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雪の少ない青森

昨日は青森稽古で、私は日が暮れてから青森駅に到着しました。

この冬の時期には、駅前の青森港周辺がライトアップされます。

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そのライトが、雪だるま型をした”雪だるま〜る”という提灯で、中々可愛らしいのです。

今年も見に行ってみました。

やはり港の周りには”雪だるま〜る”がたくさん並んでいます。

しかし今年はその背後に見慣れないものがありました。

港の大規模な再開発事業が行われていて、クレーン車やパワーショベルなどの巨大な重機が何台も置かれていたのです。

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再開発が終わると、青森港はどんな姿になるのでしょうか。

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そして今年の青森はやはり雪がとても少ないです。

私が7年前の冬に初めて稽古に来た時には、駅前でも2m近く積雪があったのに、昨日は上の写真程度しか雪がありませんでした。

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雪が無いのは地元の人には有り難いことなのでしょう。

しかし春先の雪解け水が少ないと、農家の方々は困ってしまうということです。

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やはり冬にはある程度雪が降る方が良いのだろうなあ…と思っていると…

今朝の青森は雪になりました。

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昨日とは打って変わって、寒々とした冬の東北らしい景色の中を、帰りの新幹線で東京に向かったのでした。

虹の力

松本稽古始めから一夜明けて、今日は午後から亀岡稽古でした。

朝に宿を出て松本駅に向かったのですが、北アルプスの山々は雪雲に覆われてほとんど姿が見えません。

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特急しなのに乗って、木曽路を名古屋方面に向かいました。

すると途中でその雪雲が段々と下に降りてくるように見えました。

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やがてついに雪雲の中に入ったようで、外は雪が降りしきっています。

視界も悪くなり、実に寒々とした風景です。

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しかし、それから少しうたた寝をして目覚めると、特急はもう名古屋の市街地に出ていて、空はすっかり晴れていました。

なんとなくホッとして、新幹線に乗りかえて京都方面へ。

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ところが今度は米原あたりで再び怪しい天気になって、雨が降って来ました。

琵琶湖の向かいの比良山系や比叡山は、先ほどの北アルプスのように厚い雲に隠れています。

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京都に到着しても雨は止んでおらず、山陰線で亀岡に向かう間も先頭車両のワイパーはずっと動いていました。

困ったことに今日私は傘を持っていません。

「亀岡駅から稽古場まで、走るしかないかな…」

と覚悟を決めて電車に揺られていました。

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保津峡のトンネル地帯を抜けて亀岡盆地に入ると、驚くことに空の様子が全く変わっていました。

青空がのぞいており、どうやら雨も降っていないようなのです。

そして馬堀駅を過ぎて終点の亀岡駅に近づくにつれて、青空の範囲が見る見る広がっていきます。

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その時車内で、

「うわー、虹!」

という声が聞こえました。

「こんなに近くで見るの初めて…」

という声も。

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ハッとして外を見ると、新しく出来たサッカースタジアムのすぐ横の、手が届きそうなところに見事な虹がかかっていたのです。

画面からはみ出す程の大きな虹でした。

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能「石橋」クセの中で「虹」という言葉が出て来ます。

千丈に及ぶ深い谷に架かる”石橋”の有り様が、

「たとえば夕陽の雨の後に 虹をなせる姿」

のようだ、という内容です。

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そしてこの「虹をなせる姿」という部分を、何故かひときわ強い気迫を込めて謡うことになっているのです。

“虹”という自然現象には、人の心を高揚させる力がある気がします。

その”虹の力”が謡にも反映されたのでしょうか。

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今日の私は雨が上がった有り難さと虹を見た高揚感で、とても気分良く亀岡稽古場に向かうことが出来たのでした。

少林寺拳法の護身術体験

今日は港区スポーツセンターにて、「魅せるスポーツ・美せる能」という催しに出演して参りました。

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辰巳満次郎師と、ロサンゼルスオリンピック体操金メダリストの具志堅幸司さんとのコラボレーションという大変興味深い企画です。

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午前中のリハーサルでは”少林寺拳法”の演武を見たのですが、これが凄い迫力でした。

防具をつけた選手と攻撃する選手が2人1組で演武するのですが、攻撃側の蹴りは完全に本気で、防具に当たると「ボコーン!」と大きく重い音がアリーナに響きます。

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ちょっとだけやってみたいと思いましたが、私ではあっという間に重傷を負いそうです。。

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催しが始まって、満次郎師と具志堅幸司さんの対談、能楽ワークショップと能「船弁慶」の実演があり、そこで我々能楽師の出番は終わりでした。

しかしプログラムを見ると、その後に「体操と少林寺拳法ワークショップ」とあったのです。

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これは是非とも参加してみたいです。

でももし少林寺拳法ワークショップの内容が先ほどの「ボコーン!」みたいなことだったら、静かに退場しようと思っていました

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…始まってみると、

「いきなり誰かに腕を掴まれた時に、それを上手く外す方法」

というようないわゆる”護身術”の体験で安心いたしました。

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「自分の腕の捻りによって、相手の腕の力を抜く」

という方法論は、普段身についた能楽の動きとは全く別次元の考え方で、大変勉強になりました。

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これで私も、突然腕を強く掴まれても即座に対応することが出来るようになった筈なのですが、そもそもそんなシチュエーションには出会いたくないものです。。

披露宴での嬉しい再会

昨日の佐野弘宜さん結婚披露宴の時のことです。

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高砂の新郎新婦の後ろに友人達が並んで記念撮影をする時間になりました。

グループになって次々と入れ替わって撮影していきます。

あるグループの時に壇上をふと見ると、大半が知らない人でしたが中に1人だけ、どこかでお会いした顔がありました。

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すぐには思い出せず、「誰だったかな…」

と思いながら目の前の美味しいオードブルに顔を戻して、さあ食べようとしたところで、

「澤田先生!」

と後ろから声がかかりました。

振り返ると先ほどの壇上の方です。私はその声ですぐに思い出しました。

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このホームページを始めた頃に、京都で稽古していた男の子とお母さんがいて、そのお母さんのほうだったのです。

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元々佐野弘宜さんのお弟子さんで、お仕事の関係で京都に引っ越されたのを機に私の稽古場にいらしたのです。

その後また関東に帰られて、再び佐野弘宜さんの元で稽古をされていると聞いておりました。

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聞けば男の子もちゃんと稽古を続けていて、今は「胡蝶」の仕舞をしているとのことでした。

最初の頃のブログで、その男の子が「レッド五雲扇」を選んだことを書いたのです。

そして今でもその「レッド扇」で稽古してくれているそうです。

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お母さん「あの子が将来先生の大学のクラブに入ってくれたらと思っています!」

おお!12〜3年後の京大宝生会新入生候補ですね。

それはとても楽しみです!

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目出度い披露宴で思いもよらぬ再会があり、二重に嬉しい日になりました。

佐野弘宜さん結婚披露宴に出席して参りました

今日は宝生流若手能楽師の佐野弘宜さんの結婚披露宴に出席して参りました。

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虎ノ門のホテルオークラでの披露宴でした。

広大な会場に大勢の人々が列席する華やかな披露宴で、料理もとても美味しいものばかりでした。

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しかし、同じテーブルの東川尚史君は、何故かその美味しい料理に殆ど手をつけず、硬い表情をしています。

「どうしたの?」

と聞くと、

「…この後に、各テーブルを回って新郎関係者の祝福コメントをいただくコーナーの司会をするんだよね…」

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なるほど。それは緊張しますね…。

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その祝福コメントコーナーは、東川君の円滑な進行で和やかに終わりました。

テーブルに帰って来た彼は、別人のような晴れやかな顔になっていて笑ってしまいました。

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最後には、新郎新婦の産まれた時の体重と同じ重さのぬいぐるみを自分のご両親に渡す、というセレモニーがあり、色々な感謝の表し方があるものだと感心いたしました。

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去年「道成寺」の披きを無事に終えて、この度は御結婚された佐野弘宜さん。

人生の大きな節目を越えて、これからのますますのご活躍を楽しみしております。

7年ぶりの楽屋袴

昨日から新年の稽古がスタートしたのですが、なんと今日は早速予定の稽古がキャンセルになってしまいました。

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外は天気も悪く、正月休みに逆戻りして部屋でゆっくりと過ごしました。

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やり残した掃除や、調子の悪いプリンタの調整をしたり。

そしてふと思いついたのが、

「楽屋用の袴を注文する」

ということでした。

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ここ数年で新調した袴はどれも”舞用”の袴です。

それは正絹と言って、全て絹糸で織られています。

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しかし私が普段楽屋で履く袴は、絹糸と化学繊維が織り交ぜてあるものなのです。

今履いている楽屋袴は大分使い込んで、綻びや繕った後が目立って来ていました。

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馴染みの店に電話して、「絹と化繊の交織袴をお願いします。とりあえず前回と同じ寸法で」と言うと、前回のデータを教えてくれました。

なんと前回は、平成24年に注文したようです。

それからもう7年ほど経っていたのですね。

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そして寸法も、今ならもう少し短い方が良いかと思い、前回よりも五分だけ短く注文してみました。

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来月までには出来上がるであろう新しい袴。

ここからまた数年、楽屋での仕事を共にする大切なパートナーになります。

出来上がって対面するのがとても楽しみです。

2020年あけましておめでとうございます

皆様 2020年明けましておめでとうございます。

本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

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私は例年通り朝から水道橋宝生能楽堂にて「賀詞交換会」に参加して参りました。

在京職分が新年の挨拶を交わし、舞台で全員並んで家元の御発声のもとで「七宝」を謡いました。

子方を卒業した中学生の男の子が、1年会わないうちに私と同じくらいの身長になっていてビックリしました。

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そして今年から舞台の「揚幕」が新調されたそうです。

色などの見た目は正確に再現されているので、ぱっと見では気がつかないかもしれません。しかし隅々まで綺麗な揚幕を見ると、何やら新年らしく気持ちが晴れやかになりました。

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個人的なことを申しますと今年は、

•8月8、9日(土・日)に「七葉会10周年記念大会」宝生能楽堂

•9月20日(日)に「京都澤風会15周年記念大会」大江能楽堂

•10月18日(日)に「松本澤風会10周年記念大会」松本音楽文化ホール

と、大きな節目が重なる年です。

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夏以降が非常に忙しくなることは間違いないので、

①夏までに身体を鍛えてスタミナをつけること。

②番組作りなど早めに計画的に行動すること。

をとりあえずの今年の目標にしたいと思います。

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このブログも相変わらずなるべく更新して参りたいと思いますので、こちらもどうぞよろしくお願い申し上げます。

2019大晦日下町散歩

日曜日の急な発熱も、その後の30時間睡眠で何とか回復しました。

そして昨日今日は完全休日で、頑張って部屋の掃除をいたしました。

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掃除は無事に終わりましたが、私にはもう一つ年内にやり残したことがありました。

“歩くこと”です。

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今年1年は、とにかく去年よりもたくさん歩くことを心掛けて過ごして参りました。

順調に歩数を増やして来て、今月にはかつて達成したことのない「月間40万歩」を密かな目標に設定していたのです。

目標達成には毎日1万3千歩以上歩くことが必要です。

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しかし一昨日の日曜日は発熱のため、まさかの「17歩」…

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回復した昨日午後と今日1日、掃除の合間を縫って私は東京の下町を歩き回りました。

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能「隅田川」ゆかりの「梅若塚」のあるお寺。

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「2014全国頑張る商店街30選」に選ばれたという人情味あふれる商店街。

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逆さ富士ならぬ「逆さスカイツリー」。

どこから撮ったかわかりますか?

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猪の牙に似た形の「猪牙舟」の模型が置いてあった山谷堀公園では…

「正法寺」という今年お世話になった岩手のお寺と同じ名前を冠する橋に行き合い驚きました。

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そして今年最後の夕陽が沈んで家に帰り着く頃に、目標の「月間40万歩」を達成することができました。

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昨日今日の下町散歩では、ちょっと不思議な体験などもしたのでまた改めて書きたいと思います。

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令和元年も残すところあと3時間になりました。

今年も本当にたくさんの方々に助けていただいて1年を送ることができました。

心より感謝申し上げます。

そして来年もどうかよろしくお願いいたします。

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1年分まとめて…

一昨日松本稽古から帰り、今年の稽古も全て終えて、やれやれと早めに休みました。

そして一夜明けて昨日の朝…

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布団の中で目覚めると、なんだか身体が熱くて怠く、節々が痛みます。。

つまり完全に「熱がある」状態だったのです。

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前日まで元気で、他に喉や鼻など風邪の症状も全くありません。ただ熱が高いだけでした。

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実は昨日は「京大宝生会謡納め」に行く予定で、松本で色々お土産まで買って準備万端だったのです。

でも無理して行ってもし風邪だったら、皆にうつしてしまいます。

泣く泣く断念して、そのまま布団で休むことにしました。

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そしてそれからつい先程まで、食事の時間を除いてほぼ30時間、ひたすらこんこんと眠り続けてしまったのです。

おかげで熱も下がったようですが、ここまで長時間寝られたことに驚きました。

今までの人生で最長記録かもしれません。

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1年間健康で仕事を終えることができた途端に、1年分の不調が”熱”になって出てきて、それを1年分の休養で治したということなのでしょうか…。

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ともあれ、熱は下がって健康体に戻ったので、あとは部屋の掃除を頑張って新年を迎えたいと思います。

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京大へのお土産だった”信州ジビエの燻製3種”

は、今回はお正月に自分でいただこうかと思います。

京大の皆さんごめんなさい、またの機会に必ず持って行きますね。

今年最後の東北新幹線

今日は仙台稽古に行って参りました。

東北新幹線に乗るのは今年最後でした。

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好きな車内誌「トランヴェール 」を読むのも今年最後…

としみじみ思いつつ、ゆっくり頁をめくりながら日光や磐梯の山々を横目に北上しました。

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夕方に到着した仙台は予想通りあまり寒くなくて、東京と同じ格好で稽古場まで20分ほど歩くとむしろちょっと暑くなったくらいでした。

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稽古場の市民センターでは別の団体も謡の団体稽古をしていて、皆さんなかなかの美声でした。

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こちらも負けじと能1番、舞囃子3番、仕舞数番を頑張って稽古いたしました。

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次の稽古は来月末になります。

その頃は流石に寒かろう…と思いながら、帰りの最終新幹線に乗り込み、再び「トランヴェール 」を開いて、行きに読み残した記事に目を落としたのでした。