第12回澤風会の申合

今日は、来たる10月1日に京都大江能楽堂にて開催される「第12回澤風会大会」の申合がありました。

今回は舞囃子が5番出ます。

「杜若」、「生田敦盛」、「邯鄲」、「橋弁慶」、「熊坂」です。

皆さんそれぞれ、これまで積み重ねた稽古(申合の1時間前まで稽古していたのです)の成果が出て、そして其々が何箇所か間違えられました。。

…しかしこの「何箇所か間違える」というのが、申合においてはむしろ大切なことだと私は思います。

経験則ですが、申合で完璧な人よりも、申合で課題が見つかった人の方が、本番が良い舞台になるようです。

例えばサッカーの日本代表チームも、ワールドカップ前の親善試合で手酷く負けてしまった時の方が、ワールドカップの成績が良いという記憶があります。

申合で間違えた人は、本番まで「上手く出来ないかも…」と心配したり、「覚えられていない気がする!」と追い詰められたりしてしまいます。

しかしその分、良い緊張感を持って当日を迎えられて、本番が無事に終わった時の喜びは一層大きいのだと思います。

たまに、稽古を始めたばかりの方で「仕舞の楽しさがまだわかりません…」と仰られるのを耳にすることがあります。

しかし私が思うに、一番嬉しくホッとする瞬間は「苦労して稽古した曲を本番で無事に舞い終えた直後」で、一番楽しいのは「その日の夜の宴会」なのです。

舞囃子の皆さん、そして仕舞や謡の方々も、終わった後の「嬉しい、楽しい」の為に、本番までのあと10日、もうひと頑張り稽古して参りましょう!

子供パワー

松本稽古場は、何度も書いておりますが「子供率」が非常に高い稽古場です。

昨日も稽古に行くと、澤風会最年少の5歳の男の子が「ザリガニ獲った!」とペットボトルを改造した即席水槽を見せてくれました。

私も小学生の頃にはよくザリガニ釣りをしたものです。松本の子供達は今でもちゃんと(?)川で遊んでいるのだなあと嬉しくなりました。

しかしこの子、稽古が始まるとすごいのです。

今は「西王母」の仕舞を、お母さんの打つ太鼓に合わせて舞う稽古をしています。

合わせ所の謡もきちんと覚えて、待つ所はちゃんと待ってくれます。

この歳で「舞囃子」を舞えている訳で、これは本当に大したものだと思います。

しかも、次は立場を入れ替えて、お母さんの仕舞「西王母」に合わせて太鼓を打つ、ということまで稽古しているのです。

子供がこれだけ頑張っていると、そのパワーに触発されて自然大人も頑張らねば!と思って稽古場全体が活気付いてきます。

10月15日の「松本澤風会」がとても楽しみになって参りました。

昨日はまたもう一つ子供の嬉しい話題がありました。

「先生お久しぶりです」

おお、なんと!松本稽古場の立ち上げメンバーで、現在は結婚して静岡在住の「まきさん」が遊びに来てくれました。

しかもその足元には、そっくりな顔の小さな女の子が。

「2歳になりました」

前に会った時は0歳でお母さんに抱っこされていましたが、今はもうしっかり歩き回っています。

これまで子供達を稽古した経験からすると…

私「再来年くらいから稽古できますね!」

まきさんのお父様も松本澤風会で稽古されていて、上手くいけば三代で舞台で共演、という夢も膨らみます。

昨日は小学4年生のふうちゃんが、既にお姉さんの風格で2歳の女の子の世話をしていたのも、また微笑ましい光景でした。

松本の子供達に沢山の元気をもらった一日でした。

出会いの化学反応

他の皆さんと同様に私も、これまでの人生の色々な段階で、沢山の面白い人達と出会って来ました。

全く違う時と場所で知り合ったそれら面白い人達を、引き合わせて友達になってもらうのが、実は私はとても好きなのです。

面白い人同士が友達になれば、化学反応を起こして更に面白いことが起きそうだからです。

実は今日の江古田稽古でそんなことがありました。

江古田稽古場に新たに入会してくれたのは、20数年前に京大宝生会の縁で知り合った人でした。英語の先生です。

そしてその人が稽古に来る時間帯に、私の小中高の同級生も稽古しているのです。こちらは英語の通訳をしています。

今日初めて稽古場で顔を合わせました。

私としては、その2人が目の前で会話しているのを見るのは不思議な感じなのですが、どちらも実に愉快な人物でテンションも高めなので、すぐに打ち解けて軽快に話していました。

また共に「英語」と「能楽」に関わる人になるわけで、この点でも今後何か面白いことに繋がっていけば良いと思います。

能楽を縦糸にして、これからも色々な面白い人達との出会いを織り重ねていけたら、有り難いことだと思います。