冬到来のサイン

今日は先週土曜日に引き続いて亀岡稽古でした。

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土曜日には実に鮮やかな紅葉が見られました。

今日同じ木の下に行ってみたのですが、早くも盛りは過ぎて、僅かですが色褪せて見えました。

季節は足早に移ろっていきます。

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稽古場のすぐ横には、見上げるような大銀杏が立っています。

昼過ぎに襖を閉めて稽古をしていると、襖の向こうで雨のように頻りに何かが降り落ちるシルエットが見えました。

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稽古の切れ目に襖を開けてみると…

辺り一面には、降り落ちた銀杏の葉が絨毯のように敷き詰められていたのです。

木々達も急ぎ足で冬支度をしているようでした。

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そういえば、昨日の深更に京大稽古を終えて百万遍から四条河原町の宿に歩く途中、冴えた冬の夜空に高く昇ったオリオン座と冬の大三角形を今シーズン初めて見ました。

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そして時間は更に戻って昨日夕方。

宿から京大稽古へと歩く途中、疎水の夷川発電所辺りでは…

冬空の下で水鳥達が羽を休めていました。

向こうに見える山は嵐山です。

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昨日と今日で、様々な”冬のサイン”を見つけました。

またあの京都の寒い冬がやって来たのだな…

と、しみじみ実感したのでした。

冬の純白、秋の真紅

11月最後の今日は亀岡稽古でした。

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朝に東京から新幹線に乗って、少しウトウトしかけた頃。

「ただ今車窓に富士山の全景がご覧いただけます」

という車内放送が入りました。

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この放送が入るのは富士山が綺麗に見える時です。

眼を開けて右手の車窓を眺めてみました。

すると…

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なんと今日の富士山は、山頂から麓近くまで殆ど白一色になっていたのです。

下半分は、雪というよりもカチコチに氷結しているように見えました。

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これは私が小学生の時に見た、今までの人生で一番綺麗な富士山に近い光景だと思われます。

長年にわたり、もう一度見たいと思っていましたが、ついに夢が叶ったのです。

非常に感動いたしました。

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そしてしみじみと「もう冬が来たのだなぁ」と思いながら亀岡稽古場に到着すると、なんと…

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亀山城址は眼が覚めるような紅色に染まっていたのでした。

特にこの紅葉は、明るい陽射しを浴びて眩いくらいに輝いて見えました。

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富士山の氷雪の純白と、亀岡の紅葉の真紅。

どちらもここ数日の厳しい冷え込みによって生み出された、冬と秋の絶景でした。

様々なお便り

今日は江古田稽古でした。

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夕方にメールが届いていたので、稽古の区切りで確認しました。

先日岩手県の正法寺で「地水火風」の舞台を共にした尺八奏者ラルフ・サミュエルソンさんからのメールでした。

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今成田空港で、間もなくアメリカに帰ること。

そして来年は是非東京で再び「地水火風」の舞台をやりたいということが書いてありました。

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今頃は太平洋上空を飛んでいるであろうラルフさんに、正法寺での御礼と、こちらこそ来年は是非東京で「地水火風」をやりたいという返信をお送りしました。

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昨日はまた別のお便りが読者の方より届きました。

亀岡のことを書いた昨日のブログへのコメントとして届いたお便りです。

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亀岡で毎年フジバカマに飛来する「アサギマダラ」という旅する蝶。

そのアサギマダラを巡る物語が、NHKのラジオドラマとして放送されたという内容でした。

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私の好きな蝶がドラマになったとは、何とかして聴いてみたいと思いました。

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今週は他にも、あまねく会の記事へのコメントも頂戴いたしました。

この場で御礼申し上げます。ありがとうございました。

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冷たい半月

昨日は午後から亀岡稽古でした。

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この時期の常で私は「半袖シャツにジャケット」という格好でした。

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日中は半袖で過ごすくらいだったのですが、日が落ちるとともに急速に気温が下がって来ました。

夜にはジャケットを来て仕舞の稽古をしてもまだ寒いくらいで、途中暖房が恋しくなる程でした。

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稽古を終えて外に出ると、夜空には冷たい半月がかかり、冬の星が出て来ていました。

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次に亀岡稽古に来るのは月末になります。

その頃には、きっともう冬が静かにやって来ていることでしょう。

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亀岡の花々と次に会えるのは、もしかして来年の春になるのかもしれません。

亀岡の花々〜冬が来る前に〜

昨日は朝に水道橋で五雲会稽古を受けた後に、日帰りの亀岡稽古でした。

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亀岡は秋の青空が広がり、爽やかな気候です。

稽古場に到着すると、私は真っ先に「フジバカマ」の花の方へ向かいました。

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おそらくもう遅いとは思いますが、もしかして旅をする蝶「アサギマダラ」に再会出来ないかと思ったのです。

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しかしやはりアサギマダラはおらず、フジバカマの花もすでに終わりかけでした。。

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それでももう一ヶ所の群生地を一応覗いてみることにしました。

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状況は先程の場所とあまり変わらず、盛りを過ぎたフジバカマが目に入るばかり…

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いや、今奥の方で何かが動いたような…!

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上の写真の中央やや上部を拡大して撮影したものです。

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思わず鳥肌が立ち、「おお…!」と感動の声を上げてしまいました。

たった一匹だけ、しかし紛れもなくアサギマダラが、フジバカマの花に止まって静かに羽を動かしていたのです。

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今年はもう会えないと思っていました。

「残っていてくれてどうもありがとう」

「南の国で仲間たちによろしく」

と心で念じて、長い旅の無事を祈ってから稽古に向かいました。

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去年出会った三匹のアサギマダラの子供なのでしょうか。

“繋がっていく生命”

という言葉が思い浮かびました。

来年もまた旅をする蝶達に再会出来ますように。

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稽古の合間に花を探しに行ってみました。

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本物の霜柱のような「シモバシラ」の花。

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そして「ベニバナヤマシャクヤク」の実を見ると、何故か私は”クリスマス”を思い浮かべてしまいます。

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ついこの前まで夏の陽気だったのに、昨日はもう「冬の足音」を微かに感じる植物達に出会いました。

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夜に稽古を終えて、帰りに暗闇に沈むフジバカマの前を通りました。

先程のアサギマダラが、冬が来る前に無事に暖かい国に辿り着けるように、今一度祈ってから亀岡を後にいたしました。

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明日はいよいよ「葵上」の申合です。

今日も水道橋で稽古をして、やるべき事は全てやりました。後は平常心で申合に臨みたいと思います。

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遠い国を想う日

昨日は松本稽古で、今日は松本から亀岡に移動しての稽古でした。

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長野県から電車を乗り継いで亀岡へ。

その道すがら、私は「亀岡で”アサギマダラ”に会えるだろうか…」と考えていました。

秋に日本の高原地帯を飛び立って、遠い遠い南の島まで渡っていく蝶です。

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そしてアサギマダラは渡りの途中で「フジバカマ」という花に立ち寄るのです。

亀岡稽古場には秋になると「フジバカマ」がたくさん咲き、毎年アサギマダラがやって来ます。

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しかし、今年は10月の亀岡稽古日が例年より少し遅くなってしまいました。

アサギマダラはまだいてくれるだろうか…

と淡い望みをいだきつつ亀岡に到着しました。

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雨が上がったばかりの亀岡稽古場には、「フジバカマ」がやはりたくさん咲いていました。

しかし、あの鮮やかな翅の「アサギマダラ」は見当たりません。

違う場所のフジバカマも探してみましたが…

やはりアサギマダラは見つかりませんでした。

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雨上がりなのでどこかに隠れているのか、それともすでに南を目指して旅立ってしまったのか…

懐かしい彼らとの一年ぶりの再会は叶いませんでした。

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昨夜は松本の宿で、遠い国に住む古い友人と久方ぶりに電話で話しをしました。

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友人から悲しい報せのメールが日曜日にあり、慌てて無料通話の出来るアプリに登録して電話したのです。

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辛い事があった友人ですが、電話では以前と変わらない穏やかな声でした。

慰める適切な言葉も見つからず、しばし静かに昔の話をして電話を切りました。

友人は少し気が晴れたと言ってくれました。

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一方で、昨日のブログに書いた、京都とプラハを撮影している写真家の方から素敵な写真が送られて来ました。

“プラハの修道院のビール”だそうです。

世界一と言われるチェコのビールを、いつか現地でこの写真のように飲んでみたいものです。

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遠い国へ旅するアサギマダラ。

遠い国の古い友人。

遠い国の素敵な写真。

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昨日今日は、広い世界にしみじみと想いを馳せる日になりました。

亀岡の花々〜秋の花に癒されて〜

昨日の澤風会は台風の影響も最小限にとどまり、何とか無事に終えることが出来ました。

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今は気が抜けたようで少しぼんやりしております。。

会の模様を書くのは今少し後にさせていただきたいと思います。

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今日は午後から亀岡稽古にやって参りました。

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亀岡もすっかり秋になっていました。

ススキと萩の組み合わせは、いかにも”秋”という感じがします。

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「紫苑」が満開でした。

能「大江山」では「鬼の醜草」とも謡われています。

こんなに綺麗な花なのに、本当に”誰が付けし名なるぞ!”と言いたくなります。

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「女郎花」もありました。

今日は台風でなければ、午前中に澤風会メンバーで石清水八幡宮などを散策する予定でした。

“男山の女郎花”が見られると期待していたので残念でしたが、亀岡で女郎花に会えました。

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すっかり色が濃くなった「ムラサキシキブ」の紫色と、「ミズヒキ」の紅色が鮮やかさを競っていました。

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そしてあの旅をする蝶「アサギマダラ」が訪れる花「フジバカマ」も咲き始めていました。

今日はまだアサギマダラは来ておらず、別の蝶が止まっていました。

今年はアサギマダラ達に出会えるでしょうか。。

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春の花を見ると心が浮き立つような気分になりますが、秋の花を見るとなぜか逆に心がしみじみと落ち着いていきます。

この1週間は何かとバタバタしておりましたが、今日は亀岡の秋の花に癒された気がいたしました。

2019亀岡浴衣会

今日は亀岡・大本宝生会の浴衣会でした。

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いつも「亀岡の花々」のレポートばかりなのですが、会員の皆さまは普段から非常に熱心に稽古を積み重ねておられます。

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今日の浴衣会では、半分以上の仕舞を会員さんだけで地謡をうたわれて、私と満次郎師は拝見しておりました。

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初舞台「鶴亀」の仕舞の方も、先週の稽古から大きく進歩しておられて、ご自分でしっかりとおさらいされたのだなぁと嬉しく思いました。

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ベテラン組の方々の仕舞の時間帯になると、さすがに皆さん落ち着いておられて型も正確です。

ほんの数年前には、この中の何人かの方々は仕舞初舞台だったのかと思うと、その上達ぶりにまたしみじみと嬉しくなりました。

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これだけの歴史があって技術レベルの高い能楽グループは、実は全国的にもそうそう存在しないと私は思います。

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今日初舞台や2回目の舞台だった方、またこの数年で順調に上達された方、そして数十年単位で続けてこられた大ベテランの方々が融合して、大本宝生会はこの先数年でまた大きく発展すると思われます。

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未来への希望を感じた今日の亀岡浴衣会でした。

大本宝生会の皆様どうもありがとうございました。

亀岡の花々〜秋に向けて〜

今日は早朝に青森を出て、またもや新幹線で日本を縦断して亀岡稽古に移動しました。

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亀岡の暑さは前回よりは少し和らいでいましたが、やはり歩くと汗が吹き出てきます。

稽古場に到着する頃には、短時間で夏バテ気味になってしまいました。。

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バテ気味とは言え、稽古の合間に夏の終わりの花を探しに出てみました。

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先ずは昨年も出会った花々です。

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紫と白の「鈴虫花」です。

本当に秋の虫が鳴き出す頃に咲くのですね。

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「鷺草」に今年も会えました。

この花の咲く一角だけが涼しそうに見えるのは何故なのでしょうか。

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「メハジキ」の花が咲いていました。

昔の子供達の遊びに、この草の茎を短く切って目蓋に挟み、勢いよく目蓋を閉じて茎を弾き飛ばす、というのがあったそうです。

今なら絶対に危険だと止められるでしょう。。

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これは「イワギボウシ」です。初めて見ました。

透き通るような清楚な花です。

閉じている蕾が、橋の欄干にある”擬宝珠”に似ているのが名前の由来です。

この花の蕾は、随分と細っそりした”擬宝珠”に見えました。

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そして、秋に向けて準備をしている植物を見つけました。

「ムラサキシキブ」の実が、仄かに色づき始めていたのです。

緑、白、薄紫と、色とりどりです。

これが秋の深まりとともに、濃紫一色になっていくのでしょう。

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秋の確実な訪れを植物から感じた今日の亀岡稽古でした。

亀岡の花々〜雨露の滴る森〜

今日は亀岡稽古でした。

今月は3回目になります。

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関西は今朝から雨が降ったり止んだりで、今の亀岡は静かな小雨です。

花々は先週ご紹介したばかりなので、今日は雨に濡れて一際濃く見える緑の写真を。

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能「山姥」の謡はとても好きなのですが、その一節に

「海は 苔の露より滴りて 波濤をたたむ 萬水たり」

というのがあります。

一滴の露を見て、打ち寄せる大海の波を想像させるという、誠にスケールの大きな謡です。

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雨の露が木々からしたたり落ちる亀岡の森を眺めていると、この露がやがて海に流れ出て、打ち寄せる大波になるという有様を実感として頭に思い浮かべることが出来ました。

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今日明日の雨が過ぎると、もしかしたら梅雨が明けていよいよ盛夏がやって来るのかもしれません。

次の亀岡稽古は8月になります。

真夏の花を何か見つけることができるでしょうか…。