私は月に一回、伊豆でも稽古をしております。
稽古場に向かうには、新幹線で三島まで行ってから伊豆箱根鉄道に乗り換えます。
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今日はある目的があって、その伊豆箱根鉄道の「原木」という小さな駅で途中下車をしました。
2本先の電車が来るまでの40分間だけ、短い散歩です。
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「原木」と書いて「ばらき」と読むこの無人駅で最初に途中下車したのは、もう何年も前の夏だったと記憶しています。
窓から見える夏の田んぼの風景が実に懐かしく、ちょっとだけその中を歩いてみたくなったのです。
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次に途中下車した時には、逆方向の西へと歩いてみました。
すると10分ほどで「狩野川」に出て、そこに架かる大きな橋から富士山がとても綺麗に見えました。
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という訳で、特に有名な見所も知らず、全く縁もゆかりもなかった「原木」は、何故か私の季節ごとの短い散歩コースになったのです。
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今日は狩野川方向に歩いたのですが、雨が近づいていて富士山は厚い雲に覆われていました。
しかし河川敷では久しぶりに「雉」の姿を見かけました。
一応写真中央にいるのが雉なのですが、「幻の生物」みたいですね。。
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そして土手には「土筆」が。
更に歩くと、「ぺんぺん草(ナズナ)」の大群落を見つけました。
これだけあると、盛大にシャラシャラして遊びたくなりますが、時間が無いのでまたの機会に。
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いよいよ目的地の近くなのですが、一昨年以来なのでなかなか見つかりません。
周りはありふれた住宅街で、目立つ目印などは無いのです。
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しかし、家々の間からようやく見つけました。
これは隙間から見た姿。
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その家と家の隙間を抜けると、ポッカリと開けた空き地があり、その真正面には…
一昨年の原木散歩中に、この見事な枝垂れ桜を偶然見つけました。
樹高10m弱、枝張りはゆうに10mを超えると思われます。
由来を物語る札なども一切無く、この空き地もおそらく私有地で、もしかしたら見つかると怒られるかもしれません。
しかしこれ程の大きさの枝垂れ桜を、人気の全く無い空き地で一人眺めるというのは何とも贅沢な話です。
暫し息を潜めて、電車の時間ギリギリまで眺め入りました。
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2年前に見たこの桜の姿が忘れられず、しかし去年は時期を逃して悔しい思いをしました。
そして今年、ようやくまた再会出来たという訳なのです。
まだ8分咲きで、蕾もありました。
今週の雨をどうか乗り切って、満開の花を咲かせてほしいものです。
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そして来年もまた春の原木散歩で、この枝垂れ桜に密かに会いに来たいと思います。