芦屋が舞台の能「藤栄」
今日は朝に松本を出て新宿に戻り、そのまま千駄ヶ谷の国立能楽堂にて明日開催の能「藤栄」の申合に向かいました。
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この能「藤栄」は能「鉢木」と並んで、最明寺時頼の「世直しシリーズ」のうちの一曲です。
変則的な構成の曲で、シテ、ワキ、ワキツレ、間狂言、子方が複雑に絡んでストーリーが展開します。
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地謡も通称「根白節」という有名な難しい箇所があるなど、中々に手強い曲です。
松本からの特急「あずさ」車内でも小本を広げて、念入りに地謡を浚いながら国立能楽堂に入りました。
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いざ申合が始まってみると、変な話ですが改めてこの曲が”芦屋”を舞台にした話なのだと思い出しました。
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私は芦屋稽古の時に、阪急芦屋川駅から稽古場に向かう途中にある「月若公園」という細長い公園の横を度々通っていました。
実は能「藤栄」の子方の名前が「月若」なのです。
おそらくあの「月若公園」のある辺りから、芦屋川を下って海に出る辺りの土地で能「藤栄」のストーリーが展開されていたのでしょう。
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そう考えると、手強いと思っていた「藤栄」の地謡も、なんだか親しみのあるものに思えて来たのです。
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明日は午後から国立能楽堂での本番です。
月若公園と芦屋の風景を思い出しながら、頑張って地謡を勤めたいと思います。