ウィスコンシン州と言えば

一昨日のブログで書いた留学生さんが、その後めでたく京大宝生会に入部してくれたと聞きました!

アメリカのウィスコンシン州の出身だそうです。

ウィスコンシン州と聞いて私が真っ先に思い浮かべたのが、

「大きな森の小さな家」(ローラ・インガルス・ワイルダー作)

という小学生の頃に愛読していた本です。

ウィスコンシンの大きな森の中で暮らすインガルス一家の物語で、西部開拓時代のアメリカの自然や生活が生き生きと描かれた名著です。

私はその後の何冊かの続編も全部読みました。

しかし、留学生さんにその本の話をしてもあまり良く知らないようでした。

考えてみれば「大きな森…」は今から150年ほど前のお話で、日本で言えば明治時代頃のことなのです。

留学生さんには今のウィスコンシンの話を色々と聞いてみたいと思います。

そしてせっかくなので「大きな森…」の本もどこかで探して読み直してみたいものです。

遠くアメリカはウィスコンシン州と繋がったご縁を大切に、留学生さんには楽しく京都の生活を送ってもらいたいと願っております。

留学生がたくさん

今日は京大宝生会の通常稽古でした。

新歓期は通常稽古でも新入生が見学に来ます。

今日は千葉県出身の新入生が来てくれました。

新入生に色々説明していると能楽部BOXの扉が開いて、新たに数人の人影が見えました。

なんと先週ワークショップに参加してくれたアメリカはウィスコンシン州からの留学生が、お友達を2人連れてまた来てくれたのです。

2人はやはりアメリカの、ミネソタ州とアリゾナ州からの留学生で、今日の稽古は俄かに国際色豊かになりました。

稽古後の晩御飯はアメリカンダイナーは避けて、アットホームな雰囲気の町中華に行きました。

留学生達も楽しそうに盛り上がっていて、何となくこのまま入部してくれそうな気配もありました。

私は晩御飯の後は宿に向かいましたが、学生達はまたBOXに戻って稽古の続きをしているはずです。

もしかしたら初の新入部員が誕生しているかもしれません。

学生からの続報を楽しみに待ちたいと思います。

希望に満ちた出発

春は色々と移動の季節です。

先日ブログに書いた松本で稽古していた女の子は、留学先のカナダに先週旅立っていったそうです。

また京大宝生会OGの1人は、やはり留学でオランダに一昨日出発したと聞きました。

カナダもオランダも距離的には遥かに遠いのですが、何故か別れの寂しさはほとんどありませんでした。

どちらも自分の意志での留学で、希望に満ちた出発だったというのがひとつ。

また現代では海外ともビデオ通話が容易であり、コロナ禍も明けたので、来年以降くらいにカナダやオランダに行って能楽公演、というのも可能なのです。

翻って今稽古している能「昭君」では、子方の王昭君は心ならずも遠い異国に旅立つ事になり、嘆き悲しむ両親と二度と会う事もなく異国の地で悲劇の生涯を終える事になるのです。

能には理不尽な話が多くありますが、この「昭君」を稽古していると、現代日本に生まれた自分の幸せをしみじみと感じてしまいます。

先ずは留学した2人の海外での活躍を祈りつつ、出来る事ならカナダかオランダでの再会を願っております。

最近の若者は…

京大宝生会の若手OBOGの中には、御囃子を何種類も習っている強者が何人かいます。

それぞれ上手にこなしているので、笛や小鼓が芸大時代に全く鳴らなかった私は、すごいなあ羨ましいなあと思って見ていました。

昨日の京大宝生会新歓ワークショップの時の事です。

最後に新入生達に舞台に上がってもらい、能面や御囃子の楽器を自由に体験してもらいました。

その時間も終わって、後片付けをしながら残った現役数人が楽器の体験を始めました。

私も能面などを片付けながらそれを聴くともなく聴いていました。すると…

「オヒャライ ホウホウヒ」

という若手OGの笛の音の後に、2回生の1人が

「オヒャライ ホウホウヒ」

と繰り返しているのですが、それが大変滑らかな笛なのです。

ちなみにその2回生は笛を吹くのは初めてです。

なんと15分くらいの間に、「中之舞」の笛をほぼ全部吹けるようになってしまいました。

若手OGも驚いた様子で、

「笛を習いたくなったらいつでも言って!この笛は預けておくから自由に吹いて!」

と笛の稽古を勧めていました。

よく言われる「最近の若者は…」

というフレーズは大抵ネガティブな意味で使われますが、昨日の私は

「最近の若者は…すごいなぁ」

と心から感心したのでした。

2024年京大宝生会新歓ワークショップ

今日は2024年京大宝生会新歓ワークショップの日でした。

昨年の新歓を成功に導いた若手OBOG達が、夕方になると今回も続々と能楽部BOXに集まって紋付に着替えていきます。

今年はそれに加えて、昨年入部した新2回生6人もほぼ自分で紋付を着付けられるようになり、先輩として初の新歓ワークショップに臨みました。

舞囃子「男舞」、舞囃子「草紙洗」、舞囃子「船弁慶後」

という番組のうち、「草紙洗」はシテも地謡も全て2回生で勤めました。

また囃子の解説でも、太鼓を稽古し始めた2回生が頑張って実演したり、今年はOBOGと現役の総力を結集した新歓ワークショップになりました。

終了後には参加してくれた8人の新入生とともに百万遍で晩御飯を食べました。

アメリカのウィスコンシン州からの留学生や、宝生能楽堂のインターンシップ経験者など、多彩なキャラの新入生達がやはり多彩な話題で部員達と盛り上がっていました。

今年は来週ももう一度新歓ワークショップを開催する予定です。

なんとか多くの新入生を迎えたいと願っております。

2024全宝連のお知らせ

「全国宝生流学生能楽連盟自演会」略して、

「全宝連」京都大会が来る6月29日(土)30日(日)に京都金剛能楽堂にて開催されます。

2日目30日の午後3時からは、

鑑賞能「鞍馬天狗白頭」シテ宝生和英ほか

が演じられます。

この「全宝連京都大会」と鑑賞能「鞍馬天狗白頭」に関して、宝生和英御宗家に京都の学生がインタビューをさせていただきました。

その動画が下記URLよりご覧いただけます。

鑑賞能チケットは今月27日の「七宝会」などでご購入いただけます。

皆様どうかインタビュー動画をご覧いただきまして、奮って全宝連及び鑑賞能にお越しくださいませ。

どうかよろしくお願いいたします。

https://twitter.com/zenkoku_hosho?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

新歓の出足は…

今日は新年度初めての京大宝生会稽古でした。

今日はまた京大入学式の日でもあります。

入学式当日にサークル見学に来る人などいないだろうと思われるでしょうが、去年はいて、その人がちゃんと入部して今や部長をしているのです。

今年もそんな人がいると良いな…と思いながら能楽部BOXに到着しました。

2回生を中心に部員達がビラ配りに行こうとしています。

私も手伝おうかと思っていると部長さんが、

「あっ!今新入生からLINEが来て、これから見学に来たいそうです!」

なんと!

到着から30分ほどで、早くも今年最初の新入生が見学に来ることになったのです。

ドキドキしながら新入生を迎えて、自己紹介などしていると、ビラ配りに行っていた4人の部員達が2人ずつ帰って来ました。

なんと驚くことに、それぞれ新入生を連れて帰って来て、新入生は合計3人になりました!

3人ともなかなかに個性的です。

「高校では部活を8つ掛け持ちしていました」という人や、

“ブリッジ姿勢”で入学式記念写真を撮っていた人、

また雅楽を小学校からずっとやって来た人、

などなどです。

稽古を見学してもらった後に、新歓時期にいつも行くアメリカンダイナーに皆で行って晩御飯をにぎやかに食べました。

新入生達は学部や出身地などで現役やOBOGと繋がりも多く、早速授業の取り方などの情報交換も行われていました。

今年の新歓もいよいよスタートです。

出足は好調なので、これから色々な新歓企画でさらに盛り上げて多くの新入生に来てもらいたいと思います。

お囃子の稽古も

今回の京大宝生会合宿では、謡と仕舞の稽古はもちろんの事、「お囃子」の稽古も積極的に行われていました。

太鼓を習っている一回生は「西王母」の太鼓を、小鼓を習っている一回生は「船弁慶クセ」を、夜が更けた合宿所で熱心に稽古しています。

OBの中に囃子を全部習っているという強者がいて、そのOBが「カシラの右手はこう」とか、「クセ止めの手はこんな感じで」とか丁寧に教えてくれていました。

まだ習い始めて間も無いはずなのに、太鼓も小鼓もとても良く打てています。

もうすぐ始まる新歓では、これらのお囃子も披露される事になります。

昨年の新歓は若手OBOG達の大活躍で大勢の新入部員に恵まれましたが、今年はその新入部員達も新歓をする側になり、去年よりも層が厚くバリエーションに富んだ新歓企画が色々できそうで、とても楽しみです。

ちなみに稽古ではありませんが、大鼓を習っている一回生は「指皮」という大鼓専用のプロテクターを和紙で作る作業を、やはりOBに習いながら熱心にしていました。

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“サカ盛”って誰ですか?

今日は京都大原の京大宝生会春合宿にやってきました。

いつもの合宿所の「民宿きつね」には、一回生6人を始め若手OBOGもたくさん集まって賑やかな様子でした。

昨年は人が少なかったので、有り難いことです。

合宿も終盤にさしかかり、皆それぞれ声が枯れ気味で膝が痛そうです。

それでもやはり今年の一回生の熱心さは規格外で、昨夜などは午前1時頃まで謡の稽古をしていたそうです。

その時の面白エピソードを晩御飯の時に聞きました。

昨夜の日が変わった頃に、合宿所の2階で一回生女子と若手OGが「敦盛」の謡を鸚鵡返ししていたそうです。

その部屋に一回生男子が入ってきました。

OGが「1階では何をしているの?」と聞くと一回生男子は、

「一部は”藤”の鸚鵡返しをしていて、一部は酒盛りしてます」

すると一回生女子が、

「え、”サカ盛”?それどんな曲?」

…どうやら敦盛の親戚の”酒盛”さんだと思ったようです。

全てが能に関わる単語に変換されるとは、ある意味見上げた姿勢だと思います。

今夜も私のすぐ横では一回生男子とOBの「嵐山」の熱い鸚鵡返しが行われており、まだまだ稽古は続いていきそうです。。

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草之神舞での”再会”

昨日の名古屋「桃華能」での事。

初番の能「右近」の後シテの舞は、藤田流の笛で「草之神舞」という珍しい舞でした。

初段オロシの足拍子を踏む所の笛がやや難解で、申合で何気なく聴いていてそこでハッとしました。

数年前の学生の「全宝連名古屋大会」を思い出したのです。

その「全宝連名古屋大会」は昨日と同じ名古屋能楽堂で開催されて、京大宝生会から舞囃子「右近」と舞囃子「敦盛」が出たのです。

私はその時に初めて藤田流では右近が「草之神舞」になる事を知り、音源を入手して何とか学生稽古をしたのを覚えています。

そして昨日の「桃華能」本番でもまた「草之神舞」を聴いたのです。楽屋で一緒にいた若手楽師に話しかけてみました。

その若手楽師は、名古屋の大学のサークルで宝生流の能を始めて、卒業後に東京芸大に入りなおして能楽師の道を歩んでいるという、私とちょっと似た経歴の持ち主です。

今は宝生能楽堂に住み込んで家元の内弟子として修行中なのです。

彼に「草之神舞は、前に京大宝生会が全宝連で舞囃子右近を出した時に初めて勉強したんだよね」と話したところ、

「あ、その時は京大さん右近と敦盛の舞囃子でしたよね。私その時に竹生島の舞囃子をさせていただきました」

なんと!

その舞囃子「竹生島」は私も覚えていました。

しかしそのシテが彼だったとは、今まで全然知らなかったのです。

いつも宝生能楽堂の楽屋で会っている彼なのですが、何だか懐かしい人に再会したような不思議な驚きを感じたのでした。