春を待つ”花の兄”
今日もまた”今年初めて”の亀岡稽古でした。
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朝に四条木屋町近くの宿を出ると、鉛色の空の下に寒風が吹きすさんでいて、思わずぶるっと震えました。
道行く人もポケットに手を突っ込んでマフラーを厳重に巻いて「寒っ!」という表情で歩いています。
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しかし携帯のニュースを見ると、東京は今朝初雪が降ったのですね。
むしろ雨雪が降らなかった分、京都の方がましな気候だったのかもしれません。
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亀岡稽古場は新年の様々な行事も終わっていて、静かな冬の佇まいでした。
華やかな花などは咲いていませんでしたが、梅の枝にはたくさんの蕾がついていました。
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もちろんまだまだ蕾は硬く閉じられていましたが、「春を迎える準備は今年もちゃんとしていますよ。」と主張しているように感じられました。
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春になると他の花に先立って咲くので、梅は別称「花の兄」とも呼ばれるそうです。
これは能「難波」の謡にも出て来ます。
今日の亀岡の梅は、「準備を怠らないしっかり者のお兄さん」というところでしょうか。
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もちろん、冬の寒さはこれからがむしろ本番です。
しかしその厳しい寒さに耐えてあとひと月半もすると、早春の訪れとともに梅だけでなく、「花の弟」や「花の妹」にあたる花々も咲き始めることでしょう。
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なんだか受験生の皆さんのことも思ってしまいました。
風邪などひかずにこの冬の受験を乗り越えて、どうか暖かい春を迎えられるように祈っております。