6年ぶりの新入会員さん!

今日の京都はまだまだ大変な残暑で、最高気温35℃という事でした。

その苛烈な残暑の中、大山崎稽古場に向かいました。

「大山崎澤寳会」という稽古場の名前は、稽古会場である「宝積寺」からとられていて、私がまだ内弟子の頃に一番最初に出稽古を始めた場所なのです。

もう20年以上の歴史があります。

(現在は宝積寺が改修工事中で、長岡京駅前の公民館で稽古しております)

しかし当初10人以上いらした会員さんも年々高齢化などで減っていき、最近では3人でかろうじて稽古を続けておりました。

その「大山崎澤寳会」に、実は今日6年ぶりの新入会員さんが来てくださいました!

辰巳満次郎師のお力添えで、大山崎近辺で稽古に興味がある方を探した結果、まず最初の1人が今日いらして下さったのです。

久々の女性会員さんという事もあり、稽古場がパッと華やいだ感じがしました。

これをきっかけに、大山崎澤寳会に更に人が増えていくと有り難いです。

そして午後からは亀岡稽古場に移動しました。

稽古場の建物の入り口近くにある「フジバカマ」という植物の前を通ると、もう一部が開花していて嬉しくなりました。

秋になるとアサギマダラという蝶が、日本の高原地帯から旅立って、この花の蜜を吸いながら遠い南国まで渡っていくのです。

この厳しい残暑では”秋”という言葉はなかなか思い浮かばないのですが、花は確実に季節が秋へと移っていくのを教えてくれます。

あと2〜3週間もすると写真のフジバカマの花にアサギマダラがやって来る事でしょう。

今日は大山崎でも亀岡でも嬉しい事があり、良き一日になりました。

亀岡の花々〜ユリの王様〜

今日は亀岡稽古でした。

京都二条駅近くの宿を出ると、35℃の強烈な熱気に包まれて、あっという間に汗だくになりました💦

ややぐったりとしながら亀岡稽古場に到着して、何か花は咲いていないかと探しに行ってみました。

春に比べて花は少ない季節ですが、遠目にとても大きな花が見えました。

もしかしたら見られるかもと期待していた

「ヤマユリ」

です。それも遠目にみても沢山の花が咲いているのがわかりました。

嬉しくなって暑さも忘れて早足で近寄ってみると…

6輪の大輪の花を咲かせた堂々たる「ヤマユリ」でした。

ヤマユリは発芽から開花までに最低でも5年かかるそうです。

また「1輪1年」とも言われるそうで、という事はこのヤマユリは少なくとも発芽から11年経っている事になるのです。

花のあまりの大きさ重さに、支えが無いと倒れてしまうようで、2本の支え木が添えられていました。

ヤマユリの花言葉は「荘厳」

まさに荘厳華麗なその姿は、

「ユリの王様」とも呼ばれるそうです。

「百花王」と呼ばれる「ボタン」とはまた一味違った豪華絢爛なヤマユリの花は、大輪の打ち上げ花火が夜空に開いたようにも見えました。

前回書いた「半夏生」は、房状の花とその周りの白くなった葉が、よりはっきりとわかるようになっていました。

雑節の「半夏生」が今年は一昨日の7月2日だったので、やはりこの頃は植物の「半夏生」も、一番の盛りを迎えるのでしょう。

亀岡の花々〜半夏雨〜

今日は亀岡稽古でした。

亀岡は本降りの雨で、亀岡駅から稽古場のある亀山城址まで歩く間に傘をさしていたのにビショ濡れになってしまいました。。

稽古場の中庭に、この時期に毎年見られる植物がありました。

「半夏生(ハンゲショウ)」です。

半夏生は植物の名前であると同時に「雑節」

のひとつでもあります。

雑節とは二十四節気、五節句の他に設けられた暦日の事で、「節分、彼岸、社日、八十八夜、入梅、半夏生、土用、二百十日、二百二十日」が雑節にあたるそうです。

この頃に降る雨のことを「半夏雨(はんげあめ)」とも呼び、大雨になることが多いそうで、正に今日の亀岡は「半夏雨」でした。

また植物の「ハンゲショウ」は葉っぱが半分くらい白くなっているのが大きな特徴ですが、調べてみるとこれには面白い理由がありました。

ちょっと不鮮明なのですが、よく見ると房状の花の近くの葉っぱが半分白くなっています。

実はこの白い部分は、花粉を運ぶ昆虫などへの「広告塔」の役目を果たしているそうなのです。

なので、花の時期が過ぎると再び緑色に戻るそうです。

これは今日初めて知りました。

半夏雨のおかけで他の花々を探すことはできませんでしたが、亀山城址のお堀の方からは

「モ〜、モ〜」

というウシガエルの太いのんびりとした声が聞こえてきました。

亀岡の花々〜花火のような花〜

今日は亀岡稽古でした。

例によって季節の花を探しに行くと、今回も初めて見る花が咲いていました。

ちょうど線香花火がパチパチと爆ぜているように見える純白の綺麗な花です。

初夏を迎えて緑が多くなった森の中で、遠目にも白く鮮やかに浮かび上がって本当に夜の花火のようでした。

しかし名前がわかりません…

今日はいつも花の名前を教えてくださる方も稽古お休みなのです。

頼りになるのはスマホの検索機能だけです。

「線香花火のような花」

とか、

「花火のような花 白」

と言ったワードで検索してみると…

似たような花はたくさんありますが葉っぱの形状から「カラマツソウ」という花と思われました。

ちなみに「カラマツソウ」の名前の由来は、「カラマツ」の葉っぱを見ると一目瞭然なので、是非調べてみてくださいませ。

名前がわかって満足して、さらに花を探してみました。

今回は先程も書いたように緑が多かったのですが、その中で、

「ガンゼキラン」

という絶滅危惧種の黄色い花が見られました。

また「ホタルブクロ」は蕾をたくさんつけていました。もうすぐ蛍が飛び始める頃に花を咲かせるのでしょう。

そして前々回は蕾だった「カノコソウ」は満開になっていました。

目まぐるしく移ろう季節とともに、花々も入れ替わっていきます。

秋に咲いて「アサギマダラ」という蝶の宿になる「フジバカマ」も、すくすくと茎を伸ばしていました。

亀岡の花々〜杜若のイメージトレーニング〜

昨日亀岡稽古に行くと、つい先日満開だった「牡丹」が早くも葉っぱだけになっておりました。

入れ替わりに咲いていたのが、”顔佳花(かほよばな)”とも呼ばれるあの花…

「杜若」です。

今年もちょうどいい時期に再会することが出来ました。

毎年のように見るのですが、今年も亀山城跡のお堀に無数の紫色の点が散らばっているのを見ると、

「おおっ…!」

と思わず感嘆の声を上げてしまいました。

私にとって今年の杜若にはまた特別な意味がありました。

実は来年の澤風会で能「杜若」が出る予定なのです。

そしてこの亀山城跡の杜若は、三河の沢から移植されたもので、正に能「杜若」に出てくる花と遺伝子的にも同じものなのです。

来年に向けてこの「杜若」をじっくりと見て、「イメージトレーニング」をいたしました。

あまりに綺麗だったので、来年に能「杜若」のシテを勤める予定の方にも写真を送って

「イメージトレーニング」をしてもらうようにお願いしたのでした。

亀岡の花々〜郵便局の木〜

今日は亀岡稽古でした。

前回稽古から3週間ほど経っており、また違った花が見られるだろうと期待して稽古に向かいました。

今回一番勉強になったのが下の植物です。

10mほどもある高木に、小さな黄色い花がビッシリと咲いています。

この木は「タラヨウ(多羅葉)」です。

実はこの木は葉っぱに大きな特徴があります。

葉っぱの裏に傷をつけると、そこだけ黒く跡が残るので、字が書けるのです。

弘法大師がこの葉っぱを使って字の勉強をしたという話も伝わっているそうです。

更に、戦国時代にタラヨウの葉に字を書いて情報伝達に使った事から「葉書」という言葉が生まれたという説もあるそうで、現代では「郵便局の木」として各地の郵便局の前に植えられているそうです。

郵便局の前を通る時にはタラヨウを探してみたいと思います。

次は能の曲名にちょっと関係がある花です。

これは「カノコソウ」の花です。まだ蕾の状態ですが…

この花は春に咲いて、女郎花に形状が似ているところから、

「ハルオミナエシ」

とも呼ばれるそうです。

女郎花の花は黄色、春女郎花の花は薄桃色で、何となく季節に合った色合いなのが面白いです。

次に変わった形の花を見つけました。

これはマムシグサなどと同じ仲間の

「ユキモチソウ(雪餅草)」です。

“仏炎苞(ぶつえんほう)”と呼ばれる仏様の光背に似た花の中に、真っ白でお餅のような付属体があるのが名前の由来だそうです。

なんとなくアイスクリームみたいで美味しそうに見えますが、残念ながら食べられないようです。

今日は他には、ランの仲間の「キエビネ」がちょうど見頃でした。

また、前回蕾をつけていた「ボタン」がもう咲いていました。

大輪の牡丹は何度見ても華やかで、「百花の王」の名に相応しいと思われました。

来月には時期が合えばおそらく「カキツバタ」が見られるでしょう。

またご報告させていただきます。

亀岡の花々〜げにや光陰とどまらず〜

今日は亀岡稽古でした。

前回は季節外れの雪に降られて、大変寒い思いをしました。

それからわずか2週間ほどで今日はもうすっかり暖かく、春真っ盛りです。

前回に芽吹きを見た花々を再訪してみると…

「ケクロモジ」は、葉が開いて表面の”毛”が良くわかりました。

「トサミズキ」の花はだいぶ大きくなり、本来のちょっと奇妙な姿になっていました。

そして芽吹いたばかりだった「牡丹」は、すでに大きな蕾をつけています。

繰り返しですが、前回から2週間ほどでこの成長とは驚くばかりです。

前回は見られなかった花々も…

先日筑波山でも見た「カタクリ」がたくさん咲いていました。

「雪割り草」とも呼ばれる「スハマソウ」や…

花の型から名前がつけられた「イカリソウ」も今が盛りでした。

また「京都府レッドデータブック」という京都府内の絶滅の恐れがある野生生物の現状をまとめた資料では、絶滅危惧種よりも一段と危惧される「絶滅寸前種」に分類されている貴重な植物もありました。

「ヒキノカサ」というこの花は、野生のものは京都府内にはたったの一群落しか残っていないそうです。

写真は撮れませんでしたが、やはり珍しい桜の一種「コノハナザクラ」も咲き始めていました。

季節の移り変わりは本当に早いです。

次回の亀岡は2週間後になるので、もう春から初夏になっているのかもしれません。

亀岡の花々〜春遠からじ〜

今日は亀岡稽古だったので、久しぶりに「亀岡の花」を見られるかと思っていました。

しかし、京都から山陰線で亀岡に向かうと途中の保津峡駅あたりから…

なんと雪が降り始めました。

亀岡に到着する頃には本降りになり、非常な寒さです。

この雪と寒さでは花どころでは無いな…と思いながらも、この季節に見られるはずの植物を一応探してみました。

すると…

ありました!蕗の薹が今年も顔を出してくれていました。

他の春の花はどうでしょうか…

ユキワリイチゲ(雪割一華)はこの天気のせいか花を固く閉じた状態でした。晴天ならさぞかし綺麗な群落が見られることでしょう。

ちなみにこのユキワリイチゲ、学名を調べるとAnemone keiskeana

というらしいです。アネモネの仲間だったのですね。

keiskeana 」は明治時代の医師伊藤圭介から取られており、この人は「おしべ」「めしべ」「花粉」などの用語を考えた人らしいです。この人がいなかったら、「花粉症」は別の呼び名だったのかも…

またよく見るアネモネは和名「ボタンイチゲ」という地中海沿岸原産の植物だそうです。

さらに…

トサミズキ(土佐水木)が芽吹いていました。

育つとちょっと奇怪な見た目になりますが、今は可愛らしい感じに見えます。

そして…

牡丹も力強く芽を出していました。

この時点でも満開の花を想起させる、とても強いパワーを感じます。

今日初めて見つけた花は…

「ケクロモジ(毛黒文字)」です。

新芽を包み込むように小さな黄色の花がたくさん咲いています。

新芽が開く前の今の状態が、いかにも早春という感じで良いと思いました。

この頃には雪が止んで、陽が射してきました。

その陽射しの中で…

福寿草が花を開いていました。

来る時は雪でどうなるかと思いましたが、やはり色々な植物を見て、春はすぐそこまで来ていると実感できました。

これからまた春から初夏の花々をご紹介できればと思います。

1か月が経ちました

1月16日にこのブログを再開してから1か月が経ちました。

なんとか途切れずに書き続けております。

今回ブログ再開の告知などは全くしていないにも関わらず、何人かの方に、

「ブログ再開されたのですね、いつも読んでいます」

と温かいお言葉をいただきました。

何よりの励みになります。ありがとうございます。

今後も私の小さな日常の出来事をポツポツと書いて参りたいと思います。

またいくつかあった”シリーズ”もぼちぼち再開するつもりです。

「亀岡の花々」シリーズは、間もなく春の花が咲き始めたら再開します。

「隙間花壇」は実はコロナ禍の間に雰囲気が大分変わって、洋風のお洒落な花壇になっております。私としては以前の自然な感じが良かったのですが、こちらも一度今の姿をご紹介したいと思います。

「読んだ本の話」も書いていきたいです。

相変わらず”遅読”で”並行読み”です。

今は、

①戸川幸夫(イリオモテヤマネコを発見した動物文学作家)著のシートンの伝記

②新田次郎著「孤高の人」

③椎名誠の「怪しい雑魚釣り隊シリーズ」

などを読んでおります。

中でも新田次郎「孤高の人」は久しぶりに本にグイグイと引き込まれていく感覚を味わっております。

このように、能楽には全然関わらない内容も多いブログではありますが、頑張って書いて参りますのでどうか今後ともよろしくお願いいたします。

1件のコメント

亀岡の花々〜アサギマダラと三七草〜

先週金曜日、午前中に大山崎で「鶯、桜、松」のマンホールを見つけて驚いたその後に、久しぶりの亀岡稽古に向かいました。

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10月上旬の亀岡稽古では、毎年「藤袴」の花と「アサギマダラ」という蝶に出会うのを楽しみにしております。

去年はその時期に稽古が中断されていたので、今年こそは会いたいものです。

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亀岡稽古場に早めに到着して、早速「藤袴」のところに行ってみると…

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いました!アサギマダラです。

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最初の写真は偶々止まっていますが、今年のアサギマダラは非常に元気良く飛び回っていました。

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私にぶつかりそうになるほど近くを飛んだりして、何か2年ぶりの亀岡での再会を喜んでくれているようで嬉しくなりました。

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再会に満足して、まだ稽古まで時間があったので他の植物も見に行ってみました。

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「紫式部」の実が今年も鮮やかな紫に実っていました。

今年は能「源氏供養」を舞ったので、この紫の実が成っている京都北山の”紫式部墓所”にお礼参りに行きたいと思いました。

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更に歩いていくと、またしても驚く光景に出会いました。

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初めて見る黄色い花が咲いていました。

綺麗だなと思い、近寄って写真を撮ろうとしてハッとしました。

なんとその黄色い花にアサギマダラが止まって吸蜜していたのです。

藤袴以外の花で吸蜜しているのを私は初めて見ました。

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この花は「サンシチソウ(三七草)」という外来種だそうです。

調べると藤袴と同じキク科で、このサンシチソウの仲間もアサギマダラが蜜を吸う対象になっているようでした。

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「充分に栄養をとって、はるか遠くの南の国への旅に備えてくれよ」と思いながら、満足して稽古に向かったのでした。