昨日は全国的に記録的な暑さになりました。
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「関西宝連」が開催された大江能楽堂は、舞台と見所ではエアコンがよく効いて涼しかったのですが、楽屋の廊下はエアコンがありません。
廊下の気温計は午後には31℃を示していました。
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関西宝連の後半には、京大宝生会は素謡「清経」、仕舞「三輪キリ」、舞囃子「船弁慶」「春日龍神」、そして半能「高砂」とほとんど立て続けに出番がありました。
上回生は汗だくで舞台から帰って来て、廊下で更に大汗をかいてからまた舞台に出て行くという可哀想な有様でした。。
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来月末の全宝連の舞台では、熱中症にならないように充分な注意が必要だと思います。
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そして京都は今日も同じくらいの暑さでした。
私はその暑さの中、紫明荘組稽古のために「ゲストハウス月と」に向かいました。
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汗をかきながら「月と」に到着すると、いつもは閉まっている玄関の引戸が全開になっています。
「珍しいな…」と思いながら2階の和室に上がると、なんと2階の窓も全て全開になっていたのです。
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北側の窓から覗くと、向かいのゲストハウス棟の何ヶ所かの窓も同様に全開でした。
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最初少しの間は、「エアコンが恋しいなぁ…」と思ってしまいました。
しかし稽古を始めてみると、実に良い風が和室を通り抜けていくことに気づいたのです。
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和室だけでなく、「月と」全体を爽やかな風が吹き抜けているようでした。
宿泊客が窓辺に椅子を出して、風に吹かれて読書をする姿がとても心地好さそうに見えます。
昔ながらの日本家屋の”自然と共生する力”を改めて実感しました。
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また、窓を開けることで思いもよらぬ効果がありました。
仕舞の稽古をしていると、全開の窓の向こうに丁度”丸太町通”が見えます。
そしてその丸太町通の向こう側の歩道を歩く人々が、結構な確率でこちらを興味深げに眺めていくのです。
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確かに、古民家の窓から扇を持って舞う人が見えるというのは、京都らしい風情ある景色なのでしょう。
中にはわざわざ立ち止まって見ている人までいました。
窓を開けるだけで、良い宣伝効果が得られたわけです。
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夕方になると気温も少し下がって来て、風は一層気持ち良く吹いて来ます。
結局1日エアコンを使わずに、実に健康的な稽古日になりました。
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流石に真夏には難しいと思いますが、これからも「月と」では可能な限り窓を開けて稽古して、日本家屋の良さを味わいたいと思います。