タイムトラベルものの能
今読んでいる本は、いわゆる「タイムトラベルもの」のSFです。
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ある機械を使うと、任意の過去へと移動することができます。
しかしその代償として、二度と元の時代には帰れず、遡った時間を二乗した年数を加えた未来へと弾き跳ばされてしまう、という設定です。
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つまり10年前に移動すると、帰りは約100年先に跳ばされてしまうことになります。
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一方私は今日は、青森稽古のために午後から東北新幹線で移動しました。
桜のほぼ散り終わった上野→正に満開の福島→まだ蕾の岩手と、SF本をめくりながらの移動だったので、自分も時間を遡っているような気分になりました。
ただし私は、せいぜい2019年春の盛りから、1ヶ月ほど前の季節への旅です。
そして明日の午後には、ちゃんと元の東京に戻っていられるはずです。
手軽で安全な東北への擬似タイムトラベルなのでした。
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ちなみに能楽でも、何となく「タイムトラベル」を思わせる曲がいくつかあります。
例えば能「野宮」。
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ワキ旅僧が嵯峨野の”野宮の旧跡”にやって来ると、何故か”黒木の鳥居”は古びておらずに昔と変わらない綺麗な状態でした。
これは、旅僧を取り囲む”場”が過去へと遡ったとも考えられると思います。
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「野宮」の最後は曖昧に終わるので、ワキ旅僧が元の世界に帰れたのかわかりません。
もしかして僧が未来に跳ばされて、2019年の野宮神社に現れたりしたら。
物凄い数の修学旅行生や外国人観光客に囲まれて、さぞかし困惑するでしょう。。
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それはそれで面白いストーリーになりそうだと、やはりSFに影響された思考で思ったのでした。