2019年田町稽古始め

今日は一日中北風が強く吹いて、とても寒い日でした。

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私は夕方から田町の2019年最初の稽古に行って参りました。

お仕事で少しお休みだった方や、修士論文を執筆していた韓国からの留学生なども元気に戻ってきてくれて、久しぶりにフルメンバーでの稽古になりました。

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謡の稽古では今度の澤風会東京大会で出す予定の「氷室」を謡ったのですが、今日のような日に謡うと寒さも一入でしたね…。

鸚鵡返しをしていた頃は暑い盛りだったのをちょっと懐かしく思い出しました。

本番の3月9日には、少しは春めいているでしょうか?

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今年の田町稽古も昨年同様に頑張って参ります。田町の皆さま本年もどうぞよろしくお願いいたします。

謎の部品…

今日は近所の大きなホームセンターに行ってきました。

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そして色々見繕った結果、下の写真のようなパーツなどを購入いたしました。

まだ未完成なのですが、勿論能に使う何かです。

ちなみにパイプは1本が約二尺強の長さです。

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この部品が今回最大の収穫で、見つけて思わず「うおー、あった〜!」と1人で喜んでしまいました。こういうのを探していたのです。

皆さまには何のことやらわからないと思いますが。。

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パイプ寸法の微調整や足りないパーツの調達などを明日の田町稽古の前に済ませたら、とりあえずの形は出来上がると思います。

これを使う時が来たら、また皆さまに完成品を披露したいと思います。

以前に「竹生島の船」を稽古用に作ったことがありますが、今回はそれ以来の”作り物”製作になります。

完成が楽しみです…!

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ちょっと短いですが今日はこれにて。

紫明荘組2019年初稽古

今日は京都紫明荘組の稽古でした。

今年最初の澤風会稽古、また今年初の京都になります。

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例年京都の年明けの稽古は非常に寒く、新幹線で雪景色を見ながら京都入りすることもしばしばです。

今日も寒さを警戒して、こちらも今シーズン初めてのロングコートを引っ張り出し、私にしては厚着で出発しました。

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しかし京都の寒さは予想していたほどではありませんでした。

今年はやはり暖冬傾向な気がします。

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そして稽古もまたちょっと予想外で、人が少なめでした。

途中お茶を飲みながらのんびりとお話しをする時間もあるくらいでした。

年末に体調を崩したり、また風邪気味でお休みという方などいらして、やはり暖冬気味でも体調管理は難しいのだと思いました。

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人が少ない分お一人お一人の稽古は丁寧に出来て、また私自身も正月明けからエンジン全開になるよりもむしろ良いスタートになった気がいたします。

この後田町、江古田、亀岡、松本など順々に稽古が始まります。

ギアを一段ずつ上げていって、今週末にはフル稼働の状態にしたいと思います。

第6回澤風会東京大会に向けて

今年3月9日に東京渋谷のセルリアンタワー能楽堂にて「第6回 澤風会東京大会」を開催いたします。

その番組作りに年明けから取り掛かりました。

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今年は昨年と異なり1日だけの会なので、番組の分量はちょっと少なくなります。

しかし今回も舞囃子が10番ほど出る予定で、昨年能を舞われた方も含めて皆様それぞれ新たな境地の曲に取り組んでおられます。

また仕舞でも、例えば高校生達は「船弁慶キリ」や「野守」と言った難易度の高い曲に挑戦します。

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そして松本の小中学生達も仕舞を舞ってくれる予定です。

「渋谷〜❗️絶対行く〜❤️」

と、なにやら舞台以外の要素で魅かれている節がありますが、勿論しっかり稽古しているので良い仕舞を見せてくれるでしょう。

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更に京都紫明荘組や松本澤風会から、また京大宝生会の現役とOB会の方々も多数ご参加くださる予定です。

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この「第6回澤風会東京大会」が良い舞台になるように、これから本番3月9日まで頑張って稽古して参りたいと思います。

また会のことは折に触れて書かせていただきます。

里帰り

年末には「今年最後の〜」というのを色々書きましたが、今度は「今年最初の…」という番です。

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今日は「今年最初の新幹線」に乗りました。

と言っても珍しく仕事ではなく、三重県の実家に久しぶりに日帰りで帰郷するために乗ったのです。

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私が生まれたのは、当時は三重県久居市と呼ばれていて、今は三重県津市久居となった場所です。

名古屋で新幹線を降りて近鉄電車に乗り換え、1時間ほどで久居駅に到着します。

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駅から徒歩10分の所にあるもう築80年にもなる実家をリフォームして、今は父親が住んでいます。

会うのは去年春の「郁雲会澤風会」以来となる父親は、幸い元気でした。

暫し話をして、私が「ちょっと散歩に行きたい」と言うと「じゃあ一緒に行こうか」

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父親と2人で散歩するなど本当に珍しいのですが、実家の近くには特に有名な観光名所があるわけでもありません。

しかし私が行ってみたい場所は決まっていました。

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ぶらぶらと歩き出して3分ほどで「久居農林高校」の横を抜けると、急に視界が開けてきます。

この先は、とにかくだだっ広い田んぼとその向こうに見える山々だけの風景なのです。

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ずっとこんな感じ。

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山々も雄大で急峻な山脈、とは正反対の、低くてなだらかな山並みです。

上の写真奥に薄っすら見える山などは、布を広げて置いたように真っ平らに広がる低い稜線を持つために「布引山」と言われています。

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しかしこの「特に強い印象は受けないけれど何となく長閑な風景」というのが私はとても好きなのです。

他の土地でも、広い田んぼの向こうになだらかな山が見えるところがあると「ああ、久居みたいで良いなあ」と思ってしまいます。

そして久居に帰るとこの風景を見ずにはいられなくて、ついその方向に散歩に行ってしまうわけです。

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それにしても父親は年の割に非常に元気で、結局万歩計アプリで1万歩近くを一緒に歩いてしまいました。

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その後も今度は車に乗って久居名物「野辺の里」という昔ながらの和菓子を買いに行ったりして、すっかり日が暮れるまで動き回ってからまた歩いて晩御飯を食べに行きました。

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実家のすぐ斜め向かいには久居市役所があったのですが、その大きな建物を壊して大規模な工事が始まっていました。

私「ここは何になるの?」

父親「新しく多目的ホールを作るらしいね」

横を通ると完成予想図が貼ってあり、かなり大きなホールになるようです。

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完成すると実家の目の前が多目的大ホールになるわけで、「なんとかそのホールで能楽公演をしたいなあ」

というのが新しい目標の一つになりました。

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まだまだ元気な父親に、今年の私の舞台を見てもらう、というのも小さな目標でしょうか。

晩御飯をご馳走になった後に、私は父親と別れて東京への帰途に着きました。

しみじみと良い里帰りでした。

新作能に吹き込まれる生命

あっと言う間に今年も4日が経過してしまいました。

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年末からずっと東京で過ごしていますが、お正月の東京は何と言っても電車が空いているのが良かったです。三が日の移動中はゆっくり座って本を読むことができました。

そして忘年会シーズンに多かったホームの酔客もお正月には姿を消して、東京も一年中この雰囲気と人口密度ならもっと住みやすいのに…と思ってしまいます。

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今日は水道橋で新作能「王昭君」の稽古がありました。

私は地謡での参加なのですが、一回稽古する度に節や位や囃子の手組が定まっていき、まるで曲に徐々に命が吹き込まれていくように感じます。

これに型が加わって立体的になると、いよいよ曲が生命を持って動き出すわけです。

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新作能に限らず、能は謡本を読んだだけの印象と、実際に能舞台で演じられた時の見え方が全く異なる曲が多い気がします。

今回の新作「王昭君」が舞台の上でどのような能として顕現するのか、楽しみになってまいりました。

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新作能「王昭君」

1月26日(土)13時半開演 於たかいし市民文化会館アプラ大ホール

チケット一般1000円 高校生以下500円

お問合せアプラホール072-267-0018

2019年初稽古

今日は江古田稽古場にて、芸大受験を控えた高校生の謡と仕舞の稽古をしました。

元日に宝生能楽堂にて「謡初め」はありましたが、私の本格的な始動は今日の稽古からでした。

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芸大受験は謡の場合、ある曲を一曲丸ごと覚えて、試験会場でその一部を指定されて謡うという試験です。

どこが指定されても大丈夫なように、かなり細かく稽古しなければなりません。

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しかし、そのように一曲を何度も細かく稽古するという意味は、実は芸大受験を越えたその先のために大きな意義を持つと今日感じました。

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彼は1年前の段階では、謡本の読み方や節の謡い方も殆ど知らなかったのです。

それが同じ曲を繰り返す中で徐々に節の意味を理解していき、また「クセ」や「キリ」などの大まかな位取りなども少しずつ出来るようになってきました。

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これから膨大な量の謡を稽古していくにあたって、今回の曲で身につけた知識が大きな助けになってくれるでしょう。

まだまだ受験までに稽古を積んで、より正確な謡を身につけて試験に臨んでほしいと思います。

万歩計データ2018

去年お正月のブログにて、「万歩計アプリ」のデータを紹介いたしました。

因みに私の一昨年2017年のデータを繰り返すと、

・1日平均8003歩。

・1日平均17階の階段を昇り降り。

・1年で約2200kmを歩いて移動。

・1日最高23278歩歩いた。

そうです。

そして去年のブログでは「2018年はこの記録を更新するのを目標にする」と書いてありました。

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という訳で、去年2018年の1年間の万歩計データを調べてみました。

結果は…

・1日平均7413歩。

・1日平均17階の階段を昇り降り。

・1年で約1860kmを歩いて移動。

・1日最高22228歩歩いた。

…なんと残念ながら、殆どが前年を下回る結果になっておりました。。

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このアプリには「チャレンジコーナー」もあり、私はこれまで「日本列島踏破」などの項目を達成しているようです。

今年達成出来そうなのが1日25000歩踏破の「散歩マスター」と、通算5464km踏破の「黄河流域の旅」という項目などです。

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色んなチャレンジ項目なども心の支えにして、今年こそ「2017年の記録」を超えるのを目標にしたいと思います。

結果はまた来年お正月のブログにて。

2019年どうぞよろしくお願いいたします

皆様

2019年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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このホームページも3年目に突入いたしました。

今年も変わらず出来る限り毎日ブログを更新していけたらと思っております。

年内に1000回目のブログ更新が来るはずなので、先ずはそこを目標にしたいと思います。

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今年は「亥年」です。

能関係で猪と言えば、能「鵺」で頼政の郎党として登場する”猪早太”が思い浮かびます。

頼政の矢に射られて落下した鵺にすかさず駆け寄り、刀で九回突いてとどめを刺したという勇猛果敢な武者です。

しかし”猪早太”は鵺退治の後には歴史の表舞台から忽然と消えてしまい、実在したかも定かでない人物なのです。

それでも、能「鵺」の中の「落つる所を猪早太、ツゥッと寄りて続けざまに…」という辺りのクセの謡が難しいのもあってか、不思議に私の印象に残っているキャラクターです。

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年末の大掃除で見つけた伊坂幸太郎さんのエッセイをパラパラと読んでいたら、「猪武者」という言葉があるのを知りました。

“猪早太”と関係がありそう…と一瞬思ったのですが、「猪武者」は「考え無しにがむしゃらに突進する武将」というような意味らしく、ちょっと猪早太とはイメージが違うと思いました。

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私自身もあまり「猪武者」的な要素は無い方なので、今年も淡々と、しかし着実に歩んで参りたいと思います。

いくつかは新しい試みにも挑戦する年にしたいです。

皆様重ねまして、本年も私と当ホームページをどうかよろしくお願いいたします。

青山の琵琶ストラップ御守り

先日京大宝生会の2018年謡納めに参加した時のこと。

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謡納めが無事に終わると、今年も”申合”をしたという前部長プロデュースの美味しい鍋や、驚くことに前々部長が下宿のオーブンで自ら焼き上げたという七面鳥の丸焼きなどをいただきました。

そしてやがて卒業生へのプレゼント贈呈が始まりました。

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私の頃は謡納めではなく、冬の京宝連の後席で行われていたプレゼント贈呈式です。

今は各学年から「真面目なプレゼント」と「ネタ(受け狙い)のプレゼント」の2種類ずつが贈られるという、中々に品数が多い贈呈式でした。

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それらもひとしきり終わって、再び鍋と七面鳥に戻ろうかと思ったところで、現部長が僕の横に来て「実は…澤田先生にも贈り物がありまして…」

なんと、それは驚きです。卒業するわけでも誕生日でもなく、一体何のプレゼントでしょうか?

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部長「関西宝連の”経政”の前の日に、何人かで仁和寺にお参りに行きまして…。」

そして小さな袋を取り出しました。

部長「ついに手に入れたのです。」

おお、これはまさか!

袋から取り出してみると…

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やはり!

「青山の琵琶ストラップ御守り」!

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思えば9月初めの「経政合宿」の時に、仁和寺に参詣して境内を詳細に見て回り、この「青山ストラップ」も入手するはずだったのです。

しかし台風21号が接近していた為にその予定は叶いませんでした。

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それが遂に目の前に…!

よく見ると、ちゃんと第一〜第四の弦が張ってあります。

そして平家物語にある、

「夏山の峰の緑の木の間より、有明の月の出ずるを撥面に書かれたるゆえにこそ、青山とは付けられたれ」

という由来通りに、山から昇る月が撥面に描かれていました。

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台風襲来の前日に、京大宝生会の皆と登った双ヶ丘のことが思い出されました。

その日は台風の雲がかかり、月が昇るのは残念ながら見られませんでした。

ストラップが無事に手に入った今、次の目標はいつか双ヶ丘から昇る月を見ることでしょうか。

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そして謡納めでは、来年出す能の話もかなり具体的に相談されました。

来年もまた今年の「経政」と同様に、各人が色々な道程を経て本番の舞台を目指すことになるのでしょう。

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今年最後の太陽がつい先程沈んでいきました。

このブログもなんとかほぼ毎日書き続けて2018年を終えることが出来ます。

読んでくださった皆様、またこの1年でお世話になりました皆様、今年も誠にありがとうございました。