2024全宝連のお知らせ

「全国宝生流学生能楽連盟自演会」略して、

「全宝連」京都大会が来る6月29日(土)30日(日)に京都金剛能楽堂にて開催されます。

2日目30日の午後3時からは、

鑑賞能「鞍馬天狗白頭」シテ宝生和英ほか

が演じられます。

この「全宝連京都大会」と鑑賞能「鞍馬天狗白頭」に関して、宝生和英御宗家に京都の学生がインタビューをさせていただきました。

その動画が下記URLよりご覧いただけます。

鑑賞能チケットは今月27日の「七宝会」などでご購入いただけます。

皆様どうかインタビュー動画をご覧いただきまして、奮って全宝連及び鑑賞能にお越しくださいませ。

どうかよろしくお願いいたします。

https://twitter.com/zenkoku_hosho?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

新歓の出足は…

今日は新年度初めての京大宝生会稽古でした。

今日はまた京大入学式の日でもあります。

入学式当日にサークル見学に来る人などいないだろうと思われるでしょうが、去年はいて、その人がちゃんと入部して今や部長をしているのです。

今年もそんな人がいると良いな…と思いながら能楽部BOXに到着しました。

2回生を中心に部員達がビラ配りに行こうとしています。

私も手伝おうかと思っていると部長さんが、

「あっ!今新入生からLINEが来て、これから見学に来たいそうです!」

なんと!

到着から30分ほどで、早くも今年最初の新入生が見学に来ることになったのです。

ドキドキしながら新入生を迎えて、自己紹介などしていると、ビラ配りに行っていた4人の部員達が2人ずつ帰って来ました。

なんと驚くことに、それぞれ新入生を連れて帰って来て、新入生は合計3人になりました!

3人ともなかなかに個性的です。

「高校では部活を8つ掛け持ちしていました」という人や、

“ブリッジ姿勢”で入学式記念写真を撮っていた人、

また雅楽を小学校からずっとやって来た人、

などなどです。

稽古を見学してもらった後に、新歓時期にいつも行くアメリカンダイナーに皆で行って晩御飯をにぎやかに食べました。

新入生達は学部や出身地などで現役やOBOGと繋がりも多く、早速授業の取り方などの情報交換も行われていました。

今年の新歓もいよいよスタートです。

出足は好調なので、これから色々な新歓企画でさらに盛り上げて多くの新入生に来てもらいたいと思います。

お囃子の稽古も

今回の京大宝生会合宿では、謡と仕舞の稽古はもちろんの事、「お囃子」の稽古も積極的に行われていました。

太鼓を習っている一回生は「西王母」の太鼓を、小鼓を習っている一回生は「船弁慶クセ」を、夜が更けた合宿所で熱心に稽古しています。

OBの中に囃子を全部習っているという強者がいて、そのOBが「カシラの右手はこう」とか、「クセ止めの手はこんな感じで」とか丁寧に教えてくれていました。

まだ習い始めて間も無いはずなのに、太鼓も小鼓もとても良く打てています。

もうすぐ始まる新歓では、これらのお囃子も披露される事になります。

昨年の新歓は若手OBOG達の大活躍で大勢の新入部員に恵まれましたが、今年はその新入部員達も新歓をする側になり、去年よりも層が厚くバリエーションに富んだ新歓企画が色々できそうで、とても楽しみです。

ちなみに稽古ではありませんが、大鼓を習っている一回生は「指皮」という大鼓専用のプロテクターを和紙で作る作業を、やはりOBに習いながら熱心にしていました。

2件のコメント

“サカ盛”って誰ですか?

今日は京都大原の京大宝生会春合宿にやってきました。

いつもの合宿所の「民宿きつね」には、一回生6人を始め若手OBOGもたくさん集まって賑やかな様子でした。

昨年は人が少なかったので、有り難いことです。

合宿も終盤にさしかかり、皆それぞれ声が枯れ気味で膝が痛そうです。

それでもやはり今年の一回生の熱心さは規格外で、昨夜などは午前1時頃まで謡の稽古をしていたそうです。

その時の面白エピソードを晩御飯の時に聞きました。

昨夜の日が変わった頃に、合宿所の2階で一回生女子と若手OGが「敦盛」の謡を鸚鵡返ししていたそうです。

その部屋に一回生男子が入ってきました。

OGが「1階では何をしているの?」と聞くと一回生男子は、

「一部は”藤”の鸚鵡返しをしていて、一部は酒盛りしてます」

すると一回生女子が、

「え、”サカ盛”?それどんな曲?」

…どうやら敦盛の親戚の”酒盛”さんだと思ったようです。

全てが能に関わる単語に変換されるとは、ある意味見上げた姿勢だと思います。

今夜も私のすぐ横では一回生男子とOBの「嵐山」の熱い鸚鵡返しが行われており、まだまだ稽古は続いていきそうです。。

3件のコメント

草之神舞での”再会”

昨日の名古屋「桃華能」での事。

初番の能「右近」の後シテの舞は、藤田流の笛で「草之神舞」という珍しい舞でした。

初段オロシの足拍子を踏む所の笛がやや難解で、申合で何気なく聴いていてそこでハッとしました。

数年前の学生の「全宝連名古屋大会」を思い出したのです。

その「全宝連名古屋大会」は昨日と同じ名古屋能楽堂で開催されて、京大宝生会から舞囃子「右近」と舞囃子「敦盛」が出たのです。

私はその時に初めて藤田流では右近が「草之神舞」になる事を知り、音源を入手して何とか学生稽古をしたのを覚えています。

そして昨日の「桃華能」本番でもまた「草之神舞」を聴いたのです。楽屋で一緒にいた若手楽師に話しかけてみました。

その若手楽師は、名古屋の大学のサークルで宝生流の能を始めて、卒業後に東京芸大に入りなおして能楽師の道を歩んでいるという、私とちょっと似た経歴の持ち主です。

今は宝生能楽堂に住み込んで家元の内弟子として修行中なのです。

彼に「草之神舞は、前に京大宝生会が全宝連で舞囃子右近を出した時に初めて勉強したんだよね」と話したところ、

「あ、その時は京大さん右近と敦盛の舞囃子でしたよね。私その時に竹生島の舞囃子をさせていただきました」

なんと!

その舞囃子「竹生島」は私も覚えていました。

しかしそのシテが彼だったとは、今まで全然知らなかったのです。

いつも宝生能楽堂の楽屋で会っている彼なのですが、何だか懐かしい人に再会したような不思議な驚きを感じたのでした。

学生仕舞の地謡は…

澤風会郁雲会の1日目には、京大宝生会と自治医大宝生会の現役部員の仕舞がありました。

そのうち京大宝生会現役の仕舞は、番組に地謡をあえて書きませんでした。

それは現役が交代で地謡に入って、お互いに謡い合う事にしていたからです。

一応私が地頭には入りましたが、謡ってみると皆とても大きな声で、彼らだけでも充分に謡えるだろうと思われました。

途中で切戸口には、次の出番の京大若手OBが集まって来ました。

私「せっかくなので地謡一緒に謡う?」

と若手OBに声を掛けて、最後の現役仕舞は5人の賑やかな地謡になりました。

一方、自治医大宝生会の仕舞は普通に能楽師で地謡を謡うつもりでおりました。今回は4年生2人だけの出演予定だったのです。

しかし楽屋に入って来た自治医大宝生会達は…

自治医大宝生会4人「「こんにちは‼︎」」

おお、仕舞を舞う4年生の他に、試験を終えた1年生と3年生も久しぶりに顔を見せてくれましたか!

しかも全員が舞台に出られる格好をしています。1年生と3年生に、

「もしかして仕舞の地謡に…」

と聞くと、

自治医大「「はい出ます‼︎」」

なんと!それは嬉しい事です。

というわけで、自治医大の仕舞2番は私以外の能楽師はお休みいただき、京大と同じく私と学生達で元気良く地謡を謡ったのでした。

今月中には京大も自治医大も合宿がある予定です。

またみっちりと稽古して、次の「全宝連京都大会」やその前の新歓に向けて頑張ってもらいたいと思います。

二十周年記念澤風会大会・郁雲会大会無事終了いたしました。

おかげさまで「二十周年記念澤風会大会・郁雲会大会」は昨日無事終了いたしました。

御出演いただきました皆様、見所で応援してくださった皆様、裏方で色々とお手伝いしてただいた方々に心より御礼申し上げます。

舞台は私の期待以上の熱気あふれるものでした。

これまで、番組に書いてありながら当日出られない方はいらっしゃいました。

しかし今回は番組に名前がある人は全員が無事に参加できて、逆に番組に載っていないけれど当日地謡に参加という人が何人もいらしたのです。

そんな皆様の熱量に今回も背中を押されて、2日間の会を走り抜ける事ができました。

特筆すべき事は無数にあるので、次回以降に思い出したものから書いて参りたいと思います。

同期の交流

先日京大宝生会の部長さんにメールした時の事です。

メールの用向きは、今度の澤風会郁雲会の自由参加の素謡「鶴亀」のシテとワキを、京大1回生の誰かにお願いしたいというものでした。

するとすぐに返信が来て、シテワキの名前がちゃんと書いてあります。

早いな、と思って返信の続きを読むと、なんとその日は1回生で集まって、大阪ベイエリアにある某有名テーマパークに遊びに来ているというのです。

皆でジェットコースターに乗った時の事などが楽しそうに書いてありました。

大変素晴らしい事だと思い、数日後に京都稽古場で若手OBに話したところ、

「…まあ私の学年では一生無いでしょうね」

彼の学年は男子2人なので、それはまあそうでしょう。。

しかし私の現役時代は、同期が男子2人女子2人だったのですが、遊園地どころか3回生になるまで同期揃って御飯を食べた事すら無かったのです。

それは流石にサークル運営上も良くないだろうと言う話になり、同期4人で洋食屋の個室を予約しました。

クロスの掛かった四角い大きなテーブルを4人で囲み、あまり盛り上がる事もなく静かに洋食を食べたのを覚えています。

そんな同期4人ですが、なんだかんだで卒業から30年以上経た現在でも交流は続いております。

細く長い繋がりというやつでしょうか。

引き換えて今の1回生達は、宝生会に入ってすぐからずっと仲良しです。

どうかこれからも太く長く交流を続けていってほしいと願っています。

能「敦盛」の女性地謡

来たる3月9日(土)10日(日)の澤風会郁雲会には、3番の能が出ます。

能「野宮」、「敦盛」、「砧」です。

このうち「敦盛」は女性のみの地謡になります。

後列3人は女性能楽師、前列3人が京大宝生会の若手OGです。

前列の1人は京都で働いており、もう1人は京大大学院生、あと1人は東京で働いているという、全くバラバラな経歴の3人です。

それぞれの空いている日程と場所で、やはりバラバラに敦盛能地を稽古する事になります。

大学院生は1月の京都稽古で。

京都で働いている人は、2月の若手OBOG合宿で稽古しました。

そして昨日は神保町で東京のOGが初めて敦盛能地の稽古をしたのです。

来週申合なのに大丈夫かと思われそうですが、実は1月の大学院生の稽古の音源をスマホ経由で共有してもらっていたので、初めての稽古で既に謡えるようになっていました。

それぞれ仕事や研究で大忙しな3人が、なんとかやり繰りして敦盛能地に挑戦してくれます。

大学院生OGさんの稽古をしている時の事。

OGさん「すみません、扇の持ち方はどうすればいいのですか…?」

今回が初めての能地だそうで、この機会に色々な能地の作法なども経験してもらって、また機会があればどんどん能地に入ってもらいたいと思います。

能「敦盛」は、シテやツレはもちろんの事、女性地謡にも是非ご注目くださいませ。

一回生だけで舞囃子が…

昨日は京都観世会館にて「同明会」が開催されました。

宝生流からは能「来殿」、舞囃子「松尾」、舞囃子「西行桜」が出て、他にも観世流金剛流の舞囃子や一調、独調などが盛大に演じられました。

京都の囃子方が主催の「同明会」は、色々珍しい番組が出るので、能楽愛好家にはとても人気がある舞台です。

終演後にロビーに出ていくと、昨日「仕舞百番舞う会」で頑張っていた京大宝生会の現役や若手OBOGもたくさん観に来ていました。

彼らの中には、お囃子を習っている人も何人かいます。

大鼓、小鼓、太鼓、笛の四拍子のうち、京大宝生会関係では小鼓と太鼓がちょっと少なめだったのですが、実は一回生達がお囃子にも興味を持って、最近何人かが習い始めたのです。

6人の一回生のうちの3人が、それぞれ大鼓、小鼓、太鼓の稽古を始めてくれました。

そして笛に興味を持った一回生もいるので、間もなく一回生だけでシテ、地謡に四拍子が揃って舞囃子が出来る事になります。

流石にこの春の新歓には難しいと思いますが、来年以降の新歓では是非とも今の一回生達が自前で舞囃子を出してもらいたいと期待しております。