4年に一度のサッカーW杯が始まっています。
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今夜はいよいよ日本代表が登場しますが、私はその時間まだ稽古中だと思われるので、後でニュースでハイライトを見たいと思います。
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W杯は能楽とは全く関わりがありませんが、個人的に能楽の仕事絡みでひとつだけ思い出に残っている出来事があります。
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2002年6月7日、日韓W杯の予選リーグ、札幌ドームで行われたアルゼンチン対イングランドの試合。
この2チームの対戦は、「因縁の対決」と言われた予選リーグ最大の好カードでした。
(ちなみに1986年メキシコW杯の同カードでは、ディエゴ・マラドーナの伝説的な「神の手ゴール」と「5人抜きゴール」が生まれています)
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そしてその2002年6月7日、私は内弟子として「新潟能」という催しに出演しておりました。
夜にあった舞台が無事に終わり、内弟子達は車に乗り込んで窓を開けて走り出しました。
やがて新潟市街に差し掛かった時。
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街全体から一瞬、「オーッ!」という大きなどよめきがはっきりと聞こえたのです。
本当に街の底から湧き上がって来たようなすごい歓声でした。
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「今のはなんだろう?」と誰かが言って、「そうだ!アルゼンチン対イングランドがやっている時間だよ」と助手席の内弟子がカーラジオをつけました。
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ラジオのサッカーはひたすら騒々しく、しばらくはプレーの内容がわかりませんでした。
しかしどうやらイングランドの"ワンダーボーイ”マイケル・オーウェンが抜け出して、ペナルティーエリア内でDFと一対一になってシュートを放ったという決定的なシーンがあったようです。
それが先ほど新潟市街を沸かせた歓声の瞬間だったのです。
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それまで「街全体」という規模で発せられる人間の声など聞いたことがありませんでした。
W杯開催国の盛り上がりとは、ここまでのものなのかと大変驚きました。
そして世界の名だたる選手達が、今この瞬間にも日本で戦っているのだと、何やら感慨深い気持ちになりました。
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私はサッカーに関しては全く詳しくありませんが、何故か昔から日本代表の試合だけは気になってしまいます。
京大時代に先輩の家で「ドーハの悲劇」の試合をテレビ観戦した時のあの悔しさが、今でも忘れられないからかもしれません。
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今回も、色々難しい状況と聞きながらも、日本代表の健闘を心の底から祈っているのです。