田町組の最多人数記録!

今日は神保町稽古でした。

元の田町稽古場が移動した稽古場です。

田町時代からの5人の会員さんと、最近来てくれるようになった京大若手OBOGの2人の合計7人のレギュラーメンバーが、今日は久しぶりに全員勢揃いしました。

これは嬉しい事です。

そして今日はさらに、山形から来た若手OBと、京都から関東に帰省している若手OGも加わって、なんと総勢9人での謡稽古になりました。

これは田町組の歴史の中でも最多人数です。

謡は澤風会郁雲会で出す「頼政」でした。

最初の地謡のところに来て、9人が謡い出すと私は思わずハッと驚きました。

その地謡の迫力が、もの凄かったのです。

全員が少しも躊躇わずに大声で謡って、しかもそれが実に良く揃っていました。

初めて一緒に謡う人達でも、すぐに声を揃えて謡えるのが宝生流の強みではありますが、それにしても今日の「頼政」は素晴らしい謡でした。

山形の若手OBさんには本番も地謡に入ってもらう事にしましたので、本番もかなりの迫力の謡になると思います。

田町組の「頼政」もまた、澤風会郁雲会の楽しみな番組のひとつになりました。

実習の合間をぬって

一昨日は宝生能楽堂での能稽古の後で、栃木にある自治医大宝生会の稽古に行って参りました。

自治医大はやはり実習や試験が多くて大変そうです。

5年生の1人は年明けから遠い南の島で実習、また1年生と3年生は非常に難しい試験があったりして、中々稽古に来られないのです。

その中でも、5年生の2人は学内での実習の合間をぬって稽古に来てくれています。

先月に一度稽古に行った時には、実習が大変そうなので短い仕舞「安宅」と「猩々」を稽古しました。

ところが2人とも、この短い2番をすぐに出来るようになってしまいました。

さすがに優秀な記憶力です。

なので、ちょっと長めの仕舞「嵐山」を追加で稽古する事にしました。

これは3月9日、10日の「澤風会郁雲会」に向けての稽古でもあります。

一昨日は2人だけの稽古だったので、「嵐山」2回ずつを2セット稽古できました。

先月と今回の稽古で、2人とも「嵐山」をほぼマスターしてくれました。

澤風会郁雲会本番が楽しみです。

今は試験や実習が終わっていない人達も、澤風会郁雲会本番には試験や実習を終えて応援に来てくれると思います。

来月末には第2回目の自治医大宝生会合宿も計画されています。

次の大きな舞台である6月の全宝連京都大会に向けて、そしてその前の4月の新歓に向けて、自治医大宝生会もまた全員揃って盛り上がっていってほしいと思います。

イグルーの達人

今日は冷たい北風が強く吹く中、松本稽古に行って参りました。

松本もやはり寒く、気温も前回より大幅に下がりました。

松本駅から見える北アルプスの山々も、半ば雪雲に覆われていました。

きっと山の上は非常に厳しい寒さなのでしょう。

そして稽古場には、久しぶりに「イグルー作り日本一」の方がいらしてくださいました。

前回まではイグルー講習会の講師でお休みだったのです。

稽古が終わって晩御飯をご一緒しながら、イグルーのお話を色々伺ってみました。

「○○岳のリフトを降りて3分くらいの所に、イグルー作りに最適な場所があるのですよ」

「先ず私が3〜40分で見本のイグルーを作って、それから参加者の皆さんに2〜3時間かけてイグルー作りをしてもらいます」

なるほど、やはり初心者だと2〜3時間かかるのですね。

イグルーに向いている雪は3000m近くの高所にあるそうです。それだけで私には未知の世界です。

先程の松本駅から見えた北アルプス山上のような厳しい環境でも、イグルーの中では快適に過ごせるそうです。

イグルーの世界はやはりとても魅力的です。

「この間は、1人用の小さなイグルーを12人で12個作りました。それを全部トンネルで繋げて、自由に行き来できるようにしたのです」

おお、なんだか子供の頃の”秘密基地あそひ”みたいでワクワクします。

イグルー講習会には何人くらいの受講者が来られるのか聞いてみると、

「多くて30人ほどですかね」

では私もいつかそこに参加したいものです。と言うと、

「いや先生ならマンツーマンで教えますよ」

…何か非常に厳しいイグルー講習会になりそうですが、機会があれば2〜3時間かけて作ったイグルーの中で寛いでみたいと思っています。

晩御飯を終えて松本駅前の宿に戻る途中、駅の気温計は氷点下でした。

イグルーの恋しくなる寒さです…

能楽堂稽古で確認する事

来たる3月9日(土)10日(日)、水道橋宝生能楽堂にて

「20周年記念澤風会大会・郁雲会大会」

を開催させていただきます。

9日に能「野宮」、10日に能「敦盛」能「砧」

が演じられ、他にも舞囃子、居囃子、一調、仕舞、素謡、独吟などがたくさん出る予定です。

今日は能「砧」と能「野宮」の稽古を宝生能楽堂でいたしました。

どちらの曲もシテはベテランの会員さんです。

しかしやはり能楽堂での稽古だと普段の江古田稽古場とは色々と勝手が違います。

稽古場と能楽堂で最も異なる要素は、

「橋掛」

だと私は思います。

私が稽古している場所で「橋掛」が真っ直ぐに能楽堂と同じくらいの長さにとれる所は1箇所も無く、普段は四角い舞台をぐるぐる回って橋掛の替わりにしているのです。

なので、今日のような能楽堂稽古では例えば「幕内から橋掛の”三の松”まで行くには何歩くらいかかるか」

と言った江古田では出来ない要素を確認するのが非常に大事です。

他にも、

「宝生能楽堂本舞台の中心線の目印はどこか」

「常座に立った時に前に何が見えるか」

など、型や謡以外にも確認する点は多数あるのです。

今日は限られた時間でとても有効な稽古ができました。

あとは来週の「申合」でまた色々と確認して微調整して、本番に備えたいと思います。

一回生だけで舞囃子が…

昨日は京都観世会館にて「同明会」が開催されました。

宝生流からは能「来殿」、舞囃子「松尾」、舞囃子「西行桜」が出て、他にも観世流金剛流の舞囃子や一調、独調などが盛大に演じられました。

京都の囃子方が主催の「同明会」は、色々珍しい番組が出るので、能楽愛好家にはとても人気がある舞台です。

終演後にロビーに出ていくと、昨日「仕舞百番舞う会」で頑張っていた京大宝生会の現役や若手OBOGもたくさん観に来ていました。

彼らの中には、お囃子を習っている人も何人かいます。

大鼓、小鼓、太鼓、笛の四拍子のうち、京大宝生会関係では小鼓と太鼓がちょっと少なめだったのですが、実は一回生達がお囃子にも興味を持って、最近何人かが習い始めたのです。

6人の一回生のうちの3人が、それぞれ大鼓、小鼓、太鼓の稽古を始めてくれました。

そして笛に興味を持った一回生もいるので、間もなく一回生だけでシテ、地謡に四拍子が揃って舞囃子が出来る事になります。

流石にこの春の新歓には難しいと思いますが、来年以降の新歓では是非とも今の一回生達が自前で舞囃子を出してもらいたいと期待しております。

百番会のテーマ

昨日京大能楽部BOX舞台にて開催された

「2024年京大宝生会仕舞百番舞う会」

今回は私としては「一回生に仕舞を沢山見てもらって、将来やりたい仕舞や、春合宿で習いたい仕舞を選んでもらいたい」

というのを最大の目的と考えておりました。

しかしいざ始めてみると、この”一回生に見てもらって”というのはちょっと的外れなテーマだとわかりました。

一回生達は”見る”というよりは、積極的に”参加”してくれたのです。

彼らは昨年習った仕舞を舞うだけでなく、先輩達の仕舞の地謡にもどんどん入って謡っています。

「班女」などという、一体いつの間に稽古したのかと思うような難しい地謡にも果敢に入っていきます。

一回生の成長ぶりは、私の想像をはるかに超えていました。これは嬉しい驚きでした。

また今回もう一つ私が決めていたのが、

「私自身は100番のうち1番も舞わない」

という事でした。

百番会を初めた頃は私が40番ほども舞っていた記憶がありますが、回を重ねるごとに私の番数は少なくなっていきました。

2019年の百番会ではブログによれば私は9番舞ったようです。

それから5年で若手OBOG達も飛躍的に実力をつけました。

もう彼らだけで100番舞えるだろうと思ったのです。

こちらの方は私の思った通りになりました。

私は地謡を少しだけ謡っただけで、仕舞は1番も舞う事なく100番目の「船弁慶キリ」まで終えることができたのです。

今回の百番会は現役も若手OBOG達も、得たものがとても大きかったと思います。

この経験を自信にして、今後の合宿、新歓、舞台に繋げていってもらいたいと願っています。

昨日参加してくれた皆様本当によく頑張りました。お疲れ様でした。

引き算の宿

昨日青森で泊まった宿は、私が各地で泊まる中でも最も安いところです。

昨日は一泊3000円でした。

部屋やベッドの広さは普通のビジネスホテルと変わりません。

では何故そんなに安いのかというと、いわゆる「アメニティ」がほとんど無いのです。

歯ブラシ、ティッシュペーパー、タオル、バスマット、髭剃りなどは全て無しで、必要な物だけ別途レンタルできます。

また「冷蔵庫」や「テレビ」もありません。

要するに「部屋」、「ベッド」、「風呂」、「トイレ」だけで、あとはなにも無し。という宿なのです。

ここまで来ると、何か能楽にも通ずるような「引き算の美学」すら感じます。

私はこういう思想にはとても共感いたします。

歯ブラシは家から持参して、あとはバスタオルだけ1枚100円でレンタルすれば充分に事足ります。

「冷蔵庫」はちょっと欲しいところなのですが、そこは青森の真冬の寒さを逆手に取ります。

窓際に冷やしたいモノを並べてカーテンを閉めれば、外は氷点下なので「即席冷蔵庫」になってしまうのです。

昨日は到着してすぐに購入した青森の食材を「即席冷蔵庫」に置いて稽古に行き、稽古を終えて22時頃に宿に戻って美味しくいただいたのでした。

(宿代が安い分、地物のお刺身などちょっと贅沢なモノを買っても心が痛みません)

私の行く地域では青森にしか無いこのタイプの宿、もっと全国的に流行ってくれたらと密かに願っております。

予報通りの氷点下…

昨日の東京は最高気温が23℃まで上がったようです。

私は天気予報を見越して、昨日は今年初めてシャツ1枚で出かけて、それで丁度良いくらいでした。

道を歩いていると沈丁花の花をやはり今年初めて見かけて、春の香りを楽しみました。

そして今日。

水道橋の「来殿」申合に行くために家を出る時のことです。

私はやはり天気予報を見越して、今日は厚手のシャツに、持っている中で一番暖かいウールのジャケットを着込んで、更に鞄にはカーディガンを入れておきました。

今日の最終目的地の予想気温は氷点下なのです。

申合を終えた正午頃の東京の気温が15℃。霧雨模様でやや肌寒い感じです。

能楽堂を出て東京駅に向かい、東北新幹線に乗りました。

車内でひと眠りして目が覚めると、外の景色が一変しています。

雪が降りしきる寒々とした東北の風景です。

更に北上して、日が暮れてから到着した街は…

気温マイナス2.5℃。

やはり天気予報通りの氷点下の寒さでした。

この日この街の最高気温は0℃で、いわゆる「真冬日」だったようです。

昨日は春、今日は真冬を体感しております。

ここまで来ると体調管理がとても難しいですが、何とか服装や食べ物などで健康維持に努めたいと思います。

坊主が屏風に…

明日は宝生能楽堂にて、今週末開催の「同明会」の申合があります。

私は能「来殿」の地謡を勤めます。

この「来殿」という曲は、

シテ…菅丞相(かん・しょうじょう)

ワキ…法性坊の僧正(そうじょう)

です。

また謡の中に出てくるシテの養父の名前が、

菅丞公(かん・しょうこう)

で、ワキ僧正はしばしば上人(しょうにん)と謡われます。

つまり一曲の中に「しょうじょう」、「そうじょう」、「しょうこう」、「しょうにん」

がランダムに出てくるという、間違いやすいトラップだらけの曲なのです。。

さらっていると、普通に”丞相”と”僧正”を間違えるだけでなく、「しょうぞう(肖像)」とか「そうぞう(想像)」など、全然違う単語も出てきたりしてもう大変です。

何となく早口言葉の

「坊主が屏風に上手に坊主の…」

という一節を思い出しました。

ある意味で覚えづらい「来殿」なのですが、先ずは明日の申合をミス無く終えられるように、

丞相、僧正、丞公、上人

の四語と今しばらく格闘したいと思います。