本番を楽しみに…

京大宝生会の稽古日は毎週月曜と金曜なので、今日は稽古日にあたりました。

しかも来週末の25日には、約半年ぶりの公式の舞台「関西宝連」が控えているのです。

きっと熱い稽古が繰り広げられたことでしょう。

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しかし実は私の稽古は25日の本番までもう無いのです。

先日13日月曜の仕舞稽古が「関西宝連」前の私の最終稽古でした。

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過去にも私の日程の都合でこのようなことが何度かありました。

しかし京大宝生会の仕舞の場合、ある程度完成していれば、あとは自分の頭で型や足運びを考えて、よく自主練して来てくれるので、何も心配はいらないのです。

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今回の関西宝連に向けての稽古でも、「よく稽古して来たなあ」と思うシーンが何度もありました。

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2回生は、そろそろ各個人の「味わい」のようなものが仄見えて来ました。

そして私が直したところを細部まで正確に修正する力もしっかりとついて来たと感じます。

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3回生は、今回舞囃子と仕舞が1人ずつ。

舞囃子の学生は、申合前の1週間で格段に構えと型が良くなって驚きました。しかし「相当稽古したでしょう?」と私が聞くと「いえ特にはしてません…」などと謙遜していました。

仕舞の学生は、来月の「全宝連」では”柔らかい舞囃子”、今回は”荒い仕舞”と正反対の位なので少々苦労しています。しかしこのように荒い物と柔らかい物を同時に稽古する経験もまた、長い目で見ると芸の幅を広げてくれると思います。

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そして4回生は、全ての地謡の「アンカー」のような役目を安定してこなしてくれています。

4回生達はそれに加えて自分の舞囃子をやる人、遠くのキャンパスから授業を終えて駆けつけてくれる人、就職試験と並行しての地頭をする人など、最高学年ならではの大変さもあると思います。しかし各人とも明るい顔でがんばっているので立派だと思います。

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あと1週間で更に練りに練った彼らの舞台を、25日の大江能楽堂で観るのがとても楽しみです。

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「第120回京都宝生流学生能楽連盟自演会」

にあたる関西宝連は、

京都大江能楽堂にて5月25日11時開演です。

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皆様どうか応援をよろしくお願いいたします。

超高速「奥の細道」

今日は朝に水道橋宝生能楽堂で、土曜日開催の「五雲会」の申合がありました。

私は能「俊成忠度」の地謡を勤めました。

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「俊成忠度」は”和歌”に深く関わる曲です。

そして今日5月16日(旧暦では3月27日)は、和歌ではありませんが”俳句”の松尾芭蕉が、千住大橋のたもとから「奥の細道」の旅へと出発した日だそうなのです。

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全くの偶然ですが、今日私は五雲会申合の後に夕方から仙台稽古の予定でした。

千住大橋ならぬ上野駅から、徒歩ならぬ東北新幹線に乗って超スピードで白河の関を越えて、奥へと旅立ったのです。

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あっという間に仙台に到着すると、長いアーケード街を通って稽古場に向かいました。

すると、こんな光景が目に入りました。

祇園祭の”山鉾”のようですが、これは今週末に行われる「青葉まつり」で巡行する山鉾でした。

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しかしよく見ると、京都の山鉾とはちょっと趣きが違います。

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恵比寿様がドーンと載っているもの。

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巨大な和太鼓が据えられたもの。

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大きな鯛の載った鉾の周囲には、何故か無数の”絵馬”が下がっています。

こうなると、もはや「森見登美彦」の世界のようです。。

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他にもこんな鉾が。

上に載っているのは…

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なんと兜を被った伊達政宗公でした。

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実はこの仙台の「青葉まつり」は、1985年に伊達政宗公の没後350年を記念して復活したお祭りだそうなのです。

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ちょっとシュールな山鉾達を鑑賞しつつ稽古場に到着しました。

俳聖芭蕉ならば、山鉾のことを一首の俳句に詠んだかもしれません。

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しかし全く心得の無い私は、稽古を終えると再び東北新幹線に乗って、超スピードで白河の関を越えて上野へと帰ったのでした。

わずか数時間の”みちのくの旅”でした。

充実した誕生日

今日は午後から江古田稽古、その後に田町に移動して18時半から稽古という日程でした。

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江古田で余裕を持って17時過ぎに稽古を終えて、順調に池袋まで出て山手線ホームに上がりました。

あとは山手線に乗れば田町まで一本で行ける、と思ったところで、品川で人身事故があったとかで山手線が止まってしまいました。。

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仕方なく地下鉄丸の内線に乗り換えて、大手町でぐるぐると結構な距離を歩いて地下鉄三田線に乗り、何とか18時半ギリギリに田町に到着出来ました。

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田町では、久々に稽古に来てくれた元気な韓国人留学生さんや、芸大1年生男子なども加えて賑やかな稽古になりました。

最後の芸大生の稽古を終えて、地拍子の質問に答えていると、なんと稽古場の勤労福祉会館が21時半で終了するというアナウンスが流れて来ました。

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田町でもこれまで長く稽古して来ましたが、終了アナウンスまでみっちり稽古したのはおそらく初めてです。

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という訳で、今日も昼から夜まで密度の濃い稽古をした1日でした。

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実は誕生日だったのですが、バリバリと稽古をする誕生日というのも充実して良いものだと思いました。

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また新たな気持ちで頑張って参りますので、皆様どうかこの1年もよろしくお願いいたします。

亀岡の花々〜兜巾か鈴懸か〜

今日は午後から亀岡稽古でした。

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京都市内で昼ごはんを食べようと思って歩いていると、空が段々と濃い色の雲に覆われて来ました。

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そして亀岡に到着する頃には今にも降りそうな気配です。

しかしなんとか稽古場まで天気はもってくれました。

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稽古の合間に少し花を見ようかと外に出ると、まず紫色が目に入りました。

「カザグルマ」の花でした。

去年は確か時期が合わなかったので、久しぶりに見ました。正に「風車」そのものの姿です。

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次に見つけた白い花ですが、こちらはオミナエシ科の「カノコソウ」という名前でした。

調べてみると、別名「ハルオミナエシ」とも呼ばれるそうです。

そう言われると、たしかに花を黄色くすると「女郎花」とそっくりになりそうです。

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次の花は…と探そうとしたところで、なんと急に雨が降って来ました。。

結構大粒の雨です。

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せめてあと1種類くらい、と思って大急ぎで撮影したのが下の花です。

ふわふわした鞠状の花がたくさん咲いています。

薄いホワイトチョコレートが丸く集まったようにも見えて、ちょっと美味しそうに見える花でした。

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名前は「トキンイバラ」というそうです。

漢字にすると「兜巾茨」でしょうか。

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しかし脳内でその漢字変換をした時に、”あれ?”と私は違和感を覚えたのです。

この花の形状は「兜巾」ではなく、「鈴懸」ではなかろうか?

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能「安宅」や、能「鞍馬天狗」などいくつかの能には「山伏」が登場します。

その山伏が身につける能装束の中に、「鈴懸」と「兜巾」というものがあるのです。

「兜巾」は頭に被る黒くて円形の小さな帽子です。

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そして「鈴懸」とは…。

形は”極太のサスペンダー”とでも言いましょうか。

幅5㎝ほどの極太サスペンダーに、ふわふわした鞠状の房飾りがいくつか付けられていると思ってください。

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そしてその「ふわふわした鞠状の房飾り」が、「トキンイバラ」の花にそっくりなのです。

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なぜこの花を見て「鈴懸茨」と名付けなかったのか、実に不思議に思われます。。

ちなみに本物の山伏は、能装束の「鈴懸」のことを「結袈裟」と呼ぶそうなので、「ユイゲサイバラ」でも良いかと思うのですが。

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もしどなたかこの命名の由来をご存知でしたら、どうか教えてくださいませ。

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今回はこれにて失礼いたします。また天気の良い日にたくさんの花をご紹介したいと思います。

4月病の流行も終わり…

今日は昼から京都紫明荘組稽古で、その後夕方から京大稽古に行きました。

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京大稽古が終わると、大抵現役達と晩御飯を食べに行きます。

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毎年4月に新年度が始まった頃には、京大近辺の店はどこも混み合っていて、「新歓時期特別メニュー」などと言って数種類限定のセットしか出さないお店もあるくらいの大変な混雑なのです。

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そして連休が明けてしばし経った月曜日の今日、やはり晩御飯のお店を探して能楽部BOXから歩き出しました。

ついこの間には満席で入れなかったお店の前を通ると、なんと今日はお客さんゼロ人。

暖簾越しに暇そうな店主と目が合ってしまいました。

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というわけで、和食の美味しいその店で10人程の現役や若手OB達と、ほぼ貸し切り状態でゆっくりと晩御飯を食べられたのです。

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私「マグロのハラミのタタキを頼みたいね。他に何かある?」

OB「モグラのタタキはありませんかね?」

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などとユルい会話が続き、皆の修学旅行の面白いエピソードなどで楽しい時間を過ごしたのでした。

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前にも書いたのですが、京大には「4月病」というのがあり、これは4月になると授業に出たくなって大学近辺が混雑するという症状なのです。

しかしゴールデンウィークが明ける頃には「4月病」の流行も終わり、学生の数がガクッと減ってまた静かな日常が戻ってくるというのが例年のパターンです。

どうやら今年もその通りになったようで、おかげで久しぶりにゆっくりと現役達と話が出来て、うれしい一日の終わりになったのでした。

隙間花壇〜よその散りなん後にこそ〜

今日は水道橋宝生能楽堂にて「月並能」が開催されました。

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その月並能に行くために三ノ輪の自宅を出て、いつものように「隙間花壇」を通り過ぎました。

今はちょうど花が咲いていなくて、緑一色に見えます。

しかし、実は私には気になる”緑”がありました。

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何度も書いていますが、自宅マンションの大規模改修工事の為に、「隙間花壇」にも足場やフェンスなどが設置されています。

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その影響を最も大きく受けたのが、おそらく「ツツジ」だと思われます。

毎年ゴールデンウィーク前には、ツツジが満開になっている「隙間花壇」。

それが、今年は残念なことに一輪も咲いてくれませんでした。

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そして今年のツツジはどうなっているのかと言うと…

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この中央部の一握りの僅かな葉っぱだけが「隙間花壇」の今年のツツジの”生き残り”なのです。

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この先にもしかすると一輪でも花を咲かせてくれないものかと、前を通るたびにしげしげと観察するのが最近の日課になっています。

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全国色々な場所で華やかに咲き乱れるツツジを見ましたが、今年の私には、花の咲かないひと枝だけのツツジが最も気になっているのです。

能楽師も学生もフル回転

今日は大阪の香里能楽堂にて「七宝会」が開催されました。

私は能「藤」と能「天鼓」の地謡を勤めました。

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大阪は朝から良い天気で、初夏を通り越して「夏本番!」というくらいの暑い陽気でした。

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午前中に「藤」の申合があり、午後からの本番で再び「藤」を謡って、更に「天鼓」も謡うと、流石に足が痺れてしまいました。。

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しかも最後に謡った「天鼓」は、前シテの王伯が息子の形見の鼓を打つ場面など非常に難しく力の入る謡が多く、暑さもあって七宝会終了後はスポーツをした後のような疲労感を感じてしまいました。

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しかし今日はまだまだ終わりません。

終了後に「関西宝生流学生連盟自演会」の申合があったのです。

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水曜日に満次郎師に稽古を受けた、3大学合同の半能「高砂」と、それに加えて京大宝生会の舞囃子「船弁慶」と舞囃子「春日龍神」の申合です。

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その申合もなんとか終わり、その後に今度は6月29、30日に京都金剛能楽堂にて開催の「全国宝生流学生連盟京都大会」の実行委員の学生達と打ち合わせをしました。

その間に舞台では、神戸大学の学生達が全宝連に出す舞囃子「小袖曽我」の稽古を満次郎師につけていただいています。

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書いていて訳がわからなくなって来ました。。

とにかく能楽師も学生達も、朝から晩までフル回転だったのです。

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学生達の2つの大きな舞台、

①「関西宝生流学生連盟自演会」

は5月25日土曜日11〜17時に大江能楽堂にて開催。

そして、

②「全国宝生流学生連盟京都大会」

は6月29日土曜日11〜16時、30日日曜日11〜14時に金剛能楽堂にて開催されます。

30日日曜日の15時からは、「全宝連鑑賞能」として能「船弁慶 後之出留之伝」シテ辰巳満次郎 ほか仕舞 も開催されます。

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今日の学生達は、稽古に事務作業にとにかく懸命に動いていました。

それを見ていると、関西宝連と全宝連どちらの舞台も非常に楽しみになって来ました。

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七宝会に始まり、学生達と共に暮れていく暑い1日でした。

1件のコメント

復活への第一歩

私の母親は2年半ほど前から、母校の日本女子大学構内にある和室を借りて、「日本女子大学宝生会」の復活に向けての新歓活動をコツコツとしておりました。

チラシを作成したり、先ずは職員など大人の稽古を始めて、学生に見学を呼びかけたり。

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何度か学生も見に来てくれたそうなのですが、卒業間近の4年生だったりしてなかなか定着まではしてくれませんでした。

20数年間も途絶えていたクラブの復活は、やはり相当に難しいと思われました。

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それが今春、大きな動きがあったのです。

京大宝生会の大先輩のお孫さんが、この春にめでたく日本女子大学に入学されたのです。

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4月の終わりには母親から、そのお孫さんが友達を連れて、合計3人で稽古見学に来てくれたと聞きました。

復活に向けて、大きな第一歩だと嬉しく思っておりました。

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そして昨日。

私は澤風会江古田稽古日で、普段通りに昼から江古田舞台で稽古をしておりました。

母親は例によって日本女子大に新歓活動に行っています。

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夕方になって、いつも元気なボーカリストの方の稽古をしていると、母親が帰って来ました。

横目で見ると、母親はなにやら非常にそわそわしている様子です。

するとなんと母親の後ろから、緊張した面持ちの3人の女学生さんが稽古場に入って来るではありませんか!

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母「見学に来てもらったの!」

聞くと3人の女学生さん達は、今日既に日本女子大で「羽衣キリ」の仕舞と謡を稽古して来たとのこと。

稽古の後に、「都営バス一本ですぐ江古田に行けるから!」と母親が強引に連れて来たようです。

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折良く稽古場には、日本女子大宝生会のOGの澤風会会員さんもいらして、大学の建物や授業の話などで盛り上がっていました。

3人は足袋も扇も持っていて、「稽古を続けるつもりです!」と言ってくれました。

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母親が新歓活動を始めて3年目、ついに「日本女子大学宝生会」が復活することになりそうです。

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とは言え、まだクラブとして安定するまでには時間がかかるでしょう。

復活組の先輩である神戸大学宝生会の歩みなどを参考にさせていただき、なんとか人数を増やして継続していけるように、私も出来る限り手伝って参りたいと思います。

皆さまもどこかで「日本女子大学宝生会」の姿を見かけたら、どうか応援をよろしくお願いいたします。

うれしい”ご質問”

このホームページには、今まで様々な読者の方から「お問合せ」をいただきました。

昨日もまたそのような「お問合せ」をいただいたのですが、今回はこれまでとは少々違う内容でした。

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“能に関するご質問”という題名で、都内の高校生からの問合せだったのです。

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その生徒さんは、以前小学生の時に夏休みの自由研究で「能楽」を取り上げてくれたそうです。

そしてそれから数年経って、今高校で伝統芸能について調べる課題に取り組んでおり、そこで再び「能楽」を、今度はより深く調べてみたいと考えたそうなのです。

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その後に質問がいくつか箇条書きで書いてありました。

「お忙しい立場だと思いますが、答えていただけるとありがたく思います」と最後に丁寧に書いてありました。

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全く接点のない私に、こうして能楽の事を質問するメールを書くのは大変な事だったと思います。

そして高校生が自発的に能楽に興味を持って調べてくれるとは、本当にありがたいことです。

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先ほど新幹線に乗りながら、早速質問に対するお返事を書かせてもらいました。

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拙い内容の回答ですが、どうか高校の課題に役立ててもらえるとうれしいです。

そして今回の課題で終わることなく、「能楽」に今後もずっと興味を持ち続けてもらいたいと願っております。

3大学合同「高砂」稽古

今日は夜に大阪の香里能楽堂で、土曜日開催の「七宝会」の申合がありました。

私は能「天鼓」の地謡を勤めました。

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その申合が終わって切戸から出ると、楽屋にはたくさんの大学生達が待っていました。

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来たる5月25日には、「第120回京宝連」にあたる「関西宝生流学生能楽連盟自演会」が大江能楽堂にて開催されます。

そして京宝連120回を記念して、京都女子大がシテ、同志社大と京大が混合で地謡を謡う祝言半能「高砂」が演じられるのです。

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今日はその「高砂」を、七宝会申合の後に満次郎師に稽古していただく日だったわけです。

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京女、同志社、京大の学生達が協力して作り上げる「高砂」の舞台。

今日の稽古ではそれぞれの大学を指導する能楽師3人も、同じく協力体制を組みました。

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同志社大を指導する山内崇生さんはワキの謡を。

京女を指導する石黒実都さんは笛の唱歌を。

そして京大を指導する私が太鼓をあしらって、総監督の満次郎師に稽古をつけていただいたのです。

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結果は「大体よろしい」と満次郎師に言っていただけました。

あとは申合を経て、本番までの2週間でより完成度を高めていければと思います。

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「高砂」以外にも、勿論京阪神各大学から多くの仕舞、素謡、舞囃子が出る今回の「関西宝連」。

皆様5月25日には是非京都大江能楽堂にお越しくださいませ。