今年最後の東北新幹線

今日は仙台稽古に行って参りました。

東北新幹線に乗るのは今年最後でした。

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好きな車内誌「トランヴェール 」を読むのも今年最後…

としみじみ思いつつ、ゆっくり頁をめくりながら日光や磐梯の山々を横目に北上しました。

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夕方に到着した仙台は予想通りあまり寒くなくて、東京と同じ格好で稽古場まで20分ほど歩くとむしろちょっと暑くなったくらいでした。

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稽古場の市民センターでは別の団体も謡の団体稽古をしていて、皆さんなかなかの美声でした。

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こちらも負けじと能1番、舞囃子3番、仕舞数番を頑張って稽古いたしました。

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次の稽古は来月末になります。

その頃は流石に寒かろう…と思いながら、帰りの最終新幹線に乗り込み、再び「トランヴェール 」を開いて、行きに読み残した記事に目を落としたのでした。

学生能のクラウドファンディング

先日の関宝連の時のブログには何通かのコメントをいただきました。

その中に、名古屋の学生能のための「クラウドファンディング」に関してのコメントがありました。

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クラウドファンディングという言葉は知っていましたが、意味はあまり理解しておりませんでした。

「寄付の新しい形かな?」

という程度です。

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とりあえずその名古屋の学生さんのクラウドファンディングのページにアクセスしてみました。

https://readyfor.jp/projects/gakuseinoh

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1000円〜30000円までの何段階かの金額で支援をお願いする、というもので、最初はやはり「寄付」みたいだなぁと思いました。

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しかし、金額毎に多岐にわたるコースを詳しく見てみると、様々な「御礼」を用意していることがわかりました。例えば…

・学生手作りの能解説本をプレゼント。

・学生連盟オリジナルグッズのプレゼント。

・特別席チケットプレゼント。

などに加えて最高級コースではなんと…

・学生連盟所有の着物を着ての記念写真撮影。学生が行ける所なら全国どこでも伺います!

という項目までありました。

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北海道や沖縄から撮影依頼されたら、採算取れないのでは…

と若干心配もしてしまいましたが、私には名古屋の学生さん達の「心意気」が大変好ましく感じられました。

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ただ寄付を募るのではなく、「学生能」という立場で出来る最大限の御礼を、皆で考えて用意したのでしょう。

その意気に感じて、私もほんの僅かながら支援をさせていただきました。(もちろん撮影は無しのコースです)

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今回のクラウドファンディングが成功すれば、全国の学生能にとっても良いモデルケースになるに違いありません。

クラウドファンディングのやり方、苦労した点、また問題点など、名古屋の学生さんに詳しく聞いてみたいと思いました。

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しかし先ずは、来年2月8日に名古屋能楽堂で開催される「学生能・狂言の会」での能「羽衣」が良い舞台になるようにお祈りしております。

酉年生まれというだけで…

昨日は宝生能楽堂にて開催の「月並能」で能「頼政」の地謡を勤めました。

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そして終了後に、在京の「酉年生まれ」能楽師の食事会に参加いたしました。

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これまで「午年生まれ」と「亥年生まれ」の能楽師の集まりはありましたが、酉年の会は今回が初めての開催です。

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シテ方、大鼓方、小鼓方、太鼓方、狂言方など10数名が四ツ谷のお店に集まりました。

魚料理がものすごく美味しいお店でした(鳥は共喰いになるので避けたのですが、途中結局”地鶏炭火焼”が出て来ました。。もちろん美味しくいただきました)

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同じ酉年生まれの能楽師がこんなにたくさんいらしたとは、嬉しい驚きでした。

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また酉年というだけで妙な親近感が湧いてくるのが不思議です。

初めてお話する観世流シテ方の先生などとも、すぐに打ち解けて色々なお話を伺うことができました。

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私は能楽師同志の集まりにはこれまで殆ど縁が無かったのですが、この「酉年の会」には次回以降も是非参加させていただきたいと思います。

酉年楽師の皆様、特に幹事の方どうもありがとうございました。

ひたすらに歩くこと

今日は夜に渋谷のセルリアン能楽堂にて「渋谷能 第七夜」に出演いたしました。

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今回はシテ方五流が舞囃子を一番ずつ出すという大変面白い企画でした。

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金春流「高砂 舞序破急ノ伝」

観世流「屋島」

金剛流「雪 雪踏之拍子」

宝生流「安宅」

喜多流「猩々乱」

というラインナップです。

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異流合同の舞台は度々あります。

しかし今回演目を舞囃子だけに絞ることで、流儀間の違いがより鮮明に見えた気がいたします。

ワキ謡を誰が謡うか、というのにも流儀の主張が感じられたりして、色々大変興味深く拝見いたしました。

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「安宅」の地謡では、やはり同世代の他の流儀に負けないようにと気合いが入りました。

お客様の感想など聞いてみたいものです。

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話題は全くガラリと変わってしまうのですが、私は先日の「満次郎の会」で今年最後のツレが終わって以来、ひたすらに歩いております。

今日は水道橋宝生能楽堂から渋谷セルリアン能楽堂まで歩いてみました。

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来年春に能「兼平」のシテがあるので、それまでに”勝修羅”のような強い身体になりたいと思うのです。

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それならば効率的に筋トレをするべきなのでしょう。

しかし私は、「歩く」という単純な行為がとても好きなのです。

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知らない道を歩きながら、無心になったり色々なことを考えたりします。

今週はこれまでに京都と東京の街を合計80㎞ほど歩いて、たくさんの風景に出会いました。

これから春まで、色々な土地をひたすらに歩いて身体を鍛えたいと思っております。

冬到来のサイン

今日は先週土曜日に引き続いて亀岡稽古でした。

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土曜日には実に鮮やかな紅葉が見られました。

今日同じ木の下に行ってみたのですが、早くも盛りは過ぎて、僅かですが色褪せて見えました。

季節は足早に移ろっていきます。

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稽古場のすぐ横には、見上げるような大銀杏が立っています。

昼過ぎに襖を閉めて稽古をしていると、襖の向こうで雨のように頻りに何かが降り落ちるシルエットが見えました。

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稽古の切れ目に襖を開けてみると…

辺り一面には、降り落ちた銀杏の葉が絨毯のように敷き詰められていたのです。

木々達も急ぎ足で冬支度をしているようでした。

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そういえば、昨日の深更に京大稽古を終えて百万遍から四条河原町の宿に歩く途中、冴えた冬の夜空に高く昇ったオリオン座と冬の大三角形を今シーズン初めて見ました。

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そして時間は更に戻って昨日夕方。

宿から京大稽古へと歩く途中、疎水の夷川発電所辺りでは…

冬空の下で水鳥達が羽を休めていました。

向こうに見える山は嵐山です。

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昨日と今日で、様々な”冬のサイン”を見つけました。

またあの京都の寒い冬がやって来たのだな…

と、しみじみ実感したのでした。

冬の純白、秋の真紅

11月最後の今日は亀岡稽古でした。

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朝に東京から新幹線に乗って、少しウトウトしかけた頃。

「ただ今車窓に富士山の全景がご覧いただけます」

という車内放送が入りました。

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この放送が入るのは富士山が綺麗に見える時です。

眼を開けて右手の車窓を眺めてみました。

すると…

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なんと今日の富士山は、山頂から麓近くまで殆ど白一色になっていたのです。

下半分は、雪というよりもカチコチに氷結しているように見えました。

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これは私が小学生の時に見た、今までの人生で一番綺麗な富士山に近い光景だと思われます。

長年にわたり、もう一度見たいと思っていましたが、ついに夢が叶ったのです。

非常に感動いたしました。

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そしてしみじみと「もう冬が来たのだなぁ」と思いながら亀岡稽古場に到着すると、なんと…

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亀山城址は眼が覚めるような紅色に染まっていたのでした。

特にこの紅葉は、明るい陽射しを浴びて眩いくらいに輝いて見えました。

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富士山の氷雪の純白と、亀岡の紅葉の真紅。

どちらもここ数日の厳しい冷え込みによって生み出された、冬と秋の絶景でした。

新しい月を眺めて

すみません今日は能にほとんど関係無いお話です。

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「E.T.」というスピルバーグ監督の映画があります。

私がまだ中学生の頃に上映されました。

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そのE.T.を、私は当時住んでいた高田馬場の古い映画館で観て非常に感動した覚えがあります。

主人公の少年がE.T.と一緒に自転車で宙を飛んで、背後に大きな月が浮かんでいるシーンが印象的でした。

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そして今日スマホで、そのE.T.の4分間だけの続編が作られたというニュースを知り、映像も観ることが出来たのです。

あの月と自転車のシーンなどもリメイクされており、再び感動いたしました。

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今日の夕暮れには、東京三ノ輪のビルの谷間に浮かぶ、新しく生まれた月を見ました。

その右斜め下の明るい星は木星でしょうか。

あの二週間前の満月から、京大宝生会の舞台の成功を経てこの月を眺められるのは幸せだと思います。

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次の満月は、まさにE.T.と少年が宙を飛んだ時期に当たります。

そしてその頃には次の舞台「関西宝生流学生能楽連盟自演会」が控えています。

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充実した稽古を経てその満月を迎えられるように、また頑張って稽古して参りたいと思います。

私はE.T.の存在を信じているので、いつの日か私の前にも現れてくれないかなぁと願っております。。

半袖に逆戻り

昨日は松本から東京西荻窪稽古に直行して、夜まで稽古しました。

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私は最近段々と歩く距離が長くなっており、昨日も西荻稽古の帰りに御茶ノ水で下車して三ノ輪までぶらぶら歩いて帰りました。

服装は松本稽古と変わらずなので長袖シャツ1枚です。

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夜の東京は松本と比べると暖かで、歩いている途中でちょっと汗ばむくらいでした。

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そして今日、水道橋での辰巳満次郎師の「あまねく会」申合のために家を出ようとすると、外の気温が意外に高いことに気がついたのです。

暑がりの私は、すかさず半袖シャツに着替えて家を出ました。

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それはやはり正解だったようで、街を歩く人達の多くは上着を脱いで、暑そうにして歩いていました。

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そして「あまねく会」申合でも、先輩能楽師の何人かは汗を拭き拭き謡っておられたのです。

もう明日から11月というのに、これはちょっと異常なのだと思います。。

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しかしこの週末には岩手県での「地水火風」の舞台があります。

流石に11月の岩手県です。

寒さを覚悟して行きたいと思います。

油断せずに…

今日は朝早くに水道橋に行き、「葵上」の稽古を一度だけしてすぐに帰ってきました。

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あとは部屋で台風19号に備えるのみです。

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去年の中国地方の豪雨の時や、先日の台風15号の時などには、その惨状をテレビで見て、被害が出来るだけ少ないように祈ることしかできませんでした。

私の住む東京にも、ついに”その時”がやって来るのでしょうか。

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停電した時の為などの一応の備えは昨日のうちに済ませました。

あとは松本澤風会の番組作りなどをしながら、台風の通過を待とうと思います。

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今日の名古屋での舞台が延期になってしまった仲間から、先ほど来春の代替日程のお知らせがありました。

仲間はもう失意から立ち上がって、前を向いて動き出していたのです。なんだか嬉しくなりました。

幸いに空いている日で、彼のリベンジを全力で応援したいと思います。

また詳細が発表されたら、このブログでもお知らせいたします。

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外はいよいよ風雨が強まってきました。

これから夜まで、油断せずに過ごします。

1000回目の投稿

2017年1月5日にホームページを開設して、同時にこのブログを書き始めました。

その日から、確か2回ほど休みましたがあとは毎日更新して、おそらく今日で1000回目のブログ投稿になると思われます。

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特に明確な目標も無く書き始めたブログが、ここまで続くとは自分でも驚くばかりです。

小中学生の時に何度か試みた”日記”などは、1週間くらいで挫折していました。。

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不思議に続くこのブログ、次は2000回を目指してこれからも淡々と書き続けて参りたいと思います。

今まで励ましのコメントを頂戴した皆様、誠にありがとうございます。今後ともどうかよろしくお願いいたします。

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またブログと並行して日々の稽古と舞台も続いていきます。

今日はこれから京大宝生会の稽古を頑張って参ります。