横浜での京大宝生OB会へ

今日は水道橋宝生能楽堂での「文月能」にて能「熊坂 床几之型」の地謡を勤めました。

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そして夕方に舞台を終えて、すぐに電車で横浜に向かいました。

今日は平行して「京大宝生OB会全国大会」が、横浜能楽堂にて開催されていたのです。

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参加者名簿を拝見すると、1961年卒の大先輩を筆頭に2015年卒の若手まで、30人以上の京大宝生会OBOGが集まっての舞台だったようです。

私は残念ながら今年は宴会のみの参加でした。

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毎年の事ながら、世代を超えたOBOGが全国から集合して、1日中賑やかに謡ったり舞ったりするのは素晴らしい事です。

今日は50数年前に学生能で演じられた能「蟬丸」の役をそのまま再現した素謡「蟬丸」が大変良かったと伺いました。

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皆さんそれぞれが普段から熱心に稽古を積んでおられるので、年々レベルが上がっているのもこの京大宝生OB会の大きな特徴です。

またこのような確りとした母体があることで、卒業して少し稽古から離れてしまったOBOGも、また仕事などが落ち着いたらいつでも帰って来られるのが何より素晴らしいことだと思います。

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先週末は現役達の元気な全宝連の舞台があり、今週はそれに負けない盛大なOB会がありました。

京大宝生会の「現役」と「OB会」の両輪が、この先も揃って順調に回り続けていくように、私も微力ながらお手伝いして参りたいと思います。

後半戦の舞台に向けて

私自身のシテ「鵜飼」と学生の「全宝連京都大会」という、いわば上半期の総決算の舞台があった6月が、昨日で無事に終わりました。

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今日から早くも今年の後半が始まります。

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土日の全宝連では、各大学が既に今後の舞台に向けて動き出しているというのを知りました。

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名古屋と金沢では、来年の年明けの学生自演会でそれぞれ奇しくも同じ「羽衣」の能を出すことがレセプションで告知されました。

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さらにこれは昨日の能「船弁慶」の時のこと。

義経を勤めた学生さんに烏帽子をつけながら、「今年は装束を着る機会は今回だけ?」

と聞いてみたのです。すると学生さんは眼をキラリと光らせて、

「いえ、秋の自演会でもまた着ます!」

と気合いに満ちた返事でした。

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そして我が京大宝生会も動き出していました。

全宝連終了後に、金剛能楽堂前で現役達に最後の挨拶をして、東京に帰ろうとした時のことです。

部長「先生、7月13日にBOXの使用が可能になりました。”竹生島”の最初の稽古をよろしくお願いいたします。」

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実は京大宝生会は、この秋の11月26日に開催される京大能楽部自演会「能と狂言の会」にて、能「竹生島」を演じることになっているのです。

その最初の稽古を、いよいよ来月から始めることになりました。

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ここ数年で能「巻絹」→能「経政」と積み重ねて来た経験を活かして、次の「竹生島」がどんな能になっていくのか。

そしてその本番までにどんなドラマが待っているのか。

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昨日一昨日の全宝連を経て、それぞれが大きく成長を遂げた京大宝生会です。

またそれは全国の学生さん達も同様だと思います。

頑張る全国の皆さんの姿を想像しつつ、京大宝生会は今年後半戦も充実した舞台を目指して参ります。

2019全宝連無事終了いたしました

今日も金剛能楽堂にて全宝連の第2日目が開催され、盛会のうちについ先ほど幕を閉じました。

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見所は終日大勢の学生とお客様で賑わい、おかげさまで最後の鑑賞能もほぼ満席になりました。

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昨夜のレセプションでは全国の各大学の部長から部の紹介がありました。

その中で、今年の新歓で10人近くの新入生が入った学校が金沢支部、名古屋支部、京都支部で3校もあり、それらの大学は全体人数が20〜25人になったそうです。

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他にも、部員が2人だけになっていたのが今年の新歓で人が入って、存続の危機を乗り越えたという学校もありました。

現在部員が少ない学校も希望を持ち続けてほしいと思いました。

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舞台では、京大宝生会は幸いに全員ミスも無く、稽古の成果を充分に発揮出来たと思います。

他にはやはり東大宝生会が良い舞台でした。先日の水道橋での関宝連から、更に稽古を積んでレベルを上げてきたのがわかりました。

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そして同志社宝生会の素謡「玉葛」は、舞台からはみ出すほどの20数名の大人数ながら、男女で良く声が揃っていました。

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逆に、シテ1人に地謡1人という最小人数の仕舞も何番かありましたが、それぞれ安定した舞と謡で感心しました。

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仲間の人数や、部を取り巻く環境がそれぞれ異なる中で稽古している学生達が、同じ舞台に集まり2日間にわたって時間を共有する。

これは実に尊いことだと思うのです。

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今回の全宝連でも、他大学の舞台を見て「上手いなあ」と思ったり、「良い曲だなあ」と舞いたい曲候補が増えたり、「頑張っているなあ」と励まされたり、色々な想いが心に刻まれたはずです。

中には人生を変えるような出会いもあったかもしれません。

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そのような貴重な舞台である「全宝連」が、発展傾向の中で今年も無事に開催できたのは本当に喜ばしいことです。

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この盛り上がりを引き継いで、来年の金沢大会も、またそれ以降もこの全宝連がますます発展していくことを願っております。

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実行委員始め学生の皆さん、全宝連京都大会の大成功おめでとうございます。

2019全宝連 舞囃子申合

今日は、今週土日に京都金剛能楽堂にて開催される「全国宝生流学生能楽連盟自演会」の舞囃子の申合がありました。

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今回の全宝連京都大会では、例年よりも多い6番の舞囃子が演じられます。

今日はこのうちの同志社大学「安宅」、京都大学「雲雀山」、甲南女子大学「加茂」、神戸大学「小袖曽我」の申合をしたのです。

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荒い曲、柔らかい曲、中之舞に男舞、ハタラキに相舞と、多様な曲がバランス良く並びました。

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令和になってから早くも3番目の舞囃子「雲雀山」に精力的に取り組む京大宝生会。

全宝連委員長自ら舞囃子「安宅」のシテを勤める同志社大宝生会。

女子大で唯一の舞囃子「加茂」を華やかに演ずる甲南女子大宝生会。

復活後初めての舞囃子「小袖曽我」に挑戦する神戸大宝生会。

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そしてそれら関西の大学に加えて、金沢大学からも舞囃子「葛城」と「鞍馬天狗」が出る予定で、この2番は囃子方の一部を金大宝生会の学生さんが受け持ちます。

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舞囃子への向き合い方にも、各大学のカラーが出ていて面白いのです。

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それにしても、今日のように4つの大学の宝生会が揃って舞囃子申合をするという賑やかな光景は、私の30年来の記憶にも無いほどです。

これは人数が増えたことは勿論ですが、関西の学生宝生流の地力が上がって来たことの現れだと思われます。

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これらの舞囃子だけでなく、たくさんの仕舞、素謡なども出る「全宝連京都大会」は、

6月29(土)30(日)の両日、金剛能楽堂にて午前11時開始です。

30日15時からは各大学を指導する能楽師による鑑賞能「船弁慶 後之出留之伝」が演じられます。

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全国各地で能楽宝生流を学ぶ学生達が一堂に会して、日頃の稽古の成果を披露する全宝連京都大会に、皆様是非応援にいらしてくださいませ。

どうかよろしくお願いいたします。

立体的な同窓会

今朝京都に移動して、昼前からゲストハウス「月と」にて紫明荘組稽古をしました。

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日曜日なので、京大宝生会若手OBOGが大勢来てくれました。

夕方に8人で「絵馬」の謡を稽古して、今日の稽古を終えると、何人かで晩御飯を食べに行きました。

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なんとなく見ていると「若手OBOG」という一括りに見えてしまう彼らです。

しかし中華料理を食べながら話し始めると、それぞれの現役時代にあった舞台や部活でのエピソードが次から次へと溢れるように出てきます。

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私が京大宝生会の仕舞を教え始めたのは約22年前。

その時に現役だった人から、つい一昨年に卒業したばかりの人までが一つのテーブルを囲んでいるのです。

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溢れ出るエピソードの大半は私も知っている出来事なので、一緒になって大笑いしました。

何か20年分の立体的な同窓会に参加しているようで、懐かしく幸せなひと時を過ごしました。

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しかし単なる同窓会と違うのは、彼らが現在進行形でモリモリと稽古していることです。

過去の思い出だけでなく、この次に計画している大稽古会の話でも大いに盛り上がりました。

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今後この立体的な同窓会は、新しい舞台経験を積み重ねてより豊かなものに発展していくと思います。

彼らの成長を見て行くことができるのは、私にとって何物にも代え難い喜びなのです。

自治医科大学能楽部との初顔合わせ

一昨日の五雲会には、新しく出来た「自治医科大学能楽部」の学生さんと顧問の先生が観に来てくれました。

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京大宝生会から今春自治医科大学に転学して、2ヶ月で能楽部を立ち上げた青年も勿論来てくれて、終了後には京大宝生会の現役やOBと一緒に食事をしました。

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「僻地医療」を目的とした自治医科大学。

これまでに唯一、私が出会った自治医大の関係者は石川県出身で、卒業後に能登半島の先、日本海に浮かぶ絶海の孤島に数年間赴任したと聞きました。

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一昨日聞いた話では、自治医大では6年間の大学生活の後に、9年間の出身都道府県での医療勤務が待っており、その勤務地の大半が僻地なのだそうです。

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東京芸大1年生の、能楽師の卵の青年もその食事に来ていました。

私「我々は、芸大4年間の後に水道橋での内弟子10年間なのだから、大分恵まれているよね」

青年「そうですね、ははは…💧」

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そのような厳しい修行(?)への覚悟が出来ているからか、自治医大の学生さん達は若いのに肝が据わっている雰囲気で、また人間的にとても魅力的な人ばかりでした。

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笑ったのが自治医大での飲み会の話です。

酔い潰れた学生が出ると、「台車持ってこ〜い」と言って、台車に載せて運んでいくそうなのです。

私「医大なのに、担架じゃないんだ?」

自治医大生「ええ、だって担架はエレベーターに入らないですから」

成る程。

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そして、酔っ払いを介抱するのは皆医療の心得がある人達なので、まず心配は要らないということでした。

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このように、京大とも芸大とも全く違うカラーを持つ自治医科大学に、新たに能楽部が出来たわけです。

今後彼らが宝生流の稽古を始めてくれて、その活動がもしかしたら僻地医療の赴任先にも広がっていけば、とても素晴らしいことだと思うのです。

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それはまだ遠い目標ですが、今回の五雲会での初顔合わせはとても有意義な第一歩になった気がします。

自治医科大学能楽部の皆さん、今後ともどうかよろしくお願いいたします。

記憶に残る日にするために

私が能「鵜飼」のシテを勤める「五雲会」が、いよいよ明日本番を迎えます。

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今回は澤風会郁雲会の皆さんに加えて、京大宝生OB会の方々、また京都からは京大宝生会現役達、そして松本から、仙台から、青森からも、合わせて50人を超える知己の方々が観にいらしてくださる予定です。

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そして驚いたことに、15年前に京大宝生会で能「鵜飼」のシテを舞ったOBが、ドイツから今回の私の「鵜飼」に合わせて一時帰国して観に来てくれることになりました。

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さらに。

京大宝生会から今春自治医科大学に転学した青年が、早速能楽部を立ち上げた話を先日ブログに書きました。

その自治医科大学能楽部員と顧問の教授が、明日初めて宝生能楽堂にやって来るというニュースもあるのです。

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明日は色々な意味で記憶に残る日になることでしょう。

でも先ずは能「鵜飼」の舞台を無事に勤めることが第一です。

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今朝は渋谷のNHKに行き、ラジオ録音で「采女」の地謡を謡いました。

その後に水道橋に行き、昨日の申合で御指摘いただいた点をいくつか修正するための稽古をしました。

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胴着など明日必要なものの準備も終わって、あとは静かに本番を待つばかりです。

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皆様明日はどうかよろしくお願いいたします。

良きライバル心

今日は夕方から京大宝生会の稽古でした。

先月の「関西宝連」以来の稽古になるので、ちょっと久しぶりの京大BOXでした。

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稽古の前に、一昨日に水道橋宝生能楽堂にて開催された「関東宝生流学生能楽連盟自演会」通称「関宝連」の感想を少しだけ話しました。

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東大の無本の素謡「葵上」が非常にハイレベルだったこと。

やはり東大の最後の舞囃子「敦盛」がとても良い舞台だったことなどなどです。

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東大宝生会の皆さんは、実は昨年末の関西宝連で京大宝生会が出した能「経政」をわざわざ東京から観に来てくれたのです。

勿論京大宝生会の面々はその東大さんの熱意を覚えていて、今回東大宝生会のレベルが高かったという話を聞くと

「うおお…!」

と感嘆の声を上げました。

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そしてなにかメラメラとやる気が燃え上がるのが見えたような気がしたのです。

ライバル心というやつでしょうか。

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稽古を始めてみると、大半の学生が関西宝連から仕舞を変えてきていました。

それにもかかわらず、皆ほぼ八割がた仕上がっていたのです。

関西宝連からわずか2週間で、しかも自分でここまで稽古してくれるとは嬉しい驚きでした。

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本番の全国宝生流学生能楽連盟自演会は、6月29、30日の朝11時より京都金剛能楽堂にて開催されます。

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東大さん始め全国から集まるたくさん学生さん達と、それをお迎えする関西の学生達。

先ほども書きましたが、良いライバル心は上達に繋がると思います。

色々な大学の舞台を観て、お互いに大いに刺激し合ってくれることを期待しております。

能「鵜飼」に向けて

今日は水道橋宝生能楽堂にて「月並能」の申合がありました。

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その後に来週土曜日開催の「五雲会」の稽古があり、私は能「鵜飼」のシテを勤めるのでその稽古を受けました。

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「鵜飼」という曲は、私が京大宝生会を指導するようになって初めて教えた能なので、とても思い出深いものがあります。

その時の事は去年2018年5月11日のブログに詳しく書きました

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当時数十回は稽古を重ねました。

その時の蓄積と、それから現在までの経験を掛け合わせて、今の私なりの「鵜飼」を舞台に出せればと思っております。

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京大宝生会の「鵜飼」でシテを勤めたOBが、もしかして見に来られるかも…という話もあり、とにかくまだまだ頑張って稽古して、良い舞台にしたいと思います。

風に吹かれて…

昨日は全国的に記録的な暑さになりました。

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「関西宝連」が開催された大江能楽堂は、舞台と見所ではエアコンがよく効いて涼しかったのですが、楽屋の廊下はエアコンがありません。

廊下の気温計は午後には31℃を示していました。

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関西宝連の後半には、京大宝生会は素謡「清経」、仕舞「三輪キリ」、舞囃子「船弁慶」「春日龍神」、そして半能「高砂」とほとんど立て続けに出番がありました。

上回生は汗だくで舞台から帰って来て、廊下で更に大汗をかいてからまた舞台に出て行くという可哀想な有様でした。。

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来月末の全宝連の舞台では、熱中症にならないように充分な注意が必要だと思います。

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そして京都は今日も同じくらいの暑さでした。

私はその暑さの中、紫明荘組稽古のために「ゲストハウス月と」に向かいました。

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汗をかきながら「月と」に到着すると、いつもは閉まっている玄関の引戸が全開になっています。

「珍しいな…」と思いながら2階の和室に上がると、なんと2階の窓も全て全開になっていたのです。

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北側の窓から覗くと、向かいのゲストハウス棟の何ヶ所かの窓も同様に全開でした。

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最初少しの間は、「エアコンが恋しいなぁ…」と思ってしまいました。

しかし稽古を始めてみると、実に良い風が和室を通り抜けていくことに気づいたのです。

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和室だけでなく、「月と」全体を爽やかな風が吹き抜けているようでした。

宿泊客が窓辺に椅子を出して、風に吹かれて読書をする姿がとても心地好さそうに見えます。

昔ながらの日本家屋の”自然と共生する力”を改めて実感しました。

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また、窓を開けることで思いもよらぬ効果がありました。

仕舞の稽古をしていると、全開の窓の向こうに丁度”丸太町通”が見えます。

そしてその丸太町通の向こう側の歩道を歩く人々が、結構な確率でこちらを興味深げに眺めていくのです。

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確かに、古民家の窓から扇を持って舞う人が見えるというのは、京都らしい風情ある景色なのでしょう。

中にはわざわざ立ち止まって見ている人までいました。

窓を開けるだけで、良い宣伝効果が得られたわけです。

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夕方になると気温も少し下がって来て、風は一層気持ち良く吹いて来ます。

結局1日エアコンを使わずに、実に健康的な稽古日になりました。

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流石に真夏には難しいと思いますが、これからも「月と」では可能な限り窓を開けて稽古して、日本家屋の良さを味わいたいと思います。