夜能「野守」まもなく配信されます

先日撮影された夜能「野守」と、私も出演しております「いとうせいこうの能楽紀行」の動画が、本日18時より有料動画配信されるそうです。

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配信に先駆けて、宝生和英宗家といとうせいこう氏の特別対談が以下より視聴できます。

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また18時より始まる有料動画配信の視聴方法は以下より調べられます。

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今回の動画配信のプラットフォームである「能LIFE Online」は、動画配信だけでなく公演情報やチケット、グッズの購入なども可能な、コロナ後の世界を見据えた宝生会の新しいプラットフォームです。

皆様是非この機会に体感してみてくださいませ。

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能「野守」と「いとうせいこうの能楽紀行」

をご覧いただき、御感想などコメントしていただけると大変有り難く思います。

どうかよろしくお願いいたします。

「コロナ後」を考える月に

6月に入りました。

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緊急事態宣言は解除されたとは言え、東京ではまだ連日2桁の感染者が出ており、決して気を緩める事が出来ない状況です。

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しかしながら、そろそろ先の事も考えていくべき時期だと思います。

先ずは延期している「第7回澤風会郁雲会大会」の開催日程を発表させていただきます。

9月21日(敬老の日)

に渋谷のセルリアン能楽堂にて、今度こそは何としても開催する所存です。

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そして澤風会の稽古は、今月いっぱいは様子を見て、7月より再開しようと考えております。

いきなりコロナ以前の頻度と密度には戻さずに、時間と空間に余裕を持って、”三密”を避けて稽古できるように心がけたいと思っております。

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そして通常稽古と並行して「遠隔稽古」も週末を中心に続けて参ります。

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6月は、「コロナ後」のことを色々と考える月にしたいと思います。

1件のコメント

会話のキャッチボール

昨日書きました通り、今日は水道橋宝生能楽堂にて「夜能」の動画配信用撮影がありました。

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能「野守」の撮影が滞りなく終わり、その後に「いとうせいこうの能楽紀行」の撮影が始まりました

粋な着流し姿のいとうせいこうさんと、紋付袴姿の私が、舞台上で床机に腰掛けて奈良春日野と能「野守」の世界をナビゲートします。

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いとうさんが何か喋っては、私がそれを受けて返答し、またそこからいとうさんが話を繋げて…という”会話のキャッチボール”で進んでいく番組です。

来たボールをちゃんと受け止められるか、またとんでもないボールを投げてしまわないか、私はやはり非常に緊張いたしました。。

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しかしいとうせいこうさんは、小説家でありながらTVやラジオ出演も多い「喋りのプロ」でもあるお方です。

私の危なっかしいボールをきちんと拾って、その都度取りやすいコースに投げ返してくださいました。

いとうさんは大変博識で、春日若宮おん祭りの話など色々と興味深いお話が聞けました。

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そしておかげさまで撮影は一発でOKが出て、私はホッと胸を撫で下ろしたのでした。

手が震えるほどの緊張は久しぶりでした。

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この動画は編集作業の後に6月上旬頃には配信される予定です。

詳しくは宝生会のホームページをチェックしていただければと思います。

久々の舞台、「夜能」申合

全国の緊急事態宣言もようやく解除され、今日は水道橋宝生能楽堂にて「夜能」の申合に行って参りました。

私は能「野守」の後見を勤めました。

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宝生流の定例公演に出演するのは、3月の「春の別会」以来2ヶ月ぶりになります。

久々の宝生能楽堂の舞台は、感慨深いというよりは、何かフワフワとして頼りないような、どこか落ち着かないような不思議な気分でした。

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来月から五雲会も再開されて、徐々に舞台の数が増えていけば、またすぐに常の感覚を取り戻すことが出来るでしょう。

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明日本番の「夜能」は無観客で、有料動画配信の形で皆様にご覧いただきます。

そして配信される動画では、能「野守」の映像の前に、「いとうせいこうの能楽紀行」というコーナーがあります。

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これは作家のいとうせいこうさんと私が、対談形式で能「野守」の世界をナビゲートするというものです。

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対談というと、昨年秋に泉涌寺で偉い僧侶様と対談して大変に緊張したのを思い出します。

明日も緊張すると思われますが、お相手のいとうせいこうさんにお会いするのは楽しみです。

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いとうさんの本では「見仏記」という各地の仏像を見に行くシリーズを何冊か読ませていただいたことがあります。

コミカルな文体の中に深い思索が散りばめられた、大変面白い「旅本」でした。

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明日の撮影の模様などまたご報告させていただきます。

このブログも徐々にですが毎日更新の通常運転に戻して参りたいと思っております。

遠く離れたご縁でも…

遠隔稽古を始めてから、これまでにもう40人以上の方々と画面を通じてお会いして稽古することが出来ました。

そして昨日一昨日の遠隔稽古では思いがけず嬉しいことがあったのです。

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松本の会員さんとSkypeで遠隔稽古した時のこと。

安曇野に住むその会員さんが、最近安曇野のマーケットで別の澤風会会員さんと偶然出会ったそうです。

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その出会った会員さんは松本澤風会草創期から稽古されているベテランで、能のシテもなさったことがあります。

転居されて松本から少し遠くなり、暫く稽古はお休みされていました。

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そして安曇野の会員さんより私の遠隔稽古のことを聞いたそのベテラン会員さんが、昨日早速私に遠隔稽古希望のメールをくださったのです。

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話はとんとん拍子に進んで、次の週末に久々に稽古できることになりました。

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住む場所を選ばずに稽古できる遠隔稽古は、遠く離れた縁を逆に繋いでくれることもあるのですね。嬉しい驚きでした。

この遠隔稽古は、コロナウイルス禍が収束した後もずっと続けていきたいと思っております。

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暫く稽古していない、遠くに住む京大宝生会OBOGさんなども、もし遠隔稽古に興味があればいつでも問い合わせメールをもらえたらと思います。

緊急事態宣言下の誕生日

もう過ぎてしまいましたが、昨日は私の誕生日でした。

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東京は新型コロナウイルスの緊急事態宣言がいまだ継続中です。

なので、午後に自宅で京大宝生会のzoom稽古を少しした以外は、ゆっくり静かに過ごした1日でした。

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その中でも、何人かの方々よりお祝いと励ましのメールを頂戴いたしました。

どうもありがとうございました。

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そして考えてみれば、台風や豪雨やウイルス禍などがほぼ絶え間無く襲って来たこの1年を、健康体で乗り切って誕生日を迎えられたことはとても有り難いことです。

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この先の1年は、一層多くの困難を乗り越えていかねばならないことでしょう。

ただ生活をしていく事だけでも苦しいような日々が続くかもしれません。

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それでも健康で生きていれば、またいつかきっと良い風向きになる。

そう信じて、来年の誕生日も元気に迎えられるように、なんとか頑張って参りたいと思います。

ドイツの人が相手でも

昨日一昨日の土日は、また遠隔稽古に明け暮れておりました。

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昨日最後に稽古したのは、ドイツ在住の京大宝生会OBのT君でした。

今はドイツ南西部の街でサンダル作りを学んでいるとか。

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この1ヶ月ほどで培った(?)遠隔稽古のノウハウは、遠く離れたドイツにいる人が相手でも通用するのでしょうか?

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…なんと、全く問題無く通用したのでした。

会話の時間差は日本国内と変わらず、通信状況も良好で、すぐ近くで稽古しているような感覚になりました。

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T君「これなら以前のドイツ公演の前などに、このやり方でもっと稽古できましたね」

確かに。

遠隔稽古はむしろ本来、距離的に遠い海外の人などと稽古をしたい時に威力を発揮するもののようです。

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今回のコロナウイルス禍で、京都や松本に移動する事が叶わなくなり、まして海外に行くのは夢のまた夢になってしまいました。

世界が果てしなく遠く広くなってしまったように感じていたのです。

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しかし昨日一昨日の遠隔稽古では、板橋区の人とも京都や松本の人とも、更には南西ドイツの人とも全く同じように稽古できました。

世界を再び小さく近く感じることができたのです。

これも遠隔稽古の効能のひとつだと嬉しく思いました。

炎を絶やさないために

昨日は昼から夜にかけて、学生関係のzoom稽古を3団体続けていたしました。

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最初は京大宝生会若手OBOGの皆さん。

炎に例えれば、長い時間をかけて燃え続けて、燠火のように安定した強い火力を持っている彼らです。

今回は新しい課題曲「難波」の初め〜クリまでを鸚鵡返ししました。

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次の団体は京大宝生会の現役達。

こちらは炎で例えると、今まさに元気よく燃え盛る大きなキャンプファイヤーのようです。

前回に続いて「兼平」を、今回は最後まで鸚鵡返しし終えました。

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そして最後は、自治医科大と日本女子大の合同稽古でした。

そこに、澤風会で幼稚園から稽古を続けて今春もう大学生になった女の子も加わって、賑やかな団体稽古になりました。

彼らはようやく灯されたばかりの、小さく若い炎のようです。

「土蜘」を一番最初から、ゆっくり解説しながら鸚鵡返ししました。

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大きさや形はそれぞれ異なりますが、これら学生関係の団体はどれもとても大切な炎なのだと思います。

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今はその炎に向けて、不恰好なあおぎ方で遠くから風を吹かせることくらいしか出来ません。

しかし今回の大変な災厄に負けずにずっと燃え続けていけるように、なんとか少しずつでも新しい薪をくべて、新鮮な空気を送っていきたいと思っております。

隙間花壇〜物語は続く〜

「隙間花壇」。

三ノ輪の自宅マンションと隣の建物の隙間に、様々な四季の花の咲く不思議な空間があり、私は日々その前を通るのを楽しみにしていました。

最近では、「ツツジ」の花が2年ぶりに咲くかどうか、その成長を見守る毎日でした。

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しかしちょうど1ヶ月前の4月初めのこと。

いつものように「隙間花壇」の前を通りかかった私は目を疑いました。

なんということか、「隙間花壇」は工事で掘り返されて跡形も無くなっていたのです。。

マンション1階のレンタカー店が閉店することになり、たしかに昨日は終日工事の音が響いていました。

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何年もの間その様子を見続けて、今では私の日常の欠かせない一部となっていた「隙間花壇」と、このように呆気なくお別れしなければならないとは…。

コロナウイルス禍で滅入る心に追い討ちをかけるようなショッキングな出来事でした。

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そしてそれ以来、今度は「隙間花壇」の跡を通る度に立ち止まって溜息をつく日々でした。

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ところが。

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昨晩いつものように「隙間花壇」の跡で溜息をつこうとした私は、再び目を疑ったのです。

夜目にも、あの「隙間花壇」の佇まいが戻っているのがわかりました。

夢かと思いました。

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明けて今日、改めて見に行ってみました。

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やはり多少のレイアウトの違いはあれど、あの「隙間花壇」の植物達が帰ってきていました。

推測ですが、「隙間花壇」の管理人であるパン屋さんのご主人が、工事のことを聞いて植物達を何処かへ避難させていたのでしょう。

そして工事が完全に終わったのを見定めて、再び植え直したのだと思います。

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「紫陽花」。

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紫の花が咲く「ツルニチニチソウ」。

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そして「ツツジ」もちゃんと戻ってくれていました。

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他の場所では、すでに春から初夏の花々がたくさん咲き誇っています。

引き換え「隙間花壇」の植物はこれからようやく根付いて成長を始めるところです。

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まるで周回遅れでスタートしたランナーのようですが、この先もその成長を見続けられる喜びをかみしめながら、遅咲きの花々を待ちたいと思います。

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ヘッドセット

週末毎の遠隔稽古も早4週目になりました。

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だいぶ慣れて来たので、色々新しいことも試しております。

今日は、

「ヘッドセット」

というものを使ってみました。

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このようなもので、大きさは掌に収まるくらいの小さな機械です。

アマゾンで4000円弱で購入できました。

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このように片耳に引っ掛けて使用します。

ヘッドセットは”イヤホン”と”マイク”がセットになっています。

スマートフォンとは無線で繋がっていて、スマートフォンから10mほど離れても会話が可能なのです。

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今日は謡稽古で使いましたが、本当は別に大きな目的があります。

ヘッドセットを上手く使って、

「仕舞遠隔稽古」

が出来ないかと考えているのです。

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稽古舞台全体が写る場所にスマートフォンを置いて、私がヘッドセットを着けて舞台で舞いながら解説をする、というのをとりあえず試してみたいと思っております。

また結果をご報告したいと思います。