雪の洗礼

年明けからしばらくは東京近郊での仕事が続いていたのですが、今日は今年初めて関西方面に稽古に出ました。

早朝の新幹線に乗ったのですが、名古屋あたりは薄っすらと雪化粧しておりました。

そして関ヶ原あたりでは…

完全に雪景色で、新幹線は徐行運転になりました。

関西初稽古はいきなりの雪の洗礼です。

伊吹山の山頂も鉛色の雪雲の中でした。

今日の新幹線はそれでも15分くらいの遅れで済みそうです。

明日以降は松本稽古や青森稽古など、寒い地域の仕事が続きます。

雪の影響なども考えられますが、自然には逆らえないので、安全第一に移動して稽古したいと思います。

2026年の予定

2026年の色々な予定をお知らせいたします。

先ず今年のシテの予定は、

2月7日(土)能「車僧」七宝会 枚方市芸術文化センター

11月21日(土)能「三輪」宝生会定期公演 宝生能楽堂

以上になります。

また今年の澤風会大会は、
3月14日(土)東京澤風会郁雲会大会 宝生能楽堂 10月4日(日)京都澤風会20回記念大会 大江能楽堂
11月8日(日)松本澤風会大会    深志教育会館
の予定です。

それ以外に

6月6日(土)京都大学宝生会創部70周年記念自演会 大江能楽堂

8月8日(土)9日(日)七葉会 宝生能楽堂

9月23日(祝)自治医科大学宝生会第1回自演会

11月15日(日)七葉會 宝生能楽堂

などが予定されております。


今年も稽古場や能楽堂で皆様とお会いできるのを楽しみにしております。どうかよろしくお願いいたします。

各地での”良いお年を”

今週は各地の稽古場で今年最後の”稽古納め”が続いています。

一昨日の月曜日は松本澤風会の稽古納め。

松本は氷点下−4℃の寒さで、松本駅からの北アルプスも雪化粧でした。

その松本稽古納めで会員さんから”干し柿”をたくさんいただきました。

今年は当たり年でなんと1000個もの干し柿を作られたそうです。

その干し柿を携えて火曜日朝に京都”ゲストハウス月と”さんでの京都稽古納めに移動。

稽古の合間に美味しい干し柿と美味しい烏龍茶をいただきながら、いろんなお話に花が咲きました。

今日水曜日は、江古田で来年3月の東京澤風会郁雲会で出る舞囃子と能の稽古。

こちらの皆様も稽古納めで、私はこの三日間、

「今年も色々とありがとうございました。どうか良いお年をお迎えくださいませ」

というご挨拶を各地で繰り返しております。

「良いお年を」と何度も申し上げていると、年末気分が否が応でも高まって参ります。

明けて木曜日もまた稽古納めがあります。

最後まできちんと稽古して、良い気分で

「良いお年を」と締められるように明日も頑張りたいと思います。

広範囲に離れても

夏にスマホを新しくしたところ、ブログに写真がアップできなくなってしまいました。

何度か試行錯誤してもどうにもならず、困ったなあと思っているうちにカレンダーは早くも12月…。

このままブログが滞ってしまうのも心苦しいので、当面は写真なしの文章だけのブログにさせていただきたく思います。

今年も実に盛りだくさんの出来事がありました。

思いつくままにいくつか書いて参ります。

先ず今年は、「遠くに離れても稽古を続けてくれる人」が多い年でした。

春に自治医科大学宝生会から3人の学生が卒業して、それぞれ秋田、群馬、鳥取で研修医としての多忙な新生活を始めました。

普通に考えれば、全国に散らばった3人が稽古を続けるのは非常に困難です。

それでも、彼らは何とか稽古を続けたいと言ってくれました。

そこで「zoom」を使ってのリモート稽古を提案してみました。

3人の予定が合いそうな週末の夜に、月に一度、1時間ほどzoomに集まって謡の稽古をするのです。

4月から早速始めて、全員揃わない月もありますが今のところ月1回のペースを維持して稽古できています。

仕舞も自治医大宝生会の合宿の時などに集中して稽古して、来年3月の澤風会郁雲会を目指してくれています。

リモート画面上ではありますが、3人が全国から集まって少し近況なども話しながら稽古するのはとても楽しい時間です。

また東京神保町稽古場で稽古していた国家公務員の京大若手OGさんは、夏に青森に転勤になりました。

やはり稽古は難しいと思われましたが、私は一応青森に月に一度稽古に行っておりました。

また青森には私の同期の京大ベテランOGさんもいて、その人が色々手配してくれたおかげでこちらも月1回のペースで稽古が継続できそうです。

更に、神保町稽古場で昨年まで稽古していて、今はオランダで暮らしている京大若手OBさんがいます。

京大宝生会同士で結婚して、奥さんと一緒にオランダにいるのです。

その彼がこの9月に一時帰国した際に、1人の見学者を連れてきてくれました。

何と奥さんの高校時代の同級生だというのです。

驚いて奥さんの方にメールして聞いてみたところ、オランダから早速返信が来ました。

「彼女は中学生の時に”古典芸能への招待”を見ていたそうで、また元弓道部員で体幹も強いので是非にと稽古に誘ってみたのです」

なるほど。

オランダの若手OBOG夫婦は来春帰国予定だそうで、帰国したら一緒に稽古したり舞台で共演するのを楽しみにしているとの事でした。

秋田、群馬、鳥取、青森、さらにオランダ。

これだけ広範囲に散らばった人達と、縁が切れずに稽古を続けていけるのは本当に嬉しくありがたいことです。

こういった縁の繋がりを大切にしていきたいと思います。

桜と桃、そして南アルプス

しばらくブログ投稿をお休みしておりました。

また少しずつ再開したいと思います。

昨日は松本稽古でした。

この時期の特急あずさの移動は車窓からの景色が特に綺麗なのです。

まず東京は桜が満開でした。

これは東小金井あたり。

八王子を過ぎて山間部を縫うように進んでいくと…

やがて甲府盆地が見えて来ます。

この写真、拡大するとピンク色の部分があります。やや右下の部分です。

そう、この時期の甲府盆地と言えば「桃の花」なのです。

菜の花との共演。

盆地全体が桃の花で埋め尽くされた感じで、今年も桃源郷の世界を満喫できました。

甲府を過ぎるとやがて左手に南アルプスの山々が見えてきます。

小淵沢駅からの眺め。

左側に鳳凰三山(地蔵ヶ岳、観音岳、薬師岳)

右側に甲斐駒ヶ岳です。

雪と岩のグラデーションに光が差し込んで、神々しいような美しさでした。

「北アルプスは男性的で南アルプスは女性的」という表現をどこかで読んだことがあるのですが、目の当たりにする南アルプスの山々はとても雄々しく男性的な力強さを感じました。

松本に到着したら北アルプスの風景と見比べてみたい、と思っていたのですが、残念ながら北アルプスは大半が雨雲の中でした。

松本市内を流れる女鳥羽川の桜はまだまだ蕾で、信州の本格的な春はもう少し先のようでした。

桜満開の東京から早春の松本まで、花と山々の絶景を堪能した電車旅になりました。

稽古延長のおかげで

昨日は京都の「ゲストハウス月と」での澤風会稽古でした。

11時頃に始めて、17時頃に終えて東京に戻るだけの予定だったので、割合にゆったりとした気持ちで稽古を進めていきました。

16時半を過ぎて、おそらく今いる人達の稽古で終わりかな…と思いながら謡の稽古をしていた時のことです。

2階の稽古場に上がってくる人の気配がしました。

「この時間に来るのは、おそらく京大OBのV君かな…」

と思っていると、意外にも顔を出したのは先程稽古を終えて帰った筈の京大OGさんでした。

京大OGさん「すみません!御礼をお渡しするのを忘れていました!」

なんと。

次回でも全然良かったのに、律儀に戻ってきてくれるとは。

かえって申し訳なかったと思い、

「わざわざありがとう。せっかくなので、もう一度稽古していきますか?」

そして先程始めたばかりの「楽(がく)」という舞の続きを稽古することにしました。

時間はちょうど17時頃。

今度こそはこの稽古で終わりかな…と思いながら稽古をしていると…

なんとまた階下から上がってくる人の気配が。

そして顔を出したのは、また意外な事にゲストハウスの亭主さんと、外国人のゲストさんでした。

まだ若いゲストさんは、大きな目を好奇心でキラキラ輝かせて、「楽」の稽古を一心に見つめています。

稽古を終えてお話しをしてみると、カリフォルニアから来た方で演劇をやっているという事でした。

「私のやっている演劇とは全く異なる舞台芸術を観ると、世界が広がります!」

なるほど、その通りですね。

そしてまたせっかくなので、OGさんに地謡をお願いして私が「羽衣キリ」の仕舞を舞ってみました。

ゲストさんはやはり目を輝かせて観てくださり、

「あの扇の動きは何を表現しているのですか?」などと益々興味を持ってくださったようでした。

思えばOGさんが律儀に戻ってきてくれなかったら、このゲストさんに会う前に私は帰っていた筈なのです。

これもまた不思議なご縁で、とても嬉しい事でした。

…ちなみに、ゲストさんは全部英語だったので、上の会話はすべて片言の英語と、翻訳アプリを介して行われました。

やはりもっと英語を話せるようになりたいと、痛切に感じたのでした。

美ヶ原は美しかった

先々週の日曜日10月20日には松本市内の「才能教育会館ホール」にて「松本澤風会大会」がありました。

その翌日21日に、松本澤風会会員で山登りのエキスパートのお2人にガイドしていただき、前日の舞台の参加者9人で「美ヶ原高原」に行って参りました。

車でも上の方までいけるようですが、我々は山登りが主眼なのでちゃんと歩いて登ります。

ここから山に入ります。

最初は川沿いの深い森を歩きます。

道端にはリンドウの花。

そして高度が上がっていくと、まだ早いと思われた紅葉もちらほらと。

やがて森林限界を越えて、巨大な岩山が見えてきます。あの岩山の上が山頂のようです。

思ったよりも本格的な山道でしたが、総勢9人で山の話や能楽の話など楽しくお喋りしながら登ったので、それほど疲れは感じませんでした。

2時間ほど登ってようやく「美ヶ原高原」に到着です。

山頂部はとにかく広大な原っぱで、牛が放牧されていました。

日本ではなく、ヨーロッパアルプスあたりのような風景です。(行った事は無いのですが…)

そしてこの日は快晴で空気も澄んでおり、360°どこを見回しても山また山の絶景でした。

八ヶ岳と富士山。

槍穂高連峰。中央が槍ヶ岳です。

中央アルプスの山々。

ちなみに右端が能楽師東川尚史君、左のお2人が松本澤風会の山登りエキスパートです。

他にも浅間山や、北アルプス、南アルプスの山々もくっきりと見えました。

山頂には各放送局のテレビ塔が林立しており、何か宇宙基地のような光景です。

この山頂まで登って、「王ヶ頭ホテル」という四つ星ホテルで美味しいカレーをいただいてから下山しました。(カレーが美味しすぎて、写真を撮る間も無く食べ終えてしまいました…)

下山して見上げた美ヶ原高原。

山上に小さくテレビ塔が見えます。

あそこまで登って、降りてきたのか…と皆それぞれ感慨深い面持ちでした。

今回は朝10時の登山開始から午後2時半の下山まで、終始快晴で絶好の眺望に恵まれました。

おそらく今後再び美ヶ原高原に登っても、今回程の絶景は見られないかと思われます。

全員の思い出に残る素晴らしい山行でした。

松本澤風会の山登りエキスパートのお2人に、心より感謝申し上げます。

(写真は私が撮影したものと、参加者Nさん、Yさんが撮影したものです。NさんYさんありがとうございます)

6年ぶりの新入会員さん!

今日の京都はまだまだ大変な残暑で、最高気温35℃という事でした。

その苛烈な残暑の中、大山崎稽古場に向かいました。

「大山崎澤寳会」という稽古場の名前は、稽古会場である「宝積寺」からとられていて、私がまだ内弟子の頃に一番最初に出稽古を始めた場所なのです。

もう20年以上の歴史があります。

(現在は宝積寺が改修工事中で、長岡京駅前の公民館で稽古しております)

しかし当初10人以上いらした会員さんも年々高齢化などで減っていき、最近では3人でかろうじて稽古を続けておりました。

その「大山崎澤寳会」に、実は今日6年ぶりの新入会員さんが来てくださいました!

辰巳満次郎師のお力添えで、大山崎近辺で稽古に興味がある方を探した結果、まず最初の1人が今日いらして下さったのです。

久々の女性会員さんという事もあり、稽古場がパッと華やいだ感じがしました。

これをきっかけに、大山崎澤寳会に更に人が増えていくと有り難いです。

そして午後からは亀岡稽古場に移動しました。

稽古場の建物の入り口近くにある「フジバカマ」という植物の前を通ると、もう一部が開花していて嬉しくなりました。

秋になるとアサギマダラという蝶が、日本の高原地帯から旅立って、この花の蜜を吸いながら遠い南国まで渡っていくのです。

この厳しい残暑では”秋”という言葉はなかなか思い浮かばないのですが、花は確実に季節が秋へと移っていくのを教えてくれます。

あと2〜3週間もすると写真のフジバカマの花にアサギマダラがやって来る事でしょう。

今日は大山崎でも亀岡でも嬉しい事があり、良き一日になりました。

現場主義の玄翁和尚

昨日の神保町稽古には、山形県新庄の曹洞宗のお寺で僧侶をしている京大宝生会若手OBが久しぶりに来てくれました。

謡稽古は「殺生石」で、いつも曲の解説資料を作って来てくださる会員さんに今回も解説をしていただきました。

それを聞いてちょっと驚いたのが、ワキの「玄翁和尚」が”曹洞宗”の高僧だったという事です。

たまたま今回来てくれた京大OBと同じ宗派だった訳です。

解説も会員さんと若手OBが交互にする形になりました。

会員さん「玄翁和尚は、總持寺の”峨山禅師”に入門して、”二十五哲”の1人と数えられた偉い僧侶です」

おお成る程。

若手OB「でも…」

ん?

「実は總持寺から”出禁”になった事があるんですよね」

何と!それは一体なぜですか?

「玄翁和尚は、總持寺の経営に参画する立場だったのに、總持寺にはあまり寄り付かずに、諸国を巡って布教活動ばかりしていました。

それで、玄翁さんが亡くなった後に、厳密には玄翁和尚の弟子達が一時期總持寺から出禁をくらってしまったのです」

成る程。事務的な仕事よりも現場で働く方が好きな人だったのですね。

何となく玄翁和尚への好感度が増しました。

若手OB「殺生石以外にも、北は秋田から南は鹿児島まで、玄翁和尚が”悪龍”を退治した、というような伝説は多く残っています」

それはまた興味深いです。

今後どこかの土地で玄翁和尚の足跡を見つけることができるかもしれません。

また移動の楽しみがひとつ増えました。

太陽が戻ってきました!

今日は関西紫明荘組の稽古でした。

そして今日は稽古場に着く前から、とても楽しみにしていることがありました。

稽古場に到着すると、

「先生!どうもお久しぶりです!」

元気なお声で、満面の笑みのその会員さんは、しかし2年と少し前に大きな病気になって、それからずっと稽古はお休みでした。

辛く長い治療を見事に乗り越えられて、今日が2年と少しぶりの復帰の稽古だったのです。

去年後半から先ずはリモートの謡稽古から再開されて、月2回のリモート稽古で徐々に元気を取り戻されている様子がわかりました。

そして今日、満を持して稽古に来られたお姿は画面越しよりもずっとお元気で、しみじみと良かったと思いました。

仕舞はとりあえず「右近」を稽古しました。

1回目はまだ感覚が戻りきらないように見えましたが、2回目の舞はもう滑らかな動きで、これならすぐにもっと難しい曲に移行できそうです。

元々が人一倍元気で太陽のような方です。

今日の稽古場は正に太陽が戻ってきたように、皆さん明るく嬉しそうな雰囲気でした。

心強いメンバーが復帰されて、秋の澤風会京都大会に向けて勢いがついた気がいたします。