三連休の京都なのに…

今日は約1ヶ月ぶりに京都紫明荘組の稽古でした。

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がら空きの新幹線で京都に到着すると、京都駅新幹線コンコースは下のような光景でした。

“春分の日の三連休中”ということも考えると、衝撃的な人の少なさです。

大袈裟かもしれませんが、生きているうちにこのような京都駅を目にするとは思いませんでした。

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稽古場の「ゲストハウス月と」に到着して、亭主さんと少しお話しをしました。

やはり2月下旬からずっと大変だということでした。

亭主さん「2月を耐え忍んだらきっと3月には好転する、と思っていたら3月に入っても状況は全くかわりませんでした…」

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それは全く同感で、能楽業界も非常にしんどい状況にあります。

その中でも、こうして稽古を再開出来たのは幸せなことです。

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…と思いながら稽古準備をしたのですが、なんとその後2時間経っても誰も稽古に来られませんでした。。

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ちょっと再開するのが早過ぎたかな…

と思ってしまいましたが、幸いにそこから続けて人が来始めて、最終的には10人近く稽古をすることが出来ました。

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帰り際に亭主さんと、

「頑張りましょう!」

と励まし合って「ゲストハウス月と」を後にしました。

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次の紫明荘組稽古は4月中旬になります。

その頃には、今度こそ何とか事態が好転しているように願っております。

マスクと能面

昨日は久しぶりの江古田稽古でした。

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ウイルス感染防止のため、私も会員さん達もマスク着用での稽古です。

私はここ2週間ほどで何度か”マスク稽古”の試運転をしたので、マスクをして謡うことには慣れていました。

しかし会員さん達はやはり違和感があるようで、

「何となく息苦しさがありますね…」

という声が聞こえてきました。

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そこで私は、

「確かにマスクをして謡うとちょっと苦しいですよね。しかし、これは実は”能面”をかけている状態と近い感覚なのです。皆さんは今、能楽師の感覚を体験されている訳です」

と申し上げました。

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あちこちで「ホオ〜…」

と声が上がる一方で、ある会員さんが、

「そうです。私は以前に能のシテをした時には、わざとマスクをして稽古をしたのですよ」

と仰いました。

その方は4年前に能「俊寛」のシテをされたのです。確かにマスクをして稽古をされていた姿を覚えています。

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私「皆さん今回のマスク稽古で”能面の感覚”を体験していただき、いつか本物の能面をかけて、”俊寛”のような能を舞ってくださいね!」

今度は江古田稽古場がドッと笑いに包まれたのでした。

“正座耐性”が…

今日は朝から水道橋宝生能楽堂にて、日曜日開催の「別会能」の申合がありました。

私は能「隅田川」の地謡を勤めました。

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ここ半年ほどで体重を少し絞ったので、地謡での正座が楽になった気がしておりました。

ところが今日は隅田川申合の後半になると、完全に足が痺れてしまって感覚が無くなっていたのです。。

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「思ったより時間が長かったのかな…?」

と思い、切戸から入るとすぐに時計を見てみました。

しかし実際には50分足らずしか経っていませんでした。

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思えば今月に舞台で正座したのは、国立能楽堂での半能「石橋」だけでした。

時間にして20分程度です。

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推測するに、おそらく正座にも”耐性”のようなものがあるのではないでしょうか。

頻繁に長く正座していると”正座耐性”が高まり、逆にあまり正座しなくなると”耐性”が無くなって痺れやすくなるのでは。

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別会能申合の後は久しぶりの江古田稽古でしたが、昼過ぎから夜まで稽古すると、やはり普段よりも足が痺れてしまいました。。

これから舞台や稽古が増えていくので、早く”正座耐性”をつけてまた楽に座れるようになりたいものです。

澤風会稽古再始動しました

今日の夕刻、田町のいつもの稽古場に私が到着すると、いつもの6人の皆さんが揃って待っていてくださいました。

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いつもと違うのは、窓が全開になっていることだけです。

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1ヶ月弱ほど間が空いただけなのですが、何かものすごく久しぶりに皆様とお会いするような気持ちで、正に万感胸に迫る思いでした。

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稽古を始めてみると、皆さんはお休み中もそれぞれ自主練をしていてくださったようで、稽古中断前よりも上手くなっておられると感じました。

これもまた嬉しく、感無量なことでした。

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澤風会稽古は今日の田町稽古よりいよいよ再始動いたしました。

この先江古田、京都紫明荘組、松本、大山崎と順次再開して参ります。

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手洗いやうがい、換気などのウイルス対策は小まめにやって、出来る限り安全を確保したいと思っております。

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完全に元の状態に戻るまでには今しばらく時間がかかると思いますが、先ずは第一歩を踏み出すことが出来て久しぶりに嬉しい日になりました。

稽古再開を目指して

連日コロナウイルスのニュースに戦々恐々とする日々ですが、ウイルス対策や注意点も徐々にわかって来たようです。

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そして今月22日の「宝生会別会能」も、様々な対策を講じた上で予定通り開催されるとの知らせが今朝届きました。

久しぶりに希望を持てるニュースでした。

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このニュースを受けて、澤風会稽古も東京の稽古場から徐々に再開して参りたいと思っております。

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稽古再開にあたっては、

①マスクがある方は着用していただく。

②可能な限り窓や扉を開けて換気をする。

③咳や微熱など、少しでも体調に不安のある方は無理せずお休みいただく。

という対策をとりたいと思います。

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①のマスクが中々入手できませんが、先日「日本手拭いで作る手作りマスク」というニュースを読みました。

そして実は今日、家にある手拭いでマスクを試作してみたのですが、中々使い心地が良いものでした。

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また「次亜塩素酸水」がウイルスを不活性化させるという話を聞いたので、方々探してようやく「次亜塩素酸水スプレー」を1本だけ購入出来ました。

これも稽古場に持って参ります。

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今回の新型コロナウイルスは非常に恐ろしいもので、人類が被った身体的、精神的、経済的なダメージは途轍もない規模になってしまいました。

しかし、負けてばかりはいられないと思います。

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出来る対策をとりながら、日常を取り戻すために少しずつでも進んで行きたいと思っております。

非公開の研修修了発表会

今日は国立能楽堂にて、「能楽三役研修修了発表会」に出演して参りました。

私は半能「石橋」の地謡を勤めました。

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5年にわたる研修を終えた狂言方と太鼓方の研修生のお2人が、それぞれ「奈須与市語」と、半能「石橋」の太鼓を勤めた今日の舞台。

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当初一般公開の予定が、コロナウイルスの影響で非公開の舞台になってしまい、晴れの舞台を迎えたお2人にはお気の毒だったと思います。

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しかし、舞台上の我々は勿論のこと、国立能楽堂の職員の方々は一般公開の舞台と全く変わらぬ段取りで、非常に厳密に丁寧に仕事に臨んでおられました。

パンフレットも、急遽決まった非公開にもかかわらず、非公開用の立派なパンフレットが出来上がっていて驚きました。

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一般非公開とは言え、おそらくお2人の御家族などと思われる関係者の方々が20人程、それぞれ遠く離れて見所に座っておられます。

開演や終了のアナウンスも勿論全ていつも通りに行われ、御覧になった関係者の皆様は喜ばれたことと思います。

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そして半能「石橋」を無事に終えた太鼓方研修生の方は、安堵と誇りが入り混じったような、とても良い表情をされていました。

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非常に特殊な状況下の舞台でしたが、ある意味でとても心に残る経験になりました。

無事に研修を修了されたお2人には、この先にたくさんあるであろう一般公開の舞台で、思う存分に活躍していただきたいと願っております。

我慢の時

3月に入ってから、澤風会の稽古を全てお休みにしております。

ブログの更新も滞ってしまっておりますが、私自身は全く健康に過ごしています。

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今日は本当に久しぶりの仕事で国立能楽堂に行きました。

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楽屋で何人かの仲間と話したのですが、やはり全て休みにしている人、また稽古は希望者のみ続けている人など様々でした。

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まだ終息の見通しは全く立たない状況ですが、今のところ来週から澤風会稽古は再開したいと思っております。

当面はマスク着用で稽古させていただきたいと思います。

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時間が急に空いてしまったのですが、この期間に自分の稽古をみっちりとしたり、これまで出来なかった事に色々挑戦したりしております。

またこのウイルス禍がおさまったら、ブログも頑張ってもりもりと更新して参りたいと思います。

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今しばらくはじっと我慢して、力を蓄えておきます。

皆様もどうか健康を保っていただき、また稽古や舞台で元気に再会出来ることを願っております。

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澤風会郁雲会大会延期のお知らせ

3月になりました。

そして本来なら今は、週末の3月7日に迫った「澤風会郁雲会大会」の準備が大詰めを迎えている筈の時期です。

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しかしながら、「澤風会郁雲会大会」は延期させていただくことにいたしました。

延期日程は、

5月9日土曜日

になります。場所は変わらずセルリアン能楽堂です。

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お願いしていた能楽師の皆様、また出演を予定されていた方々、そして会場のセルリアン能楽堂にはご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。

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舞台に向けた日々の稽古。

当日朝から夕方までかかる舞台。

観に来てくださるたくさんのお客様。

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現状では、それら全ての要素から感染拡大の恐れがあると思います。

今はとにかく健康上の安全確保が何よりも優先される時だと考えて、延期を決断させていただきました。

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何とか5月までにこのウイルス禍が終息して、5月9日にはセルリアン能楽堂で皆様と笑顔でお会い出来ますことを、心から願っております。

そしてそれまでどうか皆様お一人お一人が健康でいらっしゃいますように、心から祈っております。

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延期で各方面にご迷惑をおかけいたしますこと、重ねて深くお詫び申し上げます。

ご理解のほどどうかよろしくお願いいたします。

汐入大橋の大寒桜

今日は家の近くの隅田川まで歩いて行きました。

「千住大橋」と「汐入大橋」の間の河原には広いスペースがあるので、「盤渉楽」の舞の稽古をしようと思ったのです。

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澤風会の番外舞囃子「邯鄲 盤渉」は、笛の流儀が当初の”一噌流”から”森田流”に変わることになりました。

なので稽古も一からやり直しなのです。

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型付けを手に舞い始めてみると、一噌と森田では”時間の余るところ”と”忙しいところ”が全く異なることがわかりました。

また足拍子の数も違います。

そして、一噌では足拍子が通常の楽と盤渉楽で全く一緒なのですが、森田では通常と盤渉で足拍子も異なる箇所がありました。

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中々難しい”森田流盤渉楽”ですが、この機会に一噌流盤渉楽と同時に身に付けるようにしたいと思います。

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帰り際に、「汐入大橋」のたもとでこんな光景を見かけました。

桜が咲いていたのです。

見たところソメイヨシノに見えましたが、いくらなんでも開花が早過ぎます。

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今年の暖冬の影響はここまで極端なのか…

と暗い気持ちになりかけましたが、調べてみたら別の品種なのでした。

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「大寒桜(オオカンザクラ)」という種類で、寒緋桜と大島桜の交雑種だそうです。

ちょっと安心いたしました。

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ソメイヨシノがこのように綺麗に開花する頃には、新型肺炎が何とか沈静化していることを祈るばかりです。

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いろんな小鼓方が…

今日は久しぶりに近所の「素戔嗚神社」に行ってみました。

そろそろ「桃まつり」の時期だと思ったのです。

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やはり期待通り桃の花が咲き始めていました。

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そして素戔嗚神社にはこの時期、境内と社務所に無数の「雛人形」が飾られるのです。

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社務所の中の様子はこんな感じです。

とにかくズラリと隙間なく並んだ雛人形に圧倒されます。

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その中で、「五人囃子」の「小鼓」に注目すると、色々面白い事になっていました。

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上の小鼓方は、一見正しそうですがよく見ると…

これは多分本当は「太鼓方」なのだと思います。

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他にも…

初めて小鼓を見てビックリしている人…

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なんだか恥ずかしそうな人…

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うう、苦しい…

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上から叩いてみようかな…

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そして「太鼓方」にもこんな人が…

僕が気合入れて持っているので、誰か打ってください!

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などなど、突っ込みどころ満載なのでした。

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素戔嗚神社の桃まつりは、来月上旬まで開催されています。

皆様是非いらしてみてくださいませ。

綺麗な桃の花と、能楽関係者だけにわかる”面白五人囃子”が出迎えてくれることと思います。