飴ちゃん
今日はまず午前中に大山崎稽古でした。
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朝9時前に京都駅近くの宿を出ると、カッと照りつける陽射しと、ちょっと息苦しい程の熱気に包まれました。
やはり近畿は梅雨が明けたようです。
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蝉時雨の中で汗をかきかき坂を登って稽古場の宝寺に辿り着き、午前中いっぱい稽古をしました。
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そして少し休憩して、夕方から今度は枚方市に移動して社会人向け能楽体験教室でした。
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前回はまだ稽古がそれほど進んでいなかったので、お2人ずつの仕舞稽古をしました。
しかし今日はもうお1人ずつ、作法も含めて本番に近い形での稽古です。
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17時半から稽古を始めて、水を飲む時間も省略して20時半まで完全にノンストップで23人の方々を稽古させていただきました。
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最後の2人はお母様と高校生の娘さんでした。
前回はお休みだったとのことで、娘さんの方は仕舞「国栖」がまだ最後まで終わっていませんでした。
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「回り返し」などの型の予習を少しして、「国栖」を最初から最後まできっちりと稽古しました。
私「今日最後まで出来たから、もう大丈夫です。家でおさらいしてくださいね」
高校生の娘さんは照れたような微笑みを浮かべるばかりで、恥ずかしそうにしています。
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やはり難しい年頃だなぁ…と思いながら、私は自分の荷物の所に行き、帰り支度のために下を向いて足袋を脱ぎ始めました。
…すると、目の前に誰か人の立つ気配が。
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目を上げると、娘さんです。
質問かな?と思いかけたところで、私の前にサッと手が差し出されました。
掌の上にはイチゴ味の「飴ちゃん」が。
私「なんと!どうもありがとう!」
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そして娘さんは、枚方市のスタッフの方々の所にも駆け寄って、やはり「飴ちゃん」を配っていきました。
稽古場の雰囲気が一気に和んだのは言うまでもありません。
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私は普段飴をほとんど口にしないのですが、今日の「飴ちゃん」はなんだか1日働いたご褒美のようで、すぐその場で有り難く口に入れました。
少々くたびれた体に沁み透るような美味しさでした。
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一粒の「飴ちゃん」に救われる1日もあります。
また明日からも頑張って進んで行こうと思います。