万歩計アプリによると…

普段から皆様に「健康には気をつけて」と言われているのですが、とりあえず「歩くこと」と「階段を使うこと」くらいしか健康に繋がる事をやっていない私です。

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「歩く」というのは運動とも言えないような単純なことですが、歩くことにも色々利点があります。

・体調が整えられる。

・足腰や心肺機能が鍛えられる。

・渋滞や遅延に関係ないので、精神的ストレスも無い。

・街中で面白い出来事に出会う可能性が高い。

などなど、私のような「散歩が好きな能楽師」にとっては、歩くことは正に良い事ずくめなのです。

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更に私の携帯には「万歩計アプリ」が付いており、これがまた丁度良い達成感を与えてくれます。

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因みに昨年1年間で私は、

・一日平均8003歩歩いて、

・一日平均17階分の階段を登り、

・一年で約2200㎞移動して、

・最高で1日23278歩歩いた

ことになるそうです。

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これが多いのか少ないのかは判然としないのですが、自分の足で約2200㎞程歩いた中で、昨年の色々な経験があったと思うと感慨深いものがあります。

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この「歩くこと」に関しては、出来れば去年の記録を更新することを今年の目標にしようと思っております。

結果は来年のお正月のブログにて。

新型車両にて

3日前に鉄道ネタを書いたばかりで恐縮なのですが、今日の松本稽古ではまたしても鉄道絡みの出来事がありました。

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いつもと同じように新宿駅に到着して、松本行きの特急あずさに乗ろうとホームに降りると、何だかものすごい人だかりです。

…しかも様子がちょっと変です。

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ホームにいる人の半分以上がカメラを持っていて、止まっている特急スーパーあずさの写真をバシバシ撮影しています。

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よくよく見ると、どうやら以前にニュースで見た新型車両のようです。

しかも聞くとよりによって今日がそのデビューの日で、これから私が乗るのが第2号らしいのです。

確かに格好良い車両で、外から覗くと座席も実に座り心地が良さそうですが、座れなければ全く意味がありません。

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漸くドアが開くと、カメラを持った人々が嬉々としてゾロゾロと乗り込んで行き、私は列の後ろの方からジリジリと焦りながら乗り込みました。

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案の定、席はあっという間に埋まっていて、最早立って行くしか無いなと嘆息しかけた時。

ひとつだけ空いている席が目に入りました。

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しかしそこは、向かい合わせにした席に3人の喪服の女性が座っているボックスだったのです。

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究極の選択ですが、ここはやはり座って行きたい所です。

「すみません、ここ空いてますか?」

「あら、空いてますよ。」

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という訳で、とりあえず座れてほっとしました。

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3人組は、船橋から来て韮崎である告別式に向かうらしく、1人は最近「ためしてガッテン」の「コレステロール」がテーマの回にエキストラで出演した事があり、やや年かさの女性は煙草をやめられないのが問題らしく、皆車内販売のワゴンが来たらビールでも飲んでしまおうと思っており、更に1人はお腹もちょっと空いたので韮崎で有名な蕎麦屋に寄ろうと画策しており、しかし式の時間を鑑みるとそれは難しいと別の1人に諭され、それにしてもワゴンが来ないと苛立ち…

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…と、ある程度予想はしていたのですが3人の喪服女性は新宿〜甲府間を完璧にノンストップで喋り倒して、「賑やかでごめんなさいね!」と言い残して甲府で降りていかれました。。

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やや呆然としつつ席を元に回転させて、快適な新型座席になんだかグッタリと凭れながら松本に向かったのでした。。

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松本稽古で美味しい信州林檎や、松本で売っていたという「今川焼き」などをいただき、むしろ元気回復して帰りの特急に乗りました。

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帰りは新型車両ではなく、いつものようにガラガラで心からほっとしたのでした。

遅延の理由は…

ちょうど一週間前に、早朝の青森駅で停電トラブルに巻き込まれた話を書きました。

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するとそれを読んだ青森在住の京大宝生会の同期から、「何かいつもトラブルに巻き込まれているね」とメールが届きました。

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確かに今年も、鉄道絡みでは色々な事がありました。

・大雪、豪雨、台風による遅延。

・イノシシやシカと衝突しての遅延。

これらは毎年の事なのですが、それ以外にも、

・京都から東京行きの新幹線に乗ってすぐに「お客様の中でお医者様か看護師の方がいらしたら、至急7号車のデッキまでいらしてください」とアナウンスがあり、ややしてから「この列車は米原駅で臨時停車します」と再度放送が。

そして米原駅で暫し止まった後に「看護師の方のご協力により、急病のお客様を無事に救急搬送出来ました。」とまた放送があり、車内には何となく安堵の空気が流れました。

…という事などもあり。

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今月に入っても、

・車が踏切に強引に進入して、遮断機の棒が折れて線路を塞いだ為に特急あずさが遅延。

またその後に、先週の青森駅の停電がありました。

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…そして昨日。

亀岡稽古を夜に終えて、京都駅に移動して新幹線に乗ろうとしたら、いつも乗る比較的空いている「ひかり」がホームにいません。

その理由は…

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「岡山駅でお客様のペットの犬が新幹線ホームから線路に降りて現在逃走中のため、ダイヤが乱れております」

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…新幹線の線路を必死で逃げる犬と、それをまた必死に追いかける駅員さんを想像すると、大変失礼なことながら少しニヤリとしてしまいました。

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今年もまだ長距離移動が何度かあり、来年もまた電車に乗る日々が続きます。

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勿論移動中は何事もないのが一番なのですが、ここまで来ると次はどんな思いもよらない出来事が起こるのか、少しだけ期待する気持ちもあるのです。

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また何か驚くような事があれば、ご報告させていただきます。

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…あの逃げた犬が、無事に飼い主の元に帰れたことを祈りつつ。

散歩心に火がついて…

普段電車での移動ばかりで、文字通り「地に足のつかない」生活をしているためか、私は実は散歩が大好きです。

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今日は稽古のキャンセルなどがあり、ぽっかりと時間の空いた1日でした。

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ゆっくり休んで午後遅くに、細々とした買い物などをしようと近所のジョイフル三ノ輪商店街に行ったのですが、関係無いお店をぶらぶら見てまわったり、途中テレビの撮影(リリーフランキーと少年が商店街で買い物をするシーンでした)に出くわしたりしているうちに「散歩心」に火がついてしまいました。

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三ノ輪橋からぶらぶらと南下して、根岸辺りを抜けて鶯谷駅の横を通ると、上野寛永寺に出ました。

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そこから上野駅の公園口の横を通ってアメ横の方におりました。

上野駅越しにスカイツリーが綺麗でした。

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上野から今度は不忍池のほとりを通って、上野動物園をかすめて根津方面へ。

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言問通りに出てからは通称「へび道」と言われるくねくねした一本道を日暮里方面へ進みました。

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やがて「谷中銀座商店街」に辿り着き、日暮里駅に向かいます。

日が暮れた谷中銀座は、地元の人だけが行き交う懐かしい商店街でした。

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突き当たりの「夕焼けだんだん」を登って振り返ると、もうすっかり夜の谷中銀座が望めました。

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そして日暮里駅を横目に見て、今度はいわゆる「日暮里繊維街」に入ります。

ここを抜けると、三ノ輪まではもう僅かの道のりです。

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ここ最近は本当に身も心も地に足のつかない日々が続いていましたが、下町の何気ない暮らしを見ながら散歩して、ちょっと落ち着くことが出来ました。

雪の青森から

雪の青森から今朝何とか帰って参りました。

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「何とか」というのは、実は今朝青森駅で停電トラブルに巻き込まれてしまったのです。

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雪の影響なのかはわからないのですが、早朝に宿を出て青森駅に行くと、構内の停電で電車が始発からすべて止まっていて、タクシーで新青森駅まで代行輸送をするとの事でした。

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しかしタクシーには長蛇の列。

新青森駅に着いた時には私の乗る筈の新幹線はとうに出発していました。

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次の新幹線は1時間後です。

しかもその新幹線に乗ると今度は停電が復旧したとかで、青森から遅れて来る在来線を待ってなかなか出発してくれません。。

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それやこれやで、冷や汗をかきながら水道橋の宝生能楽堂に駆け込み、何とか五雲会申合に間に合ったという訳なのです。

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雪と寒さと停電と、最後まで気が抜けない東北巡業でした。

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今回の雪と氷の写真を何枚か。

新青森駅に巨大な天然のクリスマスツリーが出現していました。

左端のクレーンの先端にいる人と比べると、大きさがわかると思います。

実はこのツリーは一本ではなく、9本の「青森ヒバ」が円形に植えられているのだそうです。

しかし雪だけのシンプルなデコレーションがとても美しく見えました。

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先日のブログで書いた「雪だるま〜る」も雪を被って「雪だるま」になっていました。

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居酒屋 弁慶のキャラ、弁慶君も雪に覆われて寒そうです。。

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「つらら」を久しぶりに見ました。

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次の東北は来年1月の予定です。

その時にはまた北の町の有様を色々書きたいと思います

銀杏吹雪

昨日の朝は京都大山崎の宝寺で稽古でした。

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その稽古中に、会員さんの一人が窓の外を見て、「あら!雪⁉︎」と声を上げました。

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しかし昨日朝は良い天気で、そこまで寒くもありません。

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何だろうと窓外を見ると、境内の大銀杏の葉が、風が吹く度にまるで雪のように大量に散っていたのでした。

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「花吹雪」ならぬ「銀杏吹雪」だったのです。

とても美しい光景でした。

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そして昨日午後には名古屋経由で特急しなのに乗り、松本に向かいました。

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恵那あたりから山に分け入って木曽路を信州に向かっていくと、季節が秋から冬にどんどん進んでいくのがわかります。

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紅葉はだんだんと無くなり、途中で行く手に雪を被った木曽御岳が見えて来て、やがて松本盆地に入ると北アルプスは今回も寒々しい雪雲に覆われていました。

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天気予報では西日本平野部でも初雪の予想で、夜になると松本はしんしんと冷え込んで来ました。

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そして今朝、今度は特急あずさで新宿に向かいました。

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ところが松本を出て間もなく、上諏訪駅で特急が止まってしまいました。

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茅野の先で車が強引に踏み切りに入って遮断機の棒が折れたとかで、30分程立ち往生してしまったのです。

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仕方なく本を読んで待っていると、目の端の車窓外を何か白い粒が横切りました。

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昨日の「銀杏吹雪」のことがあるので、「また雪に見える何かかな?」と思って窓をじっと見てみました。

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すると、今度は間違い無く白い雪の粒が、はらはらと舞っていたのです。

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降っている雪を見たのは今シーズン初めてでした。

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昨日の「銀杏吹雪」と今日の「初雪」。

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秋の終わりと冬の始まりを体感出来た週明けでした。

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…しかし私はまたも風邪気味になってしまいました。。

大きな舞台は一段落したので、無理せずに治したいと思います。

雪だるま〜る

昨日の月曜日は青森稽古でした。

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事前に天気予報を見ると、昨日の青森は最高気温2℃、最低気温−3℃となっていました。

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−3℃…。これは万全の防寒体制で行かねばと、厚着に手袋やマフラーなどを加えて、東北新幹線に乗り込みました。

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新青森駅に到着すると、確かに寒いです。しかし予想していたので、それ程驚くことも無く青森市内へ。

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駅前には其処此処に雪が積もっています。今シーズン初めて積雪を見ました。

雪の前にあるこのオブジェは何かと言うと、雪だるま型の灯篭で、夜には灯りがともるのです。

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こんな感じです。

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これは正式名称「雪だるま〜る」というのです。

ちょっと脱力系の名前ですね。

「ねぶた」と同じ製法の高さ50㎝程のだるまに、地元の小中学生が絵を描いて作ったものだそうです。

毎年冬に点灯されて、今年で7回目だとか。

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青森の人の発想は、やはり何となく暖かくて皆を笑顔にするものが多い気がして、私はとても好きです。

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青森港に沿ってずらりと並んでいる雪だるま〜る。なかなか壮観です。

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昨日はまだ一部しか点灯していませんでしたが、昨シーズンに見た時は本当に綺麗でした。

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来月の青森稽古の時にはきっと全部点いている筈ですので、また写真を撮りたいと思います。

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そして先ほど、帰りの新青森駅前にて。

こちらはやはり今シーズン初の、本当の「雪だるま」です。

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横に溶けてしまった大きな雪だるまがあり、もしかしてこの小さな方はシルエットからして「リトルミイ」で、大きなのが「ムーミン」だったのかもしれませんね。

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このブログを始めたばかりの今年1〜2月には、雪の話を度々書きましたが、またその雪の季節が巡って来た訳です。

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ブログ1周年が何となく見えて来た気がいたします。

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それでは今日はこの辺で。

オーロラとヤンキースタジアム

昨日は久しぶりの田町稽古だったのですが、そこでとても羨ましいお話を聞きました。

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お2人の会員さんが、それぞれアイスランドとニューヨークに行って来られたそうなのです。

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アイスランドには「オーロラ」を観にいらしたそうで、見事なオーロラが観測出来たということです。

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またニューヨークにいらした方は、7月に彼の地で生まれたお孫さんの顔を見にいらしたそうなのですが、観光も存分にされて、なんとヤンキースタジアムでヤンキースのプレーオフの試合を観戦されたということなのです。

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こう見えて私は、「大自然の驚異的な景色を見ること」や「スポーツ観戦」が大好きなのです。

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京大時代には、知床半島や屋久島、またアラスカに旅行したり、サッカー、アメフト、野球などを観戦したりしていました。

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今でも時間さえあれば、本当はそれらのことがしたいのです。

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自分の中での密かな夢がいくつかあり、「30代でダイビングをする」は幸運なことに叶えられました。

「40代でサーフィンをする」はちょっと厳しそうです。。

「50代で渓流釣りをする」というのが今後の夢ですが、「オーロラを観ること」、「メジャーリーグ観戦」も夢に追加したいと思います。

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実現するかどうかはともかく、オーロラの下やヤンキースタジアムにいる自分を想像しつつ、今日も舞台と稽古を頑張ろうと思います。

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からまつをしみじみと見き

今日は先月の松本澤風会以来の久々の松本稽古でした。

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いつものように特急あずさで新宿を出て、少しうとうとしたのですが、小淵沢辺りで目が覚めて外を見ると、鮮やかな黄金色が眼に飛び込んで来ました。

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落葉松の黄葉です。

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春の甲府盆地の桃の風景と同じくらい、私の好きな中央本線沿線の秋の景色でした。

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「松」は能楽において最も重要な樹木と言って良いでしょう。

「鏡板」にもなっており、「永遠に緑であること」で「長寿」や「神性」のシンボルとして崇められて来たのです。

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ところが日本で唯一、葉を落とす松の仲間があり、それが「落葉松」なのです。

葉が落ちてしまうのは「松」のイメージとは矛盾してしまうかもしれません。しかし私は紅葉の中でも、この落葉松の少し控え目な色の黄葉が、何とも言えず好きなのです。

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「からまつの林を過ぎて

からまつをしみじみと見き

からまつはさびしかりけり

旅ゆくはさびしかりけり」

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という北原白秋の詩ほど、旅情をかき立てる詩を私は知りません。

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落葉松林の中を孤独に歩く、草履に脚絆、マントを羽織った明治大正時代の旅人の姿が眼に浮かびます。

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茅野から上諏訪辺りまで、この落葉松の風景にしみじみと見入った私は、何とも言えない満足感を抱いて松本駅に降り立ったのでした。

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※このホームページを管理するアプリを最新バージョンに更新したところ、文章の行間を自在に空けることが出来なくなってしまいました。

行間の幅も含めて、私の好みの文章になっていたのですが、暫くは試行錯誤で行間を管理したいと思います。

お見苦しいかと思いますが、暫しの間どうかご容赦くださいませ。

1件のコメント

落日の扇

今日もまた新幹線に乗って、東京から関西に向かいました。

途中米原辺りで夕陽が窓から眩しく差し込んで来て、やがて琵琶湖の対岸、京都東山連峰の向こうに空を赤く染めて陽が沈んでいくのが美しく見えました。

このような時に私の頭には「遠き山に日は落ちて」という曲が流れて来ます。

ドヴォルザークの交響曲「新世界より」の第三楽章のメロディで、小学生の頃戸隠山麓にキャンプに行くと毎日のように、夕焼けに赤く染まる山々を眺めながら歌ったものです。

その記憶があるからか、私は昔から「背景に山がある風景」が好きな傾向にありました。

大学で京都に来た時には、「どちらを向いても山がある!」と喜んだものです。

逆に東京では、綺麗な夕焼けを見ても「この夕焼けの向こうに山々が見えたら、もっと良いのになあ」と思ってしまうのです。

山に沈む夕陽の次に好きなのが、「海の向こうに沈む夕陽」です。

実はこの「海に落ちて行く夕陽」を描いた能の扇があります。

「負修羅扇」です。

これは能における五番立のうちの「二番目」、更にその中でも滅亡した平家の公達を描く曲のシテが持ちます。

都を追われ、最期は壇ノ浦の海底に沈んだ平家。その運命を象徴する「西海への落日」を描いた扇です。

この扇を能「兼平」に使うこともあります。源氏方とは言え、兼平は粟津が原で自害したので「負修羅」と見なすということなのでしょう。

しかしやはり「海に沈む太陽」は「平家」を象徴している気がするので、私としては「兼平」には源氏の武将が持つ「勝修羅扇」の方が合うと思うのです。

そのような事を夕焼けを見ながらつらつら考えているうちに、新幹線は京都に到着しました。

夜には香里能楽堂で「七宝会」の能「蟬丸」の申合があります。

地謡を頑張って謡おうと思います。