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マスク着用での仕舞稽古

コロナウイルスは未だに全く衰えを見せず、澤風会稽古は休止状態が続いております。

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今週は澤風会以外の仕事で少しだけ稽古をいたしました。

その時に、

「マスク着用での稽古」

というのを試してみたのです。

澤風会稽古が再開したら、暫くはマスク着用で稽古しようと思っているので、その試運転です。

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謡の稽古はほとんど違和感なく出来たのですが、問題は仕舞稽古でした。

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私は普段の稽古では、

「地謡を謡いながら会員さんの斜め前で一緒に舞い、更に地謡の合間に素早く注意点を言う」

というやり方をとっています。

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これをマスク着用ですると、あっという間に息が上がってしまいました。。

これはちょっと厳しいかな…

と挫折しかけました。

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しかし何とか頑張って稽古を続けていると、だんだんとコツが掴めてきました。

①息の量は通常よりも少な目にして節約すること。

②マスクで声がくぐもるので、調子は通常よりも高くすること。

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これらの点を心がけて稽古をすると、舞囃子の稽古も無事にこなす事が出来ました。

マスク着用稽古の目処が立って、少しホッといたしました。

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来たるべき澤風会稽古再開に向けて、今出来る準備をコツコツとしておきたいと思います。

非公開の研修修了発表会

今日は国立能楽堂にて、「能楽三役研修修了発表会」に出演して参りました。

私は半能「石橋」の地謡を勤めました。

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5年にわたる研修を終えた狂言方と太鼓方の研修生のお2人が、それぞれ「奈須与市語」と、半能「石橋」の太鼓を勤めた今日の舞台。

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当初一般公開の予定が、コロナウイルスの影響で非公開の舞台になってしまい、晴れの舞台を迎えたお2人にはお気の毒だったと思います。

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しかし、舞台上の我々は勿論のこと、国立能楽堂の職員の方々は一般公開の舞台と全く変わらぬ段取りで、非常に厳密に丁寧に仕事に臨んでおられました。

パンフレットも、急遽決まった非公開にもかかわらず、非公開用の立派なパンフレットが出来上がっていて驚きました。

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一般非公開とは言え、おそらくお2人の御家族などと思われる関係者の方々が20人程、それぞれ遠く離れて見所に座っておられます。

開演や終了のアナウンスも勿論全ていつも通りに行われ、御覧になった関係者の皆様は喜ばれたことと思います。

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そして半能「石橋」を無事に終えた太鼓方研修生の方は、安堵と誇りが入り混じったような、とても良い表情をされていました。

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非常に特殊な状況下の舞台でしたが、ある意味でとても心に残る経験になりました。

無事に研修を修了されたお2人には、この先にたくさんあるであろう一般公開の舞台で、思う存分に活躍していただきたいと願っております。

我慢の時

3月に入ってから、澤風会の稽古を全てお休みにしております。

ブログの更新も滞ってしまっておりますが、私自身は全く健康に過ごしています。

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今日は本当に久しぶりの仕事で国立能楽堂に行きました。

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楽屋で何人かの仲間と話したのですが、やはり全て休みにしている人、また稽古は希望者のみ続けている人など様々でした。

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まだ終息の見通しは全く立たない状況ですが、今のところ来週から澤風会稽古は再開したいと思っております。

当面はマスク着用で稽古させていただきたいと思います。

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時間が急に空いてしまったのですが、この期間に自分の稽古をみっちりとしたり、これまで出来なかった事に色々挑戦したりしております。

またこのウイルス禍がおさまったら、ブログも頑張ってもりもりと更新して参りたいと思います。

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今しばらくはじっと我慢して、力を蓄えておきます。

皆様もどうか健康を保っていただき、また稽古や舞台で元気に再会出来ることを願っております。

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澤風会郁雲会大会延期のお知らせ

3月になりました。

そして本来なら今は、週末の3月7日に迫った「澤風会郁雲会大会」の準備が大詰めを迎えている筈の時期です。

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しかしながら、「澤風会郁雲会大会」は延期させていただくことにいたしました。

延期日程は、

5月9日土曜日

になります。場所は変わらずセルリアン能楽堂です。

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お願いしていた能楽師の皆様、また出演を予定されていた方々、そして会場のセルリアン能楽堂にはご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。

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舞台に向けた日々の稽古。

当日朝から夕方までかかる舞台。

観に来てくださるたくさんのお客様。

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現状では、それら全ての要素から感染拡大の恐れがあると思います。

今はとにかく健康上の安全確保が何よりも優先される時だと考えて、延期を決断させていただきました。

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何とか5月までにこのウイルス禍が終息して、5月9日にはセルリアン能楽堂で皆様と笑顔でお会い出来ますことを、心から願っております。

そしてそれまでどうか皆様お一人お一人が健康でいらっしゃいますように、心から祈っております。

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延期で各方面にご迷惑をおかけいたしますこと、重ねて深くお詫び申し上げます。

ご理解のほどどうかよろしくお願いいたします。

汐入大橋の大寒桜

今日は家の近くの隅田川まで歩いて行きました。

「千住大橋」と「汐入大橋」の間の河原には広いスペースがあるので、「盤渉楽」の舞の稽古をしようと思ったのです。

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澤風会の番外舞囃子「邯鄲 盤渉」は、笛の流儀が当初の”一噌流”から”森田流”に変わることになりました。

なので稽古も一からやり直しなのです。

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型付けを手に舞い始めてみると、一噌と森田では”時間の余るところ”と”忙しいところ”が全く異なることがわかりました。

また足拍子の数も違います。

そして、一噌では足拍子が通常の楽と盤渉楽で全く一緒なのですが、森田では通常と盤渉で足拍子も異なる箇所がありました。

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中々難しい”森田流盤渉楽”ですが、この機会に一噌流盤渉楽と同時に身に付けるようにしたいと思います。

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帰り際に、「汐入大橋」のたもとでこんな光景を見かけました。

桜が咲いていたのです。

見たところソメイヨシノに見えましたが、いくらなんでも開花が早過ぎます。

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今年の暖冬の影響はここまで極端なのか…

と暗い気持ちになりかけましたが、調べてみたら別の品種なのでした。

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「大寒桜(オオカンザクラ)」という種類で、寒緋桜と大島桜の交雑種だそうです。

ちょっと安心いたしました。

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ソメイヨシノがこのように綺麗に開花する頃には、新型肺炎が何とか沈静化していることを祈るばかりです。

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いろんな小鼓方が…

今日は久しぶりに近所の「素戔嗚神社」に行ってみました。

そろそろ「桃まつり」の時期だと思ったのです。

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やはり期待通り桃の花が咲き始めていました。

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そして素戔嗚神社にはこの時期、境内と社務所に無数の「雛人形」が飾られるのです。

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社務所の中の様子はこんな感じです。

とにかくズラリと隙間なく並んだ雛人形に圧倒されます。

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その中で、「五人囃子」の「小鼓」に注目すると、色々面白い事になっていました。

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上の小鼓方は、一見正しそうですがよく見ると…

これは多分本当は「太鼓方」なのだと思います。

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他にも…

初めて小鼓を見てビックリしている人…

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なんだか恥ずかしそうな人…

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うう、苦しい…

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上から叩いてみようかな…

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そして「太鼓方」にもこんな人が…

僕が気合入れて持っているので、誰か打ってください!

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などなど、突っ込みどころ満載なのでした。

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素戔嗚神社の桃まつりは、来月上旬まで開催されています。

皆様是非いらしてみてくださいませ。

綺麗な桃の花と、能楽関係者だけにわかる”面白五人囃子”が出迎えてくれることと思います。

桜が咲きますように

国立大学の二次試験が今日から始まったとニュースで見ました。

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京大でも勿論入試があったようで、京都紫明荘組の稽古場である「ゲストハウス月と」さんも、昨日は”京大受験生の宿”になっていたと伺いました。

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また昨日大阪であった「みおつくしチャリティ能」の楽屋では、東京芸大邦楽科の受験生の話題が出ました。

今年も何人かが受験するようで、その受験生の1人の師匠は、私の芸大邦楽科時代の後輩だそうなのです。

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思わず「え〜!」と驚いてしまったのですが、よく考えてみると昨年は私が教えている青年が芸大邦楽科を受験したのでした。

「ひと世代後の時代が始まろうとしているのだなぁ」としみじみ思いました。

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そして今年も、幼稚園の頃から稽古している江古田稽古場の高校生が、大学受験に臨んでいます。

芸大ではないのですが舞踊コースのある大学で、実技試験で仕舞を舞うことになっているのです。

今日は江古田稽古場でその受験用仕舞の仕上げの稽古をしました。

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幼稚園からたゆまずに稽古を続けてきた仕舞で、大学受験という大きな試練に挑んで、人生の道を切り拓こうとしているのです。

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毎年のことですが、受験生の皆さんが良いコンディションで試験に臨めるように、そして希望する道に進めますように祈っております。

第65回同明会に出演して参りました

今日は京都観世会館にて、京都の御囃子方主催の「同明会」に出演して参りました。

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今回はシテ方五流が揃っての、舞囃子を中心とした舞台でした。

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曲の位取りや、舞の種類や寸法、またシテが謡う箇所などが流儀によって異なるということは、頭ではわかっています。

しかし、喜多流の舞囃子「三輪」などを拝見すると、途中で何度も驚きがありました。

「ここでシテ謡が来るのか!」

というように宝生流との違いに驚くことがある一方で、

「神楽」のいわゆる”直り”の後が宝生流とほぼ同じ位取りだったことに逆に驚いたりしました。

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大変勉強になる舞台でした。

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今日の京都観世会館はお客様も多く、普段と変わらない様子に見えました。

しかしこの数日で、延期や中止になった舞台の話をいくつか聞くようになりました。

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感染拡大の事態は急には改善されそうにありません。

皆様の健康を第一に考えて、また自分自身が感染を拡大させるようなことが無いように、適切な判断をしつつ行動したいと思っております。

隙間花壇〜応援したい花々〜

今日は朝から渋谷のセルリアン能楽堂にて「尚月会」の申合でした。

「尚月会」は七葉会の仲間である東川尚史君のお社中会で、今回が5周年記念になるそうで誠におめでたいことです。

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舞囃子がたくさん出て、京都女子大宝生会OGでもある奥様も、舞囃子「船弁慶」で元気一杯に長刀を振り回していました。

日曜日の本番は、仕舞や素謡も多く出るので更に賑やかな舞台になることでしょう。

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その申合への行き掛けに「隙間花壇」をのぞいてみると、隙間花壇では今年初めてとなる「梅」が開花していました。

隙間花壇は陽の当たる時間が限られているので、開花の時期が遅く、枝振りも小さめな梅です。

しかしその分、懸命に咲いているように見えて応援したくなるのです。

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難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花

という、能「難波」のシテ王仁の詠んだ有名な歌が思い出されました。

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そして今年の隙間花壇で応援したいと言えば「ツツジ」です。

前回見た時よりも、若い芽が着実に育っていました。

この分ならば2年ぶりの「ツツジの花」が見られそうです。

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能「難波」の中には、「梅は春になるとどの花よりも1番早く咲くので、”花の兄”とも言われる」という謡も出てきます。

隙間花壇においても、”花の兄”である梅がいち早く咲いてくれた訳です。

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その梅を皮切りにして、今年もこれから様々な花たちが「隙間」を彩っていくことでしょう。

松本城本丸御殿に能舞台が…

昨日の松本稽古で、ある会員さんがとても興味深いものを見せてくださいました。

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松本城の古い絵図がたくさん載っている図録です。

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その中の1枚、今から300年程前の江戸時代の絵図は松本城の「本丸御殿」の見取り図でした。

そしてその見取り図を詳細に見ていくと、なんとどうやら当時の松本城本丸御殿には「能舞台」があったようなのです。

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と言っても「能舞台」という記述はどこにもありません。

しかし、「大広間」と「次の間」という広いスペースがあり、そのすぐ隣に「鏡の間」という小部屋が描かれてあったのです。

更に「鏡の間」の隣には「楽師の間」という部屋も。

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鏡の間から大広間までは、長い廊下で繋がっています。

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つまり恐らくは、「大広間」の畳を一部剥がすと、板の間の「能舞台」が出現したのだと思われるのです。

そして廊下が”橋掛り”に、次の間が”見所”になったのではないでしょうか。

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江戸時代の一時期、松本城では確かに能楽が演じられていたのです。

流儀は何流だったのか、どの程度の規模でどんな曲が演じられたのか…

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想像するととてもわくわくします。

古文書などに資料が残っていないか、何とか調べてみたいものです。