4年間の成果

今朝私は、夢の中に突然「嵐山」の謡が聞こえて来て、それで目が覚めました。

自分がどこにいるのか一瞬わからなくなったのですが、場所は京大宝生会合宿所2階の「ヤヲハの間」の布団の中であり、よく聴くと「嵐山」は合宿の応援に来てくれた若手OGの声なのでした。

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なおも布団で暫く聞いていたのですが、難しい「渉り拍子」のところなどもきちんと正確に謡っていました。

流石OG、というより「こんなにハイレベルに謡えるのか」と驚くような謡でした。

これは正に4年間みっちり稽古した成果なのです。

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京大宝生会は昔から、卒業しても京都近辺にいる若手OBOGが合宿や普段の稽古に頻繁に来てくれます。

前述のようなハイレベルなOBOG達が現役の稽古を手伝ってくれるというのは、大変有り難いことです。

今回も昨日などは6〜7人もの若手OBOGが合宿に来て鸚鵡返しをしてくれていました。

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OBOGが現役の稽古に顔を出すというのは、場合によっては良くない影響を及ぼす恐れもあり、卒業後は一切現役の稽古には来ない、という学校もあるようです。

しかし京大宝生会に関しては、「クラブの中の事には口を出さず、経済的と技術的な援助だけをする」という不文律があり、現役と若手OBOGがとても良い関係を築いてくれています。

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現役は今回も例えば、「たった2日で舞囃子を一通り稽古して、地謡と合わせる」というような普通考えると不可能な課題に、それぞれ果敢に挑戦してくれました。

彼らもまた4年間みっちり稽古して、その成果を次の世代に還元してくれることでしょう。

今回もまた、実り多い合宿だったと思います。

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最後に昨夜遅くに開催された驚くほどハイレベルな「ピザ大会」の模様を。

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合宿所「喜津袮」

今日は恒例の京大合宿で大原に来ております。

「喜津祢(きつね)」という民宿を合宿所に使い始めたのは、もう25年ほど前になるので今の現役達が生まれる前ということになりますか。

離れの一棟を丸ごと借りられるのが有り難いのと、御飯が美味しいので、他の場所を探す気になれないのです。

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私は一階の6畳×3部屋を使って仕舞の稽古をしております。

謡の稽古は、上回生もしくはOBOGと下回生がペアになって、2階の4部屋(ヤ、ヤア、ヤヲ、ヤヲハの間)と、階段の踊り場や玄関などあらゆるスペースを使っての鸚鵡返しです。

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私が現役の頃の合宿は、暴飲暴食で朝はヘロヘロになって稽古していたのものですが、最近の現役は食べ過ぎず飲み過ぎず、夜更かしもあまりしない非常に健全な人達なのです。

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今日私は朝9時半から夜9時半までキッチリ仕舞の稽古をしました。

流石にもうビールなど飲んで休もうと思っております。

しかし喜津袮の離れでは、この時間(23時)でも何ヶ所かで鸚鵡返しの謡の声が聞こえています。

どこまでも熱心な京大宝生会なのでした。

「小塩」と「雲林院」

今日は朝に東京を発って亀岡稽古に来たのですが、寒の戻りで非常な寒さでした。

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昨日の原木での花見から一転して暖房にあたりながら稽古したのですが、謡の「小塩」を稽古している時に「あれれ?」と思うことがありました。

前シテの老人が「桜の枝」を持って出てくるところです。

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何故そこで「あれれ?」なのか。

「小塩」の前シテは「在原業平」の化身です。

そして同じ業平の化身の前シテが出てくる能に、私がまもなくシテを勤める「雲林院」があります。

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ところが「雲林院」の前シテは、桜の枝を手折ろうとするワキ芦屋公光に向かって、「花を手折るのは誰だ!」と咎めるような言葉を発しながら登場するのです。

シテはその後暫くの間、和歌などを引きながら花を手折ることの罪深さをワキに説いて聞かせます。

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その同じ人格が、「小塩」では自ら桜の枝を手折って出てくるのです。

「あれれ?」というより、「おい!」と突っ込みたくなってしまいました。

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しかし調べてみると、「小塩」は世阿弥の娘婿である禅竹氏信作、「雲林院」は世阿弥の長男の十郎元雅の作なのですね。

作者が違えば主張も違うということなのでしょうか。

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とは言えこの2人は義兄弟の近しい関係です。

お互いの曲も当然よく見知っている筈。

何か確執でもあったのかな…?と勘繰ってみたのですが、資料では2人は良好な関係だったとのこと。

「雲林院」の方が先に作られたようなので、禅竹氏信が敢えて「雲林院」と異なる設定にして、ニヤリとしていたのかもしれません。

或いは、「在原業平」という人物の解釈の仕方に相違があった可能性もあります。

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色々想像すると興味深いのですが、今のところはここまでしかわかりません。

もっと詳しく勉強して、また新しいことが判明したら書いてみたいと思います。

電車2本分の寄り道

私は月に一回、伊豆でも稽古をしております。

稽古場に向かうには、新幹線で三島まで行ってから伊豆箱根鉄道に乗り換えます。

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今日はある目的があって、その伊豆箱根鉄道の「原木」という小さな駅で途中下車をしました。

2本先の電車が来るまでの40分間だけ、短い散歩です。

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「原木」と書いて「ばらき」と読むこの無人駅で最初に途中下車したのは、もう何年も前の夏だったと記憶しています。

窓から見える夏の田んぼの風景が実に懐かしく、ちょっとだけその中を歩いてみたくなったのです。

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次に途中下車した時には、逆方向の西へと歩いてみました。

すると10分ほどで「狩野川」に出て、そこに架かる大きな橋から富士山がとても綺麗に見えました。

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という訳で、特に有名な見所も知らず、全く縁もゆかりもなかった「原木」は、何故か私の季節ごとの短い散歩コースになったのです。

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今日は狩野川方向に歩いたのですが、雨が近づいていて富士山は厚い雲に覆われていました。

しかし河川敷では久しぶりに「雉」の姿を見かけました。

一応写真中央にいるのが雉なのですが、「幻の生物」みたいですね。。

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そして土手には「土筆」が。

更に歩くと、「ぺんぺん草(ナズナ)」の大群落を見つけました。

これだけあると、盛大にシャラシャラして遊びたくなりますが、時間が無いのでまたの機会に。

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いよいよ目的地の近くなのですが、一昨年以来なのでなかなか見つかりません。

周りはありふれた住宅街で、目立つ目印などは無いのです。

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しかし、家々の間からようやく見つけました。

これは隙間から見た姿。

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その家と家の隙間を抜けると、ポッカリと開けた空き地があり、その真正面には…

一昨年の原木散歩中に、この見事な枝垂れ桜を偶然見つけました。

樹高10m弱、枝張りはゆうに10mを超えると思われます。

由来を物語る札なども一切無く、この空き地もおそらく私有地で、もしかしたら見つかると怒られるかもしれません。

しかしこれ程の大きさの枝垂れ桜を、人気の全く無い空き地で一人眺めるというのは何とも贅沢な話です。

暫し息を潜めて、電車の時間ギリギリまで眺め入りました。

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2年前に見たこの桜の姿が忘れられず、しかし去年は時期を逃して悔しい思いをしました。

そして今年、ようやくまた再会出来たという訳なのです。

まだ8分咲きで、蕾もありました。

今週の雨をどうか乗り切って、満開の花を咲かせてほしいものです。

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そして来年もまた春の原木散歩で、この枝垂れ桜に密かに会いに来たいと思います。

舞台ラッシュ

何事にも「波」というものがありますが、やはり私の仕事にも明確に「波」があります。

例えば昨年は、3番あったシテが2月「兼平」、4月「百萬」、7月「半蔀」とほぼ上半期で終わりました。

そしてツレについても、昨年10月22日の宝生会別会にて「安宅」の同行山伏を勤めたのが最後で、なんとそれ以降現在まで、かれこれ5ヶ月も胴着を着ていないのです。

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ところが、来月の頭から夏にかけて、今度は立て続けに役をいただく事になりました。

4月7日:能「正尊」立衆(金剛能楽堂15周年記念)

4月21日:能「雲林院」シテ(七宝会麗春公演)

5月3日:能「巻絹イロエ」ツレ(大本みろく能)

5月18日:能「俊成忠度」俊成(興福寺薪御能)

5月25日:能「夜討曽我」シテ(宝生会夜能)

6月9日:能「熊野膝行三段之舞」ツレ(京都満次郎の会)

と、この半年間何もなかったのが今後2カ月で6番の役をいただいたのです。

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更にまた、まだ詳細未定なのですが、夏には私にとって初めての「薪能」のシテを舞わせていただくお話もあります。

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郁雲会澤風会が無事に終わったタイミングで、今度は自分の役に全力投球出来るのは大変に有り難いことです。

ここから暫くは、自らの舞台に力点を置いて日々を過ごしたいと思います。

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とは言っても、もちろん澤風会の稽古も変わらず頑張って参ります。

会員の皆さまにはどうかよろしくお願いいたします。

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また、皆さま上記の舞台を是非とも見にいらしてくださいませ。

こちらもどうぞよろしくお願い申し上げます。

初花道行

一昨日書きました通り、今日の五雲会は「桜尽くし」の演目でした。

京都北野は「右近の馬場」の桜から始まって、「紫野雲林院」の桜を愛でつつ、最後は「鞍馬山」から天狗と一緒に飛び立って、吉野初瀬の桜まで残らず見物して舞台が終わりました。

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そして宝生能楽堂から外に出ると、時刻は17時過ぎ。

東京ドームホテルの向こうに夕陽が沈んでいきます。

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靖國神社の桜はまた今度にして、とりあえず水道橋交差点からスタートして、外堀通りを神田川に沿って歩いてみることにしました。

水道橋から御茶の水を経て秋葉原までの間には、ソメイヨシノが沢山植わっているのです。

靖國神社の桜は予想通り今日開花したそうですが、外堀通りはどうでしょうか…?

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先ず最初に見つけた桜はこんな感じ。

まだ蕾ですが、夕陽に照らされて今にも花開きそうで、これはこれで美しい姿だと思いました。

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しかし吹く風は冷たくて、この気温ではこの辺りの開花は明日以降かな、と半ば諦めつつ歩いていくと…

御茶の水橋の手前に、先ほどよりも更に膨らんだ蕾を見つけました。

本当に開花直前の状態です。

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そして、聖橋の下をくぐって少し行ったところで遂に…

見つけました。

私にとって今年の初桜です。

今年もこれから全国各地で色んな桜を色んな形で見ることになるでしょう。

その花見の始めが、この桜ということになります。

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しみじみと感じ入っている私の横を、人々は桜に目もくれずに通り過ぎていきます。

「桜が咲いてますよ!」と教えてあげたいとちょっとだけ思いましたが、やはり恥ずかしいのでやめておきました。

暫し一人で眺めた後に満足して、私は坂道を降りて秋葉原へと向かったのでした。

僅か20分ほどの、花見の道行でした。

なまけものの日

ずっと毎日ブログを書いていると、「ああ、今日は特別に書くようなことが無いなあ…」という日も当然あります。

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今日はぽっかりと空いた休日だったのですが、起きると外は雨。

とりあえずたまった洗濯をしながら、破れた紋付の縫い目を繕ってしまうと、特にすることが無くなってしまいました。

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いや、長期的にはやる事は山積みなのですが、ひとつには最近読み始めた森見登美彦「聖なる怠け者の冒険」の影響があると思われます。

この本の主人公は主人公のくせに、「のんびり過ごす」ためにとにかく全力を尽くす人なのです。

「怠惰への意志」を強く持って、出来れば週末を「独身寮の冷んやりとした万年床」でずっとゴロゴロして過ごしたい!と思っているのです。

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実は私も本来はこの主人公と同じような性質を持っているのですが、周りの皆様のおかげで何とか怠けずに生活しているのです。

しかし今日のような日には、満を持して「怠ける」というのも良いかと思い、1日有意義なことはせずに、ゴロゴロして「聖なる怠け者の冒険」など読むことにいたしました。

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半分くらい読んだところで、精神的に充分に「怠けた」気分になりましたので、明日からまた頑張って働きたいと思います。

今日はこれにて。

頃は弥生の花見とて…

明後日17日の土曜日には、宝生能楽堂にて五雲会が開催されます。

今日はその申合があり、私は能「右近」の地謡を謡って参りました。

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右近のワキの文句の中に、「のどかなる 頃は弥生の 花見とて」とあります。

それを聞いて、「あれっ?」と微かな違和感を覚えました。

数日前のニュースで、東京の桜の開花予想が明後日の3月17日だと聞いていたからです。

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室町時代は旧暦なので、その頃の「弥生」は現代の4月にあたります。

つまり右近の馬場の桜は当時は4月に咲いていた筈なのです。

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桜の開花が年々早まって、ついに旧暦と同じ時期になってしまったことになります。

「右近」の謡を聞いて、地球温暖化を実感してしまいました。。

これ以上温暖化が進まないように祈るのみです。

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ともあれ、明後日の五雲会は桜の開花予想に合わせたように能「右近」、「雲林院」、「鞍馬天狗」と桜尽くしの名曲が3曲並びました。

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宝生能楽堂でバーチャルなお花見を堪能した後に、まだ陽が残っている靖國神社に足を延ばして現実のお花見、というコースが可能なのです。

皆さま是非明後日17日 正午始めの五雲会にお越しくださいませ。

ホーキング博士と賭けが出来たら…

今日、スティーヴン・ホーキング博士が亡くなったというニュースを読みました。

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私は確か予備校生の頃に「ホーキング、宇宙を語る」という本を読んだ記憶があります。

ブラックホールや素粒子云々の内容は、正直に言って私には1割くらいしか理解出来なかったと思います。。

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しかし、我々の宇宙がどうやって生まれて、どのように存在しているのか、という深遠な問いについて考える機会は与えてもらえました。

そして頭脳という翼があれば、目に見えない極小の分子や原子の世界から、広大な宇宙の果てまでも自在に行ったり来たり出来ることを知りました。

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「能楽」と「理論物理学」は全く接点は無いように思われます。

しかし「能楽」もやはり我々人間を含めた「この世の万物の成り立ち」についての深い思索を経て作られているものだと思います。

その意味では、究極まで突き詰めて行けば「能楽」も「理論物理学」も同じ真理を追求しているのではなかろうか、などと私は考えるのです。

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ホーキング博士は、偶然の出来事も全て量子力学などで説明出来、「神」の存在は必要ではない、と言ったそうです。

また「死後の世界」は架空のおとぎ話だとも。

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しかしながらまた別のエピソードで博士は、他の科学者としばしば学説に関する「賭け」をして、しかも敢えて自分の学説に不利な方に賭けたそうなのです。

それは、「自分の学説が誤っていても、賭けには勝ったという満足感が得られる」からだそうです。

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もしかするとですが、今頃博士の魂は「天国」あるいはどこか別の宇宙にちゃんと存在しており、「自説は誤りだったが、満足である」と思っておられるかもしれません。

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時しも今日3月14日は「円周率の日」であり、かのアインシュタイン博士の誕生日でもあるそうです。

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ホーキング博士に言わせれば、そんな日に亡くなったのも偶然では無いのでしょう。

しかしもしもホーキング博士と賭けが出来たら、やはり私はそういう「不思議な巡り合わせ」がある方に賭けたいと思うのです。

NHKラジオ録音「善知鳥」

今日はNHKラジオの録音がありました。

「善知鳥」を一曲丸ごと録音して、私はツレを勤めました。

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朝に渋谷のNHKに入り、受付で入館証を貰って、とあるスタジオに向かいます。

テレビ局の中に入ることなど滅多に無い私です。

大勢が往き来しているフロアをクネクネと歩いていると、「もしかして有名な芸能人とバッタリ出くわしたりしないかしら」などと思うのですが、勿論そんなことは全くありません。

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スタジオに着くと、録音の準備はすっかり整っています。

一人一人の前には、ちょうどラジオのDJが使うような、スタンドから吊り下げる方式のマイクが設えてありました。

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「謡を謡う」という行為は私にとっては殆ど日常の一部なのですが、この「目の前にマイクがある」というシチュエーションだけで変に緊張してしまいます。

更にそのマイクは非常に高性能なので、ほんの小さな音も拾ってしまうそうなのです。

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くしゃみや咳などは、普段の舞台からしないものなので大丈夫ですが、例えばお腹が鳴ったり、喉が鳴ったりするのは自分では止められない可能性があります。

正座の足を組み替えるのも、もしかして音がするかもしれません。

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などと色々な雑念が湧いて来て、45分くらいの録音でドッと疲れてしまいました。。

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今日頑張って録音した「善知鳥」は、4月15日(日)朝6時〜6時55分にNHKFMにてオンエアされます。

早朝ですが、皆さまどうかお聴きくださいませ。