郁雲会澤風会初日終了いたしました。

おかげさまで郁雲会澤風会初日を無事に終えることが出来ました。

本日御出演いただきました皆様、また応援にいらしてくださった沢山の皆様、本当にありがとうございました。

また明日の2日目もどうかよろしくお願いいたします。

宝生坂に満月が昇りました。

いよいよ明日は…

明日に迫った郁雲会澤風会の前の、本当に最後の稽古を江古田でやって参りました。

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外に出ると、晴れ渡った夜空には大きな月が。

いよいよ明日は満月で、これまで長い時間かけて稽古してきた皆さんの舞台も、きっと満月のようにピッタリと丸く完成することでしょう。

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帰り道の夜風に混じって沈丁花の香りがしました。

秋の金木犀と春の沈丁花は、その季節の訪れをはっきりと知らせてくれて、私はどちらも好きな花です。

今日は早めに休んで、明日明後日は全力で頑張りたいと思います。

水道橋宝生能楽堂にて朝10時開始です。

皆さまどうかよろしくお願いいたします。

澤田宏司

もうひと頑張り

今日は朝10時から渋谷のセルリアン能楽堂にて、日曜日開催の崇宝会の申合→12時に終わって水道橋宝生能楽堂に移動して、郁雲会澤風会の会員さん達10人ほどと明後日の会の準備作業→16時に終えて、会の楽屋に出すお菓子を買いに行く→17時から秋葉原の行きつけの床屋で散髪→17時45分に散髪を終えて山手線で田町に移動→18時10分〜21時前まで仕上げの田町稽古。

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…というスケジュールで今に至ります。現在帰りの地下鉄です。

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そんなに動いた記憶も無いのですが、「万歩計アプリ」では1万2千歩くらい歩いたことになっています。

今日は帰ってからも、会に向けた作業が色々残っています。

会まであと2日、少しでも良い2日間になるように、私ももうひと頑張りしたいと思います。

自主練の成果

今日は松本稽古に行って参りました。

松本から郁雲会澤風会には、能1番、舞囃子1番、仕舞2番が出ます。今日はもちろんシテ全員が稽古に来られました。

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本番直前の稽古の時には大抵、「おお!前回よりも格段にうまくなっている!」と驚くのですが、今日も全くその通りでした。

能と舞囃子の方々は、先週の申合を踏まえてガッチリと稽古されたようで、申合で直した所がよく修正されていました。

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更に驚いたのが仕舞の2人です。

ひとりは小学生ながら稽古歴6年を超える女の子。そしてもうひとりは、御座敷での発表会では何度か舞っているものの、能舞台での仕舞は初めてという方でした。

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それぞれ、先月の稽古では不安定だった箇所がとてもスムーズになっていて、相当な自主練を積んで来たものと思われました。

実際女の子は、「上手くなったね。相当稽古してきたのでは?」と聞くと「うん!した!!」と満面の笑みで答えてくれました。

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稽古を終えて食事をしている時に、ある会員さんが「私は5年前の郁雲会35周年の時は、稽古始めたてで何もわからず、宝生能楽堂で大原御幸の能だけ観て帰ったのです」と仰いました。

確かに松本は、その頃はまだ稽古場を立ち上げてからそれ程日が経っておりませんでした。

それが僅か5年で、能や舞囃子や仕舞がどんどん出るようになったのです。

しかも今回、相当な自主練を積んで稽古に来られた熱心な皆さんを見て、5年後がまた楽しみになって参りました。

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皆さん申し分無い準備が出来ましたので、先ずは今週末の宝生能楽堂にて、どうか思い出に残る楽しく有意義な舞台を経験していただけたらと思っております。

北陸の春は遠く…

今日は郁雲会澤風会前の最後の京都稽古でした。

「先生ご無沙汰してすみません」

大雪の影響でJR北陸線が動かず、福井から見える会員さんがしばらくの間稽古に来られなかったのですが、今日は何とか来てくださいました。

しかし「サンダーバードが満席で、福井からずっと立って来ました」とのこと。それは大変なことでした。。

福井では昨日辺りからやっと生活が落ち着いてこられたそうで、気温が上がったこともあり、今日は人の移動が多かったのだと思われます。

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今日の京都は本当に寒さが和らいで霞がかかって、春を感じさせる陽気でした。

そこにもう1人、やはり北陸は金沢から若手OGが来てくれました。

OGさん「皆さん何故そんな春めいた格好を…?」

彼女は完全防寒装備で足元はスノーシューズでした。

とはいえ、冬の金沢では必携の「傘」は流石に持っていませんでした…と思ったら、「折りたたみ傘が鞄に入ってます。当たり前じゃないですか。」

失礼しました。。

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北陸の皆さんは、まだまだ雪や寒さで大変なことと思います。

1日も早く雪がとけて春が訪れることを祈っております。

申合の囃子の速さ

今日の江古田稽古では、一昨日の郁雲会澤風会申合で能や舞囃子を舞った人達が、早速その時に録音した音源を使って稽古をしました。

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申合の時には、基本的に囃子方は「正しい速さ」をキープして打つことになっています。

つまり、シテが間に合っていなくてもそのまま淡々と打ち続けて、足拍子のタイミングなどが合わない時には私がその場で素早く直したりするわけです。

極端な話、型が多少抜けたり間違えたりしたとしても、そのまま流して打っていただいて、全部終わってから私が直した方が良いのです。

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何故かというと、申合でシテに合わせて緩急を変えて打ってしまうと、その音源で稽古出来なくなってしまうからです。

今回の申合でも概ねそのように正しい速さで打っていただけたので、適切な速さの音源が録れたと思います。

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なので申合で早すぎたり遅すぎたりした人、型を間違えてしまった人も、申合音源であと1週間稽古して、それに合わせられるようになれば良いわけです。

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江古田稽古もあと残り1回になりました。

皆さん順調に手順を踏んで稽古されているので、次の稽古で最後の仕上げをすれば、当日は安心して舞台に臨んでいただけると思っております。

郁雲会澤風会申合が終わりました

今日は郁雲会澤風会の申合がありました。

ある意味で申合は本番よりも緊張します。

今日の申合の舞台を何とかくぐり抜けて下さった皆様は、きっとそれぞれ大変な思いをされたことと思います。

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あとはこの経験を踏まえて最後の調整をして、本番はどうか舞台を楽しんでいただければと思います。

短いですが今日はこれにて。

ズボンさんごめんなさい

今日はまたゆるいお話です。

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このひと月程の間に、稽古に使っているチノパンが2本も駄目になってしまいました。

どちらも右膝部分に穴があいてしまったのです。

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以前から私のズボンは例外なく「右膝部分」だけが先に傷んできます。

自分ではそんなに右膝だけに負担をかけている意識は無く、左右均等に使っていると思っておりました。

確かに仕舞を始める時の「下ニ居」の型では宝生流は右膝を突きますが、それだけでズボンに穴があくとは思えません。

不思議なことだと思っていたのです。

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それは大原での京大宝生会夏合宿の時のことでした。

私は夏合宿では、暑いので短パンで仕舞の稽古をしています。

「田村キリ」の稽古で、右膝を突いて下ニ居しながら引分をして、シテ謡「あれを見よ不思議やな」と謡いながら、右膝を軸に少しだけ回転する型がありました。

「不思議やな」とズリッと回転したところ、「いででで!」右膝が物凄く痛いのです。

檜舞台では滑りが良いので大丈夫なのですが、合宿所は畳なのでした。

「畳の上で右膝を軸に回転する」というのがこれ程までに強い摩擦を生むとは、驚きでした。

他にも「清経キリ」の後半で太刀をしまってから、やはり右膝を軸にツレへと向きを変える所などは、角度が大きい分痛さも「いでででででで!」と田村キリの倍くらいになります。

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この痛みを普段は右膝の代わりに、私のズボンが引き受けていてくれた訳です。

しかも私の稽古場は大半が畳敷きなのです。

「これはさぞかし痛かっただろう」と、ズボンに申し訳ない気持ちになりました。

そしてここ最近は郁雲会澤風会の稽古が多く、更に右膝部分を酷使してしまったので、何本かが耐えられなくなって破れてしまったのでしょう。

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今日も西荻稽古で、「ズボンさんごめんなさい!」と思いながら畳敷きの和室で稽古しました。

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因みに左膝を突くことが多い「金剛流」や「金春流」ではズボンは左膝から破けるのか、今度若手の友達に聞いてみたいと思います

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満月になるまでに

今日は郁雲会澤風会の申合前の最後の稽古を松本でして参りました。

能「巻絹」のシテ、ツレ及び、舞囃子「桜川」を稽古いたしました。

無事に終えて先ほど特急あずさに乗り、氷の張った諏訪湖を夕暮れの薄明かりの中に見ながら帰っております。

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今回の能4番と舞囃子7番も、今までのところほぼ予定通りの稽古が出来ました。

あとは申合で出た問題点を修正しつつ、最後の追い込みにかかるわけです。

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特急あずさの窓から見えるすっかり暮れた夜空には、剃刀のように細い月が昇っています。

一昨日が旧正月で新月だったので、今日は三日月になるのでしょうか。

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この月が満月になる時が、ちょうど郁雲会澤風会の本番の頃になるはずです。

ここから本番までは集中力が徐々に高まり、実は一番伸びる時期なのです。

月が満ちるのと競争するようにラストスパートしていただき、会員の皆さんが本番を満月のように完全な状態で迎えていただけたらと思っております。

その為に私も、一層気合を入れてこの2週間の稽古を駆け抜けたいと思います。

「グー」と「パー」

私は澤風会などの仕舞稽古の時には、出来るだけ情報を素早く伝える為に、表現を簡略化する傾向があります。

手の型を言う時は大抵「グー」か「パー」です。

「扇を取り直す型は、まず左手パー、右手グーで両手を横に開いて…」などという感じです。

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とは言え、勿論能楽の型における「グー」と「パー」はじゃんけんのものとは異なり、正確にやろうとすると意外に難しいのです。

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「パー」に対応する「手の平を開く形」で大事なのは、

①全ての指を揃える。(特に親指だけ離れている事が多く注意)

②指は真っ直ぐに伸ばす。(水を掬うように指が曲がっている人がいます。特殊な型を除いて殆どの型で、指は伸びている方が良いです)

③開いた手でサシをする時は、手の平を上に向ける。(自然にサシをすると手の平は下向き加減になりますが、頑張って上に向けます)

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また「グー」に対応する「手を握る形」はより難しいのですが、

①小指だけは力を入れて握る。

②親指を真っ直ぐに伸ばす。

③人差し指、中指、薬指は、力を入れずに軽く握り、特に人差し指は、親指の先端が前に出ないように軽く握る。

④指の間に隙間が空かないようにする。

これだけの事なのですが、

・親指に力が入って曲がっている人。

・小指の力が抜けて隙間が出来ている人。

・中指と薬指にも力が入って、人差し指との間に隙間が空き、親指の腹が見えている人。

などがよく見られます。

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バレエの手先の型も、厳密に決まっているようです。

フィギュアスケートでも、指先の表現まで重視されています。

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能楽は表現がよりシンプルなだけに、「手の形」は余計に目につきやすく、重要なのだと思います。

仕舞を見ていても、「構え」と「手の形」が正確で綺麗な人は、「この人は出来る…!」と思ってしまうのです。