木彫の狐像

今朝は青森駅近くの宿のチェックアウトから東北新幹線までに時間があったので、青森駅から新青森駅まで歩いてみました。

これまで度々歩いたことのある、1時間ほどの気持ちの良い散歩道です。

途中でいつも曲がり角の目印にしている”稲荷神社”と額の打ってある小さな神社にさしかかりました。

鳥居の手前でちょっと頭を下げて通り過ぎようとしたのですが、何か違和感を感じて戻ってみました。

鳥居の向こうの社をよく見て、違和感の正体に気づきました。

稲荷神社では狛犬の位置に「狐像」がありますが、ここではそれがとても変わっていたのです。

対になる方はこんな感じ。

これまで私が見て来た狐像は、狛犬と比べてホッソリとしたシルエットでした。

能「小鍛冶」の後シテが被る「狐台」の狐もやはり細くて軽快な印象を与えるものです。

それがこの小さな稲荷神社の狐像は、ずんぐりとしていて、丸太から直接彫り出したのがわかるように少々荒っぽく仕上げてあります。

無骨で、どことなく「円空仏」を思わせる彫刻です。

北米先住民族の「トーテムポール」にも通じるような、強さの中に、それでも狐の可愛らしさも無理なく同居していて、私はこの狐像がとても気に入ってしまいました。

社務所も無い小さな神社で、この狐像の由来を聞く事はできませんでした。

でも横に公民館があったので、次の機会に思い切って公民館に入ってこの「木彫の狐像」の事を聞いてみようかと思います。

筑波山”下山”記

自治医大合宿は下のような素敵な雰囲気の古民家ゲストハウスで行われました。

午前中に稽古を終えて、昼頃に宿をチェックアウトして、合宿は無事終了いたしました。

そしてその後は全員予定が無い事が判明したので、日が暮れるまでの間に「筑波山」に行ってみようという話になったのです。

山麓の「筑波山神社」に到着したのが13時半頃。

登山にはちょっと遅いので、ケーブルカーを使って一気に山頂に行く事にしました。

ケーブルカーは10分足らずで筑波山山頂駅に到着します。

山頂駅は男体山と女体山の中間部にあり、我々は「女体山」経由で、巨石や奇岩の多いという「白雲橋コース」を通って下山することにしました。

山頂からは黄砂に霞んではいましたが、関東平野や霞ヶ浦が見えて絶景でした。

またちょうど時期が良く「カタクリ」が咲いているのも見られました。

道は中々の急坂です。

しかし途中ですれ違った登山者の中には高齢の女性や小さな子供、また小型犬を連れた人までいて、皆さん健脚でびっくりしました。

そして山道の途中に確かに様々な巨石奇岩が点在していました。

「ガマ石」や…

「裏面大黒」など、個性的な名前が付けられています。

ここは何と「高天原」と呼ばれており、この先には神々が座す天上世界があるというのです。

またこの山にも「弁慶」に関係する場所がありました。

これは「弁慶七戻り」で、巨岩が落ちそうで恐れた弁慶が七回後戻りしたという伝説があるそうです。

弁慶は修行でここまで来たのでしょうか…

急だった山道も、ようやく緩やかになって来ました。

そして程なく、無事に麓の鳥居まで降りて来る事ができました。

今回は時間の制約があって、登山というより筑波山”下山”でした。

また機会があれば、次回はちゃんと”登山”して、男体山にも登頂してみたいです。

自治医大合宿は筑波山観光まで付いて、大変盛りだくさんなものになりました。

自治医大宝生会の皆さんありがとうございました。

井戸と防災

能にはしばしば「井戸」が出てきます。

「井筒」では恋する2人が影をうつし、「養老」では滔々と湧き出す水が生命力の象徴となり、また「鉄輪の井戸」などと言う恐ろしい伝説もあります。

今回は私の自宅周辺の井戸のお話です。

今日三ノ輪の自宅の近所を歩いていると、こんな井戸を見つけました。

昔ながらの懐かしい井戸です。

近所にこんな風な古い井戸が残っているのかと驚きました。

そして時間があったので、その辺りにもっと井戸が無いか探してみたのです。

すると…

古い形状ではありませんが、そこ此処に井戸を見つけることが出来たのです。

本体は無くなって蓋がしてあるものも…

そして公園にはこんな井戸がありました。

この井戸、単なる防災用水だけで無くて、実はすごい機能があるのです。

なんと奥に並ぶマンホールと併用すると、「災害用トイレ」になるのです。

この使い方は初めて知りました。

他にも防災井戸がいくつもあり、昔ながらの井戸が現代でもこのような形で生きているのだと知りました。

また井戸探しの途中で見つけたお地蔵さんがあります。

「大震災一周年記念碑」

とあったので、東日本大震災の事かと思い、後ろに回って見てみると…

なんと「関東大震災」から一周年の碑でした。

今日は井戸探しから、図らずも防災について考えさせられる日になりました。

またいつ大きな地震がくるかわからないので、特に「災害用トイレ」など、近所の場所を確認しておこうと思いました。

本郷界隈を抜けて

今日は水道橋宝生能楽堂に用事があり、時間に余裕があったので三ノ輪から歩いていこうと思い立ちました。

自宅から能楽堂へはしばしば歩くので、いつもコースを変えています。

今回は日暮里繊維街から谷中墓地を抜けて、東京芸大の手前で右折して不忍通りに降りていきました。

そこでふと、「東大本郷キャンパスを通っていこうか」と思いました。

不忍通りから少し入った所に小さい門があり、芸大にいた頃東大病院に用事があり、何度か通っていたのです。

久しぶりにその「池之端門」をくぐろうとして、目の端に「弁慶」という文字が入ってきて思わず立ち止まりました。

なんとこの井戸はその昔義経一行が奥州へ落ち延びる途中で、武蔵坊弁慶が発見したという「弁慶鏡ヶ井戸」だそうなのです。

まさか東京の真ん中、東大キャンパスのすぐ横に弁慶に纏わる史蹟があるとは驚きでした。

芸大の頃は全く気がつきませんでした。

キャンパスに入って本郷通り方面に坂を登っていきます。

途中「東大剣道部」「東大柔道部」の看板のある、とても味わいの深い重厚な建物などがありました。

更に行くとまた下り坂になり、坂を下りたところにはかの有名な「三四郎池」があります。

この池、元々は加賀藩ゆかりの庭園の一部で正式名称は「育徳園心字池」というそうです。

加賀藩と言えば能楽宝生流とは深い繋がりがあり、その後に能楽愛好家でもあった夏目漱石の小説から「三四郎池」と呼ばれるようになった訳で、この池は能楽と実は浅からぬ縁があったのですね。

三四郎池の周囲は木々の中の遊歩道になっていて、これは京大における「吉田山」に近い存在感だと思いました。

そして安田講堂に向かっていくと、途中で見慣れない格好で写真を撮っている人達を見かけました。

どうも大学院の卒業生のようです。

よく見ると安田講堂の入り口に「学位記授与式」とあり、どうやら明後日が大学院卒業式のようでした。

さっきの人達は前もって記念写真を撮っていたのでしょう。

そして赤門から本郷通りに出て、壱岐坂を下って宝生能楽堂に向かいました。

今日も色々と新しい発見があり、良い散歩道でした。

もう少し後の桜の時期にも歩いてみたいと思いました。

阿漕の平治が獲った「やがら」

昨年夏に「いとうせいこうの能楽紀行」のための取材で阿漕ヶ浦の「阿漕塚記念館」という資料館に行きました。

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そこで、実は能「阿漕」のシテは母親の病気を治すために密漁をしていたこと、また密漁で獲った魚が「やがら」という名前であることを知りました。

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下は「阿漕塚記念館」にあった説明書きです。

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そして先日、私は思いがけずその「やがら」と初対面を果たしたのです。

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今週月曜日のこと。

私は午前中に大山崎稽古を終えて、午後の亀岡稽古の前に昼ごはんを食べようと思いました。

場所はJR二条駅近くの「三条通商店街」、目当てのお店は海鮮料理の「あみたつ」というところです。

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「あみたつ」は店内に鮮魚がたくさん並んでいます。

その日私が店に入ると、変わった魚が目に入りました。

近寄ってみると…

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なんと「ヤガラ」と書いてあります。

そして大きい!

80cmはありそうです。

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これは何としても食べてみなければ!

早速「ヤガラ」の刺身を注文して定食にしてもらいました。

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するとなんと刺身には長〜い頭がついて出てきました!

割り箸と比較すると大きさがわかるかと思います。

店内のお客さん達が「おお…」と驚きの目で見ています。

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刺身は白身で、淡白で上品な美味でした。

“阿漕の平治”はこの魚を獲ったために海に沈められてしまったのか。そして母親はこの魚を食べて病気を治すことができたのか…

と考えると、なんだか神妙な気持ちになりました。

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しかしそれにしても「やがら」は本当に美味しく、思わず定食のご飯をおかわりしてしまい、大満腹大満足で亀岡稽古に向かったのでした。

またどこかで「やがら」に出会ったら必ず食べたいと思います。

大山崎の梅、桜、松

今日は緊急事態宣言が解けてから初めての大山崎稽古でした。

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謡の稽古は今回から新しい曲「鉢木」です。

人数分の謡本を携えて、宝寺に向かうあの天王山の急坂を登っていきました。

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すると坂の途中でちょっと驚く事があったのです。

坂の路面に「大山崎町」と書かれたマンホールがありました。

そのデザインが「鶯、桜、松」だったのです。

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鶯と言えば「梅に鶯」。梅の花を思い起こさせます。

そして今日これから稽古を始めようという「鉢木」という曲では、シテが「梅、桜、松」の鉢の木を薪にして燃やすシーンがハイライトになっているのです。

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何かとても縁起がいい気がして、良い気分で稽古に向かいました。

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それにしても、大山崎町と「梅、桜、松」は何か関係があるのだろうか…。まさか群馬県の佐野と姉妹都市とか…。

稽古を終えて坂を下りながら、何か手掛かりは無いかと探してみました。

すると…

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ありました!

観光用の大きな地図の看板に、「町の花・鳥・木」として「さくら、うぐいす、赤松」と書いてあったのです。

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なんと、ではマンホールの「鶯(梅)、桜、松」のデザインは、鉢木とは全く関係ない偶然の組み合わせだったのですね。

しかし偶然にしては出来過ぎな気がします。

やはり何か縁起がいい気がして、更に良い気分で次の亀岡稽古に向かったのでした。

谷中を歩けば…

おとといの院展鑑賞記に、「今は行ける場所がごく限られてしまっている」と書きました。でも裏を返せば「限られてはいるが行ける場所はある」のです。

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その場所のひとつが”徒歩で行けるご近所”です。

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今日は午前中に水道橋宝生能楽堂にて「五雲能」の申合があり、その後に自宅から歩いて行ける「谷中」の界隈を散策して参りました。

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谷中は東京芸大からも近く、芸大生だった頃にも度々散歩した思い出深い街です。

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小さな路地が迷路のように入り組んでおり、その奥には例えば…

小さなお稲荷さんがひっそりとあったり…

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古いお地蔵さんが祀られていたりします。

山手線の内側とは思えないような風景が点在しているのです。

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“現代版・黒塚”みたいな物凄い家を発見。

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味のある石垣と石段、そして猫一匹…

よく見ると陶器の猫でした。

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猫と言えば、今日の谷中では何故か猫にたくさん会いました。

ねこ注意。この写真だけで何匹の猫がいるでしょうか?

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ところがこの電信柱を回り込むと…

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なんとさらに猫だらけでした。

「谷中を歩けば猫にあたる」という感じです。

谷中は猫好きな方には是非おすすめいたします。

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まだまだ歩いていくと…

三ツ辻の角に大きな木が。樹高15m以上はあるでしょう。

その大木の根元に隠れるように…

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なんとも懐かしい佇まいのパン屋さんがありました。

まるで私の子供の頃のような”昭和の風景”です。

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売っている物は割と現代的でした。

あの木はどうやら「ヒマラヤ杉」のようですね。

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散歩の最後にもう一本、ある木を見に行きました。

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知る人ぞ知る、谷中の最北端、つまり台東区最北端に立つ木(枝垂れ桜)です。

写真右下の尖った角までが台東区、ここより北は私の家のある荒川区になります。

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という訳で、ご近所の谷中を散策するだけでも、たくさんの楽しい風景や出来事に遭遇する事ができました。

皆さんもよろしければ谷中を歩いて、写真の場所を探してみてくださいませ。

きっと別の意外な風景ともたくさん出会えると思います。

いろんな五人囃子が…

去年の今頃、近所の「素戔嗚神社」に飾られている雛人形の中に面白い「五人囃子」がいたのをブログでご紹介いたしました。

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今日はちょうど雛祭りの日なので、今年も素戔嗚神社に行ってみたのです。

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定点観測。去年と全く同じように桃の花が咲き始めていました。

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そしてお参りをしてから、早速雛人形のところに行ってみました。

すると期待通り(?)色々と突っ込みどころ満載の「五人囃子」に出会うことができたのです。

いくつかご紹介します。

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わぁ❗️なんだかビックリ‼️

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私はなんだか疲れちゃった…。

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僕も、疲れました…。

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この太鼓の中から、何か聴こえてくるような気がするぞ。

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おーい、中に誰かいませんか〜?

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この太鼓、食べたら美味しいかも…。

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小鼓も美味しいよ。

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大鼓も美味い!

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などなど、個性豊かな御囃子方が揃い踏みでした。

そして帰り際に境内の池を覗いてみると…

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たくさんの”おたまじゃくし”が泳いでいました。

コロナ禍の中でも、花や虫や動物達は確実に明るい春を迎えようとしています。

おたまじゃくしに少しパワーをもらって、良い気分で素戔嗚神社を後にしたのでした。

1件のコメント

いろんな小鼓方が…

今日は久しぶりに近所の「素戔嗚神社」に行ってみました。

そろそろ「桃まつり」の時期だと思ったのです。

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やはり期待通り桃の花が咲き始めていました。

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そして素戔嗚神社にはこの時期、境内と社務所に無数の「雛人形」が飾られるのです。

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社務所の中の様子はこんな感じです。

とにかくズラリと隙間なく並んだ雛人形に圧倒されます。

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その中で、「五人囃子」の「小鼓」に注目すると、色々面白い事になっていました。

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上の小鼓方は、一見正しそうですがよく見ると…

これは多分本当は「太鼓方」なのだと思います。

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他にも…

初めて小鼓を見てビックリしている人…

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なんだか恥ずかしそうな人…

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うう、苦しい…

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上から叩いてみようかな…

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そして「太鼓方」にもこんな人が…

僕が気合入れて持っているので、誰か打ってください!

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などなど、突っ込みどころ満載なのでした。

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素戔嗚神社の桃まつりは、来月上旬まで開催されています。

皆様是非いらしてみてくださいませ。

綺麗な桃の花と、能楽関係者だけにわかる”面白五人囃子”が出迎えてくれることと思います。

面白写真〜2020冬〜

最近ネタが集まらずに御無沙汰していた、旅先などでの「面白写真」です。

およそ一年ぶりくらいになりました。

先ずはこちらから。

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神保町にて。”激安居酒屋 きぬちゃん”というお店でした。

しかしこの看板…ほぼ確実に蕎麦屋のリサイクルですよね。。

“ちゃん”がなんとも哀愁をそそって、ツボに嵌りました。

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浅草の唐揚屋さんです。”ご当地ずり”ですね。

しかし急いでいたので「スカイずりー」そのものを目視できなかったのが残念でした。

次は時間を見つけて食べに行ってみたいと思います。

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ここは青森駅片隅の、むしろ殺風景な場所でした。

そこに唐突に津軽弁を使うセンス。

やはり青森県人のユーモアは計り知れません。。

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京都駅にて。最近爆発的に増えた外国人観光客向けのお土産です。色々考えるものですね。

読み方が中々難しいものがいくつかありました。

「家仁威寿」とか。「ケニーズ」ですかね…?

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こちらも京都にて。

面白そうな古本屋さんを見つけると入ってみるのが常なのですが、ここは入口が本で塞がれて入れないという恐るべき古本屋でした。。

店員さんは一体どうやって出入りしているのでしょうか…?

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これは能「藤戸」を知っている人だけにわかるネタです。

後ワキの謡う一句に、この二社の社名が出てくるのです。

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もう最後の写真になります。

三ノ輪のご近所の根岸にある交差点です。

スクランブルどころか、交差点をとにかく全部横断歩道にしてしまったようです。

こういうヤケクソ気味のセンスも私は大好きなのです。

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今回はこの辺で失礼いたします。

皆さまからいただいた面白写真もあるので、また機会を見て掲載させていただきます。