“正座耐性”が…

今日は朝から水道橋宝生能楽堂にて、日曜日開催の「別会能」の申合がありました。

私は能「隅田川」の地謡を勤めました。

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ここ半年ほどで体重を少し絞ったので、地謡での正座が楽になった気がしておりました。

ところが今日は隅田川申合の後半になると、完全に足が痺れてしまって感覚が無くなっていたのです。。

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「思ったより時間が長かったのかな…?」

と思い、切戸から入るとすぐに時計を見てみました。

しかし実際には50分足らずしか経っていませんでした。

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思えば今月に舞台で正座したのは、国立能楽堂での半能「石橋」だけでした。

時間にして20分程度です。

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推測するに、おそらく正座にも”耐性”のようなものがあるのではないでしょうか。

頻繁に長く正座していると”正座耐性”が高まり、逆にあまり正座しなくなると”耐性”が無くなって痺れやすくなるのでは。

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別会能申合の後は久しぶりの江古田稽古でしたが、昼過ぎから夜まで稽古すると、やはり普段よりも足が痺れてしまいました。。

これから舞台や稽古が増えていくので、早く”正座耐性”をつけてまた楽に座れるようになりたいものです。

澤風会稽古再始動しました

今日の夕刻、田町のいつもの稽古場に私が到着すると、いつもの6人の皆さんが揃って待っていてくださいました。

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いつもと違うのは、窓が全開になっていることだけです。

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1ヶ月弱ほど間が空いただけなのですが、何かものすごく久しぶりに皆様とお会いするような気持ちで、正に万感胸に迫る思いでした。

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稽古を始めてみると、皆さんはお休み中もそれぞれ自主練をしていてくださったようで、稽古中断前よりも上手くなっておられると感じました。

これもまた嬉しく、感無量なことでした。

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澤風会稽古は今日の田町稽古よりいよいよ再始動いたしました。

この先江古田、京都紫明荘組、松本、大山崎と順次再開して参ります。

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手洗いやうがい、換気などのウイルス対策は小まめにやって、出来る限り安全を確保したいと思っております。

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完全に元の状態に戻るまでには今しばらく時間がかかると思いますが、先ずは第一歩を踏み出すことが出来て久しぶりに嬉しい日になりました。

稽古再開を目指して

連日コロナウイルスのニュースに戦々恐々とする日々ですが、ウイルス対策や注意点も徐々にわかって来たようです。

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そして今月22日の「宝生会別会能」も、様々な対策を講じた上で予定通り開催されるとの知らせが今朝届きました。

久しぶりに希望を持てるニュースでした。

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このニュースを受けて、澤風会稽古も東京の稽古場から徐々に再開して参りたいと思っております。

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稽古再開にあたっては、

①マスクがある方は着用していただく。

②可能な限り窓や扉を開けて換気をする。

③咳や微熱など、少しでも体調に不安のある方は無理せずお休みいただく。

という対策をとりたいと思います。

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①のマスクが中々入手できませんが、先日「日本手拭いで作る手作りマスク」というニュースを読みました。

そして実は今日、家にある手拭いでマスクを試作してみたのですが、中々使い心地が良いものでした。

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また「次亜塩素酸水」がウイルスを不活性化させるという話を聞いたので、方々探してようやく「次亜塩素酸水スプレー」を1本だけ購入出来ました。

これも稽古場に持って参ります。

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今回の新型コロナウイルスは非常に恐ろしいもので、人類が被った身体的、精神的、経済的なダメージは途轍もない規模になってしまいました。

しかし、負けてばかりはいられないと思います。

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出来る対策をとりながら、日常を取り戻すために少しずつでも進んで行きたいと思っております。

我慢の時

3月に入ってから、澤風会の稽古を全てお休みにしております。

ブログの更新も滞ってしまっておりますが、私自身は全く健康に過ごしています。

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今日は本当に久しぶりの仕事で国立能楽堂に行きました。

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楽屋で何人かの仲間と話したのですが、やはり全て休みにしている人、また稽古は希望者のみ続けている人など様々でした。

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まだ終息の見通しは全く立たない状況ですが、今のところ来週から澤風会稽古は再開したいと思っております。

当面はマスク着用で稽古させていただきたいと思います。

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時間が急に空いてしまったのですが、この期間に自分の稽古をみっちりとしたり、これまで出来なかった事に色々挑戦したりしております。

またこのウイルス禍がおさまったら、ブログも頑張ってもりもりと更新して参りたいと思います。

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今しばらくはじっと我慢して、力を蓄えておきます。

皆様もどうか健康を保っていただき、また稽古や舞台で元気に再会出来ることを願っております。

1件のコメント

澤風会郁雲会大会延期のお知らせ

3月になりました。

そして本来なら今は、週末の3月7日に迫った「澤風会郁雲会大会」の準備が大詰めを迎えている筈の時期です。

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しかしながら、「澤風会郁雲会大会」は延期させていただくことにいたしました。

延期日程は、

5月9日土曜日

になります。場所は変わらずセルリアン能楽堂です。

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お願いしていた能楽師の皆様、また出演を予定されていた方々、そして会場のセルリアン能楽堂にはご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。

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舞台に向けた日々の稽古。

当日朝から夕方までかかる舞台。

観に来てくださるたくさんのお客様。

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現状では、それら全ての要素から感染拡大の恐れがあると思います。

今はとにかく健康上の安全確保が何よりも優先される時だと考えて、延期を決断させていただきました。

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何とか5月までにこのウイルス禍が終息して、5月9日にはセルリアン能楽堂で皆様と笑顔でお会い出来ますことを、心から願っております。

そしてそれまでどうか皆様お一人お一人が健康でいらっしゃいますように、心から祈っております。

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延期で各方面にご迷惑をおかけいたしますこと、重ねて深くお詫び申し上げます。

ご理解のほどどうかよろしくお願いいたします。

桜が咲きますように

国立大学の二次試験が今日から始まったとニュースで見ました。

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京大でも勿論入試があったようで、京都紫明荘組の稽古場である「ゲストハウス月と」さんも、昨日は”京大受験生の宿”になっていたと伺いました。

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また昨日大阪であった「みおつくしチャリティ能」の楽屋では、東京芸大邦楽科の受験生の話題が出ました。

今年も何人かが受験するようで、その受験生の1人の師匠は、私の芸大邦楽科時代の後輩だそうなのです。

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思わず「え〜!」と驚いてしまったのですが、よく考えてみると昨年は私が教えている青年が芸大邦楽科を受験したのでした。

「ひと世代後の時代が始まろうとしているのだなぁ」としみじみ思いました。

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そして今年も、幼稚園の頃から稽古している江古田稽古場の高校生が、大学受験に臨んでいます。

芸大ではないのですが舞踊コースのある大学で、実技試験で仕舞を舞うことになっているのです。

今日は江古田稽古場でその受験用仕舞の仕上げの稽古をしました。

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幼稚園からたゆまずに稽古を続けてきた仕舞で、大学受験という大きな試練に挑んで、人生の道を切り拓こうとしているのです。

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毎年のことですが、受験生の皆さんが良いコンディションで試験に臨めるように、そして希望する道に進めますように祈っております。

松本城本丸御殿に能舞台が…

昨日の松本稽古で、ある会員さんがとても興味深いものを見せてくださいました。

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松本城の古い絵図がたくさん載っている図録です。

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その中の1枚、今から300年程前の江戸時代の絵図は松本城の「本丸御殿」の見取り図でした。

そしてその見取り図を詳細に見ていくと、なんとどうやら当時の松本城本丸御殿には「能舞台」があったようなのです。

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と言っても「能舞台」という記述はどこにもありません。

しかし、「大広間」と「次の間」という広いスペースがあり、そのすぐ隣に「鏡の間」という小部屋が描かれてあったのです。

更に「鏡の間」の隣には「楽師の間」という部屋も。

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鏡の間から大広間までは、長い廊下で繋がっています。

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つまり恐らくは、「大広間」の畳を一部剥がすと、板の間の「能舞台」が出現したのだと思われるのです。

そして廊下が”橋掛り”に、次の間が”見所”になったのではないでしょうか。

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江戸時代の一時期、松本城では確かに能楽が演じられていたのです。

流儀は何流だったのか、どの程度の規模でどんな曲が演じられたのか…

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想像するととてもわくわくします。

古文書などに資料が残っていないか、何とか調べてみたいものです。

御先祖様の物語

今日は松本稽古でした。

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松本ベテラン組の謡は、今「兼平」を稽古しています。

鸚鵡返しが丁度キリの部分からで、兼平の最

期の有り様を一句ずつ稽古していきました。

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そのキリの鸚鵡返しが終わって、曲の最初に戻ってお浚いに入るところで、”兼平の子孫”に当たる女の子のお母様が稽古にいらしたのです。

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もう一度鸚鵡返しは時間的に無理でしたが、せっかくなので「兼平」のクセとキリを私が続けて謡って、それを聴いていただきました。

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木曽義仲と今井四郎兼平の最期の戦いを活き活きと描写したクセキリは、何度謡っても心が熱くなります。

まして、それが自分の御先祖様の物語だったとしたら…。

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私「この謡を、是非お嬢さんに聴かせてあげてくださいね。自分の御先祖様が能になっている人なんて、滅多にいないのですから」

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実はお嬢さんは今受験で稽古お休み中なのです。

最期まで強く生きた兼平のように、受験勉強もギリギリまで全力で頑張ってもらいたいと思います。

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稽古を終えて晩御飯を食べて外に出てびっくりしました。

雪が降りしきっていたのです。

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駐車場の車にも積もり始めていました。

明日朝にはどんな景色なっているのだろう…

と思いながら、ジャケットの雪を払いつつ宿に急いだのでした。

伏見龍馬会新年会

今日は京都北文化会館にて紫明荘組稽古でした。

その稽古を終えて、夕方から伏見に移動いたしました。

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今日は「伏見龍馬会」という団体の新年会にお呼ばれして、全国から集まった会員の皆様の前で30分程、仕舞と謡を披露させていただいたのです。

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そもそも「伏見龍馬会」との御縁は、紫明荘組稽古から始まりました。

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昨年、紫明荘組の新人会員さんのご紹介で、四条木屋町下ルにある素敵なギャラリーをお借りして稽古したことがありました。(2019年6月11日ブログ参照)

その稽古の最中に、偶々ギャラリーの見学にいらした方が「伏見龍馬会」の会長さんだったのです。

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稽古後数日して、「伏見龍馬会新年会でひとさし舞っていただきたい」との御連絡をいただきました。

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今日の新年会会場は伏見の銘酒「英勲酒造」縁の、築150年という大変趣深い日本建築の”京風フレンチ”のお店でした。

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私の他に、”新内枝幸太夫”と仰る新内浄瑠璃のお師匠様の美声の披露もあり、大変楽しく勉強になる時間を過ごさせていただきました。

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稽古から始まった御縁が繋がって、今日はまた新しい出会いもありました。

この先またこの御縁が繋がっていくと、とても嬉しく有り難く思います。

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伏見龍馬会の皆様、本日は誠にありがとうございました。

独吟の効用

昨日は午前中のNHKラジオ録音の後に、午後から江古田個人稽古、さらに夜に田町稽古でした。

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田町稽古場では3月7日の澤風会郁雲会で、初めての試みとして「独吟」を出す会員さんが3人います。

それぞれ「氷室」、「鞍馬天狗」、「八島」の一部分、時間にして5分前後の謡を、舞台の中央近くに正座して1人で謡うのです。

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昨年末に稽古場で「独吟発表会」のようなものをしたのがきっかけになり、今度は是非能楽堂で独吟を、と私がおすすめしました。

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昨日の時点でもう暗記して、無本で稽古した人もいて、皆さんやる気満々でした。

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そしてこの「独吟」への挑戦は、思わぬ別の効果を生むことがわかりました。

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素謡「須磨源氏」の稽古の時に、皆さんの声がこれまでより明らかに大きくて、余裕と自信を持って謡われていたのです。

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「無本」で「独り」で謡う独吟に比べたら、「本を見て」「皆で」謡う素謡には余裕を持って臨めるようになった、ということなのでしょう。

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今回素謡だけの参加の方も、次回以降独吟に挑戦されたら良いかもしれないなぁと思いました。

独吟の大きな効果を感じた昨日の田町稽古でした。