桃源郷から

2017年4月10日に「桃源郷へ」という題名でブログを書きました。

もう3年以上前のことになります。

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松本稽古に行く途中の甲府盆地の”桃の花”があまりに綺麗で、桃源郷のように見えたのです。

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その甲府盆地にある「御坂果実郷」というところから、先日見事な”桃の実”が届きました。


私の掌に余るくらいの大ぶりな桃で、冷やして食べると甘くて何とも美味でした。

そして桃の実がこんなに良く香るということを久しぶりに思い出しました。

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この桃は「がんばれ観光農園!」というキャンペーンの商品で、京大宝生会の大先輩が注文して私のところに送ってくださったものです。

コロナウイルスの影響でお客さんが激減してしまった観光農園を力付けようという企画だそうです。

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今年は桃の花が咲く前からずっと、松本稽古に行けておりません。

あの「桃源郷」のような甲府盆地の風景は残念ながら見られませんでした。

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しかし今回その甲府盆地から送られてきた桃の実から、「桃源郷」の香りと味を楽しむことができたのです。

今月下旬には、久しぶりに特急あずさに乗って松本稽古に行く予定にしております。

甲府盆地を通る時、「御坂果実郷」の辺りの景色を眺めながら、この桃源郷から送られてきた桃の味を思い出すことでしょう。

素戔嗚神社の「手ぬぐいあわせ」と「茅の輪くぐり」

今日から7月になりました。

東京は雨模様でしたが、午後に思い立って久しぶりに近所の「素戔嗚神社」に行ってみました。

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境内に入るとちょっと意外な光景が広がっていました。


たくさんの”日本手拭い”が風に靡いていたのです。

彩り豊かな手拭いがヒラヒラと舞い踊る様は、なんとも涼しげに感じられました。

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これは「手ぬぐいあわせ」というもので、江戸時代から続く行事だそうです。

素戔嗚神社の氏子61町の手拭いが境内にそろって、趣向を凝らした柄を競い合うものです。

江戸情緒溢れる何とも粋な行事だと思いました。

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素戔嗚神社は3月の雛人形と言い、「目で楽しむ」行事が多くて、毎回訪れるのが楽しみです。

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そして境内にはもうひとつ、普段とは違うものがありました。


「茅の輪くぐり」です。

毎年6月晦日に「茅の輪くぐり」のご神事が行われているそうで、つまり昨日がそのご神事の日だったのです。

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1日遅れですが私も「茅の輪くぐり」をしてから本殿に参拝いたしました。

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折しも小学校の下校時刻で、本殿の前をたくさんの子供達が通り過ぎて行きます。

そして以前も書きましたが、その子供達が本殿の前で必ず止まって頭を下げて行くのがなんとも好ましく目に映りました。


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参拝を済ませてから千住大橋を渡って、隅田川沿いを少し歩きました。

すると天気予報はずっと雨マークだったのに、橋を渡り切る頃には雨は上がって青空までのぞいてきたのです。


「茅の輪くぐり」の御利益が早速あったのかもしれません。

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東京都の感染者がまた増えているようですが、疫病退散の「茅の輪くぐり」の御利益で、何とか収まっていってほしいものです。

夜の鹿の鳴き声

先日お伝えしました、宝生夜能「野守」と「いとうせいこうの能楽紀行」の有料動画配信。

ありがたいことに、ご覧いただいた何人かの方から感想のメールを頂戴いたしました。

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その中で、

「夜の鹿の鳴き声がどんなものか、聴いてみたくなった」

というものがありました。

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「能楽紀行」の中で私といとうせいこうさんが、

「奈良公園の夜の鹿の鳴き声は怖いんですよね!」

と2人して盛り上がったシーンがあったのです。

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…あれは平成の初めの頃のことです。

当時京大宝生会では、私を含めて何人かが車を所有していました。

今よりも車にかかる費用が格段に安かったのです。(駐車場が月8000円、ガソリン代はリッター90円前後でした)

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金曜日の夜に稽古を終えてから、しばしば皆で深夜のドライブに行きました。

その時に奈良公園辺りまでも何度か繰り出したわけです。

車を置いて、夜の奈良公園を探検しました。

東大寺周辺など、街灯も少なくて真っ暗闇です。

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恐る恐る歩いている途中、出し抜けに我々のすぐ横から、

「ピョー❗️」

という甲高い声が聞こえて全員飛び上がりました。

暗闇を透かしてよく見ると、そこには数頭の鹿のシルエットが。

さらに目が慣れてくると、森の中にはたくさんの鹿が休んでいるとわかりました。

我々が逆に鹿達を驚かせてしまったのでしょう。

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いとうせいこうさんが、

「奈良公園の夜は真っ暗で、鹿が鳴いてね…」

という話をされた時にあの鳴き声が鮮やかに思い出されて、思わず、

「夜の鹿の鳴き声、怖いんですよね!」

と2人で盛り上がったというわけなのです。

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先日の撮影では、いつか「いとうせいこうのリアル能楽紀行」として奈良ツアーを組みましょう、という話も出ました。

もしも奈良ツアーが実現したら、オプションで「奈良公園の夜の鹿の鳴き声を聴きに行く」という企画を是非やってみたいものです。

夜能「野守」まもなく配信されます

先日撮影された夜能「野守」と、私も出演しております「いとうせいこうの能楽紀行」の動画が、本日18時より有料動画配信されるそうです。

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配信に先駆けて、宝生和英宗家といとうせいこう氏の特別対談が以下より視聴できます。


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また18時より始まる有料動画配信の視聴方法は以下より調べられます。


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今回の動画配信のプラットフォームである「能LIFE Online」は、動画配信だけでなく公演情報やチケット、グッズの購入なども可能な、コロナ後の世界を見据えた宝生会の新しいプラットフォームです。

皆様是非この機会に体感してみてくださいませ。

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能「野守」と「いとうせいこうの能楽紀行」

をご覧いただき、御感想などコメントしていただけると大変有り難く思います。

どうかよろしくお願いいたします。

緊急事態宣言下の誕生日

もう過ぎてしまいましたが、昨日は私の誕生日でした。

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東京は新型コロナウイルスの緊急事態宣言がいまだ継続中です。

なので、午後に自宅で京大宝生会のzoom稽古を少しした以外は、ゆっくり静かに過ごした1日でした。

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その中でも、何人かの方々よりお祝いと励ましのメールを頂戴いたしました。

どうもありがとうございました。

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そして考えてみれば、台風や豪雨やウイルス禍などがほぼ絶え間無く襲って来たこの1年を、健康体で乗り切って誕生日を迎えられたことはとても有り難いことです。

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この先の1年は、一層多くの困難を乗り越えていかねばならないことでしょう。

ただ生活をしていく事だけでも苦しいような日々が続くかもしれません。

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それでも健康で生きていれば、またいつかきっと良い風向きになる。

そう信じて、来年の誕生日も元気に迎えられるように、なんとか頑張って参りたいと思います。

暖かいマスク

昨日と今日はまたスマートフォンを使った遠隔謡稽古をいたしました。

人数は2日間で延べ10数人に増えて、今後は平日にも稽古日を設定しようと思っております。

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遠隔稽古を終えた夜、郵便受をのぞいてみると分厚い封筒が届いていました。

差出人は「岩手未来機構」の方です。

昨年11月には尺八、写真との共演企画「地水火風」で大変お世話になりました。

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早速封を開けてみると…


なんと中には可愛らしいドングリの柄の「布マスク」が…!

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未だ感染者の出ていない岩手県の小さな工房で、1枚1枚手作りで作られたマスクだそうです。

ドングリ柄を見ているだけで、なんだかほっこりと暖かい気持ちになりました。

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実は少し前には、大阪でいつもこのブログを読んでくださっている読者の方からも、その方が作られた手作りマスクを送っていただいておりました。


こちらも楽しい柄の布で作られています。

ちょっとだけ、私には派手目かもしれませんが…。

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政府からの布マスクはまだ届きませんが、このブログを通じて生まれた御縁で、お気持ちのこもった素敵なマスクを頂戴することができました。

厳しい日々が続きますが、その日々の中で皆様に沢山の勇気と元気をいただいております。

心より感謝申し上げます。

桜神社の桜

東京ではこの週末は「不要不急の外出」を控えるように言われています。

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しかし食料の買い出しに行く必要があり、雨の止んだ昼頃に三ノ輪の家を出て近所に買い物に行きました。

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そのついでに、人の少ない道を選んでちょっと足を伸ばして千住大橋の方に行ってみました。

実は年始に散歩した時に見つけた小さな神社に、春になったら必ずもう一度詣でてみたいと願っていたのです。

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この神社です。

千住大橋駅近くの再開発地区にあり、おそらく比較的新しい神社かと思われます。

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小さな社殿はたくさんの桜に囲まれており、神社の名前は…

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「桜神社」というのです。

年始の散歩で見つけた時に、「桜が満開の時期にはさぞ綺麗だろう」と想像しました。

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そして今日、満を持して行ってみたわけです。

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お花見自粛のためか社殿に入る門扉が閉じられており、残念ながらお参りは出来ませんでした。

しかし隣にある公園から社殿の裏手にまわってみると…


社殿を囲む満開の桜のすぐ側まで行って眺めることができました。

他に見る人もいない、密やかな今年のお花見でした。

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帰り際、隅田川にたくさんの花びらが散り浮くのを見ました。


「隅田川が桜川のようだな…」

と思いながら写真に撮ると、ガス状星雲に星が散りばめられた宇宙のようにも見えました。

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皆でお花見が出来るような日常が戻ってくるように、心から祈っております。

2020年春の院展に行って参りました

昨日の昼間に、日本橋三越に「春の院展」を見に行って参りました。

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昨日が初日でしたが、平日昼間というのとコロナウイルスの影響で、人は例年よりもかなり少なめでした。

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人口密度の低い会場で、いつもよりも自由に絵画の迷宮をふらふらと行ったり来たりして楽しみました。

しばらく色々な絵を見てまわって感じたのは、「今回は”扉”のモチーフが多いなあ」ということです。

固く閉ざされた、重々しい木の扉の絵などが印象的でした。

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閉じられた扉の向こう側には何があるのだろうか…

やはり重厚な寺院だろうか、それとも広々とした庭園なのか、あるいは深い森の奥に続く道が現れるのか…

と想像力を非常に掻き立てられます。

そして、何となく閉塞感を感じる昨今の状況を表しているのかな…とも思いました。

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田町稽古場の会員さんの絵もじっくりと拝見しました。

黄金色と白銀色に描かれた”アザミ”の花に、静かな強い力を感じました。

今回もお誘いいただきありがとうございました。

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帰って間もなく都知事の会見があり、東京はますます大変な状況になって来たようです。

「院展」に行くのも中々困難になってしまうかと思われますが、4月6日まで開催されているそうですので、状況が落ち着いてきたら皆様どうか見にいらしてくださいませ。

マスクを作ってみました

先日も書きましたように、最近ではずっとマスクを着用して稽古しております。

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そのマスクが全く手に入らないので、自分で作ってみました。

作り方はスマホのニュースで見つけた「日本手拭でマスクを作る方法」というのを少しアレンジしました。

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用意するのは、

・ハンカチ(写真のものは100均で購入した白地の40㎝×40㎝のもの。家にある適当なハンカチで大丈夫です)

・輪にしたゴム(同じく100均で購入したゴムを直径10㎝弱ほどの輪に結んだもの。ゴムの太さは市販のマスクと同程度のものを選びました)

これだけです。

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①先ず向かい合う2つの角を中心まで折り込みます。

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②更にもう一回折り込みます。

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③手前側に向かって二つ折りにします。

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④上になっている方を向こう側に少し折り返します。

どのくらい折り返すかというと…


ひっくり返してみた時に、折り返した部分が約1㎝ほどはみ出して見えるくらいです。

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また元のようにひっくり返して、輪にしたゴムを両端から通します。

2つのゴムの距離がそのままマスクの幅になるので、好みの幅に調節できます。

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あとはゴムを挟むように左側を折り…


同様に右側を折って…


ひっくり返すと完成です。

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着用するとこんな感じになります。

上下に少し引っ張ると、上下幅も調節可能です。

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使用後は広げて洗えば何度でも清潔に使えます。

慣れると1分足らずでハンカチがマスクに早変わりします。

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ちなみに最初に日本手拭で作ったものは分厚くなってしまい、稽古には不向きでした。

私にはこの40㎝×40㎝のサイズの小さめのハンカチが最適なようです。

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皆様もしよろしければ、お持ちのハンカチで試作してみてくださいませ。

気に入らない時には、すぐにただのハンカチに戻せますので。。

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私はしばらくの間は、このハンカチマスクをお供に稽古を頑張って参りたいと思います。

汐入大橋の大寒桜

今日は家の近くの隅田川まで歩いて行きました。

「千住大橋」と「汐入大橋」の間の河原には広いスペースがあるので、「盤渉楽」の舞の稽古をしようと思ったのです。

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澤風会の番外舞囃子「邯鄲 盤渉」は、笛の流儀が当初の”一噌流”から”森田流”に変わることになりました。

なので稽古も一からやり直しなのです。

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型付けを手に舞い始めてみると、一噌と森田では”時間の余るところ”と”忙しいところ”が全く異なることがわかりました。

また足拍子の数も違います。

そして、一噌では足拍子が通常の楽と盤渉楽で全く一緒なのですが、森田では通常と盤渉で足拍子も異なる箇所がありました。

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中々難しい”森田流盤渉楽”ですが、この機会に一噌流盤渉楽と同時に身に付けるようにしたいと思います。

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帰り際に、「汐入大橋」のたもとでこんな光景を見かけました。


桜が咲いていたのです。

見たところソメイヨシノに見えましたが、いくらなんでも開花が早過ぎます。

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今年の暖冬の影響はここまで極端なのか…

と暗い気持ちになりかけましたが、調べてみたら別の品種なのでした。

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「大寒桜(オオカンザクラ)」という種類で、寒緋桜と大島桜の交雑種だそうです。

ちょっと安心いたしました。

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ソメイヨシノがこのように綺麗に開花する頃には、新型肺炎が何とか沈静化していることを祈るばかりです。