2件のコメント

2年ぶりの新歓ワークショップ

今日は京大能楽部BOX舞台にて、京大宝生会の新歓ワークショップを開催いたしました。

.

事前に申し込みのあった人に限っての参加、人数制限、全員マスク着用と換気の徹底、またアクリル板の使用など、出来る限りの安全対策を施しての開催でした。

.

.

それでも今の状況で果たして参加者がいるのかどうか…?

始まるまで期待と不安が拮抗した気持ちでドキドキしておりました。

.

しかし蓋を開けると、新入生や留学生など10人近い参加者が来てくれて、とても充実した新歓ワークショップをすることが出来たのです。

対面での新歓活動が一切出来なかった去年を思うと、とても大きな成果だと思います。

.

今後もおそらくサークル活動には様々な制限がかかると思われます。

それでも何とかして新しい部員に入ってもらい、可能な方法で稽古を続けていきたいと思っております。

.

.

また今日はとても驚く出来事がありました。

新歓ワークショップの開始前、1人の新入生らしい青年がBOXに入って来ました。そして…

「澤田先生、私は○○と申します」

その苗字を聞いて、改めて青年の顔を見てすぐにピンと来ました。

.

青年のお母様は、私の京大宝生会時代の同期の女性。

そしてお父様は当時の京大宝生会OBだったのです。

卒業後にめでたく結婚されて、2人のお子さんたちと私の舞台を何度も観に来てくれました。

子供達に最後に会ったのは、私の「道成寺」の披きの時でした。

.

そのお子さんが大きくなって今年見事に京大合格し、今日能楽部宝生会の新歓ワークショップに来てくれたという訳なのです。

.

.

時の流れをしみじみ感じると共に、えも言われぬ深い喜びに包まれました。

青年は宝生会への入部はまだ躊躇しているようでしたが、何とか初の”親子二代での宝生会”というのが実現してほしいものです。

新歓ワークショップの成功とともに、とても嬉しい日になりました。

1件のコメント

「養老」の語源は…

今月は文化庁の巡回公演が続いていて、昨日は愛知県豊田市の小学校にて午前午後2回の公演が無事に終わりました。

.

名古屋からバスで公演会場の豊田の小学校に向かう途中に「猿投(さなげ)」という地名があって興味を惹かれました。

由緒ありげな地名を見るとわくわくしてしまうのです。

.

ちょっと調べると、「日本武尊」や「景行天皇」といった能にも登場する方々に由来する地名であることがわかってますます嬉しくなりました。

.

.

そういえば先月の紀伊半島巡回公演の時には、和歌山から奈良に向かう山中をバスで走っている時に、「丁」という地名を見かけました。

古い地名には一文字のものが珍しくないのですが、この時は「え?」と驚いてしまったのです。

.

「丁」という地名の下にローマ字で「YORO」と書いてあったのが、通りすがりの一瞬ですがはっきりと見えたのです。

.

丁と書いて「よろ」。

全く初めて見る読み方です。

これも調べてみると、古代の朝廷に使えて土木作業をしていた人々を「丁(よろ)」と呼んでいたと知りました。

.

さらに驚いたことにこの「よろ」という読み方は、「養老(ようろう)」という地名にも通じているとのことなのです。

能の曲名として今まで親しんできた「養老」

の語源を、紀伊半島の山中で知ることができるとは思いもよらぬことでした。

.

巡回公演はまだ来月まで続きます。

子供達との出会いとともに、初めて行く土地の地名や伝承に触れることも、とても楽しみです。

山形巡回公演

一昨日の月曜日には、文化庁巡回公演で山形県の酒田に行って参りました。

.

山形県は実はこれまでの人生で一度も降り立ったことの無い県のひとつでした。

公演前日の日曜夜に感慨深い気持ちで酒田駅を出ると、最初の感想は「風が強いな…」ということでした。

.

降ってくる雪も、地面に積もった雪も、絶え間なく吹く強風に飛ばされて一緒くたになって舞い狂っているのです。

.

.

公演会場の「庄内能楽館」の周辺には、広大な松の防風林が続いていました。

その松の様子がまた何とも壮絶なものでした。

多くの松が根元から同じ方向に半ば倒れて生えていたのです。

海側から絶え間なく吹きつける強風に晒されて育って来た結果なのでしょう。

.

.

先日の紀伊半島巡回公演とは全く異なる環境でしたが、小学生の子供達はここでも元気でした。

この辺りには「黒森歌舞伎」という民俗芸能が伝わっていて、この小学校の子供達による「少年歌舞伎」というのも行われているそうです。

地域の伝統文化と共に育った子供達は、能楽も眼を輝かせて観てくれました。

.

.

公演後は能楽師皆でバスに乗り、最上川に沿って新庄駅へ向かいました。

車窓からは”風車”が多く見られました。

松を捻じ曲げるほどの強風を、発電に利用しようということなのでしょう。

厳しい環境を逆手に取った、強かな発想です。

.

.

日が暮れて新庄駅に到着すると、雪が激しさを増していました。

「雪の降る街を」という古い歌が聴こえてきそうな、寒さが身に沁みる北国の風景でした。

.

.

余談ですが今回の山形では、食べ物の美味しさに何度も驚かされました。

ホテルの朝食で出た「塩納豆」や本場の「芋煮」は、本当に毎日食べたくなる美味しさなのです。

また最上川を遡上する鮭で作られた「鮭とば」も、これまで食べた鮭とばとは全く別ものの芳醇な味わいでした。

そして何より「お米」と「味噌汁」の美味しさです。

.

山形県はまた度々訪れてみたくなるような、しみじみと良い土地でした。

今回お世話になった皆様どうもありがとうございました。

紀伊半島巡回公演

昨日今日と、文化庁主催の紀伊半島巡回公演に出演して参りました。

.

昨日は和歌山県の有田川に面した中学校での公演、今日は奈良の小学校での公演でした。

.

.

校庭には”登り棒”や”吊りタイヤ”など、私の小学校にもあった遊具が並んでいて、とても懐かしい雰囲気の小学校です。

.

.

そして公演会場の体育館のすぐ裏手には…

能「当麻」に出てくる「二上山」が聳えていました。

来る途中のバスの車窓からは「畝傍山」「耳成山」「葛城山」なども見られて、悠久の歴史を感じる巡回公演になりました。

.

.

今日は私が能「黒塚」のシテを勤めて、終了後には装束のままで子供達からの質問を受ける時間がありました。

過去の巡回公演でも中々に鋭い質問が出て、油断ならないこの「質問コーナー」です。

.

今回もやはり、

「鬼女はいつから”鬼”になったのですか?」

というような深遠な問いがあり、回答に四苦八苦いたしました。

.

しかし、お囃子の体験コーナーでは逆に「小鼓と大鼓の皮の材質は何でしょうか?」というお囃子方からの質問に、

「アルパカ!」

と答えた子供がいて楽屋は静かに爆笑していました。

小学生とは面白いですね。

.

.

今回の巡回公演はやはりコロナ禍の影響で何ヵ所かの公演が無くなってしまいました。

行けなかった学校、会えなかった子供達のことを思うと非常に残念ですが、せめて昨日と今日、ふたつの学校で公演出来たのは大変有り難い事でした。

関係者の皆様誠にありがとうございました。

またコロナが落ち着いたら、今回行けなかった学校でも公演が出来たらと思います。

龍田神社への短い旅

今日は奈良の中学校で能楽教室がありました。

今年はこれまで、能楽教室の予定が軒並みキャンセルになっていたので、おそらく今年最初の能楽教室です。

.

.

昼過ぎに奈良の中学校に到着すれば良い予定でした。

しかし私は今回、宿泊付きの割引ツアーを申し込んだため、東京からの新幹線が早朝便になって朝8時半には京都に到着してしまいました。

3時間ほどポッカリと空いています。

.

「何か有効な時間の使い方は無いだろうか…」

と新幹線の車内で考えて、

「龍田明神にお参りしようか」

と思いつきました。

先月の五雲会で能「龍田」を舞ったので、その御礼参りをしたいと思ったのです。

.

.

ところが「龍田明神」を検索したら、「龍田神社」と「龍田大社」の二つの神社がヒットしました。

両方とも行く時間はありません。どちらにお参りするべきか…。

.

.

更に色々検索して、「龍田神社」には近鉄の「竜田川」という駅で降りてから「竜田川」沿いに歩き、「龍田大橋」を渡ってから「龍田の古い町並」を抜けて到着する事がわかりました。

という訳で今回は「龍田尽くし」の「龍田神社」を目指すことにいたしました。

.

.

京都から1時間ほどで「竜田川駅」に到着。

小さな無人駅でした。

.

.

辺りの町名は「龍田」です。それだけでも何か嬉しい気持ちになります。

.

不動産屋も「タツタ」です。

.

.

更に歩いていくと、いよいよ「竜田川」が見えて来ました。

果たして紅葉が流れていたりするのでしょうか…?

.

.

この続きはまた明日書きたいと思います。

居合女子!

今日は都内の私立女子中学校での能楽教室に行って参りました。

始まってからもう7年目になる能楽教室です。

.

.

各教室に分かれて色々なお囃子や型や謡を体験します。

教室では、掃除の時のように机が後ろに下げてありました。

そしてその机の間に、私は気になるものを見つけました。

.

.

どう見ても、能に使う「太刀」にそっくりなものがキャリーケースに入れて置いてあったのです。

.

そのキャリーケースも、今日の実演曲「船弁慶」の太刀を入れて来たケースと全く同じものでした。

しかし船弁慶の太刀は控え室に置いて来たので、この教室にある筈がありません。。

.

中学校の先生に「あの…この”太刀”は誰のものなのですか?」と聞いてみました。

すると…

先生「ああ、”居合道部”の子がいるのです」

.

なんと、居合に使う刀なのでした。

後で詳しく聞くと、その学校に居合道九段の達人の先生がいらっしゃるとか。

なので、家で親御さんに「クリスマスプレゼント何が良い?」などと聞かれると、

「新しい刀!」

と答える居合女子が沢山いるそうです。。

.

.

150人程の生徒さんは、皆とても熱心に能楽体験をしてくれました。

「この中にいる”居合女子”さん達は、きっと能の型をやっても格好良くきまるのだろうな…能も稽古してくれないかな…」

と思いながら、最後の実演の「船弁慶」を頑張って謡ったのでした。

トンネルを抜けるとそこは…

昨日松本から東京に戻って、国立能楽堂の稽古会にて袴半能「石橋」の地謡を勤めました。

.

そして今日また別の仕事で松本にとんぼ返りしたのです。

ちなみに一昨日のブログに載せた写真がこちら。

塩尻の手前くらいの松本平です。

晴天でした。

北アルプスの上の方だけが雪を被っていますが、平地には全く雪は見られません。

.

.

そして今日、諏訪からトンネルをくぐって松本平に出て、ほぼ同じ位置で撮った写真がこちらです。。

なんと1日で一面の雪景色になっておりました。

このような経験をすると、”自然の力の気まぐれさ”のようなものを改めて実感します。

.

私の乗った特急あずさは雪による倒木の影響で15分遅れで松本に到着しました。

今日はまた一昨日とは別の方々に、能楽の魅力をお伝えして参ります。

能楽を通じて結ばれた御縁

昨日の松本ワークショップはおかげさまで無事に終了いたしました。

.

60人のお客様のうちの多くは、実は見知ったことがある方々でした。

松本澤風会会員さん、そのご家族、そして以前に稽古されていた方、またそのご家族など。

.

それらの皆さんは、10年の時をかけて松本澤風会稽古を通じて御縁が出来た方々なのです。

ワークショップをしながら見知ったお顔、懐かしいお顔を見つけるたびに、感慨深い気持ちになりました。

.

.

ワークショップの途中の休憩時間に、私はひとりの記者の方に声をかけられました。

なんとその記者さんは、8年前まだ稽古を始めて間もない頃に、松本澤風会新年会の記事を書いてくださった方でした。

.

そして当時、その記事をタウン情報紙で読んだ1人の男性が新年会に来てくれました。

彼は私の京大時代の知人で、金春流太鼓を長く稽古している人でした。

そしてすぐに彼が太鼓の稽古場を開設することになり、松本澤風会と密に連携しながら、この8年間で松本の能楽の裾野を広げてきてくれたのです。

.

記者さんは今度は太鼓の稽古場を取材してくださるとのこと、またその記事が元で御縁が繋がっていくと良いです。

.

.

今回のワークショップでは、また新しい方とも何人もお知り合いになれました。

こうして松本で能楽を通じた御縁を広げていって、やがて能楽堂建設へ、さらにこの地が能楽の大きな拠点のひとつになることを目指していきたいと思います。

.

昨日のワークショップに関わった皆様、そしていらしてくださった皆様まことにありがとうございました。

今後もどうかよろしくお願いいたします。

松本能楽堂建設に向けたワークショップ

今日は松本稽古で、今特急あずさで松本に向かっております。

しかし今回は稽古の前にもうひとつ重要な仕事があります。

.

「松本に能楽堂を!」

という悲願を達成するための一歩として、松本城近くの老舗ホテルにて能楽ワークショップを開催するのです。

地元の方を中心に60人ほどの方々が集まると伺っております。

.

.

主催者側は、私以外に「琥珀の会」シテ方囃子方メンバーが地元松本、東京、京都、そして浜松から集合してくれます。

そして松本澤風会で稽古している開智小学校の子供達も、仕舞を舞ってくれるのです。

.

仕舞と舞囃子の実演。

型や謡の体験。

それらを通じて能楽の魅力を発信するだけでなく、

「松本能楽堂建設」に向けたPRをすることが求められる重要なワークショップです。

.

途中の山梨県内は一面の銀世界でしたが、幸いに松本市内は晴天に恵まれました。

60人のお客様の良い反応が得られるように、精一杯勤めたいと思います。

開智小学校能楽教室2019

昨日は宝生能楽堂での「月並能」を終えてから、最終一本前の特急あずさで松本に移動しました。

.

そして今日は朝から「開智小学校」での能楽教室をやって参りました。

朝の1時間目と2時間目を使っての教室だったので、開智小学校への集合は朝7時半でした。

.

能楽教室は例年6年生を対象にしています。

しかし今日は、朝7時半に2年生の男の子がひとりやって来てくれました。

そして紋付袴に着替えて、8時には体育館に行って仕舞の稽古をしていました。

.

彼は6年生全員の前で、能楽教室の冒頭に仕舞「加茂」を舞ってくれることになっていたのです。

.

.

小学2年ながら、稽古年数は3年以上になる男の子です。

大学生でも難しい「加茂」の仕舞を、体育館の横に広い変則的な舞台を一杯に使って、とても頑張って舞ってくれました。

.

その冒頭の仕舞のおかげで6年生の目が舞台に集中して、能楽教室を滞りなく進めることができました。

.

能楽教室には校長先生も見に来られて、

「来年もまたよろしくお願いします」

と仰っていただけました。

.

.

開智小学校では、今3人の生徒が松本澤風会の稽古場で稽古してくれています。

来年夏には、また「松本城薪能」の前座発表会などで小学生3人に頑張ってもらい、開智小学校の先生方や生徒さんたちにも沢山観てもらえたらと思っております。