今日は先月の松本澤風会以来の久々の松本稽古でした。
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いつものように特急あずさで新宿を出て、少しうとうとしたのですが、小淵沢辺りで目が覚めて外を見ると、鮮やかな黄金色が眼に飛び込んで来ました。
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落葉松の黄葉です。
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春の甲府盆地の桃の風景と同じくらい、私の好きな中央本線沿線の秋の景色でした。
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「松」は能楽において最も重要な樹木と言って良いでしょう。
「鏡板」にもなっており、「永遠に緑であること」で「長寿」や「神性」のシンボルとして崇められて来たのです。
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ところが日本で唯一、葉を落とす松の仲間があり、それが「落葉松」なのです。
葉が落ちてしまうのは「松」のイメージとは矛盾してしまうかもしれません。しかし私は紅葉の中でも、この落葉松の少し控え目な色の黄葉が、何とも言えず好きなのです。
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「からまつの林を過ぎて
からまつをしみじみと見き
からまつはさびしかりけり
旅ゆくはさびしかりけり」
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という北原白秋の詩ほど、旅情をかき立てる詩を私は知りません。
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落葉松林の中を孤独に歩く、草履に脚絆、マントを羽織った明治大正時代の旅人の姿が眼に浮かびます。
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茅野から上諏訪辺りまで、この落葉松の風景にしみじみと見入った私は、何とも言えない満足感を抱いて松本駅に降り立ったのでした。
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※このホームページを管理するアプリを最新バージョンに更新したところ、文章の行間を自在に空けることが出来なくなってしまいました。
行間の幅も含めて、私の好みの文章になっていたのですが、暫くは試行錯誤で行間を管理したいと思います。
お見苦しいかと思いますが、暫しの間どうかご容赦くださいませ。