澤風会郁雲会再延期・五雲会延期のお知らせ

東京などについに緊急事態宣言が出されたようです。

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この状況を受けて、5月9日に延期した「第7回澤風会郁雲会大会」を、再延期させていただくことにいたしました。

再延期日程は、このコロナウイルスが沈静化した時点で決めたいと思います。

何とか夏頃には開催したいと考えております。

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また今月18日に予定されていた「五雲会」も夏に延期になりました。

能「兼平」もしばらくお預けです。

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澤風会郁雲会再延期のお知らせを各地の会員さんにメールしたところ、田町の会員さんよりの返信に古歌が書いてありました。

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ながらへば またこの頃や しのばれむ

憂しと見し世ぞ 今は恋しき

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この先数ヶ月をとにかく無事に乗り切って、

来年頃には「あの時は大変でしたね!」

と皆さんで集まって話せるようにしたいものです。

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そのために、色々な感染防止対策を一層丁寧にして参りたいと思います。

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マスク着用での仕舞稽古

コロナウイルスは未だに全く衰えを見せず、澤風会稽古は休止状態が続いております。

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今週は澤風会以外の仕事で少しだけ稽古をいたしました。

その時に、

「マスク着用での稽古」

というのを試してみたのです。

澤風会稽古が再開したら、暫くはマスク着用で稽古しようと思っているので、その試運転です。

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謡の稽古はほとんど違和感なく出来たのですが、問題は仕舞稽古でした。

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私は普段の稽古では、

「地謡を謡いながら会員さんの斜め前で一緒に舞い、更に地謡の合間に素早く注意点を言う」

というやり方をとっています。

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これをマスク着用ですると、あっという間に息が上がってしまいました。。

これはちょっと厳しいかな…

と挫折しかけました。

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しかし何とか頑張って稽古を続けていると、だんだんとコツが掴めてきました。

①息の量は通常よりも少な目にして節約すること。

②マスクで声がくぐもるので、調子は通常よりも高くすること。

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これらの点を心がけて稽古をすると、舞囃子の稽古も無事にこなす事が出来ました。

マスク着用稽古の目処が立って、少しホッといたしました。

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来たるべき澤風会稽古再開に向けて、今出来る準備をコツコツとしておきたいと思います。

葵上終了いたしました

五雲会にての能「葵上」は、おかげさまでなんとか大過なく終了いたしました。

お越しいただいた沢山の皆様誠にありがとうございました。

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すみません、詳細はまた明日以降に書かせていただきます。

今は放心して何か抜け殻のような状態になっております。徐々に現実に戻って参りたいと思います。

飴ちゃん

今日はまず午前中に大山崎稽古でした。

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朝9時前に京都駅近くの宿を出ると、カッと照りつける陽射しと、ちょっと息苦しい程の熱気に包まれました。

やはり近畿は梅雨が明けたようです。

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蝉時雨の中で汗をかきかき坂を登って稽古場の宝寺に辿り着き、午前中いっぱい稽古をしました。

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そして少し休憩して、夕方から今度は枚方市に移動して社会人向け能楽体験教室でした。

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前回はまだ稽古がそれほど進んでいなかったので、お2人ずつの仕舞稽古をしました。

しかし今日はもうお1人ずつ、作法も含めて本番に近い形での稽古です。

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17時半から稽古を始めて、水を飲む時間も省略して20時半まで完全にノンストップで23人の方々を稽古させていただきました。

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最後の2人はお母様と高校生の娘さんでした。

前回はお休みだったとのことで、娘さんの方は仕舞「国栖」がまだ最後まで終わっていませんでした。

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「回り返し」などの型の予習を少しして、「国栖」を最初から最後まできっちりと稽古しました。

私「今日最後まで出来たから、もう大丈夫です。家でおさらいしてくださいね」

高校生の娘さんは照れたような微笑みを浮かべるばかりで、恥ずかしそうにしています。

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やはり難しい年頃だなぁ…と思いながら、私は自分の荷物の所に行き、帰り支度のために下を向いて足袋を脱ぎ始めました。

…すると、目の前に誰か人の立つ気配が。

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目を上げると、娘さんです。

質問かな?と思いかけたところで、私の前にサッと手が差し出されました。

掌の上にはイチゴ味の「飴ちゃん」が。

私「なんと!どうもありがとう!」

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そして娘さんは、枚方市のスタッフの方々の所にも駆け寄って、やはり「飴ちゃん」を配っていきました。

稽古場の雰囲気が一気に和んだのは言うまでもありません。

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私は普段飴をほとんど口にしないのですが、今日の「飴ちゃん」はなんだか1日働いたご褒美のようで、すぐその場で有り難く口に入れました。

少々くたびれた体に沁み透るような美味しさでした。

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一粒の「飴ちゃん」に救われる1日もあります。

また明日からも頑張って進んで行こうと思います。

2019全宝連第1日目

今日は京都金剛能楽堂にて、全宝連第1日目が盛大に行われました。

今回の全宝連も一日中熱い舞台で、京大宝生会を含めて見処はたくさんあり、素晴らしい会になりました。

実行委員の皆様本当にありがとうございます。

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すみませんまだ明日もありますので、今日は短めで失礼いたします。

明日もより一層熱い舞台を期待しております。

亀岡の花々〜弁慶と静御前〜

今日は亀岡稽古でした。

亀岡駅に到着すると、気温は今日も高めですが風は乾いていて、気持ちの良い暑さでした。

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稽古場に到着して、杜若がすっかり散ってしまったお濠の横を通り過ぎようとすると、急に「ドボン!ドボン!」と大きな水音がいくつもして驚きました。

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お濠を見ると、水音の主が一匹だけ残っています。

大きな亀さんが文字通り「甲羅干し」をしていたのでした。

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今日先ず目に付いた花は「ホタルブクロ」

でした。

「カンパニュラ」と「カムパネルラ」の事を書いたのは去年の今頃だったでしょうか。

毎年見る花を基準にすると、1年が経つのは本当に早いと思われます。

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こちらは白いホタルブクロ。

ちなみに稽古後に、お濠の蛍が出ていないか探したのですが、今年はまだのようでした。

蛍袋に蛍を入れてみるのは、今年も難しいでしょうかね…。

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この花は「夏蠟梅」だそうです。

「ロウバイ」は冬に黄色い花がたくさん咲いているのを毎年何処かで見ます。

こちらの「夏ロウバイ」は、ロウバイより大きめの薄桃色の花で、花の数はロウバイよりもかなり少なかったです。

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この花の中国名が「シャラメイ」というらしく、「沙羅双樹」と何か関わりが無いか調べてみたのですが、ちょっとわかりませんでした。

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この鉢植の花は、名前が「リュウキュウベンケイソウ」だそうです。

漢字変換すると「琉球弁慶草」。

ベンケイソウの仲間は、丈夫で生命力が強いことから「弁慶」の名を冠することになったとか。

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しかしながらこの「リュウキュウベンケイソウ」は、地元沖縄では絶滅危惧種だそうです。

沖縄では1月頃には咲くというこの花を、5月末の亀岡で初めて見るとは何だか不思議でした。

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見つけた時に「線香花火の最後の火花みたいだ」と思ったこの花は「オオメノマンネングサ(大雌の万年草)」。

こちらも偶然にも「ベンケイソウ」の仲間でした。

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そしてこの「オオメノマンネングサ」のすぐ隣に咲いていたのが、なんと…

「オダマキ」の花だったのです。

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「しずやしず しずのおだまき くりかえし むかしをいまに なすよしもがな」

静御前が頼朝の前で詠んだという和歌です。

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「弁慶草」の仲間の隣に、「静御前」の和歌を思い出させる「オダマキ」が咲いているとは、これまたなにか不思議な因縁を感じてしまいました。

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今日はこの辺で失礼いたします。

3大学合同「高砂」稽古

今日は夜に大阪の香里能楽堂で、土曜日開催の「七宝会」の申合がありました。

私は能「天鼓」の地謡を勤めました。

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その申合が終わって切戸から出ると、楽屋にはたくさんの大学生達が待っていました。

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来たる5月25日には、「第120回京宝連」にあたる「関西宝生流学生能楽連盟自演会」が大江能楽堂にて開催されます。

そして京宝連120回を記念して、京都女子大がシテ、同志社大と京大が混合で地謡を謡う祝言半能「高砂」が演じられるのです。

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今日はその「高砂」を、七宝会申合の後に満次郎師に稽古していただく日だったわけです。

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京女、同志社、京大の学生達が協力して作り上げる「高砂」の舞台。

今日の稽古ではそれぞれの大学を指導する能楽師3人も、同じく協力体制を組みました。

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同志社大を指導する山内崇生さんはワキの謡を。

京女を指導する石黒実都さんは笛の唱歌を。

そして京大を指導する私が太鼓をあしらって、総監督の満次郎師に稽古をつけていただいたのです。

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結果は「大体よろしい」と満次郎師に言っていただけました。

あとは申合を経て、本番までの2週間でより完成度を高めていければと思います。

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「高砂」以外にも、勿論京阪神各大学から多くの仕舞、素謡、舞囃子が出る今回の「関西宝連」。

皆様5月25日には是非京都大江能楽堂にお越しくださいませ。

素盞嗚神社の桃まつり

今日は北千住に用事があり、時間に余裕があったので三ノ輪の自宅から歩いていくことにしました。

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千住大橋の手前にある「素盞嗚神社」は、これまで何度かブログにも書きましたが、平安時代からの由緒ある神社です。

行くたびに意外な表情を見せてくれる場所なのですが、やはり今回もそうでした。

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神社の前を通りかかると、「桃まつり」という看板があったのです。

境内に入ってみると…

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正に見頃を迎えた満開の桃の花が迎えてくれました。

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毎年4月初めの松本稽古への道中で、特急あずさの車窓から甲府盆地の桃の花は楽しんで来ましたが、間近でゆっくりと見る桃の花は実に久しぶりです。

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境内には様々な種類の桃が咲いていました。

同じ木に紅白の花が咲いているもの。

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枝垂れになっている木。

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花びらが紅白の斑らになっているもの。

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“源平”、”矢口”など色々名前がついていると後で知りました。

次の機会には名前もチェックしたいと思います。

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そして境内にはもうひとつ、驚くものがありました。

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数ヶ所に分かれて、何千という数の「雛人形」が飾ってあったのです。

由来は上の写真に書いてある通りですが、3月3日の”雛祭り”は過ぎていても、むしろ今満開の桃の花に囲まれた雛人形達は、どこか嬉しそうに見えました。

カメラを構えると何やら恥ずかし気な雰囲気だったので、お人形さん達の写真はちょっと控えました。

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桃の花はまだまだこれから咲くものも多くありました。

お近くの皆様は、もしお時間があれば今週から来週頃に素盞嗚神社を訪れることをお勧めいたします。

2019年式能に出演して参りました

今日は国立能楽堂の「式能」に出演して参りました。

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「式能」は、江戸幕府の儀式として執り行われていた能楽の形式を踏襲した舞台です。

「翁」から始まって、能が5番に狂言が4番。

朝10時始曲で、最後まで観ると19時半までの計9時間半かかるという長大な催しなのです。

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シテ方五流総出演で、毎年五番立てを各流儀が順番に演じていきます。

今年の宝生流は「三番目」の順番で、能「祇王」が演じられました。

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この「祇王」という曲は”中入”の装束着替えが忙しいので有名な曲です。

私の内弟子の頃からの経験でも、能「来殿」、能「鳥追」と並んで、「祇王」の中入では楽屋がてんてこ舞いの慌ただしさだった記憶があります。

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今日もやはり中入の間狂言が予想以上に短く、地謡座から見ていると幕の横の簾から楽屋の慌ただしい雰囲気がわかりました。

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その「祇王」も先ほど無事に終わりました。

まだ式能は続いておりますが、私達宝生流は一足先に国立能楽堂を後にしました。

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昨日の五雲会での能「船橋」と、今日の能「祇王」。ともに地謡がなかなか覚え辛く手強い曲でした。

これらをまた脳内から消去して、今週末の土曜日の「京都囃子方同明会」と、日曜日の「七宝会」に向けて頭を切り替えていこうと思います。

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国立能楽堂シリーズ無事終了

国立能楽堂での「若手能」本番が先ほど無事に終わりました。

私の今週の5日間にわたる”国立能楽堂シリーズ”も一段落です。

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国立能楽堂においては、終演後に最後の演者が舞台からいなくなる時までは拍手をしない、というマナーが徹底されています。

確かに、最初の演者が揚幕もしくは切戸から出た瞬間に舞台が始まり、能が終わったその後に演者が全員揚幕か切戸に入るまでは舞台は続いているのです。

能の余韻を楽しむという点でも、理にかなっているマナーだと思います。

今日の能「春日龍神 白頭」でも、私が切戸に入ってから鏡の間にまわって、シテとワキに挨拶をする頃にようやく拍手が聴こえてきました。

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今日嬉しかったのは、国立能楽堂を出る際にお客様に呼び止められて「いつもブログを楽しく読んでいます!」と言っていただけたことでした。

よく見知っている身内の人以外に、私のブログを読んでくださる方がいらっしゃるとは本当に有り難いことです。

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嬉しい気持ちになって国立能楽堂を出て、私は浅草で催されている「京大宝生東京OB会新年会」の後席にと向かったのでした。

その模様はまた改めて。