今年の稽古始め

今日は江古田稽古場にて、1週間前と同様に郁雲会の能と舞囃子を中心とした稽古をしました。

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私の今年の稽古始めです。

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1週間前と同じ稽古なのに、年が改まっただけで何となく清々しく厳かな気分になってしまいます。

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交代でいらっしゃる皆さんと、先ずは新年のご挨拶をして、それから今年初めての稽古にかかりました。

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思い返すと、去年の1月5日にこのホームページを開設しましたので、今日のこのブログでぴったり1年が経過したわけです。

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明日からは開設2年目に突入するので、同じ内容にならないように去年のブログをちょっと読み返してみようかと思っております。

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それでも「あれ?この内容去年読んだような…」と思われた方は、突っ込みのコメントをお送りくださいませ。。

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2年目も当ホームページをどうかよろしくお願いいたします。

万歩計アプリによると…

普段から皆様に「健康には気をつけて」と言われているのですが、とりあえず「歩くこと」と「階段を使うこと」くらいしか健康に繋がる事をやっていない私です。

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「歩く」というのは運動とも言えないような単純なことですが、歩くことにも色々利点があります。

・体調が整えられる。

・足腰や心肺機能が鍛えられる。

・渋滞や遅延に関係ないので、精神的ストレスも無い。

・街中で面白い出来事に出会う可能性が高い。

などなど、私のような「散歩が好きな能楽師」にとっては、歩くことは正に良い事ずくめなのです。

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更に私の携帯には「万歩計アプリ」が付いており、これがまた丁度良い達成感を与えてくれます。

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因みに昨年1年間で私は、

・一日平均8003歩歩いて、

・一日平均17階分の階段を登り、

・一年で約2200㎞移動して、

・最高で1日23278歩歩いた

ことになるそうです。

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これが多いのか少ないのかは判然としないのですが、自分の足で約2200㎞程歩いた中で、昨年の色々な経験があったと思うと感慨深いものがあります。

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この「歩くこと」に関しては、出来れば去年の記録を更新することを今年の目標にしようと思っております。

結果は来年のお正月のブログにて。

初夢と初詣

今年の初詣は、年末にブログに書かせていただいたご縁で素戔嗚神社に行こうと思い立ちました。

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神社に近づくと、軽快なお神楽の音が聞こえて来ました。

しかし境内から道路にまではみ出す長い参拝客の列が出来ています。。

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普段行列に並ぶのが本当に苦手な私は、ここであえなく挫折しそうになりました。

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しかしその時、境内に「獅子舞」の姿が見えたのです。

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参拝客は頭を噛んでもらい、子供たちは怖がって泣いたりしています。

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これは並んででも是非近くで獅子舞を見て、頭を噛んでもらいたい!と思い、行列に並びました。

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しかし、行列が暫し進んだところでお神楽が止んで、獅子も何処かに行ってしまいました。。

周りの人たちも「獅子舞は勤務時間終了かしらね〜」とちょっと残念そうです。

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写真を撮る間もなかったので、私もとても残念に思いましたが、拝殿までもう少しです。

日本晴れの空の下、柏手を打って参拝するのは大変清々しい気分でした。

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ところで、昨夜から今朝にかけて見る夢が「初夢」になるそうです。

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能「邯鄲」のシテ盧生のように五十年分のリアルな夢を見る程では無いにしろ、私も普段結構現実感のある夢を見ることがあります。

例えば食べ物の夢など見ても、ちゃんと夢の中で美味しく味わって食べ終えることが出来たりするので、そんな嬉しい夢が見られないかと期待して眠りました。

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そして見た初夢は…

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どこかの稽古場で稽古しているのですが、絶対に終わりそうにない人数の会員さんがいらして、「どうしよう終わらん…」と焦りながら稽古している夢でした…。

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思えばこういう「夢の無い夢」もよく見る私なのでした。

皆様はどんな初夢をご覧になりましたか?

今日はこれにて。

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新年のご挨拶

おかげさまで無事に新しい年を迎えることができました。

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昨年も色々なことがありましたが、多くの皆様にお世話になりながら何とか乗り切ることができました。

皆様誠にありがとうこざいました。

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新年にはよく「今年の抱負」を聞かれたりします。

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大体の人が「新しいことを始める」「何か新たな目標を立ててそこに向けて努力する」と言った前進的な答えをするでしょうし、聞く方もそれを期待しているはずです。

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しかし、能楽においては「変わらないでいること」も大切だと思うのです。

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私は今年も変わらずに各地の稽古場を巡り、変わらない内容で稽古を重ねて、舞台も変わらず頑張って勤めて参ります。

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その先に「進歩」や「上達」があると信じております。

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このブログも、「書き始めた以上、変わらずに書き続けよう」と思いながら何とか1年が過ぎました。

本当にネタが尽きるまでは、変わらず毎日書いて参りたいと思います。

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皆様どうか本年もよろしくお願い申し上げます。

1件のコメント

日が暮れる里にて

今日は郁雲会の番組作成作業をずっとしておりました。

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夕方に気分転換しようと今年最後の散歩に出ると、近所にこんな名前のマンションを見つけました。

マンションとしては珍しい名前だなと思ってしばし考えてみると、はたと気がつきました。

私の家の住所は「東日暮里」です。

「日が暮れる里」→「サンセットビレッジ」

なのですね。

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ちょうど夕方の鐘と「夕焼け小焼け」のメロディが流れて、今年最後の日が沈んでいきました。

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しかし「日暮里」の語源を調べたところ、「日がな一日を暮らしても飽きない里」ということで江戸時代に名付けられたそうです。

今は静かな住宅街が大半を占める日暮里ですが、江戸時代にはよほど栄えていたのでしょうか。

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ともかく、この太陽が次に昇って来る時には平成30年になっているわけです。

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皆さま今年も本当にありがとうございました。

どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

静かな年の暮れ

今年もあと2日になりました。

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今日は家の掃除や、溜まった本を整理して要らないものを近所の古本屋に持って行ったり、細々とした年末年始用の買い物をしたりと、能には殆ど関係のないことばかりで暮れた1日でした。

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思い出してみると、内弟子の頃は確か12月30日に宝生能楽堂前で餅つきをしていました。

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つきあがった餅を小分けにして、車で色々な所に配りに行ったり、慌ただしい1日だった記憶があります。

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餅つきに加えて、内弟子部屋や更衣室を始め宝生能楽堂各所の大掃除も30日と31日にやっていて、我々内弟子はこの2日間はてんやわんやで右往左往していました。

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あの頃と比べると、本当に静かに年が暮れていきます。

昨日と比べても、あの東京駅の喧騒が嘘のように穏やかな三ノ輪辺りでした。

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遠出する予定は無く、家にはテレビも無いので、年末年始は静かに本など読んで過ごしたいと思います。

京大宝生会謡納め

今日は京大BOXにて、京大宝生会の「謡納め」がありました。

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京大では合宿最終日にも合宿課題曲5曲での「謡納め」がありますが、毎年末にやる謡納めは一年間に稽古した全10曲と、最初に「鶴亀」を謡うので計11曲。

これを一切省略無しに朝から通して謡うのです。

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今年は授業の関係もあり、ちょっと遅めの12月29日の謡納めでした。

私は謡納めに向かうべく、何も考えずに午前中に東京駅に向かったのですが、あえなく帰省ラッシュ真っ只中に飛び込んでしまいました。。

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何と東京駅の新幹線改札からホームに上がって新幹線に乗るまでに1時間以上かかるという信じられない混雑ぶりで、ようやく京大BOXに着くと半分以上が終わっておりました。。

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しかし年の瀬開催の分、仕事納めの終わった若手OBなども多数参加して、非常に活気ある謡を聴くことが出来ました。

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先日の関西宝連に風邪で出られなかった一回生も元気に参加していて、今日最後の曲「紅葉狩」では、関西宝連で勤めるはずだったワキを力強く謡っていました。

めでたくリベンジを果たせた訳で、その為に彼にワキの役をあてがったのかと思って聞いたら、「いえ、クジ引きでたまたまワキを引いたのです」とのこと。

そんな偶然もあるのかと驚き、一層めでたいことだと思いました。

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11曲を謡納めて最後に千秋楽を謡うと、18時半でした。

開始が朝9時だったそうなので、彼らは9時間半謡い通しだった訳です。

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謡納めの後には鍋が恒例なのですが、これは昨年同様に前部長の完璧な差配により、大変美味しい「キムチ鍋」と、辛味が苦手な人向けの「あっさり鳥鍋」が手早く準備されました。

前部長は予め自宅で、同じレシピで半分量の鍋を作って味見をしたというこだわりぶりで(鍋の申合をしました、とのこと)、今年の京大の一年を大満腹大満足で締めくくれました。

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現役からは来年一年の舞台の相談などもあり、京大宝生会も既に新年に向けて動き出しているようです。

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京大宝生会の現役とOBOGの皆さん、今年も色々お疲れ様でした。

来年もまた頑張りましょう。

来年に向けて

江古田稽古場の稽古納めは先週終わったのですが、実は今日も江古田で稽古をして参りました。

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これは来年3月2日、3日に宝生能楽堂にて開催させていただく「郁雲会40周年記念大会」に向けての稽古なのです。

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昼から能の稽古を始めると、あっという間に日が暮れる時間になってしまいました。

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そこから舞囃子などの稽古をして、結局いつもよりやや遅い時間にようやく終わりました。

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最後の方には今年このホームページを見て稽古を始めてくださった謡稽古のお二人が交代でいらして、そのうちひとりはめでたく最初の曲「橋弁慶」の鸚鵡返しが終わりました。

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新人のお二人は来年の郁雲会が初舞台になる予定です。

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今日は澤風会のすべての稽古場を含めて、今年最後の稽古だったのですが、皆さん来年の舞台に向けてバリバリと稽古されていたので、「稽古納め」というよりは半分来年の「稽古初め」という気分でした。

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しかし今月に入り各地の澤風会稽古場で「良いお年をお迎えください」と繰り返して来て、それも今日が最後と思うと、しみじみと年の瀬だと感じます。

今年もあと三日です。

田町稽古場の忘年会

昨日は亀岡で今年の稽古納めでした。

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亀岡は新年に「謡初め」をするので、昨日の稽古納めは普段通りの稽古です。

静かに終えて、静かに年末のご挨拶をして亀岡を後にいたしました。

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そして東京に帰って来ると、なんだかいつにも増して各駅が賑やかな酔客で溢れています。

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ふわふわとした危なっかしい人々を避けながら家に帰りました。

巷は忘年会真っ盛りだったようです。

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そして今日は田町の稽古納めがあり、その後が我々の忘年会でした。

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今年の忘年会場は、ベテラン会員さんの奥様であり、今年稽古を始められた新入会員さんの伝手で決めていただいた、田町駅前の魚介料理のお店でした。

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私は学生時代に和歌山県の「加太」という町に行ったことがあります。

その加太は「クエ」という大きな魚の料理が有名な港町で、しかし高級魚で当時学生だった私には全く手が出なかった思い出があります。

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今日の忘年会では、岩手、和歌山、福島、山形、栃木などの地酒と共に(5杯も飲みました…)、そのクエを始めとする沢山の美味しいお魚をいただくことが出来ました。

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昨日の夜の私が見たら、きっと「今日は酔っ払いが多いなあ…やれやれまったく…」と思うような状態で、ふわふわとして今地下鉄日比谷線に揺られているのでした。

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田町稽古場もまた活力に溢れた楽しい稽古場です。

そもそもこのホームページも田町稽古場の方からのアイデアで生まれたのです。

田町の皆様来年もよろしくお願いいたします。

素戔嗚神社の小学生達

数年前に公演で、インドネシアのウブドという伝統芸能の村に行った事があります。

そこでインドネシアの獅子舞である「バロン」という舞台を観た時のこと。

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舞台でバロンが演じられているすぐ脇の舞台袖で、小さな子供達が懸命に舞台の真似をして演技をしていたのです。

おそらく演者の家族と思われ、私は「こうやって伝統が自然に次世代に伝わっていくのだろう」と感心しました。

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また7月18日のブログでは、京都の祇園祭に積極的に関わって、自前の鉾を作って子供達に巡行までさせるという洛央小学校の事を書きました。

祇園祭に小さな頃から参加した小学生達は、やはり自然にその伝統を引き継いで将来は祇園祭を担っていくのだろうと、羨ましく思ったのです。

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私の育った東京では、浅草などの一部の町を除いては、そのように子供の頃から地域の伝統に触れてそれを引き継ぐという経験は難しいと思っていました。

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ところがつい昨日、家の近所でそのようなシーンを見ることができたのです。

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家の近くに「素戔嗚(すさのお)神社」という大きな神社があります。

昨日その前を通りかかると、神社の中から元気な声と共に小学生達がぞろぞろと出て来ました。

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何か遠足のような行事かと思ったら、どうも普通に学校帰りのようです。

素戔嗚神社の境内が通学路に指定されているようなのです。初めて気がつきました。

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面白いなと思って境内に入ってみると、ちょっと驚く光景が見られました。

小学生達は皆、本殿の前を通る時にちゃんと立ち止まり、代わる代わる御辞儀をしてから通って行くのです。

中にはきちんと柏手を打ってお参りをしている子供もいます。

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彼らは毎日登下校の度にこれを繰り返しているのでしょう。

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調べてみたら、素戔嗚神社は1200年の歴史がある神社で、その例大祭の御神輿が有名だそうです。

こども神輿もあり、正にあの小学生達が担ぐようです。

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彼らの小学校の名前も素戔嗚神社に深く関わる「瑞光小学校」という名前で、彼らはごく自然に地元の神社に毎日参り、その祭に参加してこども神輿を担ぐようになり、やがて大人になると本社神輿を勇壮に振りながら担ぐようになるのでしょう。

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そうやって素戔嗚神社の「天王祭」は500年近くも続いて来たようなのです。

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私の住む町で、このような形で地域の伝統が継承されていたとは、嬉しい驚きでした。

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そして天王祭の3年に一度の大きな「本祭」が、来年2018年6月に開催されるそうです。

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これは是非あの小学生達が御神輿を担ぐ勇姿を、そして昔小学生だった人達の担ぐ本社神輿を見に行きたいと思っております。