亀岡の花々〜弁慶と静御前〜

今日は亀岡稽古でした。

亀岡駅に到着すると、気温は今日も高めですが風は乾いていて、気持ちの良い暑さでした。

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稽古場に到着して、杜若がすっかり散ってしまったお濠の横を通り過ぎようとすると、急に「ドボン!ドボン!」と大きな水音がいくつもして驚きました。

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お濠を見ると、水音の主が一匹だけ残っています。

大きな亀さんが文字通り「甲羅干し」をしていたのでした。

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今日先ず目に付いた花は「ホタルブクロ」

でした。

「カンパニュラ」と「カムパネルラ」の事を書いたのは去年の今頃だったでしょうか。

毎年見る花を基準にすると、1年が経つのは本当に早いと思われます。

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こちらは白いホタルブクロ。

ちなみに稽古後に、お濠の蛍が出ていないか探したのですが、今年はまだのようでした。

蛍袋に蛍を入れてみるのは、今年も難しいでしょうかね…。

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この花は「夏蠟梅」だそうです。

「ロウバイ」は冬に黄色い花がたくさん咲いているのを毎年何処かで見ます。

こちらの「夏ロウバイ」は、ロウバイより大きめの薄桃色の花で、花の数はロウバイよりもかなり少なかったです。

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この花の中国名が「シャラメイ」というらしく、「沙羅双樹」と何か関わりが無いか調べてみたのですが、ちょっとわかりませんでした。

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この鉢植の花は、名前が「リュウキュウベンケイソウ」だそうです。

漢字変換すると「琉球弁慶草」。

ベンケイソウの仲間は、丈夫で生命力が強いことから「弁慶」の名を冠することになったとか。

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しかしながらこの「リュウキュウベンケイソウ」は、地元沖縄では絶滅危惧種だそうです。

沖縄では1月頃には咲くというこの花を、5月末の亀岡で初めて見るとは何だか不思議でした。

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見つけた時に「線香花火の最後の火花みたいだ」と思ったこの花は「オオメノマンネングサ(大雌の万年草)」。

こちらも偶然にも「ベンケイソウ」の仲間でした。

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そしてこの「オオメノマンネングサ」のすぐ隣に咲いていたのが、なんと…

「オダマキ」の花だったのです。

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「しずやしず しずのおだまき くりかえし むかしをいまに なすよしもがな」

静御前が頼朝の前で詠んだという和歌です。

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「弁慶草」の仲間の隣に、「静御前」の和歌を思い出させる「オダマキ」が咲いているとは、これまたなにか不思議な因縁を感じてしまいました。

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今日はこの辺で失礼いたします。

ねぶたには演歌が似合う

昨日は”肌寒い”青森の様子をブログに書いてから、夜に青森稽古をしました。

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終わってから1人で遅い晩御飯を「鯖の棒寿司」が大変美味しい居酒屋さんで済ませると、時計は23時半になっていました。

雨はすっかり上がっています。

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「そう言えば、”ねぶた”はこんな時間でも作っているのだろうか…」

とふと考えました。

以前にねぶた祭のホームページを見た時に、「5月半ばから”ねぶた小屋”での制作が始まり、最後は徹夜の連続で完成させる」

と書いてあったのを思い出したのです。

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まだ追い込み期では無いと思われますが、ひとつくらいは作っている団体があるかもしれません。

駄目元で、ねぶた制作が行われているアスパム前広場に足を向けてみたのです。

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アスパム前広場には、今年も高さ7〜8mはあろうかという巨大な”ねぶた小屋”がズラリと建ち並んでいました。

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そしてそのうちの4〜5箇所の小屋の前には車が止められており、中には明かりが灯っていたのです。

やはり深夜でも”ねぶた制作”は行われていたのだと、しみじみ感動しました。

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小屋の入り口は閉じられており、中をみることは叶いませんでした。

しかし、ある小屋の前を通りかかった時、中から結構な大音量で「演歌」が聴こえて来たのです。

さすがに曲目はわかりませんが、石川さゆり風の女性演歌歌手の声でした。

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小屋の中で捩り鉢巻きの渋い男達が、演歌をバックに徹夜でねぶた制作をしている有様が思い浮かびました。

「ねぶた制作」、「徹夜」、「演歌」。

この取り合わせは実にしっくり来るなぁと、またもやしみじみと感動してしまったのでした。

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「ねぶた」の語源は「眠たい」の方言という説があるそうです。

夜を徹しての制作作業はそれこそ「ねぶたい」こともあると思われます。

その眠気を演歌を聴いて振り払い、8月初めの本番を目指して制作を続けていくのでしょう。

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演歌の流れていたねぶた小屋の場所は覚えたので、どんなねぶたが制作されていたのか、また来月以降の稽古で是非確認したいと思います。

今シーズン最後の”肌寒さ”

今日は青森稽古でした。

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いつも青森に行くと何かしら面白い物事に出会うので、今回も淡く期待しながら新青森駅に降り立ちました。

やはり東京よりもかなり涼しい気温です。

湿気があり、ちょっと北国の冬の記憶が蘇るような空気感でした。

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新青森から普通電車に乗り換えて青森に向かうのですが、普通電車の中はなんと暖房がついていました。

そして乗り込んだ後にドアを閉めるボタンを押し忘れた人がいると、車内の人がすかさず「寒いじゃないまったく…」

という顔でボタンを押してドアを閉めていました。

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駅にはもう「ねぶた祭」のポスターが貼ってあり、「ちょっと早いけど”ねぶた作り”を覗きに行こうかな…」

と思って青森駅に到着しました。

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しかし外に出ると、どんよりした空から冷たい小雨が降っていたのです。

どうりで湿気があるはずです。

傘を持って来なかったので、ねぶた製作所のあるアスパムの麓まで歩くのはちょっと厳しそうです。。

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青森港前の広場に何か花でも咲いていないかと、雨を避けるように早足で行ってみました。

でも今回は花にも縁が無かったようで、広場は緑一色でした。

写真は「ヒメリンゴ」です。

花はすっかり終わり、よく見ると小さな実が出来かかっていました。

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宿に入ると部屋にはやはり暖房がついており、信じられないことに私はそれを「有り難いなぁ…」

としみじみ思ってしまったのです。

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先週末からの猛暑に参っていたのが嘘のようです。

ねぶたや花には出会えませんでしたが、おそらく今シーズン最後であろう「肌寒さ」を、今回の青森稽古で味わって帰ろうと思います。

金野泰大君の結婚式に出席して参りました

今日は宝生流能楽師の金野泰大君の結婚式と披露宴に出席して参りました。

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金野君は私の後輩で、宝生能楽堂での内弟子生活を5年ほど共にした仲間です。

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飯田橋のホテルのチャペルでの結婚式から参列したのですが、意外にも正式な教会での結婚式は殆ど経験がなく、色々なことが新鮮でした。

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中でも牧師様があの誓約の言葉「貴方は健やかなる時も、病める時も…」

を述べる時の”位取り”には実に感銘を受けました。

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誓約の文節ごとに空く絶妙な”間”によって式場の視線と気持ちが徐々に牧師様に集まります。

そして牧師様は、新郎新婦の「誓います!」という宣誓を聞いて控えめながらしっかりと頷き、何とも言えず幸福そうな笑みを浮かべて、

「アーメン」

と穏やかな調子で祝福をされたのです。

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一連の牧師様の所作を見ることによって、参列した私も自然と幸せな気持ちになりました。

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牧師様は、もちろん信仰に基づいた正式な作法に則って、決まった言葉と動作をされたのだと思われます。

しかしあの絶妙な間と所作は、能の舞台にも是非参考にさせてもらいたいと思いました。

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結婚式の後の披露宴もとても和やかで、心のこもったスピーチなどもあり、最後の新婦さんのお父様へのお手紙朗読では、私も感動して思わず目頭が熱くなりました。

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金野君今日は本当におめでとうございます。

どうか末永くお幸せに!

風に吹かれて…

昨日は全国的に記録的な暑さになりました。

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「関西宝連」が開催された大江能楽堂は、舞台と見所ではエアコンがよく効いて涼しかったのですが、楽屋の廊下はエアコンがありません。

廊下の気温計は午後には31℃を示していました。

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関西宝連の後半には、京大宝生会は素謡「清経」、仕舞「三輪キリ」、舞囃子「船弁慶」「春日龍神」、そして半能「高砂」とほとんど立て続けに出番がありました。

上回生は汗だくで舞台から帰って来て、廊下で更に大汗をかいてからまた舞台に出て行くという可哀想な有様でした。。

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来月末の全宝連の舞台では、熱中症にならないように充分な注意が必要だと思います。

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そして京都は今日も同じくらいの暑さでした。

私はその暑さの中、紫明荘組稽古のために「ゲストハウス月と」に向かいました。

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汗をかきながら「月と」に到着すると、いつもは閉まっている玄関の引戸が全開になっています。

「珍しいな…」と思いながら2階の和室に上がると、なんと2階の窓も全て全開になっていたのです。

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北側の窓から覗くと、向かいのゲストハウス棟の何ヶ所かの窓も同様に全開でした。

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最初少しの間は、「エアコンが恋しいなぁ…」と思ってしまいました。

しかし稽古を始めてみると、実に良い風が和室を通り抜けていくことに気づいたのです。

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和室だけでなく、「月と」全体を爽やかな風が吹き抜けているようでした。

宿泊客が窓辺に椅子を出して、風に吹かれて読書をする姿がとても心地好さそうに見えます。

昔ながらの日本家屋の”自然と共生する力”を改めて実感しました。

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また、窓を開けることで思いもよらぬ効果がありました。

仕舞の稽古をしていると、全開の窓の向こうに丁度”丸太町通”が見えます。

そしてその丸太町通の向こう側の歩道を歩く人々が、結構な確率でこちらを興味深げに眺めていくのです。

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確かに、古民家の窓から扇を持って舞う人が見えるというのは、京都らしい風情ある景色なのでしょう。

中にはわざわざ立ち止まって見ている人までいました。

窓を開けるだけで、良い宣伝効果が得られたわけです。

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夕方になると気温も少し下がって来て、風は一層気持ち良く吹いて来ます。

結局1日エアコンを使わずに、実に健康的な稽古日になりました。

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流石に真夏には難しいと思いますが、これからも「月と」では可能な限り窓を開けて稽古して、日本家屋の良さを味わいたいと思います。

「ずく」とは如何に…?

今日は芦屋稽古で、謡の稽古曲は「加茂」でした。

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シテ謡で「あざあざしくは申さねども…」

という文句があり、「あざあざしい」とはどういう意味だろうと思って調べてみました。

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するとあっさり「鮮鮮しい。はっきりしている様」

と出てきて、拍子抜けしました。

「鮮やか」の「あざ」だったのですね。

知らない言葉はまだまだ沢山あるものです。

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そう言えば先日の松本稽古の時に、面白い言葉を知りました。

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稽古が終わって何人かで食事をしている時のことです。

そのお店の御主人がわざわざ能登半島に出かけて釣ってきたという「黒鯛の刺身」と、同じくお店の女将さんがわざわざ木曽の山奥で採ってきたという大量の「山菜の天ぷら」が出てきました。

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どちらも大変美味しかったのですが、それを食べた地元松本在住の会員さんが、

「美味しいけど、これを採りにいく’ずく’が無いなあ」

と。

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私「’ずく’ってなんでしょう?」

会員さん「う〜ん、”めんどくさい事を苦にせずやる為のエネルギー”ですかね…」

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また別の会員さんは「そうそう。”あの人は意外と小ずくがあるよね〜”とかも言いますね」

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なるほど。

ずく。

微妙なニュアンスを僅か2文字で表現していて、大変興味深い言葉です。

また、自分で使ってみたくなる言葉でもあります。

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私は本来’ずく’の全く無い人間なのですが、内弟子の頃には’ずく’を全開に出していた気がします。

しかし今はまたせいぜい’小ずく’があるくらいに戻ってしまいました。。

明日からも’小ずく’エネルギーを何とか絞り出して、頑張って参りたいと思います。

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…なんだかちっとも上手く使えていませんね。。

もっと良い文例を考えたいのですが、’ずく’が無くなったので今日はこれにて…。

涼しげなお坊さん

今日は昼から江古田稽古でした。

三ノ輪の自宅を出ると、外は完全に夏の暑さです。

暑さの苦手な私にとって辛い季節が、早くもやってきてしまったようです。。

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上野で山手線のホームに上がったところで、1人の若いお坊さんが電車を待っていました。

紗のような薄手の夏用の僧衣を纏っていて、頭は当然ながら丸坊主です。

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これが私には実に涼しそうに見えて、

「坊主頭羨ましいなあ…」

などと不謹慎にも思ってしまいました。

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江古田稽古が終わって、帰りの電車で携帯のニュースを見ると、週末の京都はなんと35℃まで上がる予報です。

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土曜日には大江能楽堂にて「第120回京宝連」にあたる関西宝連が開催されます。

学生達はさぞかし暑い思いをすることでしょう。

我々能楽師も最後に番外仕舞を舞うことになっております。

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「いっそのこと丸刈にしていこうかな…それは無理か。でもせめて着物はもう夏用の絽にしたいなあ。。」

とは思えども、5月ではまだ絽にするわけにもいきません。

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昼間の涼しげな若いお坊さんを思い出して、「やっぱり羨ましいなあ…」と溜息をついた帰り道でした。

僅か2ヶ月足らずで…!

今日は田町稽古でした。

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栃木の大学から、授業を終えて2時間かけて田町に駆けつけてくれる青年がいます。

今日約1ヶ月ぶりに顔を見せてくれました。

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彼はこの3月までは京大宝生会で稽古していて、4月から心機一転新しい大学に行くことにしたのです。

そろそろ新天地の生活にも慣れてきた頃だろうか…と思っていると、彼から驚くべき話を聞いたのです。

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「実は大学で能楽部を立ち上げました!」

え?

まだ入学して2ヶ月にもならないのに、どういうこと…⁉︎

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「知り合いを数人集めて、顧問の先生も見つけて、今大学に申請しているところなのです!」

なんと!一体どんな知り合いが集まったのでしょうか?

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「えーと、1人は”大和絵”が好きな人、あとは着物が好きな人、歌舞伎が好きな人、狂言を少し体験したことがある人などなどです」

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なんとなんと、それぞれ一癖ありそうな、面白い人達ではないですか。

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今後の活躍形態はこれから模索していくとのことですが、とりあえず6月15日の五雲会に何人か観に来てくれるそうです。

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京大宝生会からいなくなってしまうと聞いた時は寂しく思いましたが、彼の行動力はむしろ新しい大学で大きく発揮されたようなのです。

私の想像の斜め上を行く展開で、非常に嬉しい驚きでした。

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彼の大学の能楽部と、京大宝生会が今後交流していってくれると、また色々と面白いことが出来そうです。

私も出来る限りサポートしていきたいと思います。

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復活への一歩を踏み出した日本女子大宝生会と並んで、令和元年に新しく歩き出したこの能楽部が、末永く続いていくことを願ってやみません。

鶴亀稽古で気づいたこと

昨日の松本稽古では、また新しい見学の方が来られました。

最近松本では新しい会員さんが次々と増えて、昨年暮れから昨日迄に大人6人、小学生1人が増えたことになります。

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新しく設けた「初級者向け謡」の参加者も多くなり嬉しく限りです。

曲は、昨日から「鶴亀」になりました。

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ベテランの会員さんでも、途中から入会して「鶴亀」はまだ習っていないという人は一緒に稽古しました。

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初心者向けなので、”アタリ”や”マワシ”などの記号も一から説明して、ゆっくりと稽古を進めていきます。

ベテラン組には少々退屈な稽古になるかもしれないな、と心配しながら冒頭から初同までの2ページほどを30分かけて稽古しました。

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終わってベテランの人に「すみません、ちょっと物足りなかったのでは…?」

と聞いてみると、

「いえいえ、初めて聞くことがあって良かったです」

との答えが。

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ベテラン組の謡稽古では、説明する内容を少しずつ省略して、稽古スピードを徐々に上げていく方針をとっています。

しかし、偶に振り返って細かな説明をするのも大切だと、昨日の「鶴亀」稽古で気がつくことが出来ました。

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短期間で沢山の新人さん達を迎えた松本稽古場。

今後ベテラン組と上手く融合して稽古場全体が活性化していくように、私も色々工夫して頑張って参りたいと思います。

緑の木曽路

土日の薪能が終わって、今日からしばらくは通常の澤風会稽古が続きます。

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今日は早朝に京都に移動して大山崎稽古、その後午後に松本に移動しての稽古でした。

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大山崎から普通電車で京都へ。そして新幹線で名古屋に行き、最後に特急しなのに乗り換えて松本に向かいます。

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雨が近づいて空には雲がかかっていますが、その天気の中でも車窓から見える新緑が実に綺麗でした。

瑞々しい新芽の薄緑、常緑樹の濃い緑、杉や檜の深緑…

毎年5月頃の山の景色を見ると、同じ”緑色”にこれほどまでたくさんの種類があるという事を思い出します。

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走っている特急からは、やはり上手く撮れませんでした。。

しかし実際にはこの百倍も鮮やかな初夏の彩りだったのです。

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慌ただしかった週末を終えて、木曽路の緑にちょっと癒された月曜日の電車移動でした。