと「歌占」のクセだったのです。

当時はまだ大学生になったばかりで、一応それなりに希望に満ちていた私は、その歌占クセの文句を読んで「なんじゃこりゃ」とその内容のあまりの重さに衝撃を受けたのでした。。

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その渡雲会のお弟子さんに、「何故これを、今私にくださったのですか…?」と聞いてみたかったのですが、残念ながらその機会はありませんでした。

私が宝生流を稽古し始めたのを知って「この歌占クセを稽古出来るほどになってください」というお気持ちだったのでしょうか。

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あるいは「大学に入って浮かれているかもしれんが、人生は本当はこのように厳しいのだぞ!」

と戒めてくださったのかもしれません。

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あれから幾星霜を経て、この歌占クセの文句も少しずつ身にしみるようになりました。

しかし一方で「やはりこれは大学一回生にはちょっと早い内容だよなあ…」とも思ってしまうのでした。。

賑やかになった田町稽古場

今日は田町稽古でした。

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沖縄旅行から帰って来られた会員さん。

新しい大学に入って、栃木県から2時間かけて来てくれた学生。

芸大生。

そして今日から新しく稽古を始めた方。

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今回もまた、前回よりも更に賑やかな人数になりました。

稽古場の終わる時間を気にしつつギリギリまで稽古をするのは、田町では久しぶりのことでした。

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この先は毎回こんな風に長く稽古することになりそうです。

一時期人数が少ない状態が続いた田町稽古場ですが、この勢いで一層人が増えていけば嬉しいです。

短めですが、今日はこれにて失礼いたします。

2019年度最初の新入部員!

今日は昼前から、京都の北文化会館にて紫明荘組の稽古でした。

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ひと月半ぶりの人、2ヶ月ぶりの人、また半年ぶりの人がたまたま揃って、沢山の話題で盛り上がっておられました。

私はひたすら稽古で会話に入れずいたのですが、この先の紫明荘組はまた一層賑やかになりそうで、嬉しく思って聞いておりました。

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そして夕方に終えて次は京大宝生会へ。

能楽部BOXに入ると、宝生会のホワイトボードの「新入生」の欄に1人の名前が。

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そうです。先週金曜日についに2019年度最初の新入部員が入部してくれたのです!

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これは正に「雨にも負けず 風にも負けず」に時計台前で新入生に声掛けを続けたり、様々な新歓イベントを重ねて来た、新歓委員を始めとする現役部員の努力の賜物です。

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18時半頃にその新入部員がBOXに入って来た時には、他にも3人の新入生見学者が来てくれていました。

見学者を含めて4人で基本的な型を稽古して、その後仕舞「紅葉狩」の前半も稽古しました。

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毎年のことながら、新入部員に「紅葉狩」を教える時は「また新しいシーズンが始まったのだなあ」と感慨深い気持ちになります。

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次に入部した人は「熊野クセ」を、更に次の入部者は「船弁慶クセ」を稽古することになります。

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新歓ももうかなり長い期間になり、現役達は今頃が一番疲れてくる時期だと思います。

なんとかこの努力が報われて、「熊野」と「船弁慶」の人が入ってくれることを切に祈っています。

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現役さん達、もうひと息どうか頑張りましょう。

今後の能面のサイズ問題…

今日は松本稽古日だったのですが、その前に昼から松本の少し手前の「岡谷」で、小中高生向けの能楽教室をして参りました。

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特急あずさで一度「上諏訪駅」で降りて、普通電車に乗り換えて岡谷に向かいました。

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その乗り換えの「上諏訪」の辺りで、車窓から満開の桜がたくさん見えたのです。

東京では終わってしまった桜です。

乗り換え時間が20分近くあったので、せっかくなので花見をしようと思い立ち、桜が見えた方に歩いて行きました。

大きな駐車場の向こう、幼稚園の園庭で大きな桜が満開でした。

そして横には”鯉のぼり”がはためいています。

「桜と鯉のぼりの共演」というのも、信州らしいと思いました。

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そして普通電車で岡谷へ。

岡谷で会った50人程の子供達は、やはり元気と好奇心に溢れていました。

ちょっと年かさの高校生達が司会などをしてくれて、また小さな子供達の事を何となく気にかけてくれていたのに感心いたしました。

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能楽教室の最後に質問コーナーを設けました。

やはり高校生くらいの割と大きな男の子が、

「能面は何故顔よりもちょっと小さいサイズなのですか?」

と質問してくれました。おお、良い質問です!

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「能面の外側に少し顔の輪郭が見えて、それが謡う時に動くのが見えると、能面も生き生きと動いているように見えるからです。」

と答えようと思い、しかしふと思いついて、質問してくれた男の子に「小面」をかけてもらうことにしました。

彼を前へ呼ぶと、「よっしゃ!」と嬉しそうにガッツポーズして出て来てくれました。

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身長は私と同じくらいです。

「では能面に一礼して、面紐の所を持って、目の高さに合わせてあててくださいね…」

と言ってあててもらうと…

なんと彼は小顔なので、能面がすっぽりと顔にはまってしまったのです。。

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最近は背が高くて小顔の若者が多いので、

「能面の効果を出すには、もっとサイズを小さくしないといけないのかな…」

と一瞬思いましたが、

「しかし身長は高いから、ちょっと大きめのサイズにしないと似合わないだろう…」

とも考えられて、「今後の能面のサイズ問題」はなかなか難しいと思ったのでした。

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岡谷でお世話になった皆様どうもありがとうございました。

おかげさまで今日も充実した能楽教室になりました。

鬼くすべは明日ではなく…

先ほど青森稽古から無事に帰って参りました。

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青森では、遠く雪をいただく雄大な八甲田山を見ました。

桜などまだまだ気配も無かったのですが、東京三ノ輪に帰って来ると…

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近所の小学校では、桜はすっかり終わって、入れ替わりにもう藤が咲いていたのでした。

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さて、明日4月18日は私にとって特別な日付でありました。

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昨年と一昨年の4月18日頃のブログを読んでいただけると、そこには大山崎宝寺の「鬼くすべ」のことが詳しく書いてあるはずです。

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「鬼くすべ」は1300年近く前から続く伝統的な”追儺式”で、毎年4月18日に執り行われてきました。

そして私はこの15年ほど、ほぼ毎年参加させていただき、本堂で謡「鶴亀」「高砂」を奉納していたのです。

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その「鬼くすべ」が、実は今年から「4月の第3土曜日」に開催されることになりました。

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…第3土曜日。

それは水道橋で「五雲会」が開催される日なのです。

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という訳で、残念ながら今年から私はあの濛々たる煙を体験出来ないことになりました。。

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しかし数日前にあった大山崎稽古の時に、「大山崎澤宝会」の皆さんに謡「鶴亀」と「高砂」をきっちり稽古させていただきました。

当日は澤宝会のメンバーが本堂で宝生流の謡を奉納いたします。

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繰り返しですが今年の「鬼くすべ」は明日18日ではなく、今週土曜日の20日に執り行われます。

土曜日に関西でお時間のある方は、マスクかハンカチを持って、少し早めの13時頃に是非大山崎宝寺にいらっしゃる事をお勧めいたします。

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先月から稽古を始めたばかりの澤宝会の新会員さんも、早速土曜日の「鬼くすべ」に参加されるそうなので、来月の稽古で煙の感想を聞いてみたいと思います。