小説より奇なり…

今日は京都市北文化会館にて紫明荘組稽古でした。

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今回は京大若手OBOGが10人程も来てくれて、賑やかな稽古でした。

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3月7日の東京澤風会に出す素謡「東北」と仕舞の稽古をするOBさん達。

琥珀の会に向けた舞囃子「山姥」を稽古する金沢のOGさん。

修論を無事に提出して新しい仕舞「笹之段」を始めたOGさんなどなど。

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去年卒業して就職し、久しぶりに顔を見せてくれたOGさんは、昨年末にスケートで転んでそれから色々大変なことになった話をしてくれました。

予想外の展開で緊急入院したり、本当に大変だったようですが、今もうすっかり元気ということで安心しました。

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今日は稽古中に全く唐突に刑事ドラマのような捕り物劇があったりもしたのです。

なんだか「事実は小説より奇なり」という言葉を思い起こしてしまうような、ドラマチックな紫明荘組稽古だったのでした。

雪の日の舞台

今日は東京も雪が舞う寒い一日になりました。

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センター試験の日には何故か雪が多い気がします。

今年も何人か知っている高校生達が受験しているはずなのです。天候以外にも色々予想外のことが起こるのが入試ですが、どうか取り乱さず落ち着いて乗り越えてほしいです。

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私は水道橋宝生能楽堂にて開催の「五雲会」で能「春日龍神」の地謡を勤めました。

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五雲会の雪には思い出があります。

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私は初シテを舞った翌年、つまり平成18年の1月の五雲会で、人生2回目の能「花月」を舞いました。

その日が全国的に大雪で、都心部でも積雪があるほどだったのです。

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能楽堂の見所に来てくださったのは100人程のお客様でした。

普段に比べるととても少ない人数でしたが、むしろこの大雪の中を100人もの方々が五雲会を見るためにいらしてくださったのか…と、大変有り難く思いました。

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今日もとても寒い悪天候の中、沢山のお客様が宝生能楽堂にいらしてくださいました。

「花月」の時もそうでしたが、こういう日の舞台こそ一際大事に勤めねばと思い、頑張って「春日龍神」を謡わせていただきました。

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今日いらしてくださった皆さま、誠にありがとうございました。

2020江古田での稽古始め

今日は午前中に水道橋宝生能楽堂にて五雲会申合があり、私は能「春日龍神」の地を謡いました。

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それから江古田に移動して、夜までノンストップで稽古いたしました。

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江古田での稽古始めの今日は、ほぼ全員勢揃いで、そのうえ江古田でも新年から新しく稽古を始められた方がいらっしゃいました。

全国的に新しい会員さんが増える傾向で、有り難い限りです。

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色々話題もあるのですが、今日は終日全力モードでしたので、ブログは短めで失礼いたします。

虹の力

松本稽古始めから一夜明けて、今日は午後から亀岡稽古でした。

朝に宿を出て松本駅に向かったのですが、北アルプスの山々は雪雲に覆われてほとんど姿が見えません。

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特急しなのに乗って、木曽路を名古屋方面に向かいました。

すると途中でその雪雲が段々と下に降りてくるように見えました。

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やがてついに雪雲の中に入ったようで、外は雪が降りしきっています。

視界も悪くなり、実に寒々とした風景です。

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しかし、それから少しうたた寝をして目覚めると、特急はもう名古屋の市街地に出ていて、空はすっかり晴れていました。

なんとなくホッとして、新幹線に乗りかえて京都方面へ。

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ところが今度は米原あたりで再び怪しい天気になって、雨が降って来ました。

琵琶湖の向かいの比良山系や比叡山は、先ほどの北アルプスのように厚い雲に隠れています。

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京都に到着しても雨は止んでおらず、山陰線で亀岡に向かう間も先頭車両のワイパーはずっと動いていました。

困ったことに今日私は傘を持っていません。

「亀岡駅から稽古場まで、走るしかないかな…」

と覚悟を決めて電車に揺られていました。

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保津峡のトンネル地帯を抜けて亀岡盆地に入ると、驚くことに空の様子が全く変わっていました。

青空がのぞいており、どうやら雨も降っていないようなのです。

そして馬堀駅を過ぎて終点の亀岡駅に近づくにつれて、青空の範囲が見る見る広がっていきます。

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その時車内で、

「うわー、虹!」

という声が聞こえました。

「こんなに近くで見るの初めて…」

という声も。

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ハッとして外を見ると、新しく出来たサッカースタジアムのすぐ横の、手が届きそうなところに見事な虹がかかっていたのです。

画面からはみ出す程の大きな虹でした。

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能「石橋」クセの中で「虹」という言葉が出て来ます。

千丈に及ぶ深い谷に架かる”石橋”の有り様が、

「たとえば夕陽の雨の後に 虹をなせる姿」

のようだ、という内容です。

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そしてこの「虹をなせる姿」という部分を、何故かひときわ強い気迫を込めて謡うことになっているのです。

“虹”という自然現象には、人の心を高揚させる力がある気がします。

その”虹の力”が謡にも反映されたのでしょうか。

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今日の私は雨が上がった有り難さと虹を見た高揚感で、とても気分良く亀岡稽古場に向かうことが出来たのでした。

千客万来の松本稽古始め

今日は松本稽古場の2020年初稽古でした。

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いつも通りのスケジュールで、夕方から先ずは”ベテラン組”の皆さんの稽古を始めました。

仕舞と謡がちょうどひと通り終わろうとした頃に、稽古場の出入り口で何か小さな動きがありました。どなたかいらしたようです。

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“新人さん組”の方かな、と思って稽古を続けていると、出入り口から入って来られたのは何と新しい見学者のご夫婦でした!

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昨年末に「クチーナ西むら」さんでのランチの時にお隣に座って、少しお話しさせていただいたご夫婦です。

その時に一度稽古の見学に来たいと仰っていただいたのですが、早速いらしていただけるとは嬉しい限りです。

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稽古を見ていただき、少し仕舞の体験をして、さらに見学していただき…

という時間を過ごして、ご夫婦は帰って行かれました。

次回以降になんとか稽古を始めてくだされば良いな…と祈りながら見送って、再び稽古を始めて少しした頃です。

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また出入り口に動きがあり、なんと今度はキリリとした顔の少年とそのお母様が稽古見学にいらしたのです。

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少年は本当は”太鼓”に興味があったらしいのですが、仕舞の体験をしたところ眼を輝かせて嬉しそうに稽古してくれました。

こちらも是非稽古を始めてくれたら、今稽古している小学生3人にとっても良い仲間が増えると思います。

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というわけで、松本稽古場は新年早々千客万来で誠に有り難い限りです。

今年は稽古場開設10周年を迎えますが、ますます賑やかになっていくことを願っております。

少林寺拳法の護身術体験

今日は港区スポーツセンターにて、「魅せるスポーツ・美せる能」という催しに出演して参りました。

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辰巳満次郎師と、ロサンゼルスオリンピック体操金メダリストの具志堅幸司さんとのコラボレーションという大変興味深い企画です。

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午前中のリハーサルでは”少林寺拳法”の演武を見たのですが、これが凄い迫力でした。

防具をつけた選手と攻撃する選手が2人1組で演武するのですが、攻撃側の蹴りは完全に本気で、防具に当たると「ボコーン!」と大きく重い音がアリーナに響きます。

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ちょっとだけやってみたいと思いましたが、私ではあっという間に重傷を負いそうです。。

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催しが始まって、満次郎師と具志堅幸司さんの対談、能楽ワークショップと能「船弁慶」の実演があり、そこで我々能楽師の出番は終わりでした。

しかしプログラムを見ると、その後に「体操と少林寺拳法ワークショップ」とあったのです。

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これは是非とも参加してみたいです。

でももし少林寺拳法ワークショップの内容が先ほどの「ボコーン!」みたいなことだったら、静かに退場しようと思っていました

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…始まってみると、

「いきなり誰かに腕を掴まれた時に、それを上手く外す方法」

というようないわゆる”護身術”の体験で安心いたしました。

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「自分の腕の捻りによって、相手の腕の力を抜く」

という方法論は、普段身についた能楽の動きとは全く別次元の考え方で、大変勉強になりました。

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これで私も、突然腕を強く掴まれても即座に対応することが出来るようになった筈なのですが、そもそもそんなシチュエーションには出会いたくないものです。。

“初めて”尽くしの待謡

今日は大阪の香里能楽堂にて「七宝会」に出演して参りました。

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今年第1回目の七宝会で、私にとっては2020年の一番最初の舞台でもありました。

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その七宝会の最初の番組は舞囃子「志賀」です。

私はその地謡でしたが、左端に座っていたために冒頭のワキの「待謡」を謡うことになりました。

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本年初めての舞台である第1回七宝会の、初めの舞囃子の謡初めの役を仰せつかった訳です。

なんだか”初めて”がたくさん重なって、大変目出度い感じです。

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しかし逆に、「これは絶対に間違えずにきちんと謡わなければ!」と思いました。

そしてこの「志賀」という曲はあまり頻繁には出ない曲であり、その「待謡」を謡うのもまた”初めて”でした。

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…というような諸々の”初めて”が重なった結果、私は大変に緊張してしまいました。。

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こういう時は、たとえ短い待謡であっても長い一曲を覚えるくらいの最大限の努力をするしか無いと考えています。

なので今週に入ってからはずっと「志賀」の小本を持ち歩き、時間があれば待謡を呟いておりました。

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その甲斐あってか、本番はなんとか無事に謡い終えることができました。

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今年最初の舞台を無事終えて、ここからは次々と舞台が控えております。

今日の待謡のような緊張感を維持しつつ、今年の舞台も頑張って勤めて参りたいと思います。

披露宴での嬉しい再会

昨日の佐野弘宜さん結婚披露宴の時のことです。

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高砂の新郎新婦の後ろに友人達が並んで記念撮影をする時間になりました。

グループになって次々と入れ替わって撮影していきます。

あるグループの時に壇上をふと見ると、大半が知らない人でしたが中に1人だけ、どこかでお会いした顔がありました。

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すぐには思い出せず、「誰だったかな…」

と思いながら目の前の美味しいオードブルに顔を戻して、さあ食べようとしたところで、

「澤田先生!」

と後ろから声がかかりました。

振り返ると先ほどの壇上の方です。私はその声ですぐに思い出しました。

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このホームページを始めた頃に、京都で稽古していた男の子とお母さんがいて、そのお母さんのほうだったのです。

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元々佐野弘宜さんのお弟子さんで、お仕事の関係で京都に引っ越されたのを機に私の稽古場にいらしたのです。

その後また関東に帰られて、再び佐野弘宜さんの元で稽古をされていると聞いておりました。

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聞けば男の子もちゃんと稽古を続けていて、今は「胡蝶」の仕舞をしているとのことでした。

最初の頃のブログで、その男の子が「レッド五雲扇」を選んだことを書いたのです。

そして今でもその「レッド扇」で稽古してくれているそうです。

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お母さん「あの子が将来先生の大学のクラブに入ってくれたらと思っています!」

おお!12〜3年後の京大宝生会新入生候補ですね。

それはとても楽しみです!

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目出度い披露宴で思いもよらぬ再会があり、二重に嬉しい日になりました。

佐野弘宜さん結婚披露宴に出席して参りました

今日は宝生流若手能楽師の佐野弘宜さんの結婚披露宴に出席して参りました。

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虎ノ門のホテルオークラでの披露宴でした。

広大な会場に大勢の人々が列席する華やかな披露宴で、料理もとても美味しいものばかりでした。

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しかし、同じテーブルの東川尚史君は、何故かその美味しい料理に殆ど手をつけず、硬い表情をしています。

「どうしたの?」

と聞くと、

「…この後に、各テーブルを回って新郎関係者の祝福コメントをいただくコーナーの司会をするんだよね…」

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なるほど。それは緊張しますね…。

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その祝福コメントコーナーは、東川君の円滑な進行で和やかに終わりました。

テーブルに帰って来た彼は、別人のような晴れやかな顔になっていて笑ってしまいました。

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最後には、新郎新婦の産まれた時の体重と同じ重さのぬいぐるみを自分のご両親に渡す、というセレモニーがあり、色々な感謝の表し方があるものだと感心いたしました。

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去年「道成寺」の披きを無事に終えて、この度は御結婚された佐野弘宜さん。

人生の大きな節目を越えて、これからのますますのご活躍を楽しみしております。

目指せ最多人数更新

今日は午後から江古田で個人稽古の稽古始め、その後に田町に移動しての稽古始めでした。

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江古田では主に舞囃子の稽古をみっちりとして、夕方に終えて急いで田町稽古場へ。

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稽古場の引き戸をカラカラと開けると、中からはガヤガヤと、いつもよりもなんだか賑やかな声が聞こえてきました。

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田町の謡は団体稽古なのですが、今日から新しい方がまた1人稽古を始める事になったのです。

団体稽古は合計で7人になりました。

これは田町稽古場を始めてからの最多人数に並ぶ数字なのです。

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一時は人が少なくなって、稽古場存続が危ぶまれたこともある田町稽古場ですが、ここ2年ほどで着実に人が増えて参りました。

団体稽古の後も、元気の良い韓国人留学生さんや、自治医大の青年なども来てくれました。

結局稽古場が閉まる合図の”蛍の光”が流れるまで、密度の濃い稽古をすることができました。

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例年よりも活気を増して稽古を開始した田町稽古場です。

この勢いで、今年は最多人数を更新できればと思っております。