京大宝生会 第1回Zoom稽古

一昨日のブログに書きましたように、今日は京大宝生会の現役達と「zoom」を使った謡稽古を行いました。

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結果を先に申し上げますと、嬉しいことに”大成功”と言える内容の稽古になりました。

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8人の部員が参加して、「兼平」の最初から鸚鵡返しを始めました。

先ずは一句目を試しに「ミュート機能」を使わずに鸚鵡返ししてみます。

すると案の定、返しの謡は8人が微妙にズレてしまい、混沌とした謡になりました。

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そこで、4回生の1人を残して全員ミュート設定してもらい、改めて一句目を鸚鵡返ししました。

今度は返しの謡は1人だけなので、誠にすっきりと聴こえます。

ミュートした人達に確認しても、特に不都合は無いようでした。

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そして短い範囲で区切って、1人ずつ交代でミュート解除して稽古していきます。

画面上には、ミュート解除して謡う人の顔が順番にアップされていきました。

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この方法で良いと感じたのは、

「1人ずつの顔が交代で見える」

ということでした。

(私はスマホなので、全員の顔が同時には見えません)

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久しぶりに現役達の元気な顔が見られて、まるで皆で揃って稽古しているかのように感じられたのです。

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今日は「兼平」の後の途中まで、2時間弱ほど鸚鵡返しして終わりました。

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現役に聞くと、大学はまだまだ対面授業にはならないようです。

当然サークル活動も停止したままです。

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なので当面はこの「zoom稽古」を定期的に行っていこうと思います。

謡に関しては、コロナ以前と比べてもほぼ遜色ない稽古が出来そうです。

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次の大きな課題は、

「仕舞の稽古」

です。

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zoomもしくは他のアプリを駆使して、なんとか仕舞稽古が出来ないか、可能性を探っていきたいと思います。

Zoom稽古の課題と対策

昨日は京大OB会の大先輩方数人と「zoom」を使った謡の団体稽古をいたしました。

「養老」前半の、シテ、ツレ、ワキの掛け合いから始めて、地謡の初同とクリまでを謡ってみたのです。

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まだ2回目のzoom稽古なので、課題を見つけながら手探りで進めていきます。

今回は、

「シテ、ツレの同吟」

「地謡の連吟」

の2点が大きな課題でした。

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…結果的には、同吟も連吟も複数の声がズレながら入り混じって、混沌とした状態になってしまいました。。

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やはり遠隔での団体稽古は非常に困難と思われました。

しかし、何か打開策は無いかと、昨日から必死で色々考えたり調べたりしてみたのです。

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そしてひとつ使えそうな対策を思いつきました。

zoomの「ミュート機能」を使うことです。

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ミュート機能を使うと、自分の声は会議の場から消えます。

そこで例えば…

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①参加者の中で1人「地頭」を決めて、「指導者」と「地頭」以外は全員ミュート設定する。

これで鸚鵡返しをすると、指導者の謡に続けて「地頭」が返して謡い、他の参加者は「地頭」に合わせて謡うことになります。

これだと複数の声が混じることは無く、参加者全員が大声で謡うことができます。

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しかし①の課題は、「地頭」以外は直接指導を受けられないことです。

実力者が揃った団体では、参加者が物足りなさを感じると思われます。

そこで…

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②1人ずつ交代でミュート解除していく。

一句ずつ、もしくは小範囲ずつで交代して「地頭」を勤めていくわけです。

これだと参加者全員が一定の緊張感と満足感を得られるのではと思います。

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更にもうひとつ、

③指導者以外全員ミュート設定する。

というやり方もあります。

これは、初級者向けの団体鸚鵡返しでは有効な方法かと思います。

指導者が謡い、返しもまた指導者が謡って、それに参加者が合わせて謡うのです。

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上記の①〜③でミュート設定した参加者も、質問や疑問があればミュートを解除して、

「質問があります!」

と声を上げれば、その人の顔が即座に全員の画面にアップされるはずです。

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とは言えこれらはまだ頭の中で考えただけで、実践してみたわけではありません。

…実は近日中に、京大宝生会の現役達と「zoom稽古」をする予定があるのです。

そこで上記の①〜③をそれぞれ試してみたいと思っております。

また結果をご報告させていただきます。

暖かいマスク

昨日と今日はまたスマートフォンを使った遠隔謡稽古をいたしました。

人数は2日間で延べ10数人に増えて、今後は平日にも稽古日を設定しようと思っております。

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遠隔稽古を終えた夜、郵便受をのぞいてみると分厚い封筒が届いていました。

差出人は「岩手未来機構」の方です。

昨年11月には尺八、写真との共演企画「地水火風」で大変お世話になりました。

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早速封を開けてみると…

なんと中には可愛らしいドングリの柄の「布マスク」が…!

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未だ感染者の出ていない岩手県の小さな工房で、1枚1枚手作りで作られたマスクだそうです。

ドングリ柄を見ているだけで、なんだかほっこりと暖かい気持ちになりました。

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実は少し前には、大阪でいつもこのブログを読んでくださっている読者の方からも、その方が作られた手作りマスクを送っていただいておりました。

こちらも楽しい柄の布で作られています。

ちょっとだけ、私には派手目かもしれませんが…。

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政府からの布マスクはまだ届きませんが、このブログを通じて生まれた御縁で、お気持ちのこもった素敵なマスクを頂戴することができました。

厳しい日々が続きますが、その日々の中で皆様に沢山の勇気と元気をいただいております。

心より感謝申し上げます。

機種変更をしたら…

実は数日前にスマホの機種変更をしたところ、ブログの投稿ができなくなってしまいました。。

今色々試行錯誤中です。

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…そして先ほどようやく投稿出来るようになりました!

またよろしくお願い申し上げます。

2件のコメント

遠隔稽古の可能性と問題点

昨日と今日は、先週に続いて”遠隔稽古”をいたしました。

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Skype稽古は先週から3人増えて、かなり様子がわかって参りました。

そして今日は、新たに「zoom」という会議用のアプリを使った集団稽古にもチャレンジしてみました。

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zoomもやはりSkypeと同様のタイムラグがあるようでしたが、私と一緒に全員一斉に謡っていただく分には問題無いと感じました。

こちらも今後、集団での遠隔稽古が出来る可能性が出てきて、非常に有意義な経験になりました。

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しかし同時に問題点もいくつか明らかになってきました。

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例えば、人によって、あるいは日によって通信状況が悪くなる時があります。

鸚鵡返しの途中で突然「通信障害」のアイコンが表示されて画像と音声が途絶え、何度も稽古が中断してしまう事がありました。

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そしてビデオ映像で長く稽古をしていると、通信容量が膨大になることもわかりました。

しかし遠隔稽古では京都や長野など遠くの人でも東京の稽古場から稽古出来るので、私の場合これまでの毎回の新幹線などの交通費に比べれば、通信料は微々たるものだと考えることにしました。。

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さらにこれはアンラッキーなことなのですが、江古田稽古場があるマンションが今”耐震工事”の真っ最中なのです。

平日昼間には、断続的にものすごい騒音が響きます。とても稽古どころではありません。

なので、江古田での稽古時間が「土日」か「平日の夕方以降」に限られてしまうのです。

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問題点解消のために、まずはスマホだけでなくPCを併用して、スマホの通信容量を抑えることを考えたいと思います。

あとは、平日昼間に遠隔稽古をする場所をなんとか探す必要があります。

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一度野外からの遠隔稽古が出来ないか試してみたいと思っております。

京大若手OBあたりで、実験台になってくれる人を探してみたいと思います。

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遠隔稽古が軌道に乗るまでには、今少し時間がかかりそうです。

また途中経過をご報告させていただきます。

3件のコメント

宝生夜能 有料WEB配信公演

先月以来、水道橋宝生能楽堂での定例公演は殆どが延期になっております。

本当は明後日4月18日に私が能「兼平」を舞う予定だった「五雲会」も、8月15 日に延期になりました。

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その中で、来週4月24日に予定されている「夜能」が

「有料WEB配信公演」

という形で開催されることになったと、宝生会事務局より知らせがありました。

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舞台の映像を流すだけでなく、一歩も二歩も進んだ先進的な企画が用意されているようです。

これはこの緊急事態のみならず、この先未来の能楽の発信方法への大きな道標になる企画だと思います。

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詳しい視聴方法は以下をクリックしてご確認をお願いいたします。

http://www.hosho.or.jp/1676/

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今後宝生流でも有料WEB配信が増えていくと思われます。

また情報が入りましたら都度皆さまにお知らせいたします。

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コロナウイルスに負けることなく、むしろ逆境を逆手にとって未来に繋がる新しい道を模索する。

そんな能楽師を、どうか応援していただければと存じます。

ご視聴よろしくお願いいたします。

遠隔稽古 試運転中

今日も江古田稽古場に行き、「Skype」による遠隔稽古の試運転をいたしました。

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今日は3人の方々に、鸚鵡返しによる謡の稽古をさせていただきました。

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画面上にはいつもの会員さんの姿があり、私の説明を受けて小さく頷かれるのも良く見えて、普通に稽古をしているのと非常に近い感覚です。

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会員さんと一緒に謡おうとすると、先方の声が0.5秒ほど遅れて聴こえてくるのが唯一の難点です。

しかし確認したところ、先方では全く音の遅れはないようで、私の方が音の遅れに慣れれば大丈夫なようでした。

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3人の方々の稽古を無事に終えると、何か15年以上前に初めて澤風会稽古をつけ終えた時のような、新鮮な達成感がありました。

今日でかなり慣れて来たので、これから徐々に遠隔稽古の人数を増やしていけたらと思います。

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Skypeのアカウント取得から、最初に繋がるまでの手順が若干面倒ではあります。

しかし、遠隔稽古のために今回私が改めて用意したのは、百均で購入した小さなスマホ用三脚だけです。

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他の楽師の皆様も、スマートフォンかノートPCをお持ちならば一度お試しになる価値があるように思います。

また回数を重ねていく過程で、問題点やコツなどを書いて参りたいと思います。

トレーニング期間延長

先日も書きましたが、来週末に予定されていた「五雲会」が夏まで延期になり、私がシテを勤める能「兼平」もしばしお預けになってしまいました。

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これも少し以前に書いたのですが、「兼平」を勤めるにあたって、武将のような身体にわずかでも近づきたいと思い、この半年ほど節制をしつつ少々身体を鍛えておりました。

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それも4月18日の「兼平」まで、その後のリバウンドが怖いかも…

と思っていたら、なんとトレーニング期間も夏まで延長になった訳です。。

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現在のところ、体重、筋肉量ともに高校で陸上部をやっていた頃とほぼ同じになっています。

高校3年生の自分と駆けっこしても、割と良い勝負になるのでは…と思うくらい身体が軽く、体力も増加した感覚があります。

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この調子をなんとか夏まで保って、屈強な武将である「兼平」らしい舞台を思い切り勤めたいと思います。

スマホでの遠隔稽古の試み

今回のコロナウイルスでは、こちらの予測と対策を嘲笑うかのように、事態は日々悪い方向へと進んでいくようです。

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通常の稽古は最早望むべくもありません。

しかもこの状況がいつまで続くのか、誰にもわからないのです。

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しかし何もせずに、ただウイルスに押さえつけられるだけでは口惜しいものがあります。

私は「スマートフォン」を使った遠隔稽古を模索することにいたしました。

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今日はその手始めとして、

①Dropbox

②YouTube

③Skype

という3つのアプリを使ってみました。

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①のDropboxを使うと、録音した音源を大勢で共有できます。

京大宝生会で今稽古している仕舞の地謡を、私が一曲ずつ謡ってスマホに録音しました。

それをDropboxの中にアップロードして、京大宝生会部長にリンク先をメールで送りました。

仕舞6番を録音してアップロードするのに40分ほどかかりました。

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②YouTubeは、江古田稽古場のパワフルでポジティブなボイストレーナーさんに勧めていただきました。

特定のグループで動画を共有できます。

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今日は松本の初級者向け謡「田村」を私があしらいながら謡っている動画をスマホで撮影しました。

張り扇の動きが見えるので、より稽古に近い形態になりました。

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そしてやはりそのリンク先を松本の初級者組の皆さんにメールしました。

こちらの作業時間は30分ほどでした。

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更に、

③Skypeを使うとスマホの画面で対面しながらの稽古が可能なのです。

こちらは松本稽古場の方に勧めていただいて、先ほどその方と遠隔稽古の試運転を行いました。

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田村の後クセ上げ〜クセの留までを鸚鵡返ししてみたのです。

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若干のタイムラグがあり、最初は違和感を感じました。

しかし、その時間差にも、回数を重ねれば徐々に慣れることが出来ると思いました。

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今日1日で3種類の”遠隔稽古”の可能性が見えて、少しホッといたしました。

あとは稽古対象を如何に広げていけるかが課題です。

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人によって、3種類の方法を使い分けていけたらと考えております。

私なりの方法で、コロナウイルスに負けないように進んで参りたいと思います。

澤風会郁雲会再延期・五雲会延期のお知らせ

東京などについに緊急事態宣言が出されたようです。

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この状況を受けて、5月9日に延期した「第7回澤風会郁雲会大会」を、再延期させていただくことにいたしました。

再延期日程は、このコロナウイルスが沈静化した時点で決めたいと思います。

何とか夏頃には開催したいと考えております。

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また今月18日に予定されていた「五雲会」も夏に延期になりました。

能「兼平」もしばらくお預けです。

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澤風会郁雲会再延期のお知らせを各地の会員さんにメールしたところ、田町の会員さんよりの返信に古歌が書いてありました。

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ながらへば またこの頃や しのばれむ

憂しと見し世ぞ 今は恋しき

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この先数ヶ月をとにかく無事に乗り切って、

来年頃には「あの時は大変でしたね!」

と皆さんで集まって話せるようにしたいものです。

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そのために、色々な感染防止対策を一層丁寧にして参りたいと思います。