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澤風会郁雲会大会延期のお知らせ

3月になりました。

そして本来なら今は、週末の3月7日に迫った「澤風会郁雲会大会」の準備が大詰めを迎えている筈の時期です。

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しかしながら、「澤風会郁雲会大会」は延期させていただくことにいたしました。

延期日程は、

5月9日土曜日

になります。場所は変わらずセルリアン能楽堂です。

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お願いしていた能楽師の皆様、また出演を予定されていた方々、そして会場のセルリアン能楽堂にはご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。

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舞台に向けた日々の稽古。

当日朝から夕方までかかる舞台。

観に来てくださるたくさんのお客様。

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現状では、それら全ての要素から感染拡大の恐れがあると思います。

今はとにかく健康上の安全確保が何よりも優先される時だと考えて、延期を決断させていただきました。

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何とか5月までにこのウイルス禍が終息して、5月9日にはセルリアン能楽堂で皆様と笑顔でお会い出来ますことを、心から願っております。

そしてそれまでどうか皆様お一人お一人が健康でいらっしゃいますように、心から祈っております。

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延期で各方面にご迷惑をおかけいたしますこと、重ねて深くお詫び申し上げます。

ご理解のほどどうかよろしくお願いいたします。

汐入大橋の大寒桜

今日は家の近くの隅田川まで歩いて行きました。

「千住大橋」と「汐入大橋」の間の河原には広いスペースがあるので、「盤渉楽」の舞の稽古をしようと思ったのです。

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澤風会の番外舞囃子「邯鄲 盤渉」は、笛の流儀が当初の”一噌流”から”森田流”に変わることになりました。

なので稽古も一からやり直しなのです。

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型付けを手に舞い始めてみると、一噌と森田では”時間の余るところ”と”忙しいところ”が全く異なることがわかりました。

また足拍子の数も違います。

そして、一噌では足拍子が通常の楽と盤渉楽で全く一緒なのですが、森田では通常と盤渉で足拍子も異なる箇所がありました。

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中々難しい”森田流盤渉楽”ですが、この機会に一噌流盤渉楽と同時に身に付けるようにしたいと思います。

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帰り際に、「汐入大橋」のたもとでこんな光景を見かけました。

桜が咲いていたのです。

見たところソメイヨシノに見えましたが、いくらなんでも開花が早過ぎます。

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今年の暖冬の影響はここまで極端なのか…

と暗い気持ちになりかけましたが、調べてみたら別の品種なのでした。

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「大寒桜(オオカンザクラ)」という種類で、寒緋桜と大島桜の交雑種だそうです。

ちょっと安心いたしました。

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ソメイヨシノがこのように綺麗に開花する頃には、新型肺炎が何とか沈静化していることを祈るばかりです。

第65回同明会に出演して参りました

今日は京都観世会館にて、京都の御囃子方主催の「同明会」に出演して参りました。

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今回はシテ方五流が揃っての、舞囃子を中心とした舞台でした。

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曲の位取りや、舞の種類や寸法、またシテが謡う箇所などが流儀によって異なるということは、頭ではわかっています。

しかし、喜多流の舞囃子「三輪」などを拝見すると、途中で何度も驚きがありました。

「ここでシテ謡が来るのか!」

というように宝生流との違いに驚くことがある一方で、

「神楽」のいわゆる”直り”の後が宝生流とほぼ同じ位取りだったことに逆に驚いたりしました。

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大変勉強になる舞台でした。

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今日の京都観世会館はお客様も多く、普段と変わらない様子に見えました。

しかしこの数日で、延期や中止になった舞台の話をいくつか聞くようになりました。

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感染拡大の事態は急には改善されそうにありません。

皆様の健康を第一に考えて、また自分自身が感染を拡大させるようなことが無いように、適切な判断をしつつ行動したいと思っております。

隙間花壇〜応援したい花々〜

今日は朝から渋谷のセルリアン能楽堂にて「尚月会」の申合でした。

「尚月会」は七葉会の仲間である東川尚史君のお社中会で、今回が5周年記念になるそうで誠におめでたいことです。

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舞囃子がたくさん出て、京都女子大宝生会OGでもある奥様も、舞囃子「船弁慶」で元気一杯に長刀を振り回していました。

日曜日の本番は、仕舞や素謡も多く出るので更に賑やかな舞台になることでしょう。

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その申合への行き掛けに「隙間花壇」をのぞいてみると、隙間花壇では今年初めてとなる「梅」が開花していました。

隙間花壇は陽の当たる時間が限られているので、開花の時期が遅く、枝振りも小さめな梅です。

しかしその分、懸命に咲いているように見えて応援したくなるのです。

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難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花

という、能「難波」のシテ王仁の詠んだ有名な歌が思い出されました。

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そして今年の隙間花壇で応援したいと言えば「ツツジ」です。

前回見た時よりも、若い芽が着実に育っていました。

この分ならば2年ぶりの「ツツジの花」が見られそうです。

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能「難波」の中には、「梅は春になるとどの花よりも1番早く咲くので、”花の兄”とも言われる」という謡も出てきます。

隙間花壇においても、”花の兄”である梅がいち早く咲いてくれた訳です。

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その梅を皮切りにして、今年もこれから様々な花たちが「隙間」を彩っていくことでしょう。

松本城本丸御殿に能舞台が…

昨日の松本稽古で、ある会員さんがとても興味深いものを見せてくださいました。

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松本城の古い絵図がたくさん載っている図録です。

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その中の1枚、今から300年程前の江戸時代の絵図は松本城の「本丸御殿」の見取り図でした。

そしてその見取り図を詳細に見ていくと、なんとどうやら当時の松本城本丸御殿には「能舞台」があったようなのです。

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と言っても「能舞台」という記述はどこにもありません。

しかし、「大広間」と「次の間」という広いスペースがあり、そのすぐ隣に「鏡の間」という小部屋が描かれてあったのです。

更に「鏡の間」の隣には「楽師の間」という部屋も。

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鏡の間から大広間までは、長い廊下で繋がっています。

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つまり恐らくは、「大広間」の畳を一部剥がすと、板の間の「能舞台」が出現したのだと思われるのです。

そして廊下が”橋掛り”に、次の間が”見所”になったのではないでしょうか。

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江戸時代の一時期、松本城では確かに能楽が演じられていたのです。

流儀は何流だったのか、どの程度の規模でどんな曲が演じられたのか…

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想像するととてもわくわくします。

古文書などに資料が残っていないか、何とか調べてみたいものです。

伏見龍馬会新年会

今日は京都北文化会館にて紫明荘組稽古でした。

その稽古を終えて、夕方から伏見に移動いたしました。

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今日は「伏見龍馬会」という団体の新年会にお呼ばれして、全国から集まった会員の皆様の前で30分程、仕舞と謡を披露させていただいたのです。

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そもそも「伏見龍馬会」との御縁は、紫明荘組稽古から始まりました。

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昨年、紫明荘組の新人会員さんのご紹介で、四条木屋町下ルにある素敵なギャラリーをお借りして稽古したことがありました。(2019年6月11日ブログ参照)

その稽古の最中に、偶々ギャラリーの見学にいらした方が「伏見龍馬会」の会長さんだったのです。

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稽古後数日して、「伏見龍馬会新年会でひとさし舞っていただきたい」との御連絡をいただきました。

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今日の新年会会場は伏見の銘酒「英勲酒造」縁の、築150年という大変趣深い日本建築の”京風フレンチ”のお店でした。

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私の他に、”新内枝幸太夫”と仰る新内浄瑠璃のお師匠様の美声の披露もあり、大変楽しく勉強になる時間を過ごさせていただきました。

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稽古から始まった御縁が繋がって、今日はまた新しい出会いもありました。

この先またこの御縁が繋がっていくと、とても嬉しく有り難く思います。

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伏見龍馬会の皆様、本日は誠にありがとうございました。

独吟の効用

昨日は午前中のNHKラジオ録音の後に、午後から江古田個人稽古、さらに夜に田町稽古でした。

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田町稽古場では3月7日の澤風会郁雲会で、初めての試みとして「独吟」を出す会員さんが3人います。

それぞれ「氷室」、「鞍馬天狗」、「八島」の一部分、時間にして5分前後の謡を、舞台の中央近くに正座して1人で謡うのです。

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昨年末に稽古場で「独吟発表会」のようなものをしたのがきっかけになり、今度は是非能楽堂で独吟を、と私がおすすめしました。

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昨日の時点でもう暗記して、無本で稽古した人もいて、皆さんやる気満々でした。

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そしてこの「独吟」への挑戦は、思わぬ別の効果を生むことがわかりました。

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素謡「須磨源氏」の稽古の時に、皆さんの声がこれまでより明らかに大きくて、余裕と自信を持って謡われていたのです。

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「無本」で「独り」で謡う独吟に比べたら、「本を見て」「皆で」謡う素謡には余裕を持って臨めるようになった、ということなのでしょう。

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今回素謡だけの参加の方も、次回以降独吟に挑戦されたら良いかもしれないなぁと思いました。

独吟の大きな効果を感じた昨日の田町稽古でした。

ラジオ録音初めての…

今日は朝から渋谷のNHKでラジオ録音に出演して参りました。

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ラジオ録音では、いつも一曲を最初から最後まで通して録音します。

しかし短めの曲の場合、全曲録音しても放送時間に足りないことがあります。

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そのような時には、足りない時間の分だけ別の曲の一部分を追加で録音することになっています。

そして今日も、一曲録音したところ放送時間に5分ほど足りないことがわかりました。

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そこで別の曲のキリの部分を追加録音したのですが、私はその追加録音でシテを謡わせていただいたのです。

長いことNHK録音に出演して参りましたが、ほとんどが地謡での参加でシテは今日が初めての経験でした。

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わずか5分ほどですが、大変嬉しい録音になりました。

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そのラジオの放送日なのですが、実は3月の澤風会郁雲会の翌日の日曜日なのです。

しかも早朝6時からです。。

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私はまず間違いなく澤風会郁雲会で力尽きて寝ていると思われますが、起きられる方はどうか聴いていただければと思います。

よろしくお願いいたします。

第2回橙白会に出演して参りました

今日は矢来能楽堂にて、辰巳大二郎さんのお社中会「橙白会」に出演して参りました。

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昨年が第1回で今回は2回目の開催でした。

皆さん謡も舞もしっかりと稽古されていて、それぞれ昨年よりも着実に上達されていました。

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澤風会の田町稽古場の会員さんも、橙白会にお友達がいらっしゃるようで、朝からずっと見所で応援されていたようです。

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大二郎さんは来月には能「道成寺」を披くことになっており、その稽古や準備でも忙しい中を、今回のような盛大な会を主宰するのは大変なことだったと思います。

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橙白会の会員さん達は、今度はその「道成寺」を見所で応援されることでしょう。

橙白会の今後のますますの御発展と、大二郎さんの道成寺の成功をお祈りしております。

「安全な死に方」とは…?

今日は水道橋宝生能楽堂にて開催された「月並能」に出演して参りました。

私は能「錦戸」の立衆を勤めました。

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この立衆は、ワキ錦戸太郎の配下の武士で、シテ泉三郎と切り組んで討死する役です。

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切り組みの討死の仕方には、色々なバリエーションがあります。

①直立した状態からそのまま後ろに倒れる「仏倒れ」

②舞台から橋掛りへ向かって欄干を飛び越える「欄干越え」

③手を使わずに前転する「でんぐり返し」

④その場で飛び上がり平臥をする「平臥」

などです。

①が一番危険で、下に行くほど危険度は低くなります。

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そして今日の私の討死の仕方は…

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頭上に差しかざした太刀でシテの太刀を何度か受けて、押されて三足ほど下がって片膝をつく。

というものでした。

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膝にも足にも頭にも負担の全くかからない、いわば「最も安全な死に方」だったのです。

なんだか申し訳ないと思いながら片膝をついて、すぐに切戸に引いて帰りました。。

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来たる4月の「五雲会」で勤める能「兼平」では、ちゃんと(?)飛び上がり平臥をして、「自害の手本」となるような華やかな最期を遂げたいと思います。