2018能と狂言の会、無事に終了しました

今朝から開催された京大能楽部「能と狂言の会」はおかげさまで無事に終了致しました。

心に残ったことをいくつか。

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最初の方に宝生会の全体素謡「経政」があり、金剛会の仕舞1番を挟んですぐに宝生会の1、2回生素謡「土蜘」がありました。

この2曲はどちらも無本でした。

「経政」は能地そのままなので、さすがの安定感でしたが、1、2回生はそのすぐ後の「土蜘」を良く頑張ったと思います。

地頭の声によく合わせて、役もそれぞれ大きな声で、とても好感の持てる謡でした。

長時間の正座も問題無く、皆無事に立って帰っていました。

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途中大阪大学喜多会と、京大観世会の招待仕舞がありました。

宝生流、金剛流と合わせて4流の仕舞を比較して見られたのは中々面白かったです。

作法なども、流儀によって主張が微妙に違うのがわかりました。

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宝生会の仕舞では、やはり自分に合った大きさの紋付袴で舞うのが良いと改めて思いました。

前回の舞台で長い袴だった部員が、丁度良い丈の袴で舞っているのを見ると、実力も数段上に見えました。

部員全員が、自分に合った紋付袴を何とか見つけてもらいたいものです。

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宝生会最後の演目は舞囃子「花月」でした。

辰巳家から拝借した”羯鼓”をシテに付ける時、紐を結ぼうと袴の背板を少しめくったところ、背板に「芳」というネームが入っていました。

この袴は小川芳先生からいただいたものだったのですね。

そして”羯鼓”の箱には、「平成8年倉本雅」と書いてありました。

小川先生の袴をはいて、倉本先生が寄贈された羯鼓を付けて、シテ4回生Nさんは現役生活の集大成である舞囃子「花月」を小気味よく元気一杯に舞ってくれました。

小川先生や倉本先生もきっと喜んでくださったと思います。

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他にも印象に残る仕舞がいくつもあったのですが、全部は書ききれないので、これから信州料理屋”お狩場”で始まる後席で直接彼らに話そうと思います。

本日の仕事終了しました

今日は水道橋宝生能楽堂で月並能があり、その前後に別の仕事があって、最後の仕事が先ほど終わりました。

明日は朝に東京を出て、京大「能と狂言の会」に行って参ります。

短いですが、本日はこれにて失礼いたします。

同時に稽古を始める利点

今日は亀岡稽古でした。

もう花はあまり無かったので、稽古の話をさせていただきます。

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亀岡稽古場ではこの1年ほどの間に、仕舞を稽古する人が随分と増えました。

特にこの10月と11月の2ヶ月間には、全く初めての方が3人、久々に稽古を再開される方が1人の合計4人が一気に仕舞稽古を開始されたのです。

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皆さん謡はベテランの方ばかりで、仕舞の地謡も経験しておられます。

なので舞台慣れしておられるのか、意外なほどすんなりと「構え」や「摺り足」をされて驚きました。

(流石に「まわり返し」や「行き掛かり」では苦労されていましたが…)

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同時に何人もが仕舞稽古を始めることには、いくつかの大きな利点があります。

①自分の稽古の前後に、他の人が同じ仕舞を稽古するのを見られるので、1回の稽古で2〜3回分の効果がある。

②なかなか自分では出来なかった型でも、人が直されているのを見ると不思議に良くわかることがある。

更に、

③自分と同じ苦労をしている人を見ると、何となく励みになる。

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これは京大宝生会の新入生達を毎年見て来て感じた経験則です。

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ともかく、今年9月の京阪神巽会では謡だけの出演だった方々が、おそらく1年後の京阪神巽会では揃って、急成長した仕舞を見せてくださることでしょう。

同時に始めた方々が、切磋琢磨してどのように伸びていかれるのか、今後がとても楽しみです。

少しでも直すと…

今日の京大稽古は、来週月曜日の11月12日に迫った自演会「能と狂言の会」前の、最後の仕上げの稽古でした。

16時半過ぎにBOXに到着してから稽古を始めて、全て終わって時計を見ると23時をまわっていました。

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ずっと以前に、坪光松二先生の後を引き継いで現役の謡の稽古を始められた頃の米澤郁雄さんが仰られた言葉を今日思い出しました。

「現役達は、僕が少しでも謡を直すと本当に直したその通りに謡うので、ちょっと恐ろしくなりました。」

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つまり、教える側は僅かの間違いや曖昧さも許されないということで、これは中々のプレッシャーなのです。

そして私は今日現役達の仕舞の稽古で、米澤先輩と同じことを感じたのです。

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本番前の最後の稽古で、各人殆ど仕上がった状態の仕舞です。

おそらく急に修正しても直らないかもしれないと思い、「長期的に直れば良いので…」と前置きしてから直したことでも、現役達は即座に、驚くほど正確に修正してくれるのです。

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「この対応力は何なのだろう…」と内心半ば驚愕しながら、プレッシャーを感じつつ稽古をしました。

そして本番直前とは言え、もう直したいところは全部言ってしまおう!

と決意して稽古した結果、稽古終了時間が23時超えになった訳です。

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プレッシャーがかかる分、実に充実した稽古でもあり、彼らと稽古出来る喜びを今日も感じつつBOXを後にしたのでした。

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京大自演会「能と狂言の会」

11月12日朝9時始曲・金剛能楽堂

です。皆さま現役達の稽古の成果を是非ご覧くださいませ。

よろしくお願いいたします。

“気”を払い落とすこと

今日は江古田稽古でした。

先月私は2つの澤風会があってバタバタしておりましたが、やはり先月お忙しくてお休みだった会員さんが、若干久しぶりに稽古に来られました。

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元気溢れる方で、「忙しいけれど体力はまだ余っているのです!この間も1日働いたのに夜全然眠れなくて、夜中に起き出しておでんを作ってしまいました!」

その話を聞いて、思い出したことがありました。

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先日のブログに書いた「太極拳」のお話です。

太極拳を習っている方から聞いたのですが、太極拳の練習や試合をした後には、必ず”気”を払い落としてから帰らなければいけないそうなのです。

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そしてたまたま”気”を払い忘れて帰宅してしまった日があって、その日は夜に目が冴えて全く眠れず、それで”気”を落とすのを忘れたことに気がついたそうです。

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私が江古田の元気な会員さんにその話をすると、横で聞いていた別の方が「私も、以前に能を舞った後に全然眠れなかったことがあります。あれもやはり”気”が残っていたのでしょうね」と仰いました。

確かに大きな舞台の終わった夜に、なかなか眠れないことがたまにあります。あれは”気”の影響なのかもしれません。

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私の場合、舞台や稽古の後に”気を払い落とす”という行為はしたことがありません。

しかし考えてみると、稽古の帰りには必ず”文庫本”を読みながら帰ります。無性に読みたくなるのです。

これは、本の世界に束の間没頭することで、能の世界で受け取った”気”をリセットしているのかもしれません。

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なので読む本は読み易くて荒唐無稽なものが多く、今日はハヤカワ文庫のマイクル・クライトン著「パイレーツ」という海洋大冒険小説の世界に、しばし没頭しながら帰りたいと思います。

恒星間天体・岩船?

今日は夕方から田町稽古でした。

行きの地下鉄で読んだニュースに興味を引かれました。

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昨年発見された「オウムアムア」という耳慣れない名前の小天体のニュースです。

「オウムアムア」とはハワイの言葉で「遠方よりの最初の使者」という意味で、この葉巻型の小天体は天体観測史上初めて太陽系の外から飛来した”恒星間天体”だそうです。

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そしてニュースによると、アメリカ・ハーバード大学の天文学者が「オウムアムアの正体は異星人の送った探査機かもしれない」との説を発表したそうなのです。

太陽から遠ざかる速度が予想より早く、これは太陽光をエネルギーとする”ソーラーセイル”という人工的な装置を搭載している可能性があるとか。

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実は能にも「宇宙から飛来した船」の話があります。

能「岩船」のストーリーは神話における「天磐船」の話を基にしており、「岩で出来た船が、天から地上に宝物を積んで降りて来た」というものです。

この話は何やら今回の「オウムアムア」に通じるところがある気がするのです。

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天体観測が始まるはるか前の時代に”恒星間天体”が遠くの宇宙からやって来て、その岩で出来た天体は実は宇宙船であり、中から異星人と、他の星の珍しい品物が地球にもたらされたかもしれない。

そしてその話が神話になり、やがて能「岩船」が作られた…

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つまり”岩船”こそが真の”オウムアムア”ではなかろうか。

…などと夢想するのは実に楽しく、地下鉄はあっという間に三田駅に到着したのでした。

秋を満喫

昨日の午後に大山崎から松本へ電車で移動しましたが、名古屋から松本まで乗った中央西線の沿線では紅葉が見頃を迎えていました。

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木曽福島辺りの山はこんな景色でした。

能「江口」のクセに”黄葉の秋の夕、黄纐纈の林、色を含むといへども…”という謡がありますが、このような情景かと思いました。

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ちなみに特急しなのは、新幹線と違ってのんびり走るので撮影もしやすいのです。

オレンジや黄色に燃えるような山々の合間を縫って走る、2時間の紅葉列車の旅でした。

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松本市内もやはり紅葉真っ盛りで、四柱神社の境内は絢爛たる彩りでした。

お城の前の通りから見た境内の遠景。

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境内にて。黄昏刻の弱まる光に抵抗するように、強烈な赤。

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ちょっと渋めの赤。

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赤、黄、緑のバランスを保った共演。

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昨日の午後の数時間で、実にバリエーションに富んだ紅葉を堪能いたしました。

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因みに松本稽古の後は、鶏きのこ鍋と熱燗で味覚においても秋を満喫したのでした。

太極拳の師匠

今日は早朝に京都に移動して大山崎稽古、昼から松本に移動して夜まで松本稽古をしました。

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色々面白いことがあったのですが、その中でひとつ。

先日の「松本澤風会」に太極拳の先生が見にいらしていたというお話です。

会員さんの1人が太極拳も習っておられるのです。

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先生は舞台をご覧になって、色々細かく感想を述べられたそうです。

「○○さんは腰から下が微動だにせずに舞っていた。あの人は体幹が鍛えられている。これからすごく伸びていくでしょう。」

「△△さんは”気”の力が非常に強く、正面に向かって歩いてこられると思わず横に避けてしまった。」

「☆☆さん(お囃子)は、構えの姿勢と手の出し方と、呼吸が良いので、やはり良い音が鳴っていた。」

などなど。

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また能の構えをご覧になって、「これは太極拳の含胸抜背(がんきょうばっぱい)と同じ」と仰られたそうです。

“含胸抜背”とは赤ちゃんを大事に抱くように、或いは大きな木を抱くようにする姿勢だそうです。

確かに構える時に「大木を抱くようなイメージで」ということを以前に言われた記憶があります。

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その先生は、”気”の力で人間を回転させたり飛ばしたりも出来る方だそうです。

私は実際に見たことはありませんが、人間対人間ならばそのようなことは可能だろうと思っております。

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今回の松本澤風会では時間がありませんでしたが、いつかその太極拳の先生に改めてお会いして、お話を伺ってみたいと思いました。

舞って謡って、謡って舞って

今日は朝から水道橋宝生能楽堂にて、辰巳満次郎師のお社中会「あまねく会」に出演して参りました。

大ベテランの方から初舞台の方まで、大変に熱気のある舞台でした。

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私の大先輩である、京大宝生東京OB会の皆様も大勢参加されていましたが、今日は驚くべきことがありました。

皆さん実に精力的に、1人で何度も舞台に出ておられたのです。

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それも「仕舞杜若クセシテ→直後の舞囃子梅枝地謡」とか、「舞囃子梅枝地謡→直後の舞囃子安宅シテ(!)」、また「能班女シテ→素謡善知鳥地謡→舞囃子藤戸地謡」など、ある意味で限界に挑戦するかのようなハードな出演のされ方です。

一番多い先輩では「舞囃子安宅地謡→素謡鵺地謡→素謡大原御幸シテ→舞囃子藤戸シテ」と4回も舞台に出られて、その全てが非常にレベルの高いものでした。

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また能「班女」は本当に見事な舞台で、謡も立ち居の姿も実に美しく、地謡で「良いなぁ」と思いながら拝見しておりました。

因みに「班女」の地謡の前列も全員京大OBの方々でした。

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現役時代から長い長い間稽古を積まれて、今なおその先を目指して厳しく研鑽されている京大宝生会の先輩達。

班女のシテを舞われた先輩は、後席でもう今後舞いたい能の候補のお話をされていました。

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OBの皆さんの底知れないパワーを再認識して、嬉しくなった本日の「あまねく会」でした。

面白写真〜2018夏秋〜

久々の旅先での面白写真です。

まずは居酒屋さんから。

三島にて。

ご主人が神主さんとかでしょうか…?

メニューもきっと面白そうです。この日は昼間だったので閉まっていましたが、機会があれば夜に行ってみたいと思います。

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パワースポットの次は”異空間”と来ました。

松本にて。

しかしこの料金設定は大丈夫なのでしょうか…。

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ここはやはり昼間で閉まっていたのですが、能面と関係があるのか聞いてみたいものです。

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次は青森にて。

この高さ4m程の梅沢富美男さんが”かかし”なのだそうです。

これが田んぼに立っていたら、カラスならずともビックリするでしょう。。

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JR京都線の車内にて。

京都水族館の11匹のペンギンの中から”推しペン”を選ぶ企画です。

こういうセンスは大好きです。

京都生まれのペンギン達の名前が、「しじょう」「てら」「まる」「たけ」など通りの名前なのもまた良いです。

しかも調べたら、東京のすみだ水族館との共同企画で、すみだ水族館でも同様の超選挙をやっているようです。時間があれば行ってみたいものです。

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最後は京都の路地にて。

窓に人形が並んでいるな…と思って通り過ぎようとしたら、

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本物が混じっていました。

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今日はこれにて失礼いたします。