京大宝生会第二回新歓ワークショップ

今日は京大宝生会の新歓ワークショップ2回目でした。

前回からのリピーターもいたので、色々と趣向を変えて番組を考えました。

「五番立」の順に演目を並べて、能舞台の1日を体感してもらったり。

前回出来なかった「装束付け」を体験してもらったり。

今回初めての新入生もいて、ワークショップ終了後には百万遍の昔ながらの「くれしま」で皆で晩御飯を食べました。

「くれしま」は私が新入生の頃にもよく先輩に連れて行っていただいたお料理屋さんで、名物の「お母さん」とも久しぶりに再会できました。

今日入部に至る新入生はいなかったのですが、何人かは来週の稽古にまた見学に来てくれるそうです。

毎年のことながら、新入生が入部してくれるまではドキドキする新歓活動が続きます。

次回新歓企画はもう明後日、

「七宝会第二回公演」の鑑賞会です。

御宗家の能「清経音取」と、

私の能「昭君」です。

新歓は本当に皆の少しずつの努力が入部に繋がります。

このブログにて新入生のご報告が出来るように、明後日は私も出来る事を出来る限り頑張りたいと思います。

ウィスコンシン州と言えば

一昨日のブログで書いた留学生さんが、その後めでたく京大宝生会に入部してくれたと聞きました!

アメリカのウィスコンシン州の出身だそうです。

ウィスコンシン州と聞いて私が真っ先に思い浮かべたのが、

「大きな森の小さな家」(ローラ・インガルス・ワイルダー作)

という小学生の頃に愛読していた本です。

ウィスコンシンの大きな森の中で暮らすインガルス一家の物語で、西部開拓時代のアメリカの自然や生活が生き生きと描かれた名著です。

私はその後の何冊かの続編も全部読みました。

しかし、留学生さんにその本の話をしてもあまり良く知らないようでした。

考えてみれば「大きな森…」は今から150年ほど前のお話で、日本で言えば明治時代頃のことなのです。

留学生さんには今のウィスコンシンの話を色々と聞いてみたいと思います。

そしてせっかくなので「大きな森…」の本もどこかで探して読み直してみたいものです。

遠くアメリカはウィスコンシン州と繋がったご縁を大切に、留学生さんには楽しく京都の生活を送ってもらいたいと願っております。

亀岡の花々〜郵便局の木〜

今日は亀岡稽古でした。

前回稽古から3週間ほど経っており、また違った花が見られるだろうと期待して稽古に向かいました。

今回一番勉強になったのが下の植物です。

10mほどもある高木に、小さな黄色い花がビッシリと咲いています。

この木は「タラヨウ(多羅葉)」です。

実はこの木は葉っぱに大きな特徴があります。

葉っぱの裏に傷をつけると、そこだけ黒く跡が残るので、字が書けるのです。

弘法大師がこの葉っぱを使って字の勉強をしたという話も伝わっているそうです。

更に、戦国時代にタラヨウの葉に字を書いて情報伝達に使った事から「葉書」という言葉が生まれたという説もあるそうで、現代では「郵便局の木」として各地の郵便局の前に植えられているそうです。

郵便局の前を通る時にはタラヨウを探してみたいと思います。

次は能の曲名にちょっと関係がある花です。

これは「カノコソウ」の花です。まだ蕾の状態ですが…

この花は春に咲いて、女郎花に形状が似ているところから、

「ハルオミナエシ」

とも呼ばれるそうです。

女郎花の花は黄色、春女郎花の花は薄桃色で、何となく季節に合った色合いなのが面白いです。

次に変わった形の花を見つけました。

これはマムシグサなどと同じ仲間の

「ユキモチソウ(雪餅草)」です。

“仏炎苞(ぶつえんほう)”と呼ばれる仏様の光背に似た花の中に、真っ白でお餅のような付属体があるのが名前の由来だそうです。

なんとなくアイスクリームみたいで美味しそうに見えますが、残念ながら食べられないようです。

今日は他には、ランの仲間の「キエビネ」がちょうど見頃でした。

また、前回蕾をつけていた「ボタン」がもう咲いていました。

大輪の牡丹は何度見ても華やかで、「百花の王」の名に相応しいと思われました。

来月には時期が合えばおそらく「カキツバタ」が見られるでしょう。

またご報告させていただきます。

留学生がたくさん

今日は京大宝生会の通常稽古でした。

新歓期は通常稽古でも新入生が見学に来ます。

今日は千葉県出身の新入生が来てくれました。

新入生に色々説明していると能楽部BOXの扉が開いて、新たに数人の人影が見えました。

なんと先週ワークショップに参加してくれたアメリカはウィスコンシン州からの留学生が、お友達を2人連れてまた来てくれたのです。

2人はやはりアメリカの、ミネソタ州とアリゾナ州からの留学生で、今日の稽古は俄かに国際色豊かになりました。

稽古後の晩御飯はアメリカンダイナーは避けて、アットホームな雰囲気の町中華に行きました。

留学生達も楽しそうに盛り上がっていて、何となくこのまま入部してくれそうな気配もありました。

私は晩御飯の後は宿に向かいましたが、学生達はまたBOXに戻って稽古の続きをしているはずです。

もしかしたら初の新入部員が誕生しているかもしれません。

学生からの続報を楽しみに待ちたいと思います。

松本ジャポニスム2024に参加してまいりました

今日は松本四柱神社にて、

「松本ジャポニスム2024」

という催しに参加してまいりました。

数年前に始まったこの松本ジャポニスム、年々盛大になってお客様も安定して増えてきて何よりです。

今年は能楽の舞台が終わった後に、大手公民館にて体験ワークショップも設定しました。

アメリカ、ドイツ、中央アジアからの留学生など期待以上の参加者があり、来月から稽古を始めるかもしれない人も出るなど大成功の企画になりました。

いつもながら松本の皆様には何から何までお力添えをいただき、心より感謝いたします。

おまけです。

舞台の合間に食べた「翁堂」の動物ケーキです。

翁最中などの和菓子だけでなく、翁堂は洋菓子も充実しているのです。

杜若の物着

今日は水道橋宝生能楽堂にて「宝生会定期公演」に出演してまいりました。

私は能「杜若」の地謡を勤めました。

杜若はもう何度も謡っているのですが、この曲には他の曲には無いある特異な点があると思います。”物着”の後に、

「3人がひとつの身体に同居している」

という時間帯があるのです。

能には「物着」という演出がわりあい頻繁に出てきます。

舞台上で後見がシテの装束を着替えさせるのです。

よくあるパターンは、「亡くなった人の形見を身につけて舞う」

というもので、杜若の物着もそれにあたります。

しかし他の曲の物着で着るのは、

「1人の人間の形見」

です。

それが杜若に限っては、

「2人の人間の形見」を身につけるのです。

つまり頭にかぶる冠は「在原業平」の形見、

羽織っている衣は「藤原高子」の形見、

そしてそれらを身につけるのは「杜若の精」。

この姿を演じるシテは、「業平」「高子の妃」「杜若の精」という3つの”人格”を無理なく融合させて美しさを出さなければいけない訳で、非常に難しい役だと思います。

私はまだこの「杜若」を舞ったことは無く、いつか舞ってみたい曲のひとつです。

舞う機会が来たら、この”三位一体”の姿を色々考えながら表現したいと思います。

高校生になると

今日の神保町稽古場には、先月の澤風会郁雲会で能「敦盛」ツレを勤めた男の子と女の子が来てくれました。

2人とも会うのは澤風会以来で、約1ヶ月ぶりになります。

2人別々に来たのですが、それぞれ一目見た瞬間に「おぉ…!」と驚いてしまいました。

なんだか雰囲気が変わって急に大人びて見えたのです。

実は2人とも、この4月から高校生になりました。

よく「立場が人を作る」と言いますが、中学生から高校生になるとこんなに雰囲気が変わるものかと感心しました。

とは言え、仕舞の稽古を始めて会話をしてみると、内面は前と殆ど変わっていなかったので逆に安心いたしました。

私の高校時代を振り返ってみると、今の自分に繋がる大事な出来事をたくさん経験した3年間でした。

きっと彼らもこれからの高校生活で、そんな大事な経験を積みながら、内面的にも成長していくのでしょう。

稽古を通じて彼らの成長を見ていくのが楽しみです。

800年前の原本…!

私は古本屋を覗くのが大好きです。

最近見つけて愛読しているのは、「田中光常」という動物写真家の「自然・動物・わが愛」という40年ほど前に発行された文庫版写真集です。

田中光常さんは、私が尊敬するアラスカの動物写真家の故星野道夫さんの師匠だった人です。

今は絶滅してしまった動物達の写真もあり、やはり古本は素晴らしいと悦に入っておりました。

しかし今日のニュースで、なんと「藤原定家直筆の古今和歌集注釈書」が京都の冷泉家で発見されたというのを読みました。

“藤原定家”と言えば能「定家」はもちろんのこと多くの謡に登場する人物であり、1162年生まれで1241年に亡くなっています。

つまり”約800年前の原本”が見つかったわけで、私が40年前の古本で喜んでいるのとは全くもってスケールが違うお話です。

発見した人の喜びはいかばかりだったでしょうか…。

と言っても、私は藤原定家については謡の中の事しか知りません。

せいぜいが京都にある「藤原定家墓所」に御参りに行ったことがあるくらいです。

この機会に藤原定家と古今和歌集注釈書についてもう少し勉強してみたいと思いました。

しかし今日はもう遅いので、明日以降に…

希望に満ちた出発

春は色々と移動の季節です。

先日ブログに書いた松本で稽古していた女の子は、留学先のカナダに先週旅立っていったそうです。

また京大宝生会OGの1人は、やはり留学でオランダに一昨日出発したと聞きました。

カナダもオランダも距離的には遥かに遠いのですが、何故か別れの寂しさはほとんどありませんでした。

どちらも自分の意志での留学で、希望に満ちた出発だったというのがひとつ。

また現代では海外ともビデオ通話が容易であり、コロナ禍も明けたので、来年以降くらいにカナダやオランダに行って能楽公演、というのも可能なのです。

翻って今稽古している能「昭君」では、子方の王昭君は心ならずも遠い異国に旅立つ事になり、嘆き悲しむ両親と二度と会う事もなく異国の地で悲劇の生涯を終える事になるのです。

能には理不尽な話が多くありますが、この「昭君」を稽古していると、現代日本に生まれた自分の幸せをしみじみと感じてしまいます。

先ずは留学した2人の海外での活躍を祈りつつ、出来る事ならカナダかオランダでの再会を願っております。

最近の若者は…

京大宝生会の若手OBOGの中には、御囃子を何種類も習っている強者が何人かいます。

それぞれ上手にこなしているので、笛や小鼓が芸大時代に全く鳴らなかった私は、すごいなあ羨ましいなあと思って見ていました。

昨日の京大宝生会新歓ワークショップの時の事です。

最後に新入生達に舞台に上がってもらい、能面や御囃子の楽器を自由に体験してもらいました。

その時間も終わって、後片付けをしながら残った現役数人が楽器の体験を始めました。

私も能面などを片付けながらそれを聴くともなく聴いていました。すると…

「オヒャライ ホウホウヒ」

という若手OGの笛の音の後に、2回生の1人が

「オヒャライ ホウホウヒ」

と繰り返しているのですが、それが大変滑らかな笛なのです。

ちなみにその2回生は笛を吹くのは初めてです。

なんと15分くらいの間に、「中之舞」の笛をほぼ全部吹けるようになってしまいました。

若手OGも驚いた様子で、

「笛を習いたくなったらいつでも言って!この笛は預けておくから自由に吹いて!」

と笛の稽古を勧めていました。

よく言われる「最近の若者は…」

というフレーズは大抵ネガティブな意味で使われますが、昨日の私は

「最近の若者は…すごいなぁ」

と心から感心したのでした。