曲名看板シリーズです。
梅桜松の鉢の木を火に焚いて、しゃぶしゃぶにてもてなそうずるにて候…実は贅沢な常世。
こちらは曲名ではないのですが、家の近所の床屋さんです。店長さんにお会いしてみたいです。直系の子孫だったりするとすごいのですが。店名はなぜか「ジャイアンツ」でした。
こちらは狂言曲名です。非常にインパクトのある店名です…!店員さんをそっと見てみたいです。
今日はこの辺で。週末の舞台の謡をおさらいしたいと思います。
今日は東京スカイツリーに行って参りました。
下から見上げるとものすごい威容です。
…しかし残念ながらこれから展望台に登るわけではありません。
東京スカイツリータウン開業5周年記念イベントのPR発表会に出演して参りました。
“「能×VJ」LIVE”という舞台で、CG映像と効果音をバックに家元が半能「小鍛冶」を演じるというものです。
今日はPR公演で、本番は今週末の土日です。
20日土曜日は11時、14時、19時から。
21日日曜日は11時、14時、18時半から、スカイツリータウン4階のスカイアリーナにて、無料で観覧出来ます。
過去と未来が融合したような不思議な空間が現出する舞台、是非沢山の方々に御覧いただきたいと思います。
能「項羽」の前シテ老人は、ワキ旅人の持った花々の中から、ある一本の花を所望します。
それは虞氏の遺骸を埋めた塚から生えたという「虞美人草」でした。
その花々は造花で、シャガの葉を竹の棒に挟んだ作り物に、更に色とりどりの花々が挿してあります。
中央部に一本だけ「虞美人草」を、これは引き抜けるように工夫して挿し入れるのです。
内弟子の頃に、この「虞美人草」の造花が古くなったので、新しいものを探しに浅草橋に行ったことがあります。
東京浅草橋には造花屋さんが沢山あるのです。
この造花屋さん巡りはなかなかに楽しく、内弟子の頃は何かと理由をつけて度々足を運んだものです。
しかし当時は今のようにスマホなど無く、「虞美人草」で検索など出来ません。
古くなった造花を持って、似た造花を探すしかありませんでした。
しかも別名も知らなかったので「虞美人草、虞美人草…」とラベルを見て探しました。
全部の店をあらかた探して見つからず、今度は最初の店に戻って、見た目だけでも似た造花を探し始めました。
一周目ではスルーしていた洋花の売り場も見て回ったところ、似た花を見つけました。
というより、虞美人草そのものです。
ラベルには「ポピー」とありました。
「虞美人草はポピーだったのか⁈」と当時は驚き、本屋で植物図鑑を見てみました。
虞美人草とポピーとヒナゲシとコクリコは、皆同じ花だったのですね。
今では何でも検索すればわかるので、1日がかりで一本の花を探すことも無いのかもしれません。
しかし、手探りで全部の店を見て回る中で、「このツタは半蔀の作り物に使えそう」とか、「この植物はサカキの代用品になるかも」とか、思わぬ発見が沢山ありました。
私は今でもネット販売を殆ど利用したことが無く、色んなお店を回って探すのが好みなのです。
昨日は夕方から京大宝生会の稽古に行きました。
新入生3名を加えて、来週末に迫った京宝連の仕舞稽古が佳境に入っています。(部長は”謡い放題2時間コース”と表現していました。実際は”謡い放題3〜4時間コース・仕舞付き”です)
最後の1人を残して、もう一息だと思った所で部長から声がかかりました。
「澤田先生、今日はお誕生日おめでとうございます。実はお祝いを持って外で控えている人達がおります」
私「え?なになに⁇」
そしてBOXの扉が開いて、ケーキを持った部員が入ってくると、室内にいた部員達がおもむろにクラッカーを取り出しました。
「おめでとうございます🎉🎉🎉」
びっくりです‼️‼️
また別の部員は、私の好きな日本酒「風の森」をわざわざ奈良県御所市まで出向いて買って来てくれました。
ケーキは、ケーキ屋さんでバイトしている部員のレシピでの3人がかりの手作りだそうで、見ると砂糖で模様が描いてあります。
5月15日の葵祭に因んで、葵の葉を切絵で描いてくれたのです。
昨年も松本稽古場でサプライズケーキを頂戴しましたが、まさか京大宝生会でのサプライズがあるとは、露ほども予想しておりませんでした。
部長「稽古中に皆相当不審な動きをしていたので、気付いておられるかと…」
いやいや、全く気付きませんでした。サプライズ大成功です。
他にもメールなどで、有形無形のお祝いを沢山頂戴いたしました。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。
林檎のケーキとても美味しかったです。
今日は朝から大山崎稽古でした。
その後に葵祭を少し見ようかと思い、電車で北大路駅まで移動しました。
しかし人の多さに、あっさり方針転換。賀茂川で暫しのんびりと過ごすことにしました。
今頃の京都は、年間でほんの僅かにある暑くも寒くもない最高の季節です。
河原には歩く人、走る人、自転車の人、ランチの人などがたくさんでした。
上の写真は左端が比叡山、右端が大文字山です。シロツメクサとアカツメクサが咲き乱れて、山は紫で賀茂川の水は澄み透り、まさにここは山紫水明の地です。
「山紫水明」から名前をとった紫明荘稽古場もすぐ近くにあり、これと同じ眺めが見られるのです。
北大路駅前で購入したお弁当を河原のベンチでゆっくり食べて、歩いて京大へ。
これから京大宝生会で夜まで稽古です。
新入生は今日も来てくれるでしょうか。
能には何番か「長刀」を使うものがあります。更にそのうちの何番かは仕舞や舞囃子になっているので、澤風会でも常にどなたかが長刀の稽古をされています。
この長刀は扱いがなかなか難しいのですが、実はそれ以前の難しい問題があります。
「稽古用の長刀をどう調達するか」
ということです。
本物の長刀は2メートル以上あって、とてもかさばります。
出来れば折りたためて持ち運べる軽量のものが望ましいのですが、例えばこれまでのお弟子さんの例を挙げると…
①押入れの突っ張り棒に100円ショップで購入したスポンジ状の刀を結びつける。
②折りたたみ式の釣竿に、ご主人お手製の刃をテープで固定。
③園芸用の支柱をそのまま使用。刃は無し。
④頑張って自分で木工作業をして作製(本番にも使えるレベルでした)
といった感じです。
そして昨日の紫明荘稽古。
新しく長刀物の稽古を始めるお弟子さんが、実に素晴らしい長刀を持って来られました。
やはり突っ張り棒を柄にする点は①と同じなのですが、刃の部分に調理用の「木べら」をテープで固定されていたのです。
へらを刃に使うと大きな利点があります。
・しゃもじと違って形が非対称なので、どちらが峰でどちらが刃なのかが良く分かる。
・軽量でかさばらない。
・稽古が終われば料理にも使える。
何より、「家の中にある物だけを使って、全く違う用途の物を作製する」という行為が私自身実はとても好きなので、このような長刀は大変好ましく思うのです。
という訳で、これから長刀の稽古をしようという方は、釣竿か突っ張り棒に、調理用の木べらを固定することを強くお勧めしたいと思います。
…勿論、折り畳み式の立派な稽古用長刀も販売されております。念のため。
先日亀岡の杜若のことを書きましたが、それを読んでくださった方からまた面白いお便りが届きました。「唐衣 着つつ慣れにし 妻しあれば 遥々来ぬる 旅をしぞ思ふ」という在原業平の折句から連想して、下のような歌を作ってくださったのです。
なぜなるか
理由知りたき
日は過ぎつ
らうらうなるは
野に歌ふる歌
これは頭文字と最後の文字で「なりひらのかきつはた」という二重の折句になっています。これはすごい!と感心いたしました。
私には歌の心得はありませんが、頑張って同じルールで一首詠んでみました。
浪華女か
凛と気高き
人を見つ
羅綾の衣は
残り香もまた
…あくまで折句なので、細かい所は目をつぶって読んでくださいませ。。
「浪華女」という字を当てたのは、一応若山牧水の元歌に対するオマージュだからです。
興味ある方は調べてみてください。
こういう言葉遊びを考えるのは、非常に楽しいですね。
せっかくなので、我もと思う方は同じルールの折句をお送りください。私が「これはすごい!」と思った歌は、作者の許可を得られたらブログで発表させていただきたいと思います。
最後にもう一首。
波遥か
理想も高き
光満つ
楽土に立つは
希望込めし旗
今日は朝から水道橋で月並能の申合だったのですが、家から能楽堂まで移動して着物に着替えただけで汗だくになってしまいました。
私は大変な暑がりなのです。
昔沖縄に行った時に、島の人達がTシャツかアロハシャツに短パン、島ぞうり(ビーチサンダル)でずっと生活しているのを見て、大変羨ましく思ったものです。
伝統芸能に携わる者の端くれとして、四季折々の着物のルールは守ることが当然、と思ってはいるのです。
…しかしながら、昨今の日本の暑さでは、ついつい「ちょっと早いけど浴衣にしようかな…」とか、「暑いからまだ絽の紋付にしたいな…」などと思ってしまいます。
スーツでは夏用の清涼感のある素材が出ているので、紋付にも「見た目は単衣、着心地は絽」のようなものがあれば良いなあ、などと汗を拭きながら考えるのでした。
…あと、手軽に洗える紋付も欲しいものです。
昨日、田町稽古が終わって帰りの電車に乗ろうかと思っていたら電話がかかって来ました。
「先生!遅くなってすみません、今稽古場の前に来ました!」
元気な声は、京大宝生会で稽古していた韓国人留学生のIさんでした。
大学院に無事に入学して、また稽古を再開してくれることになっていたのです。
稽古場が閉まっていたので、前の駐車場で仕舞の稽古をしました。(四角いスペースがあれば何処でも稽古するのは、京大ではよくあることなのです)
これまで京大宝生会や澤風会では、何人かの外国からの留学生が稽古をしてくれました。
京大では、ルーマニア、中国、韓国、台湾から。澤風会でもドイツから来た高校生が稽古していました。
外国の方が日本の伝統文化を習う場合、能はおすすめだと思います。
何故なら日本人にとっても難しいので、スタートラインにそんなに差が無いからです。
京大宝生会で何年か稽古した留学生は、日本人と同様か、むしろ上手になって舞台に出ています。
しかも更に素晴らしいのは、おそらく彼らは高確率で「世界で一番宝生流が上手な○○国の人」という「世界一」の称号を手に入れられるのです。
という訳で、日本で何か日本らしい習い事を始めたい外国の方は、是非ご連絡ください。大歓迎いたします。
ただし、同じ国の方が増えると、「世界一決定戦」を開催しないといけないかもしれませんが…。
今日は田町稽古で、団体稽古の謡「融」を稽古しました。
シテは源融。読みは「みなもとのとおる」ですね。
これは、謡を習っていないとちょっと読み辛い名前です。
しかし更に読めない名前がありました。
田町では和漢朗詠集などに詳しいお弟子さんに色々教えていただく時間があるのですが、まず前シテの「今宵ぞ秋の最中なる」という謡の元歌の作者が「源順」だそうです。
「源順」…読めますか?
因みに源順の詠んだ元歌はお菓子の「もなか」の名前の由来となった「水の面に照る月並みを数ふれば 今宵ぞ秋の最中なりけり」。
次に、後シテの謡「光を花と散らすよそほひ」の元歌の作者は「源忠」。
更に源融の息子は「源昇」だそうです。
現代においてはいわゆる「キラキラネーム」が全然読めないと言われますが、なんの昔の名前もなかなかの読み辛さです。
上の名前の答えは、
「源順」…みなもとのしたごう。
「源忠」…みなもとのほどこす。
「源昇」…みなもとののぼる。
だそうです。
他にも源定や源挙など、源姓には読めない人がいっぱいです。。
あまり関係ありませんが私の名前「宏司」は全くありふれた名前にもかかわらず、読みが「こうじ」なのに「ひろし」と読まれることが多いのです。
このブログを読んだ方はどうか「さわだこうじ」と読んでくださいませ。