高台寺の舞台が無事終了いたしました

京都高台寺にての太閤秀吉と寧々様に関連した3日間の催しが先程無事終わりました。

夜に降り出した雨は催し終了後に本降りになり、ギリギリセーフでした。

また仕事の山場をひとつ越えて、次は学生の全宝連に照準を合わせて稽古を頑張って参りたいと思います。

寧々様ゆかりの高台寺にて

今年は豊臣秀吉の正妻「寧々」様の四〇〇年遠忌にあたるそうです。

本日は秀吉の死後に寧々様がその菩提を弔うために建立されたという「高台寺」にて、秀吉が作った「太閤能」のひとつである「明智討」が演じられました。

辰巳満次郎師が明智光秀、辰巳和磨さんが太閤秀吉を演じて、京大宝生会の若手OB4人も立衆と地謡で参加させていただきました。

明日も同じく「明智討」が演じられ、明後日には新作能「寧々」も演じられます。

私は「高台寺の住僧」を勤めさせていただきます。

明後日の舞台のために

今日は自治医大稽古に行ってきました。

5月の1ヶ月間は、6年生が地元研修でそれぞれの出身地に戻っており、また入院していた部員が先日無事退院したりして、今日は本当に久しぶりに大勢が揃っての稽古でした。

更に嬉しい事に、新入生が1人入部していました。

秋田出身の6年生が、同じ秋田出身の新入生に声をかけたら入ってくれたそうなのです。

早速「紅葉狩」の仕舞を稽古しました。

嬉しいニュースが多かったのですが、実は自治医大能楽部としては中々に大変な状況なのでした。

「関東宝生流学生能楽連盟自演会(関宝連)」

の舞台が明後日に迫っているのです。

このひと月の間は部員が全国に散らばってほとんど稽古出来ず、仕舞のシテと地謡との合わせも勿論出来ていません。

今日1日の突貫工事で、明後日の舞台に備えないといけないのです。

とりあえず仕舞は、私と一緒に地謡を謡いながら2回稽古して、更に今度は部員だけで地謡を謡ってもう2回。

合計4回稽古しました。

素謡「桜川」も、一度謡ってもらって、とにかく直せるところを出来るだけ修正して稽古を終えました。

部員達は、「これから晩御飯行って、その後帰って稽古しよう」

「明日は実習が早く終わるはずだから、後はずっと稽古しよう」

と明後日までの限られた時間を有効に使う相談をしていました。

日々の実習や授業が本当に過酷な彼らにとって、仕舞や謡まで覚えるのは大変な事だと思います。

なんとか明後日の「関宝連」を無事乗り切って、月末にある「全宝連京都大会」では、より稽古を積んで舞台に臨めるように、私も頑張ってお手伝いしたいと思います。

京大宝生会流の追善謡

先週末の「京大宝生全国OBOG会」では、4月29日に亡くなられた佐藤孝靖先輩の追悼で「融」が謡われました。

ちょっと変わった謡い方で、「それは西岫に」から始めて、1人が一句ずつ交代で謡っていきます。

私は「例えば月のある夜は星の薄きが如くなり」を謡いました。

数十年来の交友があったOBが、それぞれの佐藤先輩への想いを込めて、一句を大切に謡っていきます。

掛け合いの部分が終わって、

「影傾きて明け方の」

からは全員で謡います。

京大宝生会30人の声が唱和すると、底力のある重厚な響きになりました。

舞台正面には笑顔の佐藤先輩の遺影が飾られていたのですが、その瞬間には笑みが一層深くなって、細かくウンウンと頷かれたような気がいたしました。

カレンダーの6月1日の欄に、

「京大宝生全国OBOG会」

と大きく書いておられたという佐藤孝靖先輩。

間違いなく誰よりも今回の久々のOBOG会を楽しみにされていました。

御参加が叶わなかったのは誠に残念無念ですが、京大宝生会流の追善謡「融」にはご満足いただけたと思います。

そしておそらく天上では、辰巳孝先生や小川先生、坪光先生、植田先輩、米澤先輩、塚本先輩といった錚々たるメンバーに佐藤先輩も加わった舞台が、地上と平行して盛大に催されていたことでしょう。

久々の巡回公演

今日は文化庁巡回公演で埼玉県の小学校に行って参りました。

約1年ぶりの巡回公演です。

小学校の体育館に立派な能舞台が作られており、子供達は正面も脇正面も舞台ギリギリまで近付いて座って、正に間近で能狂言を体感することができます。

今日は午前中に1〜3年生、午後に4〜6年生の2回公演でした。

午前中1〜3年生公演では、最初の狂言「盆山」から非常な盛り上がりを見せてくれました。

「笑い」というより「爆笑」です。

そして能「黒塚」では、後シテ鬼女とワキ山伏が”イノリ”で対決するシーンで、子供達の大半がワキと一緒に数珠を揉む動作をして鬼女と闘っていました。

まるで遊園地のヒーローショーみたいな盛り上がり方です。

午後の4〜6年生公演はどんな盛り上がりかと思っていたら、一転して”大人しい”雰囲気で、

「上級生になるとこんなに大人になるものか」

と驚きました。

ともあれ、4〜6年生も最後の「附祝言千秋楽」を一緒に謡うまで、熱心に公演を鑑賞してくれました。

雰囲気こそ違え、子供達みんなの心どこかに”能楽”が刻み込まれたのは間違いないでしょう。

毎回楽しみにしている巡回公演、次の小学校公演は秋になります。

また違う子供達に、頑張って能楽を伝えていきたいと思います。

OBOG会での”御囃子”

昨日4年ぶりに開催された

「京大宝生全国OBOG会大会」

これまでのOBOG会同様に仕舞と素謡がたくさん出ましたが、今回はそれに加えて「囃子」が数番出たのです。

「独管」、「大鼓独調」、「居囃子」

それぞれの囃子方は全て若手OBOGでした。

この4年でそれぞれ熱心にお囃子の鍛錬を重ねて、腕を磨いてきたようで、何れも聴き応えのある舞台でした。

「独調天鼓」は、1人の謡で大鼓と対峙するのは大変なのですが、最後まで張りのある謡が持続していました。

大鼓もそれに負けじと非常に気迫のこもった掛け声でした。

「居囃子経政」は、謡と囃子を合わせるのが難しい箇所もあるのですが、よく稽古を積んできたようでこれも最後までバランスが崩れる事なく終えられていました。

一昔前には、謡の稽古に囃子の知識は要らない、むしろ邪魔になる、という考え方もありました。

しかし昨日の経政などを聴いていると、やはりお囃子がわかっていると、部分部分での謡の位取りが正確になると思われました。

この先も、囃子を出せる舞台があれば積極的にチャレンジしていって欲しいと願っています。

4年ぶりの京大宝生全国OBOG会

今日は五反田の池田山能舞台にて、

「京大宝生全国OBOG会大会」

が4年ぶりに開催されました。

現役3人から最長老の大先輩まで35人ほどが一堂に会した舞台は、正に京大宝生会の歴史の縮図のような濃い内容でした。

後席では1番若手の現役からスピーチが始まり、段々と遡って、最後には京宝連を作ったという大先輩がその”第1回京宝連”が開催されるまでの様々なエピソードを聞かせてくださいました。

現役達はつい先日、”第129回京宝連”にあたる関西宝連の舞台に立ったばかりです。

歴代の先輩方の貴重なお話におおいに刺激を受けたことでしょう。

そして来年は京大宝生会70周年にあたり、記念大会を再来年に開催しようという話も出ました。

久々の全国OBOG会は、過去を知って未来に繋げていく素晴らしい会になりました。

涌宝会申合に行ってまいりました

今日は神楽坂の矢来能楽堂にて、6月2日(日)に開催される「東京涌宝会大会」の申合に行ってまいりました。

毎年ながら盛大な御会で、舞囃子16番、能「猩々」、他にも居囃子、独調、仕舞、素謡などが演じられます。

また会主の和久荘太郎さんのご長男凜太郎君も、今回は舞囃子の地謡に入っていて、初めて隣で地謡を謡いました。

生まれた時から知っている若者と一緒に謡うのは中々感慨深いものがあります。

朝10時から夜18時15分までの盛り沢山な舞台、「東京涌宝会大会」

明後日6月2日、矢来能楽堂にて開催されます。

皆様どうかふるってご来場くださいませ。

山々に守られて

今日は雨のパラつき出した東京を昼過ぎに出て、特急あずさで松本稽古に向かいました。

下諏訪あたりまでは降ったり止んだりだったのですが、トンネルをひとつ抜けて松本盆地に入ると雨は上がっていました。

水の入った田圃に空の薄青色が写って、瑞々しい初夏の風情があります。

松本は山に囲まれているので、雨も雪もその山々に遮られて、ひどくは降らないのです。

数年前の「松本城薪能」でも、台風の接近で舞台中止かと思いきや、ギリギリで天候が持って能「鵺」をなんとか舞えた記憶があります。

実は今年も8月8日に「松本城薪能」が開催予定です。

宝生和英御宗家がシテを勤められる能「紅葉狩」と、私がシテを勤めさせていただく能「経政」が出ます。

今回も天気だけが心配ですが、松本盆地を囲む山々に守ってもらい、なんとか舞いたいと思います。

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第17回関西宝生流学生能楽連盟自演会が開催されました

今日は香里能楽堂にて「第17回関西宝生流学生能楽連盟自演会」が開催されました。

各学校とも稽古の成果を存分に出し切った熱い舞台でした。

天候にも恵まれて、見所には関西宝連各校のOBOGの姿も多数見られて、一日中賑やかな雰囲気でした。

私が見て「これは素晴らしい…!」と感心する舞台がいくつもあり、やはり先生方の確かな稽古が根付いているのだと嬉しくなりました。

先日書かせていただきました京都女子大宝生会の久々の新入生は、「鶴亀」の仕舞を完璧に舞っていて、これまた嬉しい驚きでした。

明らかにセンスの良さが光っていて、今後がとても楽しみです。

京大宝生会の仕舞と謡も普段稽古で見ているよりも本番の方が出来が良く、この調子で全宝連も頑張ってほしいです。

後席の締めには「千秋楽」の謡を皆で謡い、今頃は二次会で盛り上がっている学校もあるかと思います。

次はいよいよ6月29.30日に京都金剛能楽堂にて開催の「全国宝生流学生能楽連盟自演会」です。

ホスト支部としてこれから色々とやる事が増えますが、全国の皆さんと京都で楽しく交流できるように学生も能楽師も一体となって準備を進めて行きたいと思います。