声が大きくなった!

私が学生の稽古をしている時に、一番嬉しいと思うのは、実は学生の謡を聴いて

「声が大きくなった!」

と感じた瞬間なのです。

非常にシンプルなことですが、小さかった謡の声が大きくなっていくのを聴くたびに、しみじみと感動してしまいます。

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私は関東と関西で大学生を教えていますが、コロナがようやく落ち着いてきた秋以降には、以前のように月2回ペースで稽古ができるようになりました。

そして最近、東西それぞれの大学で「声が大きくなった!」と感動した瞬間があったのです。

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先ずは京大宝生会で、11月の自演会に向けた稽古をしている時でした。

今の現役には何人か、元々とても声の大きな学生がいました。

それに比べるとやや声量が少なかった学生が、仕舞のシテ謡で驚くほど大きな声を出してくれたのです。

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周りの大きな声に乗せられて、それまでの殻を突き破った感じでした。

今後さらに声量が増える事を期待しています。

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そして関東では、先週末にあった「関宝連自演会」に向けた稽古でのこと。

江古田稽古場で日本女子大学と國學院大学の学生が合同で素謡「小袖曽我」の稽古をしていました。

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今回の「小袖曽我」では途中でツレ母の長い語りがあり、その中で母が激昂して声が大きくなる箇所があります。

それまでの稽古でも母は大きな声を出せていたのですが、私はあえて

「一番怒っている時の謡の声量を標準にして、そこから更に大きくしていけると良いね」と言ってみたのです。

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すると母の謡が劇的に大きくなって、それにつられるようにシテ十郎とツレ五郎の謡も大きくなったのです。

私は「声が大きくなった!」×3乗の感動を味わうことができたのでした。

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しかし、まだまだ満足してはおりません。今回は本を見ながらの素謡でした。

次回来年6月の「全宝連東京大会」では、無本で、更に大きな声で謡ってもらおうと思っています。

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次回の全宝連は、東西の学生が無本で大きな声で謡を競い合う、熱い舞台になってほしいと願っております。

田んぼの白い鳥

先週文化庁巡回公演で山形県の酒田に行って参りました。

今年2月に続いての2回目の酒田です。

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宿から会場の小学校に向かう途中、バスの車窓から雪と雲を頂く「鳥海山」が美しく見えました。

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雄大だなあと見惚れていると、その手前の水田に白い鳥がたくさんいる事に気づきました。

写真右下の白い点々がそれです。

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最初は鷺の仲間、おそらくチュウサギかコサギだろうかと思いました。

しかしよくよく見ると、サギにしては大きすぎます。

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太った身体に長い首、嘴もサギより太めに見えます。

拡大した画像です。

ボヤけて判りづらいですが、中央上部の個体のシルエットからも、これは「白鳥」だと思われました。

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私はこれまで固定観念で、「白鳥は湖にいる」と思っていたのです。

田んぼにいる白鳥…?と不思議に思いました。

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しかしちょっと調べてみると、シベリアから越冬のために飛来した白鳥達は、水田で落穂を食べる習性があるそうです。

そしてこの庄内平野でもその光景は普通に見られるという事でした。

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それでも何やらすごい新発見をしたような嬉しい気持ちになって、巡回公演の能「黒塚」に臨めたのでした。

今回の公演後の質問コーナーでは、

「ワキの山伏は腰に刀を差しているのに、何故その刀で鬼女と戦わなかったのですか?」という鋭い質問が出ました。

するとシテを演じた楽師が、

「ワキは鬼女に改心して貰いたかったから、怪我をさせないように祈りの力で戦ったのだと思います」

という素晴らしい回答をして、楽屋の皆で感心しました。

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酒田という街は、下の写真のような庄内米の古くて巨大な米蔵が残っていたり、

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“北前船”で財を成した豪商の旧家があったりと、歴史を感じる美しい街でした。

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滞在中ずっと雨模様でしたが、時たま雲が切れると空には虹がかかりました。

今回の巡回公演も素晴らしい経験になりました。関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

蝉丸ゆかりの神社を訪ねて(後編)

前回のブログ更新以降に仕事が立て込んでいて、すっかり更新が遅くなりました。

先週に能「蝉丸」ゆかりの神社を訪ねた時の模様の”後編”をお届けします。

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国道161号線を大津から京都方面に歩いていくと、やがて道端に滋賀県発祥の「飛び出し坊や」が見えてきました。

しかし何か変です…

なんと飛び出し坊やならぬ「飛び出し蝉丸」でした。

そうです。

ここが最初の目的地「関蝉丸神社下社」だったのです。

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関蝉丸神社下社は、参道を京阪電車の線路が横切っているという面白い構造でした。

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境内には、能「蝉丸」にもでてくる”関の清水”

がありました。

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そして参拝を終えて帰ろうとすると…

鳥居の横で蝉丸さんが見送ってくれました。

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「下社」を後にして上り坂の国道を京都方面に少し歩くと、国道161号線はやがて国道1号線と合流します。

道の向かいに紅い鳥居が見えてきました。

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「関蝉丸神社上社」です。

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国道からすぐにかなり急な階段を登っていきます。

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階段の途中の踊り場には「蝉丸」の額が。

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小ぢんまりとした本殿に参拝して、時計を見るとまだ時間に余裕があります。

3箇所目の「蝉丸神社」まで足をのばす事にしました。

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国道1号線をまた京都方面に上っていくと、まずは「逢坂山関趾」の碑を見つけました。

ここを境に国道1号線は京都方面に下っていく道になります。

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この関趾の碑のすぐ先に「蝉丸神社」がありました。

距離感から考えると、蝉丸が捨てられた場所と一番近いのがこの「蝉丸神社」なのではないでしょうか。

この神社も急な階段の上にあります。

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そして立派な舞殿の向こうに本殿がありました。

この本殿の正面に舞殿があるという構造は、実は「関蝉丸神社下社」、「上社」、「蝉丸神社」に共通の構造でした。何か意味があるのでしょうか?

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そしてこの舞殿が、3箇所とも実に「仕舞」を舞うのにピッタリの雰囲気でした。

なので最初の「関蝉丸神社下社」の舞殿で、仕舞「蝉丸」を奉納してしまおうかと本気で思ったのです。

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しかし、舞殿に上がる前に念のため辺りを見廻すと、なんと線路の向こうの日本料理屋さんからこちらが丸見えで、複数のお客さんと目が合ってしまったのです。。

舞わなくて良かったです。

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こうして無事に3箇所の神社に参拝して、京阪電車に乗って逢坂山を後にしたのでした。

もしもまた時間がとれたら、今度は京都側から逢坂山に向かって「逆髪」の気分を味わってみたいと思います。

蝉丸ゆかりの神社を訪ねて(前編)

先日もブログでお知らせいたしましたが、私は12月26日の「第2回七葉會」にて能「蝉丸」のシテを勤めます。

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蝉丸ゆかりの場所が京都と滋賀の境の辺りにあるので、本番までに一度訪ねてみたいと思っていました。

そして今日は、亀岡での稽古の開始が午後からで午前中が空いていたのです。

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今日行こうと思い立ってはみたものの、実は「蝉丸」の名を持つ神社は複数あるのです。

「関蝉丸神社上社」

「関蝉丸神社下社」

「蝉丸神社」

の3箇所です。

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迷った末に、京都から一番行きやすい「関蝉丸神社下社」に先ず行って、時間があれば「上社」と「蝉丸神社」にも足をのばそうと決めて出発しました。

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京都からJRで僅か10分で大津駅に到着します。

駅前の地図の左下の角に「関蝉丸神社」の表記がありました。

駅からの距離は630mだそうです。早速歩き出しました。

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関蝉丸神社下社は国道161号線の側にあります。

大津駅辺りの国道161号線は、古い街道の面影を残す道でした。

そこを歩いていると、気になるポスターが。

蝉丸は芸能の神様として祀られていると聞いてはいましたが、このような”生きた”行事が定期的に開催されているのは素晴らしいことです。

11月7日、行ける人がいたら是非行ってみてくださいませ。

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さらに街道を進むと、今度は気になる「銭湯」を発見。

「小町湯」

という名前を見て、そういえばこの辺りは能「関寺小町」の舞台にもなっていたな…と思い出しました。

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近くには「関寺」の名を冠するトンネルや…

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踏切も。

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「関寺」そのものは残っていませんが、銭湯の近くにその跡と言われるお寺を見つけました。

百歳の老女となった小野小町をシテとする「関寺小町」は、数ある能の中でも秘曲中の秘曲と言われます。

私が舞える可能性は限りなくゼロに近いですが、一応安養寺にお参りしておきました。

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この後いよいよ関蝉丸神社下社に向かうのですが、その模様はまた次回に。

第2回七葉會開催のお知らせ

七人の若手楽師が集まって毎年開催している社中発表会「七葉会」。

その玄人会版が「七葉會」です。

七人それぞれが仕舞、舞囃子、能を勤めます。

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昨年夏に第1回の「七葉會」を開催いたしました。

そしてこの度、「第2回七葉會」を開催する運びとなりました。

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今回は私が能「蝉丸」のシテ逆髪を勤めさせていただきます。蝉丸は亀井雄二君です。

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能「蝉丸」の他の番組は、

舞囃子「融」東川尚史

舞囃子「熊坂」土屋周子

仕舞「歌占キリ」藪克徳

仕舞「網之段」内藤飛能

仕舞「天鼓」高橋憲正

となっております。

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我々七人は仲間であると同時にライバルでもあるので、お互いに競い合い、高め合って少しでも良い舞台にしたいと思っております。

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「第2回七葉會」

水道橋宝生能楽堂にて12月26日(日)14時開演(13時開場)です。

皆様どうかご来場くださいませ。

よろしくお願いいたします。

※文末になりますが、本公演は、公益財団法人 朝日新聞財団さま、公益財団法人文化財保護・芸術研究助成財団さま、より助成を賜りましたこと、御礼申し上げます

いとうせいこうの能楽紀行〜旅する殺生石〜ご紹介

本日10月9日より、「いとうせいこうの能楽紀行〜旅する殺生石〜」という番組が「能LIFE Online」にて動画配信されています。

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「いとうせいこうの能楽紀行」も今回で第4回になり、有り難いことに4回とも私がいとうせいこうさんと共にナビゲーターを勤めております。

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“旅する殺生石”という副題には、複数の意味が込められていると思われます。

「殺生石にゆかりのある土地を旅する」という意味と、

「殺生石になるまでの玉藻前の長い旅路を辿る」という意味です。

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玉藻前の行動範囲はユーラシア大陸から日本まで、そして紀元前1000年頃にはじめて出現してから、その痕跡はなんと3000年後の現代まで残っているのです。

今回の旅ではその時空をまたいだ長大な足跡を辿って、最終的には”殺生石の入手方法”まで紹介してしまいます。

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またこの番組では能楽紀行をご覧いただいた後に、上野能寛くんが演じる能「殺生石」を観ることが出来ます。

皆さま下のURLから「いとうせいこうの能楽紀行〜旅する殺生石〜」をご視聴いただき、スケールの大きな能「殺生石」の世界をどうかお楽しみくださいませ。

よろしくお願いいたします。

https://nohlife.myshopify.com/collections/streaming/products/%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%9B%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%86%E3%81%AE%E8%83%BD%E6%A5%BD%E7%B4%80%E8%A1%8C-%E6%AE%BA%E7%94%9F%E7%9F%B3

4月夜能「杜若」の動画配信

4月になってからは、昨年同様に稽古も舞台もめっきり減ってしまいました。

しかしそれでも全く活動していない訳ではありません。

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動画配信の企画に、ゴールデンウィーク前後にいくつか参加いたしました。

その内で4月30日に収録された「宝生夜能〜語り部たちの夜〜」について紹介させていただきます。

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今回の演目は能「杜若」シテ高橋憲正です。

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番組の最初には、いとうせいこうさんによる「杜若」の現代語訳を、声優の森田成一さんが朗読します。

森田成一さんは能装束を着けて、途中で”物着”を挟んでの長い朗読でした。

場面毎に繊細に変化する声色や、迫真の表現力に圧倒されます。

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そして朗読の後には、

「いとうせいこう能楽紀行〜東下り編〜」

が続きます。

ここに私が解説者として出演しております。

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「いとうせいこう能楽紀行」も3回目になり、私もその撮影スタイルにやや慣れてまいりました。

ただ今回は、4月30日に生放送で配信が始まるという事で、時間を20分前後にまとめる必要がありました。

舞台の前に大きなデジタル時計が置かれて、常に時間を気にしながら話すのは、また違った緊張感がありました。

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能楽紀行に続いて、いよいよ能「杜若」が演じられます。

そして能「杜若」の後には、業平に因んだ演目として仕舞「隅田川」もご覧いただきます。

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更に演能終了後には、宝生和英家元とシテ高橋憲正、声優森田成一さんの鼎談もあり、非常に充実した内容になっております。

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各地で緊急事態宣言が継続中で、活動が制限される日々が続きます。

能楽堂に足を運んで実際の舞台を観るのが難しい方も、是非この機会に動画配信で能楽を多角的に楽しんでいただければと思います。

どうかよろしくお願いいたします。

https://nohlife.myshopify.com/collections/streaming/products/4-30%E9%87%91%E5%A4%9C%E8%83%BD-%E6%9D%9C%E8%8B%A5-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E9%85%8D%E4%BF%A1

新人アナウンサーは…

昨日は水道橋宝生能楽堂にて「月浪能特別公演」が開催されました。

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宝生能楽堂の定例公演では、開演前などにアナウンスが流れます。

携帯電話の電源をお切りいただくことや、様々なコロナウイルス対策など重要な内容のアナウンスです。

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そして昨日、そのアナウンスの声が初めて聴く人のものになっていました。

年度がわりで人も入れ替わったのかな…

と思いながら聴いていたのですが、途中で

「何か聴いたことのある声だな…」

と気が付いたのです。

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放送マイクのある事務所に行ってみると…

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やはりマイクの前に立っていたのは良く知っている顔でした。

幼稚園の時からずっと私が稽古をつけている、大学生の女の子だったのです。

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彼女がまだ幼稚園の時に、この宝生能楽堂で開講された謡曲仕舞教室に自分の意思で(!)入門してきました。

それ以来小学生の頃までは、毎回必ず着物を着て(!)稽古に通ってくれました。

その後も江古田稽古場で中学、高校と稽古を続けて、昨年大学に入学してからは「関東宝生流学生能楽連盟」の一員としても活躍してくれているのです。

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その大学生が新年度からの宝生能楽堂定例公演手伝いのアルバイトに入ることになった、というのは前もって聞いていました。

しかし、バイト初日にアナウンスを任されるとは…

しかも長い原稿を淀みなくスラスラと読んでいて驚きました。

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幼稚園から慣れ親しんだ宝生能楽堂で、おそらく能楽公演も少しは観ることができるであろうこのアルバイトは、正に彼女のために打って付けだと思います。

これから事務所の皆さんや先輩に色々と教わって、長く続けてもらいたいと願っています。

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私にとっては、定例公演のアナウンスを聴くのも楽しみのひとつになりました。

集大成の能「鶴亀」

先日の「第15回澤風会大会」では能「鶴亀」と能「小督」の2番の能が出ました。

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そのうちの能「鶴亀」のシテを勤めた京大若手OBは、今回が初シテでした。

彼は卒業して10年にもならない本当の若手なのですが、この度”教授嘱託免状”をとる事になり、その披露の意味の演能でもあったのです。

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数ある能の中で何故「鶴亀」を選んだのか。

実は彼は、京大宝生会に入部してすぐの”初舞台”が大江能楽堂で開催された「京宝連」での素謡「鶴亀」でした。

更に彼は同じく大江能楽堂での「澤風会」における初舞台も仕舞「鶴亀」だったそうなのです。

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そして今回は能の初シテとして、やはり大江能楽堂で能「鶴亀」を舞う事になったわけです。

初舞台から10年と少しの間、たゆまずに稽古を続けた成果のひとつの集大成としての能「鶴亀」を、彼は堂々と演じてくれました。

若いながら風格のある重厚な皇帝でした。

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またこの能「鶴亀」には曲名にもある”鶴”と”亀”が登場します。

子方が演じる事が多いこの鶴と亀ですが、今回は京大宝生会を今年卒業する4回生の2人に舞ってもらう事にしました。

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この1年はコロナ禍の影響で、学生自演会が軒並み中止や延期になってしまいました。

京大宝生会の最高学年として、2人は本来ならば難しい曲に挑戦したり、沢山の地頭を経験したり出来た筈なのに、結果的に無観客の「冬の関西宝連」だけしか舞台に立てなかったのです。

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現役時代の最後にせめて、お客様の前で華やかな舞台に立ってほしいと鶴亀のオファーを出したところ、2人は快諾してくれました。

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実は京大宝生会の2人にお願いしたのは別の意味もありました。

京大能楽部BOX舞台には能「鶴亀」で使うのと同じサイズの「一畳台」があり、四隅の柱になる棒も完備されています。

そこで稽古すれば、能面をかけての「相舞」も合わせやすいと考えたのです。

ところが…

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今年に入って早々に発令された緊急事態宣言により、京大能楽部BOX舞台が使用禁止になってしまったのです。。

コロナウイルスはとことん意地が悪いと、やり場の無い憤りを感じてしまいました。

しかし鶴亀の2人はその逆境にもめげずに頑張ってくれました。

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自分で公民館などを借りて自主練をして、卒論や卒業研究の合間に澤風会稽古にも頻繁に通ってくれたのです。

大江能楽堂での申合、また当日朝の最後の合わせを経て、相舞のシンクロ率は急速に上がっていきました。

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そして本番では、鶴と亀の相舞もその後の座る場所も、すべて完璧な舞台を見せてくれました。

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シテにとっては初舞台から今までの10年あまりの稽古の集大成でもあり、また鶴と亀の4年間の現役生活の集大成でもあった今回の能「鶴亀」。

この能もまた記憶に残る素晴らしい舞台になりました。

第15回澤風会大会が無事終了いたしました

今から8日前のことになりますが、3月7日日曜日に京都大江能楽堂にて「第15回澤風会大会」を開催させていただきました。

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元々は昨年9月に開催予定でしたが、コロナ禍の影響により半年延期しての開催でした。

今回も様々な感染防止対策を施しましたが、開催から1週間以上が平穏に過ぎてひとまず安堵しております。

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このような大変な時期にもかかわらず、能「鶴亀」と能「小督」という2番の能、また舞囃子、仕舞、素謡に独調という盛り沢山の番組になりました。

能「鶴亀」シテと能「小督」前シテの京大宝生会若手OBはこの度めでたく嘱託免状をいただくことになり、その嘱託披露のための能でもありました。

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今回は大々的に宣伝はいたしませんでしたが、ご家族やお知り合いの方々にたくさんいらしていただき、見所は程よく華やいだ雰囲気でした。

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ご出演いただきましたシテ方と、囃子方、ワキ方、狂言方の三役の先生方、また応援にいらしてくださった見所の皆様、そして毎回感染防止に心を配りながら稽古に励んだ会員の方々に感謝の気持ちは尽きません。

誠にありがとうございました。

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舞台のいつもの緊張感に加えて、コロナ対策の緊迫感もあり、一生忘れられない舞台となりました。

舞台上ではそれぞれが稽古の成果を遺憾なく発揮して、今回もまた熱い舞台でした。

詳しい模様は何度かに分けて書かせていただきたいと思います。