いつの間に…!

江古田稽古場で稽古している、今度小学五年生になる男の子。

これまで稽古した仕舞はすべて、いわゆる「荒い物」というジャンルでした。

元気よく、次から次へと派手な型が繰り出されるような仕舞です。

(私だけの呼び方で「ノンストップ仕舞」と言っております)

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先日の郁雲会澤風会では「歌占キリ」を舞ったその子が、今日江古田稽古場に来るなり「新しいノンストップ仕舞を考えよう!」と言って来ました。

しかし私は…

「うーん、今回はノンストップ仕舞じゃなくて、ゆっくりした仕舞にしようと思うんだよね」

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彼も相当な番数の仕舞を経験して来たので、そろそろ”新境地”を開拓してみようかと思ったのです。

「羽衣キリという仕舞にします!」

と厳かに宣言して、早速稽古を始めました。

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とは言ってみたものの、これまでとは全く違う雰囲気の仕舞です。はたしてついて来てくれるのか、不安でもありました。

しかし…

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「東遊びの数々に〜」と舞い始めると、ちゃんとゆっくりした速さで足を運んでくれます。

「一番前で、引分をします」と言ったら、これも「田村キリ」などと違う、ゆったりとした「引分」がしっかり出来ています。

つまり、「柔らかい物」の速さは他の人の舞台を見て何となく覚えていたのでしょう。

また、型の名前も正確に覚えているようです。

私の予想以上に、いつの間に成長してくれていたのですね。

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またその子のお姉ちゃんは、幼稚園から始めてもう10年以上稽古しており、最早「ベテラン」と言っても良いくらいです。

こちらも次の曲を何か…と言いかけたところ、

「先生、実はやりたい曲があるのです」

おお!これも初めてのパターンです。

「小学四年生の時に京都の舞台で○○さんが舞っているのを見て、いつかやりたいと思っていた曲なのです」

なんと、そんなに前からやりたいと思い続けた曲があるとは。

その曲は、本来なら難しい曲なのですが、そこまでの思い入れがあるのならばとOKしました。

夏の「七葉会」で披露されるはずです。

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今日はその姉弟それぞれがまた一段成長したのを実感して、嬉しい驚きを感じたのでした。

東京は夏日

今日は東京でも今年初めての「夏日」だったようです。

このくらい気温が上がると、暑がりの私にとっては既に「真夏」に感じられます。

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夜からの田町稽古の前に、先ずは午後に秋葉原から水道橋まで歩くだけで一汗かきました。

更に水道橋宝生能楽堂で能「雲林院」の稽古をしながら汗だくに。

続けて能「正尊」の切り組の稽古では、汗と冷や汗(最後の死ぬ所が冷や汗物なのです…)を両方かいてしまいました。。

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今からこの調子では、本当の夏が思いやられるな…と思いながら田町稽古場に到着すると、18時半ながら部屋には弱い冷房がついていました。

皆さんも今日は暑かったのですね。ちょっと安心いたしました。

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しかし明日からはまた気温が低めに戻るようです。

暫くは服装に気をつけないといけないですね。

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入学式シーズン

松本稽古場の最年少、6歳の男の子はこの春小学校に入学します。

昨日の稽古で「入学式はいつ?」と聞いたら、「木曜日!」と答えてくれました。

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お母さん「この間の卒園式は、紋付袴で行ったのです」

私「へ〜、それは良いですね。じゃあ入学式も…」

と言いかけて、「ああでも、ランドセルがあるから無理か…」と更に思いかけたところで、

お母さん「さっき家で、紋付袴にランドセルを背負う練習をしてみたのです!」

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なんと。

では紋付袴にランドセルに、もしかして黄色い制帽とかかぶるのでしょうか。

なかなか想像のつかない格好です。。次回の稽古で写真など見るのが楽しみです。

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昨日の稽古では他にも、明日朝に放送のテレビ番組の「継ぐ女神」というコーナーに松本稽古場の会員さんが出るという話でも盛り上がりました。

その映像も次回見せてもらえるかもしれません。

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更に、先日の郁雲会澤風会で桜色の着物で舞囃子「桜川」を舞われた会員さんは、観に来られた方から貰ったという「桜川」という銘柄の日本酒を、これまた次回の稽古に持って来てくださるとのことなのです。

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なんだか次回は色々楽しみなことが多い松本稽古場です。

本筋の稽古の方も、現在まだ水面下で進めている、夏の大きなイベントに向けて頑張って参りたいと思います。

どんなイベントかは、もう少ししたら発表いたします。

桃源郷経由、南国行き⁉︎

今日は先週に続いて、2週連続の松本稽古です。

思えば昨年の今日4月2日も松本稽古で、その時のブログでは甲府盆地の桃の花がまだ咲いておらず残念だったと書いてありました。

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しかし今年は桜がかなり早かったので、桃もおそらく早く咲くはずです。

期待して特急あずさに揺られていると…

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おお!期待に違わず甲府盆地は白い桃や…

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ピンク色の桃の花で一杯でした。

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今年も桃源郷の風景が見られて、大満足して松本へ。

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松本はおそらくまだ肌寒いくらいかと思い、ジャケットにマフラーも持って家を出ました。

松本駅に着いて特急あずさを降りると…

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意外や、むっとするような暖かい空気です。

「フェーン現象かな?」と思ってマフラーをしまい、駅前に出ると驚きました。

駅前の気温計の数字が…

28℃!

これは初夏を通り越して夏の気温です。

まさか今年初めて「夏」を体感するのが松本だとは想像出来ませんでした。

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とは言え、陽が落ちるとぐっと気温が下がるはずです。

油断せずにジャケットとマフラーを持って、稽古に向かおうと思います。

院展と演劇鑑賞

今日は日本橋三越にて「院展」を観た後に、上野桜木の市田邸にて「宮城野」という演劇を観て参りました。

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私には珍しく芸術の梯子です。

どちらも澤風会で稽古をしていることで繋がった御縁でした。

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先ず「院展」。これで3回目の院展鑑賞でしたが、絵画に全く無知な私でもそろそろ気がつくことがありました。

「作者によって、ある程度決まったモチーフがある」ということです。

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前回「造船所」を描いた方は、今回は造船所の別の場所を。

「修験者」を描いた方は、やはり違う角度からの「修験者」を描いておられました。

そして澤風会会員でもある森田さんは「向日葵」と「曼珠沙華」と「蔓草」をモチーフにされており、抑えた色調の作品ながら「生命」というものをいつも強く感じます。

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なんとなくの自分の好みの作品もわかって来ました。次の院展がまた楽しみです。

そして上野桜木に移動して、懐かしい東京芸大のすぐ向かいにある市田邸へ。

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演劇を観ることは何度かありましたが、今回の「宮城野」の舞台はかなり特殊でした。

おそらく16畳程度の広さの御座敷の、3分の2ほどがそのまま観客席になっています。

そして観客の目前のほんの6畳程のスペースを使って、ほぼ2人だけの役者さんによって演じられる劇だったのです。

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しかも同じ台本を用いながら、ふた通りの全く異なる演出の舞台を、2組の役者さんが1時間交代で続けて演じるという企画でした。

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お庭や障子や雨戸などを上手に使っていて、観客はいつ劇が始まったのかわからないうちに劇中に誘導されていました。

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正に目の前で演じられるために、役者さんのほんの小さな所作や、睫毛の動きまで見えるほどです。

これは相当な緊張感を強いられるだろうと思いました。

しかし指先までを使った全身の細かい動き、表情の変化、声のトーンなどをフル活用して喜怒哀楽を激しく表現する有様は正に圧巻であり、至近距離で観られたことで大変勉強になりました。

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そしてふたつの「宮城野」は.共通の台本を用いておりながら本当に全く異なる味わいであり、その「演出の妙」「演技の妙」にも驚かされました。

実は主演の役者さんが澤風会で「一度だけ」稽古をされており、また稽古場で今回の舞台のお話を伺うのが楽しみになりました。

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今日はおかげさまで目と心の保養になる1日を過ごすことが出来ました。

森田さん、黒木さん、ありがとうこざいました。

隙間花壇〜春から初夏へ〜

東京の桜は早くも散りかけになりました。

気温も一気に上昇して、まるで初夏の陽気です。

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隙間花壇の紫陽花の葉も、だいぶ大きくなりました。

そして、地面近くに咲く白い花を見つけました。

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「シャガ」の花です。

シャガも「ヒガンバナ」と同様に、大陸から伝来した植物であり、遺伝的に全国すべて同じものだそうです。

京都の山中でもよくこの花を見かけましたが、シャガは人間によって植えられたもので、以前に集落があった場所の目印になるということです。

まだ蕾がたくさんあり、これから次々と咲くのでしょう。

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ちなみにこのシャガの葉っぱを、能では小道具としてよく使用します。

能「敦盛」、能「項羽」では、草刈男が肩に担いでいる草が「シャガの葉」を束ねて竹に挟んだものです。

また能「芦刈」では、やはりシャガの葉を竹に挟んだものが「葦の葉」を表すのです。

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さらに隙間花壇に何か咲いていないか見回してみると…

紫陽花の奥の方に、低木に咲く白い花を見つけました。

しかし道路からではちょっと遠くて写真に撮りにくいです。

ここはひとつ、裏から回って隙間花壇の「隙間」に入ってみようと思い立ちました。

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自宅マンションの裏手の自転車置き場から、隙間に入ることが出来ます。

初めて入る「隙間花壇」。ちょっとドキドキします。

これが「隙間花壇」の内側です。

ほとんど日が差さず、ひんやりした空間です。

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例の低木には、薄い花びらの白い花が控え目に咲いている印象でした。

またよく見ると、黒い実がいくつか付いています。

調べたところ、これは「シロヤマブキ」という植物でした。

花や実のついた枝は、茶花にも用いられるそうです。

「山吹」と姿が似ているところから名付けられましたが、全くの別種だとのこと。

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シロヤマブキの下には、シャガがたくさん咲いていました。

シャガもシロヤマブキも、半分日陰のような場所を好む植物だそうで、やはり「隙間花壇」の主は、様々な植物の特性を考えて植えておられるのだなあと感心いたしました。

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「雲林院」稽古中

来たる4月21日の七宝会でシテを勤めさせていただく能「雲林院」の稽古をしております。

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能「雲林院」のシテは在原業平ですが、他に能「小塩」も業平をシテにしており、また能「井筒」と能「杜若」でも、シテの女が業平の形見の衣を纏って序之舞を舞います。

私はこの何れの曲も舞った事が無く、業平を演じるのは全く初めてです。

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「杜若」や「井筒」では、「男性が女性を演じつつ、その女性が劇中で男装して舞う」という二重の性別転換が難しいと聞いたことがあります。

しかし考えようによっては、その複雑な構造が曲を理解する大きな手掛かりになるとも言えます。

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一方で「雲林院」は業平本人が現れて、二条の后との禁断の恋を感傷的に懐古する、というような内容。

なんと言いますか、ど真ん中ストレート的に高貴で優雅な美男子のお話です。

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舞は「序之舞」。これは女性が舞うことが多い、品位のあるゆったりとした舞です。

また、「作り物」は無し。

「持ち物」は前後とも「中啓(扇)」のみです。

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こうして色々書いてみても、やはり「取っ掛かり」が少ない曲に思えます。

業平のことを色々と勉強してもいるのですが、まだこの「雲林院」という曲に反映させられるようなイメージは出来上がっておりません。

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…という訳で、今は少々苦労している時期なのです。

しかしこれは毎度のことでもあります。ここから3週間かけて舞い込んでいく中で、少しずつ新しい気づきが増えて、イメージが膨らんでいくと思います。

また度々途中経過を報告させていただきたいと思います。

面白写真〜3月〜

久々の面白写真です。

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先ずは一枚目。

ロココ調の家具に統一された店内で、近所のおじさんがスポーツ新聞を読みながら、おばんざいを食べつつ珈琲を飲む。

…という混沌を想像してしまいました。

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とある小学校の近くで。

1、2学期は大丈夫なのでしょうか…。

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京都駅近くにて。コメントが難しいのですが、おそらく魔法のように効くのでしょう。

それならば治療を受けてみたい、と思うのはまさに思うツボですかね…。

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能「車僧」のワキ車僧ならば、禅問答を駆使して「この車はリヤカーではなく火宅の出車なり。また一所不住なれば、このダンボールハウスも仮の宿に過ぎず住居にはあらず」などと理屈をこねてくれそうです。

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ムーミン谷はみんなの心の中にあると思っていましたが、まさか2階にあるとは。

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福袋を開けて鬱袋だった、というのは聞きますが、最近から鬱袋とは。。

しかし千円ならば、いかに救いの無い中身でも痛手は小さいかも。

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最近はJRの券売機などでも、販売機が色々喋って来てすごいと思っておりました。

しかし「対話のある自販機」とは、ついに自販機と言葉を交わす時代になったのか、あるいはまさか自販機同士が会話するのか…⁉︎

と思ったら、大きめの自販機コーナーにベンチと灰皿が置いてあるだけで、煙草を吸いながらおっちゃん達が対話していました。。

今年の上野駅の春パンダは、獺祭を飲みつつお花見でした。

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今回は以上です。

皆さまからの面白写真も、引き続き募集しております!

異流格闘技戦⁉︎

能楽のシテ方には、宝生流の他に観世流、金剛流、金春流、喜多流の合計五流があります。

普段は別々の舞台で活動しており、同じ催しであっても、それぞれ別の曲を演じるのが普通です。

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しかし極稀に、いくつかの流儀が一緒になって一曲を演じることがあります。

来たる4月7日に行われる「金剛能楽堂15周年記念公演」では、宝生流、金剛流、金春流の合同で能「正尊」が演じられ、私も正尊方の立衆を勤めます。

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「立衆」とはこの曲においては武者のことで、義経方の立衆と刀を持って闘うのです。

そして今回の義経方立衆は金剛流のお二人。

今日はその合わせをしに、金剛能楽堂に行って参りました。

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刀を持っての闘いを「切り組み」と言います。

この切り組みは、いくつかの決まった技を組み合わせて、舞台の度に新しく作る慣わしですが、今回は少々勝手が違います。

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お互いに知らない技が多いのです。

例えば宝生流の「鎬(しのぎ)」や「二重切り違い」などは金剛流にはないらしく、逆に金剛流の「鍔迫り合い」や「抜き足」という技は我々宝生流は初めて見るものでした。

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これらを何とか擦り合わせて、違和感の無い「切り組み」を作っていくのは、大変なのですが非常に面白い作業でした。

どちらか一方の流儀だけを知っている方がご覧になれば、「おお!そんな風に構えるのか!」「そう切るのか⁉︎」と、色々新鮮な驚きがあると思います。

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正尊方の立衆は、結局最後は斬られてしまうのですが、その「死に様」にも是非ご注目いただきたいと思います。

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4月7日(土)13時半始めの金剛能楽堂15周年記念公演に、皆様是非お越しくださいませ。

よろしくお願いいたします。

亀岡の花々〜春の使者達〜

「スプリング・エフェメラル」という言葉を初めて知りました。

日本語では「春の妖精」とも呼ばれる一群の花々のことをさす言葉です。

春先のほんの数週間だけ広葉樹林の林床を華やかに彩り、初夏にはもう跡形も無くなってしまうという儚い花達なのだそうです。

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今日の亀岡稽古ではその「春の妖精」に沢山出会うことが出来ました。

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先ずはカタクリです。

今日は天気が良かったので、花がよく開いて反り返っていました。

「片栗粉」はこのカタクリから作ると思っていましたが、採れる量が少ないために近年はジャガイモやサツマイモのデンプンで作られているそうです。

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キクザキイチゲ。漢字で書くと「菊咲一華」。

漢字の方が綺麗な名前だと感じます。

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また下の花は近い仲間の…

ユキワリイチゲ(雪割一華)。

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そしてムラサキケマン。

これらの花々は全て「スプリング・エフェメラル」に属するそうです。

年間の大半を暗い地中で過ごす彼ら(彼女ら?)は、ようやく地上に出られた喜びを競って表現するかのように、美しく可憐な花を咲かせているように見えました。

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「春の妖精」に近い表現で、日本でも古くから、「雪割草」と呼ばれるいくつかの花々があります。

このスハマソウもそのひとつです。

因みに先ほどの「菊咲一華」や「雪割一華」を「雪割草」と呼ぶ地方もあるそうです。

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ミツマタも満開になりました。

和紙の原料となるこの植物は「サキクサ」とも呼ばれます。

その意味は、「春になると他の花に先駆けて咲く」からとも、またこの花が縁起の良い花とされていたので「幸草」と称されたからとも言われるようです。

「三枝(さえぐさ)」さんという苗字の語源もこの「サキクサ」だそうです。

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新芽を取り囲むように小さな花が沢山咲いている変わった木がありました。

「クロモジ」です。

こちらは「楊枝」の原料になるので有名ですね。こんな花だとは知りませんでした。

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今日は他にも、

トキワイカリソウ

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トサミズキ

などなど、調べるのが追いつかないほどの多くの花々が咲いていました。

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桜も満開になり、まさに春爛漫という風情でした。