過ごしやすい夏

ニュースによれば、今日の東京は7月に入ってから初めて、30℃を超える真夏日になったそうです。

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「去年はとても暑かったなあ」と思い去年7月のブログを読み返してみると、

「激暑エレベーターホール稽古」

「祇園祭の花傘巡行が猛暑で中止」

「酷暑を超える”極暑”をさらに超える”超極暑”」

などと恐ろしげな内容が並んでいました。。

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しかし、

「喉元過ぎれば熱さ忘れる」

という通り、去年の記録的猛暑はすでに遠い記憶になり、

「今年はあまり暑くなくて有り難いなあ」

と思いながら過ごしております。

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今日は午後から西荻窪稽古だったのですが、30℃くらいだと外に出ても意外に凌ぎ易く感じました。

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今年のような夏だと、「歩く」というのが全く苦になりません。

因みに去年6月の合計歩数が約20万歩、今年6月は約28万歩でした。

去年7月はわずか18万歩でしたが、今年7月は25万歩ペースです。

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去年は「松本城薪能」などもあり、猛暑の野外で働くことも多く、むしろ鍛えられた記憶があります。

今年は薪能のシテも無いので、その分出来るだけ外を歩いて健康維持に努めたいと思います。

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もちろん暑さが控えめとはいえ、熱中症には充分に気をつけないといけませんが。

酉年ですが…

今日は宝生能楽堂にて「第1回 獅子の会」に出演して参りました。

とはいえ私はあくまでもお手伝いで、今日の主役は「亥年」生まれの能楽師の方々でした。

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流儀を超えて40人ほどもいらっしゃるという「亥年」の楽師が全国から水道橋宝生能楽堂に大集合して、第1部本公演に加えて第2部乱能まで開催するという非常に大掛かりな舞台です。

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普段なら見られないお囃子方の組み合わせなどもあり、とても意義深い催しだと感じました。

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…因みに私は「酉年」なのですが、酉年生まれの能楽師はとても少ないようで、このような催しは困難かと思われます。。

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そういえば、以前には宝生流若手で「長男会」という集まりがあって楽しそうだったのですが、私は次男なので参加出来なかったのでした。。

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私はこのような集まりにはあまり縁が無い気がします。

あと可能性のあるのは、「AB型の会」とかでしょうか…。

しかしこちらも人数が少なそうですね。。

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ともあれ亥年の皆様、本日は誠にありがとうございました。

宵山見物

私は祇園祭の”宵山”というものに、実はほとんど行ったことがありません。

何しろ宵山は、人がめちゃくちゃに多くて物凄く暑いという、私の苦手要素が二つ重なっているのです。

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しかし今年はある事情により、久しぶりに宵山に行ってみることにしました。

京大宝生会の現役の1人が、とある鉾で、粽や御守りなどを売っているというのです。

それを宝生会の何人かで応援に行こうという話になったわけです。

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昨夜9時過ぎに私が四条烏丸の交差点に到着すると、京大宝生会の面々が三々五々集まって来ました。

私「ところで今日は何人来るの?」

部員「え〜、どうなんでしょうね…」

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この辺の適当さが実に京大宝生会らしいのです。

10人ほど揃ったところで、何となく出発。

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目指すのは「綾傘鉾」でした。

烏丸通から細い綾小路を西に折れると、急に人口密度が高くなります。

鶏鉾などを横目に人波をかき分けていくと、やがて「綾傘鉾」に辿り着きました。

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綾傘鉾の手前にあるテントには、御守りや手拭いなどが所狭しと並べられて、その向こうに浴衣を着た現役の姿が。

我々「来たよ〜!」

現役「わー、ありがとうございます!御守り、匂い袋、手拭いなどいかがですか?匂い袋は残りあと1つです‼︎」

と、暑い中を頑張って働いている様子でした。

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綾傘鉾の手拭いを皆で買って、記念撮影などもして宵山最大のミッションは無事に終了しました。

あとはブラブラと鴨川方向に歩きながら、”船鉾”、”岩戸山”などを見物しました。

途中仏光寺通では、久しぶりに洛央小学校の子供用手作り鉾「洛央鉾」にも再会できました。(2017年7月18日のブログに書きました)

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1回生もカメラを持って楽しそうに参加してくれて、思い出に残る”良い”宵山になりました。

鴨川を渡って、祇園四条の駅前で解散しました。お酒を一滴も飲まないのも最近の学生の特徴で、大変健全なのです。

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森見登美彦の世界のような不思議な事は起こりませんでしたが、こんな宵山ならばまた来てみたいと思ったのでした。

亀岡の花々〜海、山、風、そして宵〜

今日は亀岡稽古でした。

昼頃に到着した亀岡は、久しぶりに青空がのぞいて、いよいよ夏本番という陽気でした。

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むせるような暑さと湿気の中、稽古前に夏の花を探して少し歩いてみました。

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先ず温室の中に咲く、大きな花のかたまりが目につきました。

「ハマオモト(別名ハマユウ)」という花だそうです。

この花の塊は直径20㎝はありました。

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この花の種子は、海流に乗って何ヶ月も漂流することが出来るそうです。

そして日本では”黒潮”の流れに沿った沿岸に分布しており、本州南岸線と「ハマオモト線」というこの花の分布境界線がほぼ一致するということでした。

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“黒潮”に乗って遥かな南国から旅して来た花。

山に囲まれた亀岡で、束の間”南の海”に思いを馳せました。

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これは「キレンゲショウマ」という花です。

私は残念ながらまだ読んでいないのですが、宮尾登美子さんの「天涯の花」という小説の題名になっている花だそうです。

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小説の舞台である徳島県の”剣山”にこの花の群生地があるとのことです。

剣山に行くのは中々難しそうなので、先ずは小説「天涯の花」を読んでみたいと思います。

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これは「ふうらん」という花だと教えてもらいました。

漢字は「風蘭」かな?と思い調べるとやはりそうでした。

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細っそりとした白い小さな花が、まるで風に靡くようにひとつの方向を向いて沢山咲いています。

名前の通り、”風”を感じさせるような花でした。

良い香りがするとのことでしたが、残念ながら私が嗅いだ限りでは殆ど香りはしませんでした。。

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一旦稽古に入り、一区切りついた夕方にまた外に出ました。

ある花を改めて見に行ったのです。

夏の宵に花開くという「ユウスゲ」の花でした。

鮮やかな黄色は、夜に飛ぶ蛾などの虫が見つけやすい色だそうです。

何となく夏祭の夜店の華やかさを思い浮かべました。

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今日は、「海」「山」「風」「宵」

という、いかにも夏を感じさせる花々と出会うことが出来ました。

折しも今日は祇園祭の「宵山」です…。

四つ葉のクローバー

昨日の松本稽古でのこと。

小学2年生の男の子とお母さんは、仕舞「加茂」を稽古しています。

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小学2年生ながら既に稽古歴3年になる男の子は、難しい「加茂」の足拍子(謡に合わせてリズムを変えて22連発!)も何度か繰り返すと出来るようになりました。

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「よく出来ました!」

と挨拶して稽古を終えると、彼が何やら手に持って、私に差し出してくれました。

見れば細い茎の先端に小さな葉っぱが何枚かついています。

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私「おお、これは”四つ葉のクローバー!」

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以前に、京都のヤサカタクシーに「四つ葉タクシー」が1300台のうち4台だけあるという話を書きました。

こちらは本物の「四つ葉のクローバー」です。

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調べると、クローバーに「四つ葉」が出現する可能性は大体10000分の1だそうです。

四つ葉タクシーよりもかなり珍しいのですね。

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しかし男の子のお母さんは、

「私達は”四つ葉のクローバー”を見つけるのが得意なんです。よく見つかる原っぱがあるのですよ!」

男の子も、うんうんと頷いています。

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見つけると幸せになるという「四つ葉のクローバー」。

それをよく見つけるということは、きっと幸運がたくさん訪れる親子なのでしょう。

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親子でクローバーを探したり、折り紙に夢中になったり、その一方でドッヂボールで活躍してちょっと足首を痛くしたり…

松本で伸び伸びと成長する男の子の日々は、確かに眩しいような幸せに彩られているようです。

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私もその幸運のご相伴にあずかろうと、貰った「四つ葉のクローバー」を鞄の中の文庫本に大切に挟んだのでした。

理想的な稽古時間

今日は松本稽古でした。

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有り難いことにこの半年で人数が増えた松本稽古場ですが、今日は久しぶりに静かな稽古日になりました。

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13時半から稽古を始めて、夜に終えるまでにいらしたのがベテラン組お1人、新人さんお2人、仕舞のみの親子の合計5人。

ゆっくりと稽古いたしました。

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一方でおとといの紫明荘組稽古などは、同じくらいの時間で15人いらして、人が多過ぎてお1人あたりの稽古時間が短くなってしまったのです。

その日の参加人数ばかりは、稽古を始めてみないとわからないのが悩みどころです。

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私の理想とする稽古時間は、お1人あたり仕舞2〜3回、謡20〜30分なのです。

それが一昨日の紫明荘組稽古では仕舞1〜2回、謡15分前後になってしまいました。

かたや今日の松本稽古ではお1人仕舞3回、謡1時間くらい稽古したことになります。

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紫明荘組で短い稽古だった方は、また今日の松本のような時にゆっくりと稽古させていただきたいと思います。

どうかご容赦くださいませ。

京大宝生会「竹生島」、出航しました。

昨日の「上半期お疲れ様会」から一夜明けた今朝9時。

私が京大能楽部BOXにやや遅れて到着すると、既に中では10人程の宝生会現役達が集まって稽古していました。

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私「えーと、では謡から稽古しますかね」

すると現役達はワラワラと舞台から降りて、2列に並んで正座しました。

それぞれの前には「竹生島」の謡本が。

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昨日も書きましたが、11月26日開催の「京大能と狂言の会」にて宝生会は能「竹生島」を出すことになっており、その稽古を今日から始めることにしたのです。

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最初のワキ次第の「三遍返し」の地取から鸚鵡返しを開始。

そしてシテ、ツレの謡も含めて全曲を一句ずつ鸚鵡返ししていきました。

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彼らはまるで「竹生島の稽古」に飢えていたかのように、前のめりになって謡い返して来ます。

私の謡と解説が、乾いた大地に水がしみ込むように彼らに浸透していくのがわかり、実に手応えのある鸚鵡返しでした。

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2時間ほどで全曲鸚鵡返しが終了。

BOXの使用可能時間は正午頃までで、あともう1時間残っています。

今度はシテとツレの稽古をすることにしました。

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舟の作り物は、昨日写真を載せましたがホームセンターで調達した部品を用いた組み立て式のもの。私が東京から持って来ました。(ショートスキー用のバッグにぴたりと収まるのです)

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そして「一畳台」は、もう20年ほど前の旧BOX時代に金剛会が作った、二分割式のものが壁に立てかけてありました。

私が「その2つの台を大小前に寝かせて、くっつけて置くと一畳台になるから」

というと、現役達は「え〜っ!それ普通に木の棚が2つあると思っていました!」

なんと、一畳台と認識されていなかったようです。。

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更に、宮の台輪、床几、釣竿、櫂棹は全てBOXに常備されています。

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現役達によって手際よく準備が整い、シテから稽古を始めました。

シテは8月に院試があるので、今日ひと通り最後まで稽古をしておくことにしました。

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そしてシテの稽古を終えてからツレの稽古に移り、結局なんとツレも全部通して稽古出来てしまいました。

後ツレの稽古まで終えると、時間はちょうど正午に。

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予想を上回る成果をあげて順調に舟出した京大宝生会「竹生島」です。

これから本番まで4ヶ月、能合宿なども計画されています。

充実した良い舟旅になるように、しっかりと稽古して行きたいと思います。

今日まで、そしてこれから

今日は紫明荘組稽古の後に京大宝生会の面々と、この春からの関西宝連、全宝連、そして就活など諸々のお疲れ様会をしてきました。

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そこでの話題は、今の京大宝生会のこと、夏合宿の曲、この秋の能「竹生島」に関するものが中心でした。

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明日の朝からは、いよいよその「竹生島」の稽古が始まります。

京大能楽部BOXには、竹生島へと向かう「舟」が既に舫ってあるのでした。

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準備万端、11月26日の京大能楽部自演会「能と狂言の会」に向けて船出いたします。

隙間花壇〜ようやく元の姿に〜

長くかかった三ノ輪の自宅マンションの改修工事がようやく終わりました。

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工事の影響を少なからず受けていた「隙間花壇」はどうなっているでしょうか。

今日の大仁稽古の行きがけにゆっくり見てみました。

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ちょっと写真では判りづらいのですが、足場や工事用フェンスは全て取り除かれて、工事前の状態に戻っています。

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紫陽花はほぼ終わっていました。

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かわって下の方には…

オシロイバナが咲き始めていました。

この植物には工事の影響は全く無いようで、とても強い生命力を感じます。

これから夏の間に次々と花を咲かせて、夏の終わりにはまた沢山の種をつけるのでしょう。今年も白粉遊びをしてみましょうかね。

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そして前回の「隙間花壇」でオシロイバナに埋もれそうになっていた「ツツジ」は大丈夫でしょうか…?

見つけました。写真中央に一株だけあるツツジの葉が見えますでしょうか。。

オシロイバナの海で溺れそうに見えますが、なんとか密やかに生命を保ってくれていました。

来年また花を咲かせたツツジの姿を、皆様に御報告出来たらと思います。

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オシロイバナの右下にある、紫色の葉っぱの植物が以前から気になっていました。

ピンク色の小さな花が咲いていたこともあります。

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調べてみると「ムラサキゴテン(紫御殿)」という、ちょっとファンタジックな名前の植物でした。

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ちなみにオシロイバナは南米原産で、この紫御殿はメキシコ原産だそうです。

南米と中米の植物が「隙間花壇」で競演していたのですね。

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ようやく本来の姿を取り戻した「隙間花壇」

次にご紹介するのはもう秋の花になるでしょうか。

また気がついたことがあればリポートしたいと思います。

4曲の強者達

今日は午後に江古田で何人かの個人稽古をして、夕方から田町稽古に移動して夜まで稽古しました。

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江古田から田町までの移動中は、普段は文庫本を読んでいます。

しかし今日私は電車に乗るとすかさず”小本入れ”を取り出しました。

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今月の18日〜28日の間に、「忠信」「藤戸」「昭君」「新作能 王昭君」という4番の能の地謡を謡うことになっているのです。

最近ではこの4番の小本を常に持ち歩き、時間があれば見るようにしています。

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短い曲ながら、戦闘シーンの謡で似た言葉が多く出てきて、謡が飛んだり、抜けたり、ループしたりする危険性のある「忠信」。

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強弱、緩急、心持などに繊細な気遣いが求められる、難易度の高い名曲「藤戸」。

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構成がかなり特殊で、また数年に一度しか出ない希曲であり、地謡の量の多い「昭君」。

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一度しか上演されておらず、従って地謡の経験も一回だけの新作能「王昭君」。

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何れ劣らぬ手強い武芸者が4人並んでいるようです。。

これから今月末までは、この強者達4曲を同時に相手にして、厳しい鍛錬を積んで参りたいと思います。