松本能楽堂建設に向けたワークショップ

今日は松本稽古で、今特急あずさで松本に向かっております。

しかし今回は稽古の前にもうひとつ重要な仕事があります。

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「松本に能楽堂を!」

という悲願を達成するための一歩として、松本城近くの老舗ホテルにて能楽ワークショップを開催するのです。

地元の方を中心に60人ほどの方々が集まると伺っております。

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主催者側は、私以外に「琥珀の会」シテ方囃子方メンバーが地元松本、東京、京都、そして浜松から集合してくれます。

そして松本澤風会で稽古している開智小学校の子供達も、仕舞を舞ってくれるのです。

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仕舞と舞囃子の実演。

型や謡の体験。

それらを通じて能楽の魅力を発信するだけでなく、

「松本能楽堂建設」に向けたPRをすることが求められる重要なワークショップです。

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途中の山梨県内は一面の銀世界でしたが、幸いに松本市内は晴天に恵まれました。

60人のお客様の良い反応が得られるように、精一杯勤めたいと思います。

南海電車の混雑

今日は大阪の堺能楽会館にて開催の「羽衣学園能楽鑑賞会」に出演して参りました。

私は能「通小町」の地謡を勤めました。

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朝に東京を出て、電車を乗り継いで最後に「南海なんば駅」から堺に向かう南海電車に乗りました。

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その時に、南海なんば駅が意外に混んでいるなあと思いました。

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そして舞台が終わって、夕方に帰りの南海電車に乗ろうとして驚きました。

車内がとても混んでいて、ほとんど満員状態だったのです。

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よく見ると大半の人がアジア系観光客で、それぞれ大きなトランクを持っており、それも混雑に拍車をかけているようでした。

そこで、「ああ、今は”春節”の期間なのか」

と気がつきました。

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調べてみると正に今日1月25日が今年の”春節”にあたり、昨日から春節の連休が始まっていたようなのです。

大挙して関西空港に到着した中国からの観光客が、南海電車で大阪方面に移動するところに乗り合わせたということなのでしょう。

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この春節連休は来週木曜日まで続くようです。

新型肺炎の心配なニュースが流れていますが、特にこの連休期間中はマスクや手洗いなどの予防を徹底したいと思っております。

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雪の少ない青森

昨日は青森稽古で、私は日が暮れてから青森駅に到着しました。

この冬の時期には、駅前の青森港周辺がライトアップされます。

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そのライトが、雪だるま型をした”雪だるま〜る”という提灯で、中々可愛らしいのです。

今年も見に行ってみました。

やはり港の周りには”雪だるま〜る”がたくさん並んでいます。

しかし今年はその背後に見慣れないものがありました。

港の大規模な再開発事業が行われていて、クレーン車やパワーショベルなどの巨大な重機が何台も置かれていたのです。

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再開発が終わると、青森港はどんな姿になるのでしょうか。

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そして今年の青森はやはり雪がとても少ないです。

私が7年前の冬に初めて稽古に来た時には、駅前でも2m近く積雪があったのに、昨日は上の写真程度しか雪がありませんでした。

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雪が無いのは地元の人には有り難いことなのでしょう。

しかし春先の雪解け水が少ないと、農家の方々は困ってしまうということです。

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やはり冬にはある程度雪が降る方が良いのだろうなあ…と思っていると…

今朝の青森は雪になりました。

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昨日とは打って変わって、寒々とした冬の東北らしい景色の中を、帰りの新幹線で東京に向かったのでした。

数十年ぶりの”牛若丸”

今日は亀岡での新年会に参加して参りました。

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最後の満次郎師の番外仕舞が「橋弁慶」で、私は”牛若丸”の役を仰せつかりました。

この橋弁慶の牛若丸は、実は私にとっての初役(生まれて初めて演じる役)でした。

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本来なら”牛若丸”は子方が演じる役です。

私はまだ小学生の時に、能「船弁慶」と能「鞍馬天狗」の子方を勤めたことがあります。

ちなみに船弁慶の子方は義経、鞍馬天狗の子方は牛若丸の役でした。

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そして今回、数十年ぶりの”子方”がやはり牛若丸。

これもひとつの御縁なのかと思い、なにか新鮮な気持ちで勤めさせていただきました。

動きは「十二、三ばかりなる小男」に見えたかどうか定かではありませんが。。

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子方は中学生の頃に卒業するものですが、今後もこうした珍しい機会があればまた頑張って勤めてみたいものだと思います。

隙間花壇〜2年ぶりの春へ〜

今年は全国的に暖冬のようです。

昨日の大山崎新年会も、すでに春を感じるような暖かな陽気の中で行われました。

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とは言え季節はまだまだ大寒を迎えたばかりの真冬です。

東京三ノ輪の私の自宅マンション横にある「隙間花壇」も、今はほとんど彩の無い地味な冬の佇まいを見せています。

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…しかし、オシロイバナが枯れた後のスペースを覗いてみると、「ツツジ」が元気に育って来ていました。

去年の春にはマンション大規模改修工事の影響で、一輪の花も咲かせることが出来なかった隙間花壇のツツジです。

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その後の夏にはオシロイバナに覆われてしまい、このまま枯れてしまうのでは…と心配したほどだったのです。

それが今着実に勢力を増して、よくよく見ると…

新芽のような緑も顔を出していました。

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果たして今年は2年ぶりに花を咲かせてくれるのか、それとも去年一輪も咲かなかった影響で今年も開花しないのか…?

春に向けて、「隙間花壇」のツツジに注目しつつ「頑張れよ!」と心の中で声をかけ続けようと思います。

2020年大山崎新年会

今日は大山崎稽古場の新年会でした。

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稽古場の宝寺で「羽衣」を一曲全員で謡った後に、毎年恒例の鍋の準備に取り掛かりました。

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鍋の中身は豚肉とレタスのみ。

お湯に日本酒をたくさん足して煮立たせます。

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取り皿には大量の大根おろしとネギ、そこにポン酢と”カンズリ”という新潟の発酵調味料を入れて食べるのです。

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私は毎年新年にこの鍋を食べ続けて、もう15回目になります。

大根は会員さんが畑で丹精込めて作ったもので、毎年大変美味しいのです。

本当は他の野菜も育てていたのに、今年は収穫前に2頭の猪に全部食べられてしまって、大根だけが無事だったとのことです。。

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鍋を食べながら色々なお話をしましたが、中で特に嬉しい話題がありました。

最高齢で今年90歳になる方が、

「今年の澤風会15周年の時には、ちゃんと座って仕舞を始めることを目標にします」

と仰ったのです。

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その方は数年前に膝を痛められて、それ以来仕舞は立ったままで、それでも毎年必ず舞台に立ってくださっているのです。

そして宝寺に向かう急坂もまた必ずご自分の足で登って稽古に来られます。

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そうやって足を鍛えて、今年9月の澤風会15周年大会では「下ニ居」をしてから仕舞を始める、と宣言されたのです。

一同感服して拍手を送ったのでした。

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そして去年2月から新たに稽古を始めた方も、今回から新年会鍋に参加されました。

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大山崎稽古場は、例年にも増して活気に満ちた一年のスタートになりました。

私も一層頑張って稽古させていただこうと決意して、もりもりと鍋をいただいたのでした。

小説より奇なり…

今日は京都市北文化会館にて紫明荘組稽古でした。

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今回は京大若手OBOGが10人程も来てくれて、賑やかな稽古でした。

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3月7日の東京澤風会に出す素謡「東北」と仕舞の稽古をするOBさん達。

琥珀の会に向けた舞囃子「山姥」を稽古する金沢のOGさん。

修論を無事に提出して新しい仕舞「笹之段」を始めたOGさんなどなど。

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去年卒業して就職し、久しぶりに顔を見せてくれたOGさんは、昨年末にスケートで転んでそれから色々大変なことになった話をしてくれました。

予想外の展開で緊急入院したり、本当に大変だったようですが、今もうすっかり元気ということで安心しました。

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今日は稽古中に全く唐突に刑事ドラマのような捕り物劇があったりもしたのです。

なんだか「事実は小説より奇なり」という言葉を思い起こしてしまうような、ドラマチックな紫明荘組稽古だったのでした。

雪の日の舞台

今日は東京も雪が舞う寒い一日になりました。

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センター試験の日には何故か雪が多い気がします。

今年も何人か知っている高校生達が受験しているはずなのです。天候以外にも色々予想外のことが起こるのが入試ですが、どうか取り乱さず落ち着いて乗り越えてほしいです。

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私は水道橋宝生能楽堂にて開催の「五雲会」で能「春日龍神」の地謡を勤めました。

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五雲会の雪には思い出があります。

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私は初シテを舞った翌年、つまり平成18年の1月の五雲会で、人生2回目の能「花月」を舞いました。

その日が全国的に大雪で、都心部でも積雪があるほどだったのです。

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能楽堂の見所に来てくださったのは100人程のお客様でした。

普段に比べるととても少ない人数でしたが、むしろこの大雪の中を100人もの方々が五雲会を見るためにいらしてくださったのか…と、大変有り難く思いました。

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今日もとても寒い悪天候の中、沢山のお客様が宝生能楽堂にいらしてくださいました。

「花月」の時もそうでしたが、こういう日の舞台こそ一際大事に勤めねばと思い、頑張って「春日龍神」を謡わせていただきました。

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今日いらしてくださった皆さま、誠にありがとうございました。

2020江古田での稽古始め

今日は午前中に水道橋宝生能楽堂にて五雲会申合があり、私は能「春日龍神」の地を謡いました。

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それから江古田に移動して、夜までノンストップで稽古いたしました。

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江古田での稽古始めの今日は、ほぼ全員勢揃いで、そのうえ江古田でも新年から新しく稽古を始められた方がいらっしゃいました。

全国的に新しい会員さんが増える傾向で、有り難い限りです。

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色々話題もあるのですが、今日は終日全力モードでしたので、ブログは短めで失礼いたします。

虹の力

松本稽古始めから一夜明けて、今日は午後から亀岡稽古でした。

朝に宿を出て松本駅に向かったのですが、北アルプスの山々は雪雲に覆われてほとんど姿が見えません。

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特急しなのに乗って、木曽路を名古屋方面に向かいました。

すると途中でその雪雲が段々と下に降りてくるように見えました。

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やがてついに雪雲の中に入ったようで、外は雪が降りしきっています。

視界も悪くなり、実に寒々とした風景です。

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しかし、それから少しうたた寝をして目覚めると、特急はもう名古屋の市街地に出ていて、空はすっかり晴れていました。

なんとなくホッとして、新幹線に乗りかえて京都方面へ。

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ところが今度は米原あたりで再び怪しい天気になって、雨が降って来ました。

琵琶湖の向かいの比良山系や比叡山は、先ほどの北アルプスのように厚い雲に隠れています。

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京都に到着しても雨は止んでおらず、山陰線で亀岡に向かう間も先頭車両のワイパーはずっと動いていました。

困ったことに今日私は傘を持っていません。

「亀岡駅から稽古場まで、走るしかないかな…」

と覚悟を決めて電車に揺られていました。

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保津峡のトンネル地帯を抜けて亀岡盆地に入ると、驚くことに空の様子が全く変わっていました。

青空がのぞいており、どうやら雨も降っていないようなのです。

そして馬堀駅を過ぎて終点の亀岡駅に近づくにつれて、青空の範囲が見る見る広がっていきます。

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その時車内で、

「うわー、虹!」

という声が聞こえました。

「こんなに近くで見るの初めて…」

という声も。

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ハッとして外を見ると、新しく出来たサッカースタジアムのすぐ横の、手が届きそうなところに見事な虹がかかっていたのです。

画面からはみ出す程の大きな虹でした。

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能「石橋」クセの中で「虹」という言葉が出て来ます。

千丈に及ぶ深い谷に架かる”石橋”の有り様が、

「たとえば夕陽の雨の後に 虹をなせる姿」

のようだ、という内容です。

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そしてこの「虹をなせる姿」という部分を、何故かひときわ強い気迫を込めて謡うことになっているのです。

“虹”という自然現象には、人の心を高揚させる力がある気がします。

その”虹の力”が謡にも反映されたのでしょうか。

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今日の私は雨が上がった有り難さと虹を見た高揚感で、とても気分良く亀岡稽古場に向かうことが出来たのでした。