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夜討曽我の鬼王

今日は水道橋の五雲会にて、能「夜討曽我」のツレ鬼王を無事に勤めて参りました。


「夜討曽我」は7年前に京都において、チーム京大宝生会で思い出深い舞台を経験しております。

また私自身が鬼王を勤めるのも2回目で、稽古では山ほどやっているのですが、やはり本番に直面すると色々考えて緊張してしまいます。


特に本番だけでやる所作の「素襖の片袖を脱いで、また元に着直す」というのが、舞台上でスムーズに行くかが最大の問題でした。


「舞台に立つ時は緊張感を持って」とは良く言われることで、当然のことと思うのですが、一発勝負の所作をする場合には、むしろ「いかに緊張せずに静かな心持ちでいられるか」が大切なように感じます。



落語の古今亭志ん生師匠が高座で居眠りをして、それをお客様もあたたかく見守っていたという話を聞いたことがあります。


高座でそこまで弛緩出来るのは志ん生師匠ならではと思いますが、舞台上で「緊張」しながらもどこかで「リラックス」というか、「心に余裕を残しておくこと」が必要なように思います。


今日の舞台もまた勉強することが沢山ありました。


因みに来年5月には、今度は私がシテの能「夜討曽我」があります。



今日の経験も活かして、また良い舞台を作って参りたいと思います。

桜井市民会館にて

今朝9月12日は信州松本で目覚めたのですが、携帯のニュースを見ると奈良で豪雨が降って、桜井市にも避難勧告が出たとか。


バスツアーで行った辺りは大丈夫だったのか心配です。。



その9月9日にあった「能楽師と周るバスツアー」は、桜井市民会館に到着して皆さんをホールの座席に御案内したところでなんとか無事終了いたしました。


私はツアコンから能楽師に戻って、急いで楽屋へ。


今度は「桜井外山座宝生流〜能の故郷公演〜」に出演するのです。



宗像神社では翁に続いて仕舞「高砂」を奉納された辰巳満次郎師による、仕舞「三山」。そして京都茂山家の狂言に続いて、最後には再び宝生和英宗家の能「三輪」という番組です。



天香久山、耳成山、畝傍山の「大和三山」がすぐ間近にあるこの地で舞われる仕舞「三山」。


そして先程参詣したばかりの大神神社周辺が舞台の能「三輪」。


朝からの宗像神社→多武峰→大神神社というツアーを経て舞台に臨むと、体験してきたばかりの光景と、眼の前で展開される能のシーンが奇妙にシンクロして、不思議な既視感を覚えました。



能「三輪」が終わったところで扇を置くかと思いきや、附祝言「五雲」がありました。


朝一番のバス車内での附祝言「五雲」鸚鵡返しから始まったこの日を、最後にまた「五雲」を謡ってめでたく締めくくれた訳です。



帰りの近鉄電車のホームで、東京から来られた3人組のお客様に声をかけられました。


それぞれ別の先生に宝生流を習っておられるのとこと。


また今日は他にも、遠くは熊本や、富山、福島などからいらした方々から「私は○○先生について宝生流を稽古しております。今日は宝生流発祥の地をひと目見たいとやって参りました。」とお声をかけていただきました。



普段はなかなか一堂に会することのない全国各地の流友が、今回のツアーと公演のおかげで宝生流発祥地にて集まることが出来たのです。


今後これらの方々に何処かの舞台でお会いした時に、「あの時のバスツアーに参加していたのです!」などと思い出話が出来る日が、きっと来ることでしょう。



私自身にとっても色々と貴重な経験を積むことが出来、また嬉しい御縁の沢山出来た今回の宝生流故郷公演でした。


関係者の皆様どうもありがとうございました。