羽衣6号に乗って

昨日は上の写真までブログに載せました。

その後飛行機は定刻18時15分に離陸したのですが、松本空港は「信州スカイパーク」という広い公園に隣接しており、犬の散歩をする人や子供達が離陸する飛行機にしきりに手を振ってくれて、何だか温かい気持ちになりました。

飛行機は松本平をぐるりと旋回しつつ高度を上げていきます。

北方から望む松本平です。

松本城や、遠くには富士山(画像の左上あたり)も見えてテンションが上がりました。

そしてちょっとだけ仮眠を…と思ったらすぐにもう着陸体制に入り、

1時間もしないうちに眼下には瀬戸内の島々が。

定刻よりも早い19時05分には、もう神戸空港に到着したのでした。

稽古には余裕を持って行くことが出来て、乗り換えチャレンジ大成功でした。

そしておまけのようなお話ですが、途中の機内アナウンスで、

「この飛行機は”羽衣6号”と名付けられております」

と流れて驚きました。

“羽衣6″とはバーチャルアイドルグループの名前らしいのですが、舞台から稽古に移動する能楽師が乗る飛行機が”はごろも号”とは何だか出来過ぎのような気がいたしました。

曇天の松本城にて

今日の松本は、午後に降った雨が夕方に上がると少し涼やかな空気になって、東京や京都の猛暑に比べるととても過ごしやすく感じました。

久しぶりに松本城にやって参りました。

流れる雲の下の天守閣は、また迫力が増して良い眺めです。

天守閣前から「二の丸御殿跡」に移動します。

この二の丸御殿跡に、8月8日には特設舞台が作られて「松本城薪能」が開催されるのです。

今年の松本城薪能では宝生和英御宗家の能「紅葉狩」が演じられ、私も能「経政」のシテを勤めさせていただきます。

入場無料ですので、皆さま是非お越しくださいませ。

情報は以下にリンクを貼っておきます。

https://www.matsumoto-castle.jp/topics/6883.html

仙台の茶豆!

今日は青森から仙台稽古に移動しました。

仙台では稽古の前によく立ち寄るマーケットがあります。

仙台駅近くの巨大なアーケード街にある、

「みやぎ・みちのくカイタク市場」

です。

店内には東北の様々な名産品が並んでいて、見て回るだけで楽しい旅行気分が味わえるのです。

「三陸牡蠣カレー」や「バターチキン風ホタテカレー」などは安くて非常に美味しく、これまでに何度も購入しました。

そして外には生鮮野菜が並んでいます。

どれもお安いですね。

そして目についたのが…

私の大好物である「茶豆」でした!

「めっちゃ甘くて香りが豊か‼︎」

と書いてあり、これはもう…

即買いです。

今は帰りの新幹線なのですが、帰ったら遅めの晩御飯で早速茹でていただきたいと思います。

楽しみです…!

夏の始まり

今朝起きると、東京は天気予報通りの強い雨でした。

私の自宅は地下鉄日比谷線三ノ輪駅から徒歩2分なのですが、昼頃に家を出てから2分で傘があっと言うまにぐしょ濡れになって、三ノ輪駅に到着しました。

しかしこの先は傘はいらない道中なのです。

上野駅から東北新幹線に乗り、一気に青森まで。

新青森駅で東北新幹線を降りると、ムワッとする熱気が身体を包みました。

大雨の東京とは打ってかわって、青森は今日最高気温30℃の夏の陽気だったようです。

夜7時を過ぎてもまだ日が残っており、ついこの前まで肌寒い思いをしたのが嘘のようです。

青森稽古場ではまだ冷房が使えなくて、仕舞稽古をすると皆さん汗をかいておられました。

もちろん私も舞っていると暑さを感じて、今年もまた文字通り稽古や舞台に”汗水を垂らして”取り組む夏がやって来たのだと実感したのでした。

3日分歩きました

普段から歩ける限りは徒歩で移動するのを心がけています。

今はちょうど暑くも寒くもないので、歩くには絶好の季節です。

しかし一昨日の松本、昨日の青森と強い雨に降られてほとんど歩けませんでした。。

今朝は青森の宿を出ると雨が止んでいたので、3日分を取り戻そうと、思い切って青森駅から新青森駅まで歩いてみました。

およそ1時間の距離です。

新青森から仙台に移動して、仙台駅から稽古場の東北大学近くの公民館までも往復歩いたので、月曜火曜を足したよりも長く歩けて大満足でした。

途中で紫色の綺麗な花を見かけて、ラベンダーかと思って調べたらどうも違うようでした。

人の家のお庭に咲いていたので写真も撮れず…

色々調べて近そうなのが、

「セイヨウジュウニヒトエ」

という花でした。

確かに紫色の派手な見た目は、「十二単衣」を西洋風にした感じでした。

今度見かけたら何とか写真を撮ってみたいものです。

明日からは暫し東京なので、初夏の都内をどんどん歩こうと思います。

本物の松尾芭蕉はどれ…?

松尾芭蕉が「奥の細道」の旅へと出発したのは、元禄2年3月27日、新暦に直すと1689年5月16日のことです。

つまり今月は芭蕉が奥の細道へと旅立った月でもあるのです。

そしてその出発地点は私の東京三ノ輪の自宅から程近く、辺りの日光街道沿いには「松尾芭蕉」の像や絵が幾つも点在しています。

以前からそれらの像の横を通る度に思っていたのが、

「どれが本物の松尾芭蕉に一番似ているのだろうか」

ということでした。

何しろそれぞれの像が全く違う個性を持っているのです。

例えば、南千住駅前の銅像はこんな感じ。

そして北千住に近い旧日光街道沿いの木像は、

こんな感じです。

この2つはまだヒョロリと痩せている所など共通点が多いのですが、足立市場近くの石像は…

ふっくらして全然違うイメージです。

この石像が旅立ちの時点で、旅を続けていくうちに痩せていったとか…?

そして隅田川にかかる「千住大橋」の下には、芭蕉が船から上がっていよいよ奥の細道に出発する時の絵が描いてありました。

これまた先ほどの3体の像とはちょっと異なる風貌です。

しかしこの絵、実は松尾芭蕉を敬愛して奥の細道を実際に辿って旅をしたという「与謝蕪村」が描いた芭蕉の肖像なのです。

芭蕉と蕪村は時代も近いし、これはこの絵の「芭蕉」が一番本物に近いのかも…と思いました。

新作能「松尾芭蕉」ができたとしたら、どんな能面が似合うのでしょうかね…?

大仁稽古場への坂道

今日は伊豆の大仁稽古でした。

大仁稽古場へは、伊豆箱根鉄道の「田京」という駅を降りて、東へ向かって山を登って行きます。

中々の急坂です。

途中で振り返ると…

伊豆長岡の「葛城山」が見えます。

ロープウェイもあるこの山は、御釈迦様が寝ているようにも見える事から「寝釈迦山」とも呼ばれるとか。

坂道自体は車道ですが、道の両側は緑に覆われており、鶯の囀りや蛙の合唱を聴きながら登っていくのは「放下僧クセ」のような風情でとても良い気分です。

遠くには薄っすらと富士山の影も見えます。

この急坂を10分程登ると稽古場の公民館があります。

急坂の先の稽古場と言えば「大山崎稽古場」の「宝寺」に向かう坂道が思い出されます。

(2017年2月20日のブログにこの坂道の事を詳しく書きました)

しかし実は宝寺は現在本堂などの改修工事中で、もう1年以上あの長くて急な坂道を登っていないのです。

何かちょっと寂しい気がして、早くまたあの急坂を登って大山崎稽古に行きたいと願っております。

みかん色の街

昨日今日と「松山城二ノ丸薪能」に出演するために愛媛県の松山に行っておりました。

愛媛県と言えばなんと言っても「愛媛みかん」が有名ですが、松山市内はこの「みかん」の色で溢れていたのです。

バスも”みかん色”

路面電車も…

普通の電車も全て”みかん色”で統一されています。

ゆるキャラも、みかんと犬が合わさった「みきゃん」です。

最近は「こみきゃん」や「ダークこみきゃん」など、キャラが増えてきたようです。

そして食べ物では…

空港の売店で見た「みかんごはん」が衝撃的でした。

ちょっと怖くて買えませんでしたが…

しかし、「愛媛みかん」そのものはやはり美味しいです。

今朝空港で飲んだ100%オレンジジュースは本当に美味しくて、普段ほとんどオレンジジュースは飲まない私が思わずおかわりしてしまいました。

ここまで名産品のカラーにこだわる街も珍しい気がします。

松山もまた面白い街でした。

やはり「みかんごはん」買えば良かったか…

2024年松山城二ノ丸薪能

今日は「松山城二ノ丸薪能」に出演して参りました。

6年前の2018年5月10日のブログに前回の二ノ丸薪能の事を書いておりますので、あれから6年ぶりの松山という事になります。

薪能の舞台はやはり滴るような新緑と重厚な石垣を借景にした、非常に趣きのあるものでした。

舞台の前に天守閣も見に行きました。

司馬遼太郎が、四国最大の城でありながら辺りの風景が優美なために厳しく感じられない、と書いているように、何処となく安心感を与えてくれるような落ち着いた城構えでした。

お城周辺には何故か猫がたくさんいて、薪能の間にも「ニャア」という声が微かに聞こえてきて、それも何か優しい感じがしました。

伊勢神宮の舞楽

今日は久々に仕事で伊勢神宮に行って参りました。

実はこの書き出しは、丁度6年前の2018年4月29日の「伊勢神宮の舞女さん」というブログの書き出しと全く同じなのです。

その時は、神楽の時に「舞女」さん達が三宝などを神前に御供えする動きに感銘を受けたという事がブログに書いてありました。

今回も同じように神楽を拝見しました。

やはり「舞女」さん達の作法や、「倭舞」という4人での舞は見事でした。

しかし今回の神楽で特に「これはすごい!」と思ったのは、男性が面をつけて舞う「舞楽」でした。

緑色の面に、黄色を基調にした装束だったと思います。

舞楽の知識は何も無いのですが、舞人の足運びや、浮き沈みする動き、面をかけているのを感じさせないスムーズな移動などを見て、この舞人は名手だろうと確信しました。

後で調べると、今日の舞楽は「高麗楽(こまがく)」を伴奏とする「納曽利」という舞楽だったようです。

動画もいくつか見つけたのでまた見てみようと思います。

そして今日改めて気がついた事がありました。

「倭舞」も「納曽利」も、神様に向けて奉納されるので我々参拝者は舞の大半を”後ろ姿”しか見られない事になるのです。

それでも演者の力量によって、後ろ姿だけで「上手いなぁ」と感じさせる事ができるのです。

能楽もその昔は同じように、見所は横と後ろにしか無かったそうです。

その時代の観客は、今日の私のように”後ろ姿”に感銘を受けたのでしょう。

またもう一つ、「倭舞」も「舞楽」も、参拝者がどんなに感動しても”拍手”をする事はありません。

もちろん神様も拍手はされないわけで、あれだけの技芸を見せた舞人達が、喝采を受ける事なく静かに退場していくのもまた神楽の潔さ、美しさだと感じ入ったのでした。

拝見する度に違うところに感銘を受ける伊勢神宮の御神楽です。

またいつか拝見するのを楽しみにしたいと思います。