外国人旅行者向けの古着物屋さん

昨日は午後に京都で時間があり、大きめのトートバッグが必要だったので探す事にしました。

寺町か新京極あたりにカバン屋さんがあるかと思い行ってみました。

するとカバン屋さんよりも先に目についたのが「古着物屋さん」でした。

以前は無かった場所に、男性用の着物もたくさん揃っているお店が何軒も出来ているのです。

男性用の古着物は意外に珍しいので、嬉しくなって覗いてみました。

3000円くらいの良いのがあれば、買ってみても…と思って安そうな着物の値札を見て仰天しました。

「10000円」

なんと、それは高過ぎるでしょう…

他の店でも、やはりいかにも安そうな古着物が

「3枚15000円」

とかで売られていました。

良くみれば、店の中にいるのは外国人ばかりです。

「そうか、インバウンドの外国人旅行者向けの古着物屋なのか」

と納得しました。

しかしこの高額な値段設定は驚きました。

心配になったのは、昔からある安い古着物屋さんまで、外国人向けに値上げしていないかという事です。

昨日は時間がありませんでしたが、今度は昔からのお店を覗いてみようかと思います。

ちょっと値札を見るのが怖いですが…

稽古の栄養補給

私は稽古中には、可能な限り飲食はしないのが好みです。

食べ物は食べた後に思考力が低下して、身体も重くなって、舞や謡がしんどくなるような気がするのです。

飲み物はほぼコーヒーだけです。コーヒーは少しずつ飲むとその度に頭が冴える気がします。

しかし稀に稽古中に栄養補給したくなる時もあります。

今日は昼過ぎの12時半頃から夜の21時まで、延べ40人以上の仕舞、舞囃子、謡の稽古をぶっ通しでしました。

夕方頃に燃料切れの感じになり、出されていた食べ物の中から「ゼリー状の栄養補給飲料」をいただきました。

色々と強烈な栄養素が入っていたようで、しばらくすると身体が燃焼している感じがして、残りの稽古を乗り切る事が出来ました。

しかし、私が稽古中にあまり食べないのは、「稽古が終わって帰宅してから食べるご飯を美味しくいただくため」という理由もあるのです。

今日も稽古を終えて三ノ輪の自宅に帰ると、ゼリー飲料の燃料もちょうど切れていて、晩御飯をしみじみと美味しくいただく事が出来ました。

特に先日松本稽古でいただいた小田原の「金目鯛の揚蒲鉾」が最高の美味しさでした。

明日の舞台を頑張るための万全の栄養補給になりました。

明日も頑張ります!

昭君の偽似顔絵

今何ヶ所かの稽古場で「昭君」の謡を稽古しております。

王昭君は似顔絵師に賄賂を渡さなかったために酷い顔に描かれてしまい、匈奴の国に送られる事になります。

しかし本当の昭君は中国4大美人(西施、貂蝉、楊貴妃、王昭君)のひとりとされる絶世の美女です。

私は非常に無粋なことなのですが、この昭君が酷い顔に描かれたという「偽の似顔絵」が見たいと思い、色々と探してみました。

昭君の謡の中に「今頃は昭君は、あの”偽の似顔絵”のように憔悴した面持ちになっているだろう」という文句があり、その”憔悴した面持ち”がどのようなものか確認してみたかったのです。

…結果的には、昭君の”憔悴した似顔絵”は全く見つかりませんでした。

昭君は例外なく超絶美人に描かれていたのです。

これは昭君が人々に愛されていたという事なのでしょう。

しかし、やはり”偽の似顔絵”も、できる事ならば見てみたいものです。

もしそれらしい絵をご存じの方は教えてくださいませ。

どうかよろしくお願いいたします。

採れたてアスパラガスと老舗お味噌

昨日は松本稽古でした。

北アルプスの麓でハーブ作りなどをされている松本澤風会会員さんご夫婦が、今回は「アスパラガス」を持って来てくださいました。

大人の指程の太さのとても立派なアスパラガスが10本ほど。

私「これはどちらで採れたものですか?」

会員さん「うちで採れたものですよ。少し茹でてそのまま食べてください」

なんと、自家栽培の採れたてアスパラガスとは大変美味しそうです。

東京に帰ってから早速食べてみることにしました。

シンプルにアスパラガス、味噌、マヨネーズです。

実はちょっと調べたら、「アスパラガスは茹でても良いけれど、電子レンジ500Wで2〜3分チンすれば栄養素が逃げずに全部食べられる」とあったのでその通りにしてみました。

そして写真右手の”味噌”。

これはただのお味噌ではないのです。

やはり松本澤風会の会員さんに、松本城下で天保3年(1832年)創業の老舗味噌屋「萬年屋」の若おかみさんがいらっしゃいます。

この「萬年屋」のお味噌は、現代では省略されている「味噌玉造り」という工程を守り続けており、それが深い味わいを出しているという大変美味しいお味噌なのです。

この製法はなんと1300年前から続くものだそうです。

能楽がまだ黎明期だった頃から、現代まで綿々と受け継がれた製法。何かとても親近感を覚えます。

私も一度食べたらその深い味に他のお味噌が物足りなくなり、定期的に購入しております。

採れたての自家製アスパラガスと、昔から変わらない伝統製法で作られた老舗のお味噌の組み合わせです。

もちろん最高の味わいで、大地の恵みを余すところ無くいただいて大満足でした。

昨日はまた「小田原の蒲鉾」も頂戴して、こちらは今夜のお楽しみにしたいと思います。

稽古曲の記録手帳

一昨日の亀岡稽古の時のことです。

亀岡稽古場では、今月初めに大きな舞台が無事に終わりました。

なので一昨日は皆さん新しい仕舞を考える回でした。

まだ初めて年数が少ない方はすぐに曲を思い付くのですが、ベテランの方は曲選びが難しいのです。。

長く稽古されている方の前で、

「うーん、何にしましょうか。もう大抵の仕舞はやったことがあるのでは…」

と困った声で言ってみたところ、その方が

「あの、私これまで稽古した曲は全部手帳に書いてあるのですがご覧になりますか?」

おお、それは大変ありがたいです!

是非、と言って手帳を見せていただきました。

手帳の2ページにわたって几帳面な字で最初に稽古した曲から最新の曲までが網羅されています。

その方とのこれまでの稽古の記憶も蘇って来て、とても懐かしい気持ちになりました。

ザッと見てみると、意外に稽古していなかった曲があることがすぐにわかりました。

「”井筒”はまだ稽古されていないのですね?」

「はい!」

「それは意外でした。では井筒にしましょう!」

とすぐに曲を決めることができました。

私自身が全く几帳面で無いのでお願いできた義理では無いのですが、このようにご自分の稽古曲を記録しておいてくださると大変有り難いとしみじみ思ったのでした。

伊勢神宮の舞楽

今日は久々に仕事で伊勢神宮に行って参りました。

実はこの書き出しは、丁度6年前の2018年4月29日の「伊勢神宮の舞女さん」というブログの書き出しと全く同じなのです。

その時は、神楽の時に「舞女」さん達が三宝などを神前に御供えする動きに感銘を受けたという事がブログに書いてありました。

今回も同じように神楽を拝見しました。

やはり「舞女」さん達の作法や、「倭舞」という4人での舞は見事でした。

しかし今回の神楽で特に「これはすごい!」と思ったのは、男性が面をつけて舞う「舞楽」でした。

緑色の面に、黄色を基調にした装束だったと思います。

舞楽の知識は何も無いのですが、舞人の足運びや、浮き沈みする動き、面をかけているのを感じさせないスムーズな移動などを見て、この舞人は名手だろうと確信しました。

後で調べると、今日の舞楽は「高麗楽(こまがく)」を伴奏とする「納曽利」という舞楽だったようです。

動画もいくつか見つけたのでまた見てみようと思います。

そして今日改めて気がついた事がありました。

「倭舞」も「納曽利」も、神様に向けて奉納されるので我々参拝者は舞の大半を”後ろ姿”しか見られない事になるのです。

それでも演者の力量によって、後ろ姿だけで「上手いなぁ」と感じさせる事ができるのです。

能楽もその昔は同じように、見所は横と後ろにしか無かったそうです。

その時代の観客は、今日の私のように”後ろ姿”に感銘を受けたのでしょう。

またもう一つ、「倭舞」も「舞楽」も、参拝者がどんなに感動しても”拍手”をする事はありません。

もちろん神様も拍手はされないわけで、あれだけの技芸を見せた舞人達が、喝采を受ける事なく静かに退場していくのもまた神楽の潔さ、美しさだと感じ入ったのでした。

拝見する度に違うところに感銘を受ける伊勢神宮の御神楽です。

またいつか拝見するのを楽しみにしたいと思います。

弱法師と香道

最近何ヶ所かの稽古場で「弱法師」の謡を稽古する機会がありました。

「弱法師」の前半には、シテ弱法師が、

「や、花の香の聞こえ候」

と言う場面があります。

香が「聞こえる」という表現は、確か「香道」にあったと思い、香道の知識が全く無いので少し調べてみました。

やはり香道においては香は「聞く」ものであり、それは心の中でゆっくりと香を味わうという意味が込められた表現だそうです。

さらに「香道」とは能や茶道、華道と共に室町時代に出来たものであり、「禅」の思想に強く影響を受けているという事です。

やはり能楽と香道は深い繋がりがありそうで、「弱法師」の中で「香が聞こえる」という表現が出てきたのは香道の影響なのかもしれません。

また宝生流の能装束の「緋の大口」の中には

「源氏香模様」

という物があり、これも香道に使われる模様があしらわれた装束です。

これまで香道とは縁がありませんでしたが、機会があれば香道を体験してみたいものです。

井戸と防災

能にはしばしば「井戸」が出てきます。

「井筒」では恋する2人が影をうつし、「養老」では滔々と湧き出す水が生命力の象徴となり、また「鉄輪の井戸」などと言う恐ろしい伝説もあります。

今回は私の自宅周辺の井戸のお話です。

今日三ノ輪の自宅の近所を歩いていると、こんな井戸を見つけました。

昔ながらの懐かしい井戸です。

近所にこんな風な古い井戸が残っているのかと驚きました。

そして時間があったので、その辺りにもっと井戸が無いか探してみたのです。

すると…

古い形状ではありませんが、そこ此処に井戸を見つけることが出来たのです。

本体は無くなって蓋がしてあるものも…

そして公園にはこんな井戸がありました。

この井戸、単なる防災用水だけで無くて、実はすごい機能があるのです。

なんと奥に並ぶマンホールと併用すると、「災害用トイレ」になるのです。

この使い方は初めて知りました。

他にも防災井戸がいくつもあり、昔ながらの井戸が現代でもこのような形で生きているのだと知りました。

また井戸探しの途中で見つけたお地蔵さんがあります。

「大震災一周年記念碑」

とあったので、東日本大震災の事かと思い、後ろに回って見てみると…

なんと「関東大震災」から一周年の碑でした。

今日は井戸探しから、図らずも防災について考えさせられる日になりました。

またいつ大きな地震がくるかわからないので、特に「災害用トイレ」など、近所の場所を確認しておこうと思いました。

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壇ノ浦の日に

今日3月24日は壇ノ浦の合戦があったので「壇ノ浦の日」だそうです。

尤も旧暦の3月24日なので西暦ではまだ1ヶ月ほど先になりますが。

スマホのニュースで今朝それを知って、何となく「屋島の合戦」の日も調べてみました。

するとまた意外な事がわかったのです。

史実によれば屋島の合戦があったのは、

「元暦2年/寿永4年2月19日」

という事です。

しかしこれは謡の中に出てくる「屋島の合戦」とは全く異なる日付けなのです。

能「八島」では源義経の亡霊が屋島の合戦の日付けを、

「元暦元年3月18日の事」

と語っています。

また別の能「景清」では、平家方の悪七兵衛景清が同じく屋島の合戦を、平家の元号で

「寿永3年3月下旬の事」

と物語ります。

つまり能の世界では源氏方と平家方がともに、屋島の合戦があったのは

「元暦元年=寿永3年3月」

と明言しているのです。

これはどういう事なのでしょうか…

京大合宿中なので、周りの京大宝生会現役とOBOG達に聞いてみました。

色々なヒントがあり、それらを総合して私が想像したのは、

「声に出して謡った時に聴こえ方が良いように日付けを改変したのでは」

という事です。

例えば「元暦元年3月18日」だと、

「ゲン」「ガン」「サン」

と似た発音がポンポンと並んで、強く聴こえます。

また19日を18日にする事で、

「ハチ」「ニチ」とチが並んでやはりテンポ良く聴こえます。

景清の方は、「寿永3年3月下旬」です。

「サン」「サン」と同じ発音が並び、また日付けではなく「下旬」とする事で、

「サンガチ」「ゲジュン」

と、”G”の発音が並ぶ事になります。

…素人の想像なので全然的外れかもしれませんが、今日一日は「壇ノ浦の日」のニュースのおかげで色々楽しく思考を巡らせる事が出来ました。

この「屋島の合戦の日程」に関して何かご存知の方は是非お知らせくださいませ。

イグルーの達人

今日は冷たい北風が強く吹く中、松本稽古に行って参りました。

松本もやはり寒く、気温も前回より大幅に下がりました。

松本駅から見える北アルプスの山々も、半ば雪雲に覆われていました。

きっと山の上は非常に厳しい寒さなのでしょう。

そして稽古場には、久しぶりに「イグルー作り日本一」の方がいらしてくださいました。

前回まではイグルー講習会の講師でお休みだったのです。

稽古が終わって晩御飯をご一緒しながら、イグルーのお話を色々伺ってみました。

「○○岳のリフトを降りて3分くらいの所に、イグルー作りに最適な場所があるのですよ」

「先ず私が3〜40分で見本のイグルーを作って、それから参加者の皆さんに2〜3時間かけてイグルー作りをしてもらいます」

なるほど、やはり初心者だと2〜3時間かかるのですね。

イグルーに向いている雪は3000m近くの高所にあるそうです。それだけで私には未知の世界です。

先程の松本駅から見えた北アルプス山上のような厳しい環境でも、イグルーの中では快適に過ごせるそうです。

イグルーの世界はやはりとても魅力的です。

「この間は、1人用の小さなイグルーを12人で12個作りました。それを全部トンネルで繋げて、自由に行き来できるようにしたのです」

おお、なんだか子供の頃の”秘密基地あそひ”みたいでワクワクします。

イグルー講習会には何人くらいの受講者が来られるのか聞いてみると、

「多くて30人ほどですかね」

では私もいつかそこに参加したいものです。と言うと、

「いや先生ならマンツーマンで教えますよ」

…何か非常に厳しいイグルー講習会になりそうですが、機会があれば2〜3時間かけて作ったイグルーの中で寛いでみたいと思っています。

晩御飯を終えて松本駅前の宿に戻る途中、駅の気温計は氷点下でした。

イグルーの恋しくなる寒さです…