関西宝連”謎かけ”

日曜日の「関西宝連」の後席でのことです。

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各大学の卒業生が交代で挨拶をすることになりました。

するとある卒業生が冒頭で、

「実は関西宝連に関する”謎かけ”を考えたのですが…」

と始めたのです。

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それは面白そうだなと思った次の瞬間…

「やっぱりやめておきます!」

ガクッとなりました。。

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挨拶を終えて席に戻って来たその卒業生に、

「”謎かけ”とても気になります!言えば良かったのに!」

と残念そうに言ったところ、なんと昨日このホームページのお問合せフォームを使って”謎かけ”を送って来てくれたのです。

その内容は…

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「今年春の関西宝連とかけまして、今回の卒業仕舞と解きます。その心は、どちらもいいはんのう(半能、反応)があったでしょう」でした。

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そう、今年の5月に開催された「春の関西宝連」は「第120回記念京宝連大会」でもあり、記念の半能「高砂」が演じられました。

そして他ならぬ”謎かけ”を考えた卒業生が、その「高砂」のシテを勤めたのです。

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今年の春秋の関西宝連を上手く繋げた”謎かけ”、笑点ならば「座布団1枚持って来て!」となるところでしょう。

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謎かけの内容が聞けて、すっきりしました。

卒業生さんありがとうございました。

卒業してもこのセンスを活かして頑張ってくださいね。

門松の準備

今日は朝から京都大山崎の宝寺での稽古でした。

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宝寺に着くと、稽古場の玄関に太い孟宗竹が何本も寝かせて並べてありました。

全てが1mほどの長さに斜に切られています。

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聞くと、お正月の「門松」の準備だそうです。

こういう光景を目にすると、「今年ももう終わるのか…」と、何か感慨深い気持ちになります。

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大山崎稽古も今日で今年最後でした。稽古を終えると、

「どうか良いお年をお迎えください」

と挨拶して稽古場を後にしました。

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そして昨日「関西宝連」を終えたばかりの香里能楽堂へ。

今日は今週土曜日に開催される「宝門会」の申合があったのです。

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昨日は学生の熱い舞台が繰り広げられましたが、今日は今日で能「松風」、舞囃子「当麻」などの難曲がずらりと並ぶ”熱い”申合でした。

特に「松風」は申合で1時間半以上かかり、終わると「またひと山越えられた…」とホッといたしました。。

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明日からは暫し”稽古モード”の日々です。

何ヶ所かの稽古場で、

「良いお年をお迎えください」

と挨拶して、今年の稽古を締めくくって参ります。

魂のこもった卒業仕舞

2019年冬の「関西宝生流学生能楽連盟自演会」は、おかげさまで無事に終了いたしました。

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例によって書きたい事は山積しています。

やはり先ずは京大宝生会のことを書かせていただきます。

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今日最初の出番は素謡「杜若」、最後の出番は仕舞「蟬丸」でした。

それら全ての舞台において、京大宝生会は非常な緊張感を持続しつつ、稽古したことを稽古した通りに発揮してくれました。

私の視点ではほぼミスは無かったと思います。

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番組を見るだけではわからないのですが、彼らは「自分の仕舞」、「誰かの仕舞の地謡、地頭」、「受付や”めくり”などの運営業務」、「素謡の役」、「素謡の地頭」…

と言った複数の要素を一日中、目まぐるしくこなしているのです。

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特に終盤の3、4回生ゾーンでは、難曲のシテと地謡が交替でやって来ます。

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同じように舞台を勤める身として見ると、それらの働きは”超人的”と言って良いのだと思います。

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その激務の最後に行われた、今回で現役を引退する4回生の「卒業仕舞」。

それはそれぞれの4年間の重みが集約されているような舞台で、見ていて心が震えました。

魂のこもった舞台でした。

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この人達を稽古出来たことは幸せだった。

もし叶うならば、この先もこの人達と稽古していきたい。

そう心から思いました。

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関西宝連の続報はまた書かせていただきます。

今日はこれにて失礼いたします。

服装に例えると…

最近ブログの更新が出来ない日が多かったので、今日はもう一度書かせていただきます。

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昨日の京大稽古で、「杜若」の謡を聴きました。

私は仕舞の稽古担当なので、あくまでも「聴くだけ」で、目立った点だけをアドバイスするというスタンスです。

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「杜若」という曲は、三番目物なので全体に綺麗に、淑やかな雰囲気で謡うべきだと思います。

しかしながら、その心持ちだけでは全部同じ謡になってしまい、抑揚が無くなってなんとなく「眠たい謡」になってしまいます。

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昨日気になったのは「クリ、サシ、クセ」と続く謡の「クリ」の部分でした。

優雅にゆったりと謡っていたのですが、その直前の「イロエ前」の謡と、直後の「サシ」の謡との差があまり無いように聞こえました。

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三番目なので例えば女性の服装に例えると、綺麗な服は一杯ありますが、その「綺麗さ」にはまた多くのバリエーションがあると思うのです。

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「クリ」の謡は春夏に着る、明るい彩りで模様もあるちょっと華やかな服。

「サシ」は秋冬に身につける少し落ち着いた色使いの服。

「クセ」は派手すぎない上品な和服。

というイメージでしょうか…。

そして「イロエ前」と「序之舞前」の謡は繊細な、例えれば”フォーマルなドレス”という雰囲気だと思います。

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…かえってわかりにくいかも知れませんが、明日の京大の「杜若」では、「色々な種類の綺麗さ」を舞台上で表現してもらえたらと思います。

2019年最後の五雲会

昨日は京大稽古の後に最終の新幹線で東京へ。

そして今日は午後から水道橋宝生能楽堂にて開催された「五雲会」に出勤いたしました。

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私は能「融」の地謡を勤めました。

いつもながら、この「融」という曲の完成度の高さには感銘を受けます。

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特に”田子”という潮を汲む桶を扱うシテの所作と、その”田子”の舞台上での形態変化は、何度見ても目を奪われてしまいます。

いつか演じてみたい曲です。

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この「融」の地謡で、今年の私の宝生能楽堂での舞台は全て無事に終わりました。

ちょっと気が早いのですが、来年まで会わない楽師達に「良いお年をお迎えください!」

と挨拶して能楽堂を後にしました。

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そしてその足で東京駅に向かい、京都への新幹線に乗りました。

明日は朝から香里能楽堂にて「関西宝生流学生能楽連盟自演会」です。

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関西宝連の学生さん達は今頃、ドキドキしながら明日の準備をしていることでしょう。

どうか良い舞台になりますように。

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私も京都に着いたら早く休んで明日に備えたいと思います。

今年を締め括る関西宝連

今日は昼間に「ゲストハウス月と」にて紫明荘組稽古、夕方から京大宝生会稽古でした。

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京大宝生会は、明後日15日に香里能楽堂にて開催の「関西宝連」前の最後の稽古になります。

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明後日の「関西宝連」は今年の締め括りの舞台です。

思えば今年は、5月の「第120回記念京宝連大会」、6月の「全宝連京都大会」、そして能「竹生島」を出した11月の「京大能楽部 能と狂言の会」と、例年よりも大きな舞台が続いた年でした。

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その最後を飾る舞台、そして卒業生にとっては現役最後の舞台でもあります。

少しでも良い仕舞と謡になるように、終電ギリギリまで稽古しました。

現役達はまだ稽古を続けていることでしょう。

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明後日は、阪神宝連から能「加茂」が出ます。

甲南女子大学と神戸大学が前と後の役を交代で勤めますが、神戸大学としてはおよそ50年ぶりの演能だそうです。

甲南女子大学は、おそらく初めての演能になるのだろうと思います。

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その記念すべき能「加茂」が成功するように、そして京大宝生会の皆が良い舞台を勤められるように、明後日は朝からしっかりとサポートしたいと思います。

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「関西宝生流学生能楽連盟自演会」

12月15日朝10時始曲 於香里能楽堂。

能「加茂」は一番最初に演じられます。

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皆様是非お越しくださいませ。どうかよろしくお願いいたします。

学生能のクラウドファンディング

先日の関宝連の時のブログには何通かのコメントをいただきました。

その中に、名古屋の学生能のための「クラウドファンディング」に関してのコメントがありました。

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クラウドファンディングという言葉は知っていましたが、意味はあまり理解しておりませんでした。

「寄付の新しい形かな?」

という程度です。

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とりあえずその名古屋の学生さんのクラウドファンディングのページにアクセスしてみました。

https://readyfor.jp/projects/gakuseinoh

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1000円〜30000円までの何段階かの金額で支援をお願いする、というもので、最初はやはり「寄付」みたいだなぁと思いました。

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しかし、金額毎に多岐にわたるコースを詳しく見てみると、様々な「御礼」を用意していることがわかりました。例えば…

・学生手作りの能解説本をプレゼント。

・学生連盟オリジナルグッズのプレゼント。

・特別席チケットプレゼント。

などに加えて最高級コースではなんと…

・学生連盟所有の着物を着ての記念写真撮影。学生が行ける所なら全国どこでも伺います!

という項目までありました。

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北海道や沖縄から撮影依頼されたら、採算取れないのでは…

と若干心配もしてしまいましたが、私には名古屋の学生さん達の「心意気」が大変好ましく感じられました。

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ただ寄付を募るのではなく、「学生能」という立場で出来る最大限の御礼を、皆で考えて用意したのでしょう。

その意気に感じて、私もほんの僅かながら支援をさせていただきました。(もちろん撮影は無しのコースです)

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今回のクラウドファンディングが成功すれば、全国の学生能にとっても良いモデルケースになるに違いありません。

クラウドファンディングのやり方、苦労した点、また問題点など、名古屋の学生さんに詳しく聞いてみたいと思いました。

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しかし先ずは、来年2月8日に名古屋能楽堂で開催される「学生能・狂言の会」での能「羽衣」が良い舞台になるようにお祈りしております。

4件のコメント

初めての関宝連

今日は水道橋宝生能楽堂にて「関東宝生流学生能楽連盟自演会」が開催されました。

私は初舞台の「日本女子大学」と「自治医科大学」の付き添いとして参加いたしました。

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全くキャラの異なるこの2校。

パワフルでどこか豪快な自治医大と、

折り目正しくお淑やかな日本女子大です。

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しかし今日はこの2校が協力し合い、また東大宝生会の皆さんのお力もお借りして、初舞台の仕舞と素謡を全て無事に終えることができました。

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私は「関宝連」のことをもう遥か昔から知っていましたが、まさか自分自身が参加することになろうとは…!

つい1年前までは思いもよらないことでした。

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今日一日で、関西とはまた違う関宝連の雰囲気を体感してとても興味深く思いました。

そして京大宝生会からも大勢が観に来てくれて、関宝連の学生さんと楽しく交流していたようです。

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今回はお客様の人数が前回から倍増していたということで、とても賑やかだった関宝連。

来春には日本女子大と自治医大ともに新入生を増やして、関宝連をますます賑やかに出来ればと思います。

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そして京大宝生会など関西の学生達との繋がりもますます密になっていくと、色々と面白いことになりそうです。

新しい縁がたくさん結ばれて、未来への予感に満ちた関宝連の一日でした。

ひたすらに歩くこと

今日は夜に渋谷のセルリアン能楽堂にて「渋谷能 第七夜」に出演いたしました。

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今回はシテ方五流が舞囃子を一番ずつ出すという大変面白い企画でした。

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金春流「高砂 舞序破急ノ伝」

観世流「屋島」

金剛流「雪 雪踏之拍子」

宝生流「安宅」

喜多流「猩々乱」

というラインナップです。

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異流合同の舞台は度々あります。

しかし今回演目を舞囃子だけに絞ることで、流儀間の違いがより鮮明に見えた気がいたします。

ワキ謡を誰が謡うか、というのにも流儀の主張が感じられたりして、色々大変興味深く拝見いたしました。

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「安宅」の地謡では、やはり同世代の他の流儀に負けないようにと気合いが入りました。

お客様の感想など聞いてみたいものです。

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話題は全くガラリと変わってしまうのですが、私は先日の「満次郎の会」で今年最後のツレが終わって以来、ひたすらに歩いております。

今日は水道橋宝生能楽堂から渋谷セルリアン能楽堂まで歩いてみました。

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来年春に能「兼平」のシテがあるので、それまでに”勝修羅”のような強い身体になりたいと思うのです。

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それならば効率的に筋トレをするべきなのでしょう。

しかし私は、「歩く」という単純な行為がとても好きなのです。

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知らない道を歩きながら、無心になったり色々なことを考えたりします。

今週はこれまでに京都と東京の街を合計80㎞ほど歩いて、たくさんの風景に出会いました。

これから春まで、色々な土地をひたすらに歩いて身体を鍛えたいと思っております。

舞台に彩りを生む謡

今日は京大宝生会の稽古でした。

「能と狂言の会」以来の稽古です。

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新しい仕舞がたくさんと、素謡も新しい曲でした。

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この間までの「能狂」直前の稽古では、完成された曲をどうしたらより良く出来るか、という事に焦点を合わせて稽古していました。

一転して今日は、新しい曲を皆がどう解釈して舞ってくるのか、謡ってくるのかを先ず見せてもらう事から始めました。

それはある意味でとても楽しみな作業でした。

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成る程、こんな風にイメージして来たのか!

と少し驚いたり、

フムフム、手堅く稽古しているな。

と納得したり。

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総じて、いつもながら短期間で新しい曲を殆ど完全に自分のものにしていて大変感心いたしました。

「関西宝連」までにもう一度稽古すれば、また大きく伸びると思われます。

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稽古を終えて皆で遅い晩御飯を食べている時、「能狂」翌日にお囃子の稽古を受けた部員の話を聞きました。

そのお囃子の先生は能「竹生島」を打ってくださった先生です。

そして、

「竹生島は場面場面で謡の位取りをきちんと変えていたので、”次はどんな謡を謡ってくるのだろう”と舞台上で楽しみに聴いていた」

と仰ってくださったそうなのです。

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私は謡を稽古する時に、

「場面ごとの位取りを良く理解して、謡分けをしっかりとする事で、舞台に鮮やかな彩りが生まれるはず」

という事を常に考えています。

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その狙い通りの事をお囃子方が感じてくださったとは、非常に嬉しいことでした。

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「能狂」という舞台は終わりましたが、その大きな成果は部員それぞれの中に確実に蓄積されたと感じます。

各々がその大きな力を携えて、新たな舞台へと再び船出した京大宝生会。

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次の舞台がまた良いものになるように、私はあと1回の稽古を全力で頑張りたいと思います。