少し前に、今月は4曲の難曲を覚える月だと書きました。
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そのうち「忠信」と「藤戸」が無事に終わり、あとは明日に「昭君」と「王昭君」の2曲を謡います。
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古典の「昭君」と、新作の「王昭君」。
同じ人物のエピソードを異なる切り口で仕上げてあるこの2曲を、同時に観るのはお客様にとって大変興味深く面白いことだと思います。
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…しかし、地謡にとっては微妙に似た単語などが多く出て来て、中々に手強い2曲なのです。。
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短いですが、昭君と王昭君を頑張るために今日はこれにて失礼いたします。
少し前に、今月は4曲の難曲を覚える月だと書きました。
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そのうち「忠信」と「藤戸」が無事に終わり、あとは明日に「昭君」と「王昭君」の2曲を謡います。
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古典の「昭君」と、新作の「王昭君」。
同じ人物のエピソードを異なる切り口で仕上げてあるこの2曲を、同時に観るのはお客様にとって大変興味深く面白いことだと思います。
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…しかし、地謡にとっては微妙に似た単語などが多く出て来て、中々に手強い2曲なのです。。
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短いですが、昭君と王昭君を頑張るために今日はこれにて失礼いたします。
今日は渋谷のセルリアン能楽堂にて、能「藤戸」の地謡を勤めて参りました。
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シテ高橋憲正さん、地頭和久荘太郎さん、ワキ野口能弘さん、間狂言山本則重さんは、いずれも私が東京芸大にいた頃の先輩と同輩です。
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芸大の頃はまだまだ修行が始まったばかりで、皆悩んだりもがいたりしていました。
それから20数年を経て、今日はその面々が中心となって、力を合わせて難曲「藤戸」に挑戦した訳です。
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長い長い道のりで、それぞれが弛まずに少しずつ積み重ねて来たものがあります。
例えば「声の質」「謡の位取り」「地拍子や囃子の知識」「型のキレ」と言ったものです。
今日の「藤戸」では、舞台上にいる楽師からそれらが一気に発散されて、ビリビリとぶつかり合っているように感じました。
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私は地頭の隣の位置におりましたが、何か大きな戦さに参加しているような心持ちでした。
少しでも気を抜くと最前線のせめぎ合いから弾き出されそうで、非常な緊張感を持って最後まで謡わせていただきました。
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若手能楽師が中心の今日のような催しは、先輩方の胸を借りるような舞台とはまた違った意味で、とても勉強になりました。
芸大の頃の仲間達とこの先も、今日のような緊張感を持って切磋琢磨していけたらと思います。
今日は終日江古田稽古でした。
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先週くらいまでは涼しかった東京も、今日は関西と同じくらいの暑さと湿気です。
江古田駅から稽古場まで歩く数分の間は、まるで遠赤外線で炙られているような気分でした。。
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稽古場に到着して最初に稽古した方は、謡の個人稽古で曲は「加茂」でした。
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前シテの出からの謡は、旧暦水無月頃、つまりちょうど今頃の加茂川辺の情景を謡っています。
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「御手洗の声も涼しき夏陰や 糺の森の梢より 初音ふりゆくほととぎす…」
と稽古していると、一瞬ふと脳内に浮かんできた記憶がありました。
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10年ほど前に出町柳近くの「ハイツ加茂」という5階建マンションの一室を借りていた頃のことです。
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最近ではマンションの屋上は閉鎖されていることが多いですが、ハイツ加茂は広い屋上に自由に上がる事が出来ました。
屋上からは、大文字山、比叡山、京都タワーなどが見渡せたのですが、中でも西側の景色が好きでした。
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西側のすぐ眼下には”高野川”が流れており、その向こうに広大な”糺の森”が一望できたのです。
“糺の森”の木々は非常に樹高が高く、何やらただならぬ力を秘めているようでした。
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そして今日脳内に蘇ったのは、夏の夜に小さなゴザとビールを持って屋上に上がり、星や川や、黒いシルエットになった”糺の森”を眺めながら過ごした記憶だったのです。
その時の風景には、夜なのに何故か先ほどの「御手洗の…」という加茂の謡が似合うような気がしたものです。
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「それにしてもあのビールは美味しかったなあ…」
とぼんやり思ったところで我に返りました。
まだ稽古開始から20分しか経っていません。
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夜まで頑張らねば!とハイツ加茂の屋上の記憶を振り払って、再び稽古に没入していったのでした。
今日はまず午前中に大山崎稽古でした。
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朝9時前に京都駅近くの宿を出ると、カッと照りつける陽射しと、ちょっと息苦しい程の熱気に包まれました。
やはり近畿は梅雨が明けたようです。
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蝉時雨の中で汗をかきかき坂を登って稽古場の宝寺に辿り着き、午前中いっぱい稽古をしました。
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そして少し休憩して、夕方から今度は枚方市に移動して社会人向け能楽体験教室でした。
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前回はまだ稽古がそれほど進んでいなかったので、お2人ずつの仕舞稽古をしました。
しかし今日はもうお1人ずつ、作法も含めて本番に近い形での稽古です。
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17時半から稽古を始めて、水を飲む時間も省略して20時半まで完全にノンストップで23人の方々を稽古させていただきました。
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最後の2人はお母様と高校生の娘さんでした。
前回はお休みだったとのことで、娘さんの方は仕舞「国栖」がまだ最後まで終わっていませんでした。
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「回り返し」などの型の予習を少しして、「国栖」を最初から最後まできっちりと稽古しました。
私「今日最後まで出来たから、もう大丈夫です。家でおさらいしてくださいね」
高校生の娘さんは照れたような微笑みを浮かべるばかりで、恥ずかしそうにしています。
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やはり難しい年頃だなぁ…と思いながら、私は自分の荷物の所に行き、帰り支度のために下を向いて足袋を脱ぎ始めました。
…すると、目の前に誰か人の立つ気配が。
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目を上げると、娘さんです。
質問かな?と思いかけたところで、私の前にサッと手が差し出されました。
掌の上にはイチゴ味の「飴ちゃん」が。
私「なんと!どうもありがとう!」
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そして娘さんは、枚方市のスタッフの方々の所にも駆け寄って、やはり「飴ちゃん」を配っていきました。
稽古場の雰囲気が一気に和んだのは言うまでもありません。
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私は普段飴をほとんど口にしないのですが、今日の「飴ちゃん」はなんだか1日働いたご褒美のようで、すぐその場で有り難く口に入れました。
少々くたびれた体に沁み透るような美味しさでした。
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一粒の「飴ちゃん」に救われる1日もあります。
また明日からも頑張って進んで行こうと思います。

今日は大阪香里能楽堂にて、枚方市子供向け能楽体験教室の開講式に出席して参りました。
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開講式には小学校低学年くらいを中心に40人ほどの元気一杯な子供たちが参加してくれました。
これから夏休みの間に、8回にわたって稽古して仕舞を一番覚えてもらい、最後に香里能楽堂で発表会をするのです。
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実は平行して枚方市社会人向け能楽体験教室も開講されており、こちらも30人ほどの方が参加されています。
発表会は子供と合同なので、なんと合計70人規模になるのです。
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これだけの人数を集めるのは大変なことで、企画、広報など、よほど優秀なスタッフがいないと難しいと思われます。
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その枚方市のスタッフの皆様は、今日の子供向け教室開講式にも朝早くから5〜6人でいらしてくださいました。
開講式の流れから、足袋や扇の準備の段取りまで非常に綿密に計画されており、またスタッフの皆さんからは「この教室を盛り上げて成功させたい!」という強い情熱が感じられました。
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これだけしっかりとした企画で講師の一人を任せていただいたのは大変有り難いことです。最後の発表会まで全身全霊をかけて稽古させていただきます。
そして参加した子供たちや社会人の皆さんにとって、この能楽体験教室が楽しい夏の思い出になってほしいと願っております。
今日は亀岡稽古でした。
今月は3回目になります。
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関西は今朝から雨が降ったり止んだりで、今の亀岡は静かな小雨です。
花々は先週ご紹介したばかりなので、今日は雨に濡れて一際濃く見える緑の写真を。
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能「山姥」の謡はとても好きなのですが、その一節に
「海は 苔の露より滴りて 波濤をたたむ 萬水たり」
というのがあります。
一滴の露を見て、打ち寄せる大海の波を想像させるという、誠にスケールの大きな謡です。
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雨の露が木々からしたたり落ちる亀岡の森を眺めていると、この露がやがて海に流れ出て、打ち寄せる大波になるという有様を実感として頭に思い浮かべることが出来ました。
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今日明日の雨が過ぎると、もしかしたら梅雨が明けていよいよ盛夏がやって来るのかもしれません。
次の亀岡稽古は8月になります。
真夏の花を何か見つけることができるでしょうか…。
今日は京都の「ゲストハウス月と」にて、紫明荘組稽古をいたしました。
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暑い中をいらしていただいた方には申し訳なかったのですが、今日も頑張って一日中エアコンをつけずに稽古しました。
少し身体が慣れると暑さはほとんど感じなくなって、夏の風が心地よく、夕方にはちょっと涼しいくらいでした。
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京大若手OBOGもたくさん来てくれたのですが、そのうちの一人は昼前に来てすぐに舞囃子「絃上」の稽古をすると、
「今日はこれで失礼します」
といそいそと帰り支度を始めました。
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いつもゆっくりしていくのに、珍しいなと思ったところで、
「これから浜松の例の稽古会に初参加してきます」
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おお!そうでした。
彼は浜松で働いているのですが、少し前に
「浜松で流派を超えた能楽愛好家の稽古会があるそうです。声をかけていただいたのですが参加しても良いでしょうか?」
と尋ねられて、勿論大賛成だと答えていたのです。
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彼は熱心なOBで、御囃子もたくさん習っています。
稽古会などには積極的に参加して、少しでも舞台経験を積むと将来のためになると思います。
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他にも、最近「観世流大鼓」の稽古を始めて、今月ついに「初舞台」を無事に終えたOB、OGも来てくれました。
また金沢からはるばる来てくれたOGなど、今日は夕方まで密度の濃い稽古が出来ました。
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浜松の稽古会も無事に終わったでしょうか。
また話を聞くのが楽しみです。
今日は水道橋宝生能楽堂にて「五雲会」が開催されました。
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能「氷室」「藤」「来殿」
の3番が演じられたのですが、実は私はその3番の地謡にも後見にも、もちろんシテやツレにもついておりませんでした。
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前月の五雲会でシテを勤めた楽師は、翌月の五雲会で何も役がつかないことがあるようなのです。
五雲会で全く役が無いのは私にとっては初めての経験で、今日1日楽屋のどこに居れば良いのか、少々戸惑ってしまいました。。
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しかし考えてみると内弟子見習いの頃、楽屋入りしてからしばらくの間は、今日と同じような状況だったのでした。
五雲会の翌月以降の予定番組が貼り出されると、慌しい楽屋仕事の合間に何気ない風で見に行き、自分の名前がまだ何処にも無いことを確認しては、
「まあ気長にやっていればいつかは地謡にもつくさ…」
と気落ちしないように楽屋仕事に戻ったものです。
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あれから幾星霜。
最近は五雲会で役につけていただくのが当たり前に思えていた気がいたします。
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あの頃、初めて自分の名前を能「鵜飼」の地の末席に見つけた時の武者震いするような喜びと興奮。
今日ずっと楽屋で過ごして、その気持ちを思い出しました。
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来月の五雲会からは、再び役につけていただいております。
あの初めての能地の時の気概を忘れずに、また新たな気持ちで舞台に出させていただきたいと思います。
ニュースによれば、今日の東京は7月に入ってから初めて、30℃を超える真夏日になったそうです。
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「去年はとても暑かったなあ」と思い去年7月のブログを読み返してみると、
「激暑エレベーターホール稽古」
「祇園祭の花傘巡行が猛暑で中止」
「酷暑を超える”極暑”をさらに超える”超極暑”」
などと恐ろしげな内容が並んでいました。。
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しかし、
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」
という通り、去年の記録的猛暑はすでに遠い記憶になり、
「今年はあまり暑くなくて有り難いなあ」
と思いながら過ごしております。
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今日は午後から西荻窪稽古だったのですが、30℃くらいだと外に出ても意外に凌ぎ易く感じました。
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今年のような夏だと、「歩く」というのが全く苦になりません。
因みに去年6月の合計歩数が約20万歩、今年6月は約28万歩でした。
去年7月はわずか18万歩でしたが、今年7月は25万歩ペースです。
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去年は「松本城薪能」などもあり、猛暑の野外で働くことも多く、むしろ鍛えられた記憶があります。
今年は薪能のシテも無いので、その分出来るだけ外を歩いて健康維持に努めたいと思います。
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もちろん暑さが控えめとはいえ、熱中症には充分に気をつけないといけませんが。
今日は宝生能楽堂にて「第1回 獅子の会」に出演して参りました。
とはいえ私はあくまでもお手伝いで、今日の主役は「亥年」生まれの能楽師の方々でした。
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流儀を超えて40人ほどもいらっしゃるという「亥年」の楽師が全国から水道橋宝生能楽堂に大集合して、第1部本公演に加えて第2部乱能まで開催するという非常に大掛かりな舞台です。
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普段なら見られないお囃子方の組み合わせなどもあり、とても意義深い催しだと感じました。
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…因みに私は「酉年」なのですが、酉年生まれの能楽師はとても少ないようで、このような催しは困難かと思われます。。
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そういえば、以前には宝生流若手で「長男会」という集まりがあって楽しそうだったのですが、私は次男なので参加出来なかったのでした。。
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私はこのような集まりにはあまり縁が無い気がします。
あと可能性のあるのは、「AB型の会」とかでしょうか…。
しかしこちらも人数が少なそうですね。。
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ともあれ亥年の皆様、本日は誠にありがとうございました。