龍田神社への短い旅 その3

「竜田川駅」から小一時間ほど歩いて、「龍田神社」に無事到着しました。

能の謡の中で、旅行の様子を謡う「道行」という謡があります。

その「道行」が終わった後には「急ぎ候ほどに、これは早○○に着きて候」という「着き台詞」が必ずあり、これはやや明るく嬉しそうに謡うことになっています。

小一時間の短い道行でも、目的地に無事到着すると明るく「着き台詞」を謡いたい気持ちになりました。

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早速社殿にお参りして、ふと賽銭箱を見ると…

おお、大きな紅葉の紋が付いています…!

よく見ると葉先は八葉に分かれていました。

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能「龍田」の後シテ龍田明神の謡にも「紅葉の色も八葉の葉〜」とあります。

他に「七葉紅葉」の紋もあるようで、この「八葉紅葉」は龍田明神固有の神紋だそうです。

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お参りを終えて境内を散策してみます。

すると…

なんと!

「金剛流発祥之地」の石碑を発見してしまいました。

龍田の辺りで発祥したと聞いたことはありましたが、よもやここで発祥地の石碑に出会うとは…!大変に驚きました。

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石碑の縁起を書いた看板もありました。

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ちなみに「宝生流発祥之地」の石碑は桜井の宗像神社にあります。

こうなると、観世流と金春流の発祥之地石碑も見てみたくなりました。今後の新たな目標です。

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さらに散策を続けます。

手洗場の石桶の上に巨大な「鶏」が鎮座していました。

龍田神社と鶏の関係を調べると…

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神功皇后の三韓征伐の折のこと。途中宿をとった生駒山中の暗峠で、翌朝一番に「鶏の声」を合図に出発する筈が、あろうことか鶏が寝坊して鳴けず、出発が遅れてしまったのです。

激怒した皇后は鶏を「生駒川」に捨ててしまいますが、下流の「竜田川」で龍田明神に助けられ、それ以来鶏は龍田明神の使いになり、龍田では鶏を食べなくなった、とのことです。

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今でも龍田神社の辺りでは鶏を食べないのか、地元の人に聞いてみたいと思いましたが残念ながら時間切れが来てしまいました。

能楽教室のために出発です。

最後に境内の紅葉を1枚。

今回は1時間ちょっとの短い旅でしたが、ここから法隆寺まではほんのすぐそこです。

竜田川駅〜法隆寺駅までを半日かけてのんびり散策、というコースは皆様にも是非お薦めいたします。

後1〜2週間で見頃になる紅葉シーズンに、いらしてみては如何でしょうか。

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